魔化魍『オロチ』となった無惨を『正義の破壊者』と共に討伐した鬼殺隊の柱と猛士の音撃の戦士一行は疲労困憊の体を互いに支え合いながら珠世たちがいる"鬼屋敷"へと進んでいた。
鬼屋敷が視界に入る距離までくると、"幾つもの人影"が見えた。その人影は徐々に一行に近づく。そして人影の正体が明らかになった。
人影の正体は、アオイ、なほ、すみ、きよ、ひなき、にちか、輝利哉、くいな、かなた、千寿郎の十名だった。
アオイとかなたは右をしのぶ、左をカナヲに支えられた炭治郎にダイブし、三人諸とも地面に転がる。しのぶとカナヲは抗議しようと顔を上げるが、泣きついている姿を見た瞬間、怒りが消えてしまった。炭治郎は『ただいま』と言うと、二人は『お帰りなさい』と返事をした。
炭治郎はアオイとかなたに離れてもらい、何とか立ち上がり屋敷内へと向かった。すると玄関先にカナエ、天元、まきを、須磨、雛鶴、槇寿郎が待っていた。アオイたち十名と禰豆子、鳴女はカナエたちの所へ走り、全員で『お帰りなさい❗』と言うと、戦闘組全員が涙を流し、『ただいま❗』と言った。
その後珠世の所へ向かい、行冥に打ったのと同じ薬を投与することになったのだが、ここで一つ"問題"があった。
珠世曰く、『痣が出てから十二刻"以内"に投与しないと効果はない』とのことだった。蜜璃と無一郎は痣が出てから十二刻"以上"経過してしまっているので、薬を投与しても効果を成さないのだった。
だが珠世は諦めてはいなかった。彼女はこの薬と自分が製作中の薬の成分を分析して『新しい薬』を開発すると鼻息を荒くしていた。
一方、士と大樹は自分たちを連れてきた鳴滝の下へ来ていた。
「ご苦労であった。これでこの世界は最悪の事態を免れた。ありがとう」
鳴滝は士と大樹を労った。
「あんたも抜かり無いみたいだね、あの人たちに薬を渡していたなんて」
「あのままでは可哀想だったのでな。後は彼らの物語だ、部外者たる我々は退散するとしよう」
「それと、君にはこれを渡そう。この世界の宝、『日輪刀』だ」
鳴滝はオーロラカーテンを出してそれを潜る前に大樹に刀を差し出した。大樹はその刀を受けとると、一足先にカーテンの先へ行った。
「ディケイド、この世界はどうだ❓」
「この世界も、俺に撮られたくは無いみたいだ。だがそんな世界だからこそ、深みのある一枚が撮れると俺は思っている」
士はそう言った後、カーテンを潜った。
「ディケイド、君に撮られたい世界がきっと、何処かにあるだろう」
鳴滝もカーテンを潜り、カーテンは消えた。
正義の破壊者たちがこの世界から立ち去った後、炭治郎たちは部屋に到着すると、まるで泥のように眠った。なお蜜璃、無一郎以外の痣が出た者は、眠る前に珠世から薬を投与されてから眠った。
そして数日後……。
炭治郎たち鬼殺隊の柱と決戦に加わったカナヲと伊之助と善逸、そして猛士から響鬼、風鬼、雷鬼の三人が鬼屋敷の大広間に呼び出された。そして皆の前に現れたのは、一族の呪いから解放された耀哉だった。
「皆、鬼舞辻無惨を倒してくれてありがとう。私の代で一族の悲願が達成されて嬉しく思うよ」
耀哉は部屋に集まった皆を見ながらお礼を言った。
「鬼殺隊は本日を持って解散する。君たちの屋敷はせめてもの餞別だよ。好きに使って欲しい。今後産屋敷家は全面的に猛士を支えることを約束するよ。響鬼さん、風鬼さん、雷鬼さん。そのことをおやっさんに伝えて欲しい」
「おやっさんのことなんだが…」
雷鬼は歯切れが悪い言い方をした。
「実は俺たちが寝ている時に枕元におやっさんが現れたんだ。それでこう言ってたんだ。『儂は心残りが無くなったんで成仏する。今後猛士は儂の"子孫"である耀哉に継がせて欲しい…』…と」
響鬼が後を引き継ぐ形で説明をした。響鬼が言った"子孫"という
言葉に耀哉は目を見開いた。
「そ…、そのおやっさんの名前は分かるかい❗❓」
「……いや、猛士に所属している皆はおやっさんの名前は誰一人として知らない。いつもおやっさんは自己紹介の時は"猛士の長"としか言わなかったから」
耀哉は興奮気味に聞くと、風鬼がその質問に残念そうに答えた。
「…そうか。でも任命されたなら仕方ない。猛士の皆さん、おやっさんの申し出、引き受けさせてもらうよ」
耀哉は猛士の長となることを承諾し、響鬼たち猛士の者はお礼を言った。
それから鴉を通じて鬼殺隊員に組織の解散が伝えられた。隊員の殆んどが喜んだが"一部の隊員"は不満を洩らしていた。
その後今いるメンバーで豪勢な宴が開かれた。
炭治郎がしのぶ、カナヲ、アオイ、かなたの四名に抱きつかれたり、
響鬼とカナエ、玄弥と禰豆子、千寿郎となほの三組が料理を食べさせ合ったり、
酒に酔った須磨が天元に濃厚なキスをして、女性陣がそれに悪乗りしたり、
同じく酒に酔った雷鬼が『俺は人間に戻った珠世と結婚する❗』と暴露して顔を赤くした珠世が雷鬼を叩いたり、
それらを見ていた耀哉が腹を押さえて爆笑していたり、
と、多種多様の"笑い声"が丸一日続いた。
…
……
………
それから数年後………
『元鬼殺隊・鬼柱』竈門炭治郎は師匠である響鬼と一緒に"とある島"に来ていた。そして川原でキャンプをしながら、茜鷲や瑠璃狼を放ち、時を待つ。すると一体の瑠璃狼が欲していた情報を持ってきたので、二人でそこへ向かう。
すると、森の中に"一組の男女"がいた。炭治郎と響鬼は即座に"鬼"に変身すると、男女も怪人の姿へと変わった。しかも地面が盛り上がり、そこから魔化魍『ツチグモ』が現れた。
そう、男女こそ魔化魍を育てている『童子と姫』だったのだ。
輝鬼となった炭治郎は音撃棒・閃光を持って童子と姫に対峙し、響鬼はツチグモと対峙した。だが幾つもの戦線を潜り抜けてきた二人にとっては、"彼らは敵では無かった"。
輝鬼は『鬼棒術・閃光弾』を駆使し童子と姫を倒し、響鬼も『音撃打・火炎連打』を使いツチグモを討伐した。
そして二人はキャンプの後処理をして帰路に着いた。その後、猛士の"新本部"である産屋敷邸でツチグモ討伐の報告をした後、鬼屋敷へと向かった。
「おぉ炭治郎、戻ったか」
「お疲れさま、炭治郎さん」
鬼屋敷の玄関先でこれから出掛けるであろう雷鬼と珠世に出会った。二人の左の薬指には指輪がされており、雷鬼は赤ん坊を抱いていた。
「中でしのぶさんたちが首を長くして待っているわよ」
珠世はそう言った後、雷鬼と共に出た。
炭治郎は部屋の一室に着くと、襖を開けた。
「ただいま」
「「「「お帰りなさい、あなた」」」」
そこには、しのぶ、カナヲ、アオイ、かなたの四名が各々の子供を抱きながら炭治郎を出迎えた。
~~~FIN~~~