炭治郎たちが上弦の鬼を倒し、鳴女が人間に戻っていた頃、無惨は吸収してしまった薬を分解するために自身の体を"肉の繭"に変えていた。
ピシッ
その繭に裂け目が入り
ピシッピシッ
その裂け目が徐々に
ピシピシピシッ
大きくなり
バカンッ
遂に無惨が繭から飛び出した。だが彼の姿は腕や腿に"口"が付いている異形の姿だった。
「どうだ珠世❓お前が私に吸収させた"鬼を人間に戻す薬"とやらも結局効きはしなかったぞ❓まぁそのお陰と言うべきか、私の"本来の姿"に戻ったのだがな」
無惨は右手に持っている珠世(の分身)の"頚"に問い掛けていた。
「無惨…、お前…は…今日…、必ず…地獄に堕ち…る…」
「今まで幾人もの人間がその言葉を私に会う度に吐き散らしてきたが、叶うことは無かった。諦めろ、私と言う"天変地異"に出会い、生き残っただけでも幸運だと言うのに」
無惨は自らを"天変地異"と言っていた。
(いや天変地異と言うより"誰も喰えない腐った糞ワカメ"だろう)by作者
「珠世、お前今私に暴言を吐かなかったか❓」
「❓❓❓」
無惨は珠世の分身の頚に暴言を吐いたか聞くが、珠世は呆気に取られた。
「まぁいい、貴様は今ここで死ぬ。最後に言い残すことはあるか❓」
「とっとと死に腐れ、この『糞ワカメ』」
グシャッ
無惨は珠世(の分身)の頚を"握り潰した"。そこに
「無惨❗」
炭治郎たちが到着した。その中には獪岳を倒した善逸こと斬鬼の姿もあった。
「黒死牟たちは殺られたか…。不甲斐ない奴らだ。足止め程度しかできんとはな……」
「無惨、今日ここで貴様を殺す❗覚悟しろ❗」
炭治郎は音角を取り出し、輝鬼・炎光に変身する。
「成程、それが堕姫や半天狗からの情報にあった"音撃の鬼"か。面白い、殺せるものなら殺してみろ❗」
無惨は自分の腕を鞭状にして輝鬼・炎光たちに斬り掛かった。
ズバンッ
輝鬼・炎光たちは樹木を盾にしながら攻撃を避けるが、無惨は樹木を悉く斬り倒した。
「くっ、切り札を早々に使ったのが仇になったか❗」
響鬼たちは既に輝鬼眼魂の"効力が切れていた"。それもその筈、輝鬼眼魂は使用してから五分経過すると『消滅』してしまうのだ。よって今現在、輝鬼・炎光と斬鬼、雷鬼以外の音撃の戦士は人喰い鬼を消滅させることができないのであった。
雷鬼、斬鬼が鬼を消滅できる枠に入っている理由は二人が持つ烈雷の刃が日輪刀と同じ素材なので、音撃を使わず斬れば鬼を消滅できるからである。
「夜明ケマデ一時間半❗一時間半❗カアァッ」
その時、鴉が夜明けまでの時間を知らせた。
「ほう❓夜明けまで私をこの場に留めるつもりか。やれるものならやってみろ❗」
無惨は背中から管を出し、輝鬼・炎光たちに襲い掛かった。
『炎の呼吸 壱ノ型 不知火』
『霞の呼吸 肆ノ型 移流斬り』
『風の呼吸 捌ノ型
『水の呼吸 捌ノ型 滝壺』
柱たちは無惨の攻撃を掻い潜り各々の技で無惨を斬る。しかし無惨には"斬られた箇所が無かった"。
「斬れてない❗❓攻撃が当たって無いのか❗❓」
「いや違う❗斬った感触は確かにあった❗奴の再生速度が異様に速くて斬った瞬間に再生しているんだ❗」
「ンだとォ❗❓それじゃあ決定打が無ェじゃねぇか❗❓」
無一郎の疑問に杏寿郎が答え、更に実弥が疑問を唱える。
「いや、決定打はある❗」
すると義勇が答えを見つけた。
「炭治郎だ❗炭治郎の音撃なら、無惨に効くはずだ❗あいつは音撃に無意識で陽光と同じ力を加えていると聞いたことがある❗」
