「気をつけろ❗❗少しも油断するなよ❗もし本当にそいつらが十二鬼月ならまず間違いなくお前が今まで倒した奴らより手強いぞ❗❗」
兪史郎は炭治郎を叱咤激励し、炭治郎は油断無く構えた。
「珠世様❗❗あいつらを囮にして逃げましょう❗❗」
兪史郎がとんでもない発言をした。珠世は明らかに引いていたため
「冗談です❗」
と直ぐ様否定した。
矢琶羽は蹴りを入れた響鬼を血鬼術で吹き飛ばすが、響鬼はくるりと身体を回転させ受身をとり、炭治郎との衝突を免れた。
「鬼狩り❗❗お前はまず矢印の男をやれ❗」
「わかりました❗師匠、あの毬の鬼をお願いします」
「了解だ。炭治郎、やるぞ」
響鬼と炭治郎は背中合わせになると、それぞれ自分の変身音叉『音角』を取り出し、変形させて鳴らす。そして音角を額に近づけ鬼の紋様を浮かび上がらせると、炭治郎は光に、響鬼は紫の炎に包まれた。
「「ハアアァアアァ…、ハァッ❗」」
そして炭治郎は光を、響鬼は炎を振り払うと二人は鬼の姿へと変わっていた。違う所と言えば、色と身長、それから輝鬼の腰には日輪刀が刺さっていた。
「「「「❗❓❗❓❗❓」」」」
その姿を見た矢琶羽と朱紗丸、兪史郎と禰豆子はびっくりしていた。
「炭治郎さんは彼のことを『師匠』と呼んでいましたが、やはり彼も鬼になれるようですね」
珠世は炭治郎の言動から鬼になれることは見抜いていたが、内心驚いていた。
そして響鬼は朱紗丸に輝鬼は矢琶羽の方へ駆け出した。輝鬼は日輪刀を抜き矢琶羽の頚を斬ろうと振りかぶるが、矢琶羽の血鬼術である矢印が足下に現れ、後ろに引っ張られ刀が空振りその先にある木にぶつかった。更には石垣、地面、木、地面の順番に身体をぶつけられ、そして上空に引っ張られある高さに着くと矢印が途切れ地面に叩きつけられそうになるが、
『
技を繰り出し、その反動で地面の衝突を免れ、地面を転がった。そして響鬼はというと、朱紗丸の投げた毬をなんと『蹴り返していた』。朱紗丸の毬は鬼の頭や脚を吹き飛ばす威力があるが、響鬼の鍛え抜かれた四肢は朱紗丸の投げる毬を余裕で蹴り返す程の強度があるのだ。
(注:この小説の響鬼が異常なので、通常は吹き飛びます)
その頃矢琶羽は自身の血鬼術である矢印を大量に輝鬼に飛ばすが、輝鬼はそれを全て避ける。そして頚を斬る為に接近するが、矢琶羽は更に矢印を飛ばす。けど、
『ねじれ
上半身と下半身のねじれを利用して繰り出す型、ねじれ渦を応用した型で矢印を『巻き取り』、更には
『
縦に回転して繰り出す水車を矢印を利用した横回転で繰り出し、矢琶羽の頚を斬った。
しかし矢琶羽は頚を斬られる間際、輝鬼に大量の矢印を喰らわせていた。矢琶羽が崩れる中、輝鬼はものすごい強さで引っ張られるが、
『肆ノ型 打ち潮❗』
型を繰り出し、衝撃を和らげる。が、矢印はまだ残っており、
『水面斬り❗❗』
『雫波紋突き❗❗』
『水車❗❗』
『打ち潮❗❗』
『水面斬り❗❗』
『滝壺❗❗』
と次々に型を使い、衝撃を緩和していった。だが、いくら鬼になっていると言っても元は人間。技を連続で使うにも限界がある。けど輝鬼は技を出すのを止めなかった。そしてようやく全ての矢印が消えた時には、輝鬼は過呼吸状態となっていた。地面に這いつくばり、日輪刀を握ろうとするが、相当な疲労で手に力が入らず
その頃響鬼は朱紗丸の投げた毬を蹴り返していたが、その殆んどがあらぬ方向に蹴り飛ばしていたが、ようやく朱紗丸の所に当たるようになった。
「ふぃ~、ようやく感覚が分かってきたぜ」
響鬼はその場で屈伸運動をしたりして身体をほぐし、朱紗丸が蹴った毬を蹴り返し、その毬を朱紗丸が蹴り返すといったラリーが続くが、響鬼が蹴り返した毬がものすごい速さで朱紗丸の後ろにあるレンガの壁にめり込んだ。
そしてそこに好機を見た珠世は
「十二鬼月のお嬢さん、貴女は鬼舞辻の正体をご存知ですか❓」
と朱紗丸に質問をした。それを聞いた朱紗丸は相当びっくりし、
「何を言う貴様❗逃れ者めが」
と珠世を批判するが、珠世は臆すること無く鬼舞辻の悪口を淡々と吐いた。
それに切れる朱紗丸だが、兪史郎だけは
「(❗珠世様が能力を使っている)」
と珠世の狙いを察知した。そしてとうとう
「鬼舞辻様は」
と言った瞬間、朱紗丸は口に手を当て、何を言ったのか悟った。
『血鬼術
珠世は血だらけの腕を朱紗丸に見せ
「その名を口にしましたね。『呪い』が発動する…。可哀想ですが、……さようなら」
