禰豆子が無事出産してから数日後、炭治郎は善逸と玄弥の二人と一緒にとある山中の湖に来ていた。
三人が湖に着いた瞬間、湖の中央付近に気泡が立った。気泡は徐々に数を増し、そして湖の中央が盛り上がり、そこから"何か"が飛び出した。
出てきたのはエイのような姿形をした魔化魍『イッタンモメン』であった。
イッタンモメンは炭治郎たちを見つけると、空から奇襲を掛けた。どうやら炭治郎たちを餌と認識したようだ。
しかし炭治郎たちはその場から散開し、イッタンモメンの奇襲を避けた。そして各々の変身アイテムを展開して鳴らし、音撃戦士へと変身した。
空を飛んでいるイッタンモメンに斬鬼は有効打が無かったため、まずはイッタンモメンを地面に叩き落とすことにした輝鬼と威吹鬼は『鬼棒術・閃光弾』や烈風の銃弾を使ってイッタンモメンを地面に叩き落とした。その際、斬鬼はイッタンモメンが落ちる前に烈雷で一撃を当てており、イッタンモメンの"ヒレ"を斬っていた。
そして三人はイッタンモメンに音撃を喰らわせ、イッタンモメンを退治した。
「何時もながらお見事だな」
「「「後藤さん❗」」」
炭治郎たちがイッタンモメンを退治した後、後藤さんが姿を現した。
「疲れているだろうから後のことは俺たちに任せな」
「何時もありがとうございます。"諜報部隊"なのに申し訳ないです」
「いいってことよ。鬼殺隊の時からこういったことには慣れてるからな」
彼らは鬼殺隊の事後処理部隊として活動していたが、鬼殺隊が解散してからは猛士の諜報部隊として活動していた。
構成員は鬼殺隊の隠と"同じメンバー"であり、後藤さんはその隊長になっていた。
後処理を隠の人たちに任せた炭治郎たちはそのまま帰路に着く。
「なぁこの頃童子や姫、魔化魍がやけにおかしくなってないか❓」
善逸が不意に疑問に感じていたことを聞いた。
「確かに。俺もそれに関しては疑問に思っていた。奴ら、"夜行性でも無いのに夜に活動"したり、"太陽を異様に怖がったり"な」
玄弥も心当たりがあるのか、善逸の話に便乗した。
「……もしかしたら、"無惨の血"が残ってるのか❓」
炭治郎は頭に過ったことを口ずさむ。
「"無惨の血"が❓馬鹿を言え、無惨はあの時俺たちが倒したじゃないか❗❓」
炭治郎の呟きに善逸が否定の声を上げる。
「でも、これまでの童子や姫は夜に活動しているし、陽光を浴びたら灰になったんだぞ❓これって"人喰い鬼"と同じじゃないか❓」
炭治郎が言った要点に善逸と玄弥が考えこんだ。
「とりあえずこのことを"お館さま"に報告しよう」
炭治郎はそう言うと、二人は頷いた。
それから数日後、産屋敷邸に炭治郎たち三人は召集された。
炭治郎たち三人の他にも、
炭治郎の妻の一人、旧姓"胡蝶しのぶ"こと"竈門しのぶ"
浅草の"和菓子処"で働いている"冨岡義勇"
寺で孤児院を営んでいる"悲鳴嶼行冥"
猛士の"音撃戦士見習い"を育成している"煉獄杏寿郎"
猛士の諜報部隊を指揮する"諜報指揮局"の局長をしている"宇随天元"
山でひっそり暮らしていた"時透無一郎"
警察官である"不死川実弥"
浅草で定食屋を経営している"伊黒小芭内"
その妻の旧姓"甘露寺蜜璃"こと"伊黒蜜璃"
以上の十二名が集まった。
「小芭内さん、蜜璃さん、行冥さん、杏寿郎さん、天元さん、無一郎君、久しぶり❗」
『久しぶり(だな)❗炭治郎(君)(竈門少年)❗』
炭治郎は久方ぶりに会うメンバーに挨拶をした。
「にしても、"元鬼殺隊の柱"が全員召集されるって一体どんなド派手な状態だよ」
そう、今回集まったメンバーは善逸、玄弥を除くメンバーは天元が言った通り、"元鬼殺隊の柱"を勤めていたメンバーであった。
「召集の理由は恐らく"あの件"では無いかと」
天元の疑問に炭治郎が答えた。
「お館さまのお成りです」
屋敷内から凛とした声がすると、奥から猛士の長である産屋敷耀哉とその息子の輝利哉が現れた。集まったメンバーは即座に一列になり、膝を付いた。