「よもや❗❓それなら勝機はある❗」
義勇が見つけた答えに杏寿郎は喜びを上げる。
「あぁ❗総員、竈門炭治郎を援護するんだ❗」
『了解❗』
行冥の言葉にその場にいた柱たちが頷いた。
「そう易々とさせると思うか❓」
だが無惨は攻撃を更に強める。だが
「ヒャッハー❗幅の広い刃なら、くっ付く前に斬り落とせるぜぇ❗」
雷鬼が烈雷で無惨の腕を"斬り落とした"。
「どうだぁ❗❓斬り込みの間に異物があれば、くっ付く物もくっ付けられまい❗」
雷鬼は"再生の弱点"を見出だし、それを実行した。
しかし、無惨は斬られた腕を瞬時に再生させ、雷鬼に振るった。
「のわぁ❗❓危ねぇじゃねぇか❗❓当たったらどうすんだ❗」
雷鬼は当たる寸前でギリギリ避けた。
「当てるつもりで振るったのだがな。お前たちは知っているかもしれんが、私は人間に"私の血"を注入することでその者を鬼にする。そして鬼になった者は人間を喰らうか私の血に順応することで更に強くなる。だが、私の血を"大量に"注入されると、細胞が順応せず、崩壊する」
「私の振るう刃には、その"大量の血"が混ざっている。即ち、掠る"だけ"でも致命傷となるのだ」
無惨はもし当たった場合のことをご丁寧に説明した。
「そりゃどうもご丁寧に説明してくれてありがと……、よ❗」
雷鬼はまたもや無惨の腕を斬った。
「とどのつまり、テメェの攻撃を喰らわなければいい訳だ❗だったら、何千、何万とその腕、斬り落としてやるぜ❗」
「それは無理だ。何故なら……」
ヒュガッ
「貴様ら鬼殺隊と音撃の鬼は、何も出来ずに今日死ぬからだ」
無惨は高速で腕と背中、そして"腿から生やした管"で攻撃した。その攻撃を喰らった輝鬼・炎光と彼の側にいたしのぶ"以外"の全員が丸太や切り株に体を打ち付けられていた。
だが、
ザシュッ
不意に無惨の腕が"斬られた"。
無惨は斬られた腕を再生させ、大振りで攻撃をする。すると伊之助、カナヲ、斬鬼の三人が"いきなり姿を現した"。
「クソッ、もう気づかれた❗伊之助❗"札"はまだあるか❗❓」
「当たり前じゃボケェ❗この山の王たる伊之助様に抜かりは無ェ❗」
斬鬼とカナヲは伊之助から札を受け取ると、自分の"額"に張り付けた。すると、二人の姿が途端に"消えた"のだった。
『花の呼吸 肆ノ型
『雷の呼吸 壱ノ型 霹靂一閃』
姿を消した二人は技を繰り出しながら、無惨の攻撃を避ける。
それを見た輝鬼・炎光としのぶは伊之助が巻き散らかした札『
「しのぶさん、三人の援護をお願いします❗俺は義勇さんの所へ❗」
しのぶは頷くと、三人の下へ走り、輝鬼・炎光は義勇の下へ向かった。
輝鬼・炎光は義勇の下へ到着すると、既に隠の人たちが義勇を手当てしている所だった。そこには後藤の姿もあった。
「後藤さん❗」
輝鬼・炎光は札を取り、顔だけ変身を解いて後藤に声をかける。
「❗❓炭治郎、お前驚かすなよ❗寿命縮むかと思ったわ❗」
後藤は相当驚き、その場で飛び上がった。そして声をかけたのが炭治郎だと分かると、頭をポカポカ殴りながら涙目で訴えてきた。
「イテテッ、ごめんなさい。後藤さん、お願いがあります❗俺の刀とこの札を義勇さんに渡して欲しいんです❗それと、その札を皆さんに渡して下さい」
炭治郎は持っていた刀と大量の札を義勇や皆に渡して欲しいと後藤に差し出す。
「それは別にいいけど、お前はどうやってアイツを倒すんだよ❓それとこの札は❓」