そう言った。すると朱紗丸はその場で暴れだし、いきなり苦しむと口と腹から手が飛び出し朱紗丸を『握り潰した』。
その光景を炭治郎と響鬼、珠世と兪史郎、そして禰豆子が見ていた。そして珠世は残った朱紗丸の眼球を見て
「炭治郎さん、この方は十二鬼月ではありません。十二鬼月は眼球に数字が刻まれています。この方には無い…」
「もう一方も恐らく十二鬼月ではないでしょう。弱すぎる」
炭治郎は矢琶羽の強さを知っているがため、珠世の言ったことが信じられなかった。
「珠世さん、そいつは死んだのか❓」
顔だけ変身を解いた響鬼は灰になりかけている朱紗丸の残骸を親指で指しながら珠世に聞くと
「間もなく死にます。これが"呪い"です。基本、鬼の致命傷は陽光か鬼殺の剣士の刀のどちらかとなります」
「ですが、鬼舞辻は鬼の細胞を破壊することができるようです」
そう言いながら珠世は朱紗丸の残った肉塊から血を抜き取った。
炭治郎は朱紗丸の方を向くと『ま…り、ま…り…』と細々と言っているのが聞こえてきた。炭治郎はそばに転がっていた毬を持っていこうとするが、身体が上手く動かせず、困っていた。
それを見た響鬼は毬を手に持ち、朱紗丸のそばに置き
「生まれ変わったら、鬼にならずに一緒に遊ぼうな」
と言った。そして太陽が登り残った肉塊は灰となった。
炭治郎は響鬼に支えられながら屋内に入ると
「お二方、こちらです。地下へ」
珠世の声がする方を見ると、そこには黒い扉があり、そこから地下へ降りると禰豆子が走り寄ってきた。そして禰豆子は二人に抱きつき、その後珠世にも抱きつき兪史郎の頭を撫でていた。
「先程から禰豆子さんがこのような状態なのですが…、大丈夫でしょうか」
禰豆子の行動に困惑している珠世は炭治郎に聞くと
「大丈夫です。多分二人のことを家族の誰かだと思っているんです」
「禰豆子ちゃんの行動から察するに、珠世さんと少年は『鬼ではなく、人間』と判断したようだな」
炭治郎と響鬼の言葉を聞き、珠世は禰豆子を抱き締めながら
「ありがとう禰豆子さん、ありがとう…」
と涙を流していた。その姿を見ていた兪史郎は鬼になる前の自分を思い出していた。彼は生まれつき身体が弱く、いつも床に伏せていた。そして余命幾ばくも無くなったある日、珠世から鬼になるかどうかを持ち掛けられた。兪史郎は生きたいという願いが強く、珠世の提案を受け入れた。
「皆さん、私たちはこの土地を去ります。鬼舞辻に近づきすぎました。早く身を隠さなければ危険な状況です」
珠世はこの土地を去ることを伝え、自分たちが置かれている状況なども言った。さらに
「炭治郎さん、禰豆子さんは私たちがお預かりしましょうか❓」
「絶対に安全とは言いきれませんが、戦いの場に連れて行くよりは危険が少ないかと」
禰豆子を引き取る提案もした。炭治郎は禰豆子の安全を考え、承諾しようとするが、寸前の所で禰豆子が炭治郎の手を握った。炭治郎は禰豆子の顔を見て
「…ありがとうございます。でも俺たちは一緒に行きます。離れ離れにはなりません。もう二度と」
一緒にいることを決意した。珠世は炭治郎の顔を見て
「………わかりました。では
禰豆子を引き取るのを諦めた。
「じゃあな。俺たちは痕跡を消してから行く。お前らももう行け」
兪史郎は炭治郎たちに背を向けて素っ気なく言った。そして炭治郎は禰豆子の箱を探そうとすると
「炭治郎、お前の妹は美人だよ」
と禰豆子を称賛した。その後、炭治郎は禰豆子を箱に収め、珠世たちの下を去った。
「さて珠世さん。隠れるに当たってひとつ提案があるのですが」
珠世と一緒に残っていた響鬼は彼女の方を向き、ひとつの提案を言った。
「あなた方さえ良ければ、我々猛士の専属の医者になっていただきたい」
「猛士の方が医療設備もあるし、そちらの研究も捗るかと。もちろんあなた方が鬼と分かっていても、手出しはしませんしさせません」
響鬼の破格とも言える提案に二人は驚きつつも、受け入れた。
こうして猛士には"鬼の力を持つ人間"と"人を喰わない鬼"の共闘が確立した。
その頃炭治郎は鴉の指示で南南東に向けて歩いていた。炭治郎は鴉のうるささに参っていると
「頼むよ❗❗頼む頼む頼む❗❗結婚してくれ❗」
「いつ死ぬかわからないんだ俺は❗だから結婚してほしいというわけで❗頼むよー❗」
金髪の少年が女性に泣きながらすがりついている光景を目撃した。