しのぶが童磨と、善逸が獪岳と、杏寿郎たちが黒死牟と対峙していた時、炭治郎は猗窩座と戦っていた。
『ヒノカミ神楽 火車』
炭治郎は猗窩座の正拳突きを回避し、火車で猗窩座の腕を斬る。そして着地し振り向いた瞬間、猗窩座の裏拳が襲って来た。
『ヒノカミ神楽 幻日虹』
しかし炭治郎は幻日虹で避け、猗窩座の顔を斬る。それを見ていた義勇は炭治郎の成長の早さに驚いていた。
「成程…、以前とは違い格段に強くなっている。"鬼の姿"になっていないとはいえ、この強さ…。無限列車での冒涜、今ここで謝罪しよう。竈門炭治郎、お前は"強者"だ。そんなお前に敬意を表し、俺も本気で戦おう。さあ、宴の時間だ」
『術式展開』
猗窩座は腕を再生させ足下に"雪の結晶"を思わせる魔方陣のようなものを出す。炭治郎はそれに答えるように音角を取り出し、鳴らして額に翳す。そして全身を光が包み、その光が止むと、炭治郎は『輝鬼・炎光』に姿を変えた。
「ほう…❓最初からその姿か。あの時は力に振り回されていたみたいだが、今はその力を完全に制御している。面白い、面白いぞ竈門炭治郎❗いや、輝鬼❗」
『破壊殺 乱式』
猗窩座はラッシュの"衝撃波"を輝鬼・炎光に向けて放つ。
『ヒノカミ神楽 幻日虹』
『ヒノカミ神楽 烈日紅鏡』
輝鬼・炎光はそれを幻日虹で避け、烈日紅鏡で仕返しをする。だが猗窩座は足さばきで後ろに回り、手刀を輝鬼・炎光に喰らわそうとする。
『水の呼吸 弐ノ型 水車』
しかしそれを義勇が水車で腕を斬り、輝鬼・炎光は助かった。だが猗窩座は瞬時に腕を再生。今度は義勇に攻撃を仕掛けた。
『ヒノカミ神楽 炎舞』
輝鬼・炎光は猗窩座の脚を狙って炎舞を出す。
『破壊殺・脚式
が、猗窩座は下から突き上げる蹴りで輝鬼・炎光を退けた。
「流麗❗練り上げられた剣技だ、素晴らしい。お前の名は何と言う❓覚えておきたい❗」
猗窩座は義勇の名を聞こうとするが、義勇は『俺は喋るのが嫌いだ』と言って猗窩座の質問を退ける。
「そうか、喋るのが嫌いか。俺は好きだぞ❓」
『破壊殺・脚式
猗窩座は今度は連続蹴りでの衝撃波を義勇に放ち、ぶっ飛ばした。
『ヒノカミ神楽 灼骨炎陽』
『破壊殺
輝鬼・炎光は一瞬の隙を突いて攻撃を仕掛けるが、猗窩座も即座に反応し、攻撃を相殺した。
「あぁ今俺は最高に気分が良い。分かるか❓強者との戦いに酔いしれているからだ。これ程の高揚感は今まで感じたことが無い。礼を述べるぞ輝鬼」
「俺は強者は好きだ。弱者は嫌いだ。何故か分かるか❓弱者は強者に喰われ、強者は更なる力を得る。"弱肉強食"、それこそが"自然の摂理"。そして強者のみが生き残った時、より強い者が上に立つ。最後にいるのは"絶対的な強者"のみ」
猗窩座はベラベラと持論を述べる。だが
「それは違う、全部間違っているぞ狗窩座。生きとし生けるものは皆、生まれた時は全て"弱者"なんだ。誰かの助けがなければ生きれない。猗窩座、お前も人間だった頃はそうだったんじゃ無いのか❓」
「"強き者"は"弱き者"を助け、守る。そして弱き者は力を得てまた違う弱き者を助ける。それが自然の摂理だ。俺も最初は弱者の方だった。けど、仲間や師匠たちの支えがあったから生き残れた。勝ち残れた」
「猗窩座、俺はお前の考えを認めない❗これ以上、お前の好き勝手にはさせない❗」
輝鬼・炎光は猗窩座の考えを真っ向から"否定"し、刀を構える。すると
その光景を見ていた猗窩座は不意に"自分の後ろに裏拳を放った"。輝鬼・炎光は突然の猗窩座の行動に疑問を感じていた。
「輝鬼、貴様は不快だ」
『破壊殺・砕式
猗窩座は放射状に拡散する衝撃波を輝鬼・炎光の足下に打ち、周囲の木々を薙ぎ倒した。
『破壊殺・脚式
猗窩座は更に追い討ちを掛けるように蹴り上げる。輝鬼・炎光は何とか避けながら攻撃の隙を見る。
『ヒノカミ神楽