「大丈夫です、俺には"コレ"がありますから。それからこの札は額に着けると、姿を消せます。しかも"同じ札を着けた人たち"を見ることができます」
後藤が投げ掛けた質問に炭治郎は腰に装着されていた音撃棒・閃光を見せ、札の説明をする。
「分かった。渡しておく。…炭治郎、これだけは約束してくれ。『必ず生きて帰ってくれ』」
「❗❗……、はい❗」
炭治郎は元気良く返事をすると、再び輝鬼・炎光に変身し、札を貼って姿を消した。
「カアアア❗❗夜明ケマデ一時間三分❗」
鴉が夜明けまでの時間を知らせる。
「(夜明けまでまだ時間がある…、一秒でも長く無惨を留める❗)」
『蟲の呼吸 蜻蛉ノ型 複眼六角』
しのぶは六連突きで無惨に毒を打ち込む。しかし効いてる様子は無かった。
「(毒が効いてない❗❓いや違う、毒を打ち込まれた瞬間に解毒している❗)」
しのぶは無惨が解毒していることを悟ると、
「(なら、解毒させることで"体力を消耗"させる❗)」
毒を次々に打ち込んだ。
『風の呼吸 漆ノ型 勁風・天狗風』
更に実弥が額に札を張り付けた状態で技を繰り出し、無惨の腕や管を斬った。
『炎の呼吸 弐ノ型 昇り炎天』
『岩の呼吸 伍ノ型
『霞の呼吸 陸ノ型 月の霞消』
そして杏寿郎、行冥、無一郎が覚醒し、次々に技を使う。しかも、皆額に札を貼っており、無惨は何処に誰がいるのか把握しきれていなかった。
『水の呼吸 参ノ型 流流舞い』
『ヒノカミ神楽
最後に義勇が覚醒し、輝鬼・炎光と一緒に一撃を与えた。しかも義勇の手には炭治郎の刀が握られていた。
「義勇さん、皆さん、やりましょう❗」
『応❗』
輝鬼・炎光の言葉に皆が勢い良く返事をした。
鬼殺隊&猛士VS無惨が戦っている所から離れた場所にある崖の上、そこに『茶色のコートを着ている男性』がその戦いを見ていた。すると男性の後ろに"銀色のオーロラ"みたいたものが現れ、そこから"二人の男性"が現れた。
「やっと来たか」
「俺たちを態々呼び出すなんて、一体どういうつもりだ❓」
頚から二眼カメラをぶら下げた男性が目の前の男性に声をかけた。
「君たちに来てもらったのには訳がある。あそこで戦っている人喰い鬼の始祖を倒すのに彼らと手を組んで欲しい」
戦いを見ていた男性は戦っている所を指差すと、呼んだ理由を話した。
「実は"私とは違う私"があそこにいる人喰い鬼の始祖に"とある薬"を渡しておってな。私はその薬を回収しようと密かに行動をしていたのだが、思いの外難航してしまってな。もしかしたら奴がその薬を使用するかも知れない」
「そこで君たちにはさっきも言った通り、人喰い鬼の始祖を倒すのに彼らと手を組んで欲しい」
「それはいいとしても、"力"はどうするんだい❓僕たちは力を半分程失ってしまっているんだけど❓」
もう一人の男性がコートの男性に質問をする。
「私の力で一時的ではあるが、本来の力を出せるようにする。そのために君たちが持っている物を少しの間預からなければならない」
コートの男性がそう言うと、カメラをぶら下げた男性は持っていたピンク「ピンクじゃ無い❗マゼンタだ❗」……マゼンタ色のバックルを、もう一人の男性は水色「水色じゃ無いよ、シアンだよ」……シアン色の銃をコートの男性に躊躇無く渡した。
「確かに受け取った。私の尻拭いをさせるようで済まないと思っている。私も出来る限りの協力をしよう❗君たちはここで待っていてくれたまえ❗」
コートの男性は二人から受け取った物を持ってその場を足早に去った。残された二人は未だ戦っている"戦場"を見下ろしていた。