緊急招集から数日後。炭治郎たちは近くの花畑にハイキングに来ていた。
「とうちゃ~く」
炭治郎たちが見た光景は、色とりどりの花が咲き乱れていた。
「きれ~い❗」
娘たちは花に見惚れていた。
「父様~、お花よりも母様のご飯食べたい~❗」
息子たちは花より団子なのか、食事を催促していた。
「ははっ、お前たちは花より団子か。ご飯はもうちょっと待っててな、今はこの綺麗な景色を楽しもうな」
炭治郎は息子たちをあやしながらご飯をお預けさせる。
「ほら、お姉ちゃんや妹に花冠を作ってやったら喜ぶぞ❓」
ぶ~ぶ~言う息子たちを宥めながら花畑へと促す。息子たちは『花冠❓作る~❗』と言いながら花畑へ突っ込んだ。
「父親も大変ね、父様❓」
ため息を一つ吐いた炭治郎をアオイが労った。
「子育てって大変だな。母さんはいつもこんな苦労をしていたのか…」
炭治郎は風に乗ってゆっくり進んでいる雲を見つめながら呟いた。
「確かに大変です。けど、大変だからこそ愛おしいんですけどね」
炭治郎の側にしのぶは寄り添った。
「子供は成長が早いです。小さいと思っていたらあっという間に大人になっているのですから」
その反対側にかなたが寄り添った。カナヲは子供たちに禰豆子から教わった花冠の作り方を教えていた。
「駄々を捏ねる時はありますけど、それもまた、可愛いんですよね」
アオイは炭治郎に抱きつきキスをした。しのぶとかなたは上書きするようにキスをすると、アオイも負けじとキスをし、何時の間にか炭治郎の顔はキスマークだらけとなっていた。
「炭治郎~、皆がもう待ちきれないって~❗」
花冠を作っていたカナヲが炭治郎を呼ぶと、地獄に仏とばかりに炭治郎がカナヲの下へ走る。それを追うようにしのぶたちが炭治郎を追い掛ける。
束の間の一時、炭治郎たちはこの休息を楽しんでいた。
数日後、炭治郎は一人でとある山奥へと来ていた。その森は木々が鬱蒼と生い茂り、昼間なのにも関わらず陽光が射さず薄暗かった。
森の中を歩いていた炭治郎は不意に立ち止まる。
「いるんだろ❓隠れてないで出てこい」
炭治郎がそう言うと、木の後ろから男性と女性が現れた。二人は炭治郎を見た瞬間に異形の姿、即ち『怪人態』に変化した。その姿は"蜘蛛"を彷彿とさせる姿だが、今までとは一つだけはっきりと違っていた。
二体の怪人、童子と姫の眼に当たる箇所には"下伍"と刻まれていた。
童子と姫は炭治郎に手を伸ばし、横に振るう。炭治郎は咄嗟にその場を離れると、後ろにあった木が"倒れた"。その切り口は、まるで"鋭利な刃物"で斬られたように綺麗だった。
炭治郎は直ぐ様輝鬼に変身し、迎撃する。
「(この童子と姫、かつて戦った下弦の伍である累と同じ力を持っているのか❗❓)なら❗」
輝鬼は強化形態である輝鬼・炎光になり、童子と姫と対峙した。童子と姫は掌から糸を出し、輝鬼・炎光を捕縛しようとする。だが輝鬼・炎光はその糸を鬼火で焼き払い、閃光剣で頚を斬る。すると童子と姫は斬られた箇所から崩れ始め、灰のように散った。
童子と姫が崩れ散った後、輝鬼・炎光が立っている地面が盛り上がり、下からツチグモが姿を現した。だが通常のツチグモとは違い、頭部には鬼と分かるような立派な"角"が二本生えており、左右四個ずつ計八個ある複眼の左側四個に、童子と姫の眼に刻まれていたものと"同じもの"が刻まれていた。
「んなっ❗❓魔化魍にも"十二鬼月の刻印"が❗❓」
輝鬼・炎光が驚いたことを好機と悟ったのか、『オニツチグモ』は口から糸を吐いて捕らえようとする。だが輝鬼・炎光は鬼火を放ち、糸を燃やす。
『ニンゲン、クワセロ~❗』
「人の言葉も話せるのか❗❓」
オニツチグモが喋ったことで輝鬼・炎光は更に動揺する。
「これ以上の被害を出さないためにも、今ここでお前を討つ❗」
輝鬼・炎光は音撃棒・閃光を振りかぶり、突進する。オニツチグモは脚の爪で輝鬼・炎光を串刺しにしようとするが、悉く避けられてしまう。
そして輝鬼・炎光は跳躍しオニツチグモの上に乗ると、音撃鼓・輝光をくっ付けた。
「音撃強打・爆炎陽光の型❗ハアッ❗」
輝鬼・炎光は音撃鼓・輝光を何度も音撃棒・閃光で音撃を叩き込む。そして最後の一撃を与えると、オニツチグモは爆散し、灰となって消滅した。
魔化魍退治を終えた輝鬼・炎光は変身を解き、考え込む。
「(今まで童子や姫が喋ることはあっても、魔化魍は喋らなかった。けどあのツチグモの"変異態"は喋った。しかも童子と姫、魔化魍の眼に"十二鬼月の刻印"が在った)」
炭治郎はそこまで考えて、"ある結論"に辿り着く。
「(もしかしたら、俺の考えが当たっている❓)」
"炭治郎の考え"、それは『無惨の血が残っている』だった。しかし炭治郎は首を横に振る。
「いやいや、前にも善逸が言ったように無惨は"あの時"に確実に倒した❗残骸一つすら残っていないのを確認した❗無惨が"生きてる"訳が無い❗」
炭治郎は"最悪の考え"を振り払うように何度も頭を振る。
「こんな考えをするなんて、きっと疲れが溜まっているんだな。早くカナヲたちに癒して貰おうっと」
炭治郎は足早に森を出るために歩く。しかし、そんな炭治郎を"見ている一つの目玉"があった。
『クククッ、マッテイロオニガリドモ。コンドコソキサマラヲネダヤシニシテヤル…』