「お早う皆、久しぶりに会う者たちもいるだろう」
「お館さまにおかれましても御壮健で何よりです。益々の御多幸を切にお祈り申し上げます」
鬼殺隊の挨拶を炭治郎がした。
「ありがとう炭治郎。フフッ、この挨拶も久しぶりだね。皆、楽にしていいよ」
耀哉がそう言うと、皆が一斉に顔を上げた。
「今回集まってもらったのは他でも無い、ここ最近報告に上がっている"人喰い鬼と似た童子と姫"についてなんだ。炭治郎、玄弥、善逸、報告を」
「はい。俺たちはここ最近、童子と姫の行動に疑問を抱いていました」
「"疑問"…、ですか❓」
炭治郎の報告にしのぶが質問した。
「俺たちが抱いた疑問…、それは"童子と姫が夜に活動し、陽光を嫌う"と言うものです」
炭治郎に変わり善逸がその質問に答えた。
「その報告なら俺の所にも上がってるぜ。まるで"人喰い鬼の再来"みたいってな」
「信じない信じない。そもそも人喰い鬼は全滅した筈だ。それに人喰い鬼を造る無惨も倒したじゃないか」
天元もその報告が上がっているのでそれを言うと、小芭内がそれを否定した。
「しかし、現に童子と姫は夜に活動しており、陽光を浴びたら灰になったと聞く❗これは正しく人喰い鬼の特徴そのもの❗」
杏寿郎が天元をサポートするように言うと
「実は俺が管轄する地区では、夜な夜な"妙な二人組"が出没するって報告が来てんだァ」
実弥も自分の管轄地区で出没している二人組のことを言った。
「そこで皆にお願いがあるんだ。今回の件を考慮して、"日輪刀の帯刀"を復活させようと思っているんだ」
『❗❓❗❓❗❓』
耀哉の言葉に皆が驚いた。
「お館さま、お待ち下さい❗それは即ち、"鬼殺隊の復活"を意味しているのですか❗❓」
行冥が皆の思いを代表するかのように耀哉に問い掛けた。
「そうなるね。けど勘違いしないで欲しい。刀を持つのはあくまで"最終手段"としてだよ。猛士に所属している
耀哉は苦笑しながら炭治郎たちを見る。
「それに伴い、君たちに渡したい物がある。輝利哉、"例の物"を」
「畏まりました」
輝利哉は耀哉に言われた物が入った箱を持ち出した。そして箱の蓋を開けると、中にはディスクアニマルが"大量"に入っていた。
「これは
「これを皆に渡すよ。何か気配を感じたらこの子を使うといい。皆の住んでいる所の近くに諜報部隊の駐在所があるから、そこから連絡できるからね」
その後、集まったメンバー全員に緑大猿が配布された。更にそれを起動させるため"だけ"の音角も炭治郎、玄弥、善逸以外のメンバーに配られた。
「しかし、
天元は配られた緑大猿を見て、ある時のことを思い出していた。
「"あの時"…❓あぁ、吉原遊郭の時ですか」
炭治郎は天元の呟きに反応してその時を思い出す。
「そう言えばその時の天元さん、善逸が捕らえられていた時の集まりでやけに疲れていましたけど❓」
炭治郎は上弦の陸・堕姫、妓夫太郎兄妹に出会う前のことを思い出していた。
「あの時はお前の嫁さんとド派手な"鬼ごっこ"をしてたからな」
「あれは貴方が悪いんじゃなくて❓"幼女趣味の人さらい地味柱"さん❓」
しのぶは以前炭治郎が言っていた柱名を口にした。
「うぉい❗引退前にやっと払拭した"それ"を思い出させるなよ❗❓」
久々に聞いたディスりを天元は慌てて訂正させようとする。
「しのぶちゃん、それどういうこと❓」
しかし時既に遅し。興味が湧いた蜜璃がしのぶに聞いた。
「実は…」
しのぶは蝶屋敷で起こったことを話した。
しのぶが話し終わると
「サイッテ~」
「無いわァ。当時の俺でも、しのぶたちには確認を取るぞォ…」
「宇随よ、それは人としてやってはいけない行為だぞ…」
「「「………」」」←冷たい眼差し
「よもや義妹を拐おうとしてたとは❗❓悪徳非道なことだぞ❗」
元柱のメンバーから罵詈雑言を言われた。
「せっかく地味に苦労してその噂を無くしたのに…」
天元は再発した噂に項垂れた。