輝鬼・炎光は猗窩座の頚を狙い刀を振るう。猗窩座は避けるが、僅かに頚が斬られてしまった。
「面白い技だ、刀身が伸びた。避けたと思っていたが、微かとはいえ俺の頚を斬るとは❗」
猗窩座と輝鬼・炎光の攻防は激しさを増す。
『ヒノカミ神楽 円舞』
輝鬼・炎光は円舞を繰り出すが、猗窩座はそれを"真剣白羽取り"で受け止めた。受け止めた手からはジュウジュウと肉が妬ける音がしているが、猗窩座はお構い無しに輝鬼・炎光の刀を折ろうとする。輝鬼・炎光はそれを阻止しようと、頭突きや蹴りで怯まそうとするが、猗窩座は手を離さなかった。
すると猗窩座の両腕が斬られ、輝鬼・炎光は刀を折られずに済んだ。猗窩座の両腕を斬ったのはぶっ飛ばされた義勇だった。
「義勇さん、助かりました。あの、お怪我は大丈夫ですか❓」
「大丈夫な訳あるか。背中を何度も木にぶつけられて痛いんだ。けど、響鬼とか言う者に薬を貰わなかったら、更に背中が痛んだだろう」
輝鬼・炎光は義勇に大丈夫か聞くと、義勇からは『否定』を思わせる言葉が出た。しかも苛立っているのか、心拍数が上昇し、左頬に"流水"を思わせる痣が浮かんでいた。
猗窩座は斬られた腕を再生させ、義勇と対峙する。
『水の呼吸 肆ノ型 打ち潮』
義勇は先程とは段違いの速さで技を繰り出し、猗窩座の拳を斬った。だが猗窩座も義勇の顔に傷を付けていた。輝鬼・炎光は『猗窩座の強さの秘密』を探ろうと義勇との戦いを見ていた。そして気づく。猗窩座が"闘気"と言っていたことを。輝鬼・炎光は更に記憶を遡り、伊之助と話していたことを思い出した。だが、戦いの音に我に戻った輝鬼・炎光は技を繰り出す。
『ヒノカミ神楽 円舞』
しかし猗窩座はそれを指で挟むことで受け止め、輝鬼・炎光に裏拳を繰り出す。だが彼はそれを"寸前で避けた"。輝鬼・炎光は一瞬ではあるが、"透き通る世界"に入ることが出来たのだ。
何故"透き通る世界"に入ることが出来たのか❓この時輝鬼・炎光は"回避することにのみ集中"しており、他の感覚を"全て"閉ざしていたのだった。
「(これが父さんが言っていた"透き通る世界"か。何か、全てが"遅く"感じる)」
輝鬼・炎光が透き通る世界に入っていた時、猗窩座と義勇の戦いは熾烈化していた。義勇が振り下ろしていた刀を側面から裏拳で折り、義勇の腹を拳で突き破ろうとする。だがその拳を輝鬼・炎光が"斬った"。猗窩座は斬られた腕を再生させると
「(こいつ、"至高の領域"に達している。放っておくのは危険だ❗)」
そう思った瞬間、義勇が折れた刀で斬りかかる。
『術式展開・終式
だが猗窩座は四方八方に繰り出す百発の乱れ打ちで対抗する。義勇は『拾壱ノ型 凪』で防ごうとするが、全てを防ぎきることはできなかった。猗窩座が義勇に向かって喋っているが、"後ろにいる"輝鬼・炎光には"気づかなかった"。
「猗窩座❗❗今からお前の頚を斬る❗」
輝鬼・炎光は馬鹿正直に大声で宣言をする。猗窩座はその声に反応し、攻撃を仕掛ける。だが輝鬼・炎光はそれを悉く避け
『ヒノカミ神楽
遂に猗窩座の頚を斬った。しかし猗窩座は斬られた頚を持ち、繋げようとする。けれど義勇が折れた刀を投げ、再び頚が落ち、崩れた。
だが頚は崩れても身体は崩れてはいなかった。猗窩座の身体は斬られた箇所から頚を再生させながら輝鬼・炎光に襲い掛かる。
輝鬼・炎光は振り下ろされた手刀を辛うじて避けるが、その次の蹴りには反応出来ず、喰らってしまい木に叩きつけられ、失神してしまい、変身が解けた。
猗窩座の身体は尚も炭治郎に襲い掛かろうとする。
『水の呼吸 肆ノ型 打ち潮』
それを義勇が打ち潮を使い妨害する。が、斬られた箇所を瞬時に再生させる。そして打ち合いの末、義勇は敗北。地面に伏せる。猗窩座はまたもや炭治郎に狙いを定めるが
「待て。俺は…まだ…、生きてるぞ…❗炭治郎を殺したければ、まず俺を倒せ…❗だが…俺は簡単には殺されは……、しないぞ❗❗」
義勇は起き上がり、刀を構える。しかし義勇の視界は狭まり、失神寸前だった。猗窩座は義勇の方へ向かおうとするが、不意に立ち止まった。
この時、猗窩座は"人間だった頃"を思い出していた。
猗窩座は人間だった頃、父の病を治そうとして薬を買う為にスリを行っていた。だがその度に捕まっていた。そして遂に猗窩座の父は"首吊り自殺"をした。理由は"犯罪で手に入れた金品を使ってまで生き永らえたくは無かった"からだった。
そしてとある地で暴れている所に、道着を着た男性が彼に声をかけた。当然猗窩座こと
狛治は男性こと
狛治が道場に連れて来られて数日、狛治は恋雪の看病をしていた。そして月日が流れ三年、狛治は掃除をしている所に慶蔵が狛治を呼んだ。その用件は『道場を継ぐこと』と『恋雪を嫁にして欲しい』の二つだった。狛治は一瞬思考が停止してしまったが、恋雪のことは嫌いでは無く、寧ろ好きだったのでそれを承諾した。
だが彼の幸せは唐突に終わりを告げる。
狛治は父の墓参りを済ませ、帰路に着く。そして道場まで来ると、門の前に"人だかり"ができていた。するとその中の一人が狛治の前まで走り、知りたくも無い出来事を語った。
『誰かが井戸に毒を入れた…❗慶蔵さんやお前とは直接やり合っても勝てないからあいつら酷い真似を…❗惨たらしい…、あんまりだ❗❗恋雪ちゃんまで殺された❗』
狛治は部屋の一室に通されると、そこには慶蔵と恋雪が物言わぬ姿で寝ていた。狛治は恋雪の体を抱き締め、泣き崩れた。
その後狛治は隣接する剣術道場を襲撃した。その中にいた六十七名を素手で頭部や内臓を破壊し殺害した。遺体の殆んどが人としての原型を留めておらず、壁や天井には臓物がこびりついていた。
狛治は道場を襲撃した後、フラフラと夜道を歩いていると、橋の所で無惨と出会った。狛治は無惨に頭を貫かれてしまったが、無惨は彼に自分の血を与え鬼にした。
狗窩座が過去を思い出している時、炭治郎の前に"一人の男性"が立っていた。
『炭治郎、起きなさい。早く起きないと、大事な人たちがいなくなってしまうぞ』
炭治郎の前に現れた男性は彼の父の『竈門炭十郎』だった。炭治郎は父の声に導かれるように目を覚ます。すると目に飛び込んで来たのは、刀を構える義勇と頭部が再生しかけている猗窩座だった。
「止めろ~❗」
猗窩座は義勇に襲い掛かろうとする所で炭治郎が猗窩座に飛び掛かり、狗窩座の"顔を殴った"。殴った理由は気絶した時に刀を手放していたので、手元に無かったからだった。
猗窩座は自分を殴った炭治郎がかつて自分を救った師範である慶蔵と姿が重なって見えた。炭治郎は直ぐ様義勇を猗窩座から遠ざける。すると猗窩座は"自分で自分の体を攻撃した"。
猗窩座が攻撃をする一瞬、炭治郎は見た。"自分に向かって喋っている"のを。
『ありがとう…』と。
ボロボロになった猗窩座の体は炭治郎たちの前を"通り過ぎた"。体は再生し始めていたが、不意に立ち止まる。
猗窩座には自分の前に父の姿があるのが見えていた。猗窩座は膝を地面に付ける。すると父の姿が今度は慶蔵の姿となり、猗窩座の頭を優しく撫でる。だがその姿は無惨になり、猗窩座の髪を乱暴に掴む。そして炭治郎たちに襲い掛かろうとする所で今度は恋雪の姿となり、猗窩座の頭を優しく包む。そして猗窩座は狛治の姿に戻り、恋雪に抱きつき約束を守れなかったことを謝った。恋雪は涙を流しながら狛治を許した。
そして猗窩座の体は再生を止め、崩壊し始めた。
『あぁ神様、鬼となり人を殺した俺が願うのはお門違いかもしれないけど、祈らせて欲しい。願わくば、竈門炭治郎に一つでも多くの
『上弦の参・猗窩座VS鬼殺隊水柱・冨岡義勇&鬼柱竈門炭治郎こと音撃の戦士・輝鬼』
『勝者、義勇&炭治郎』