門矢 士と海東 大樹が鬼屋敷に居候してから数日後、士は鬼屋敷の調理場で料理を拵えていた。
「門矢さん、料理上手ですね」
「まぁな、以前渡った世界では
今現在、調理場にいるのは士の他にアオイが料理をしていた。
「でしたら私のことは"アオイ"と呼んで下さい。名字だと誰を指して言っているのか分かりませんので」
「分かった。アオイ…、これでいいか❓」
士は調理していた食材をアオイに見せた。
「…はい、これで結構です」
アオイは調理された物を見て頷いた。その後二人は出来上がった料理を蝶屋敷に入院している患者の所へ運んで行った。
「そう言えば、海東さんは今どちらに❓ここ最近姿を見ておりませんが」
食事を運び終えたアオイは士に大樹の行方を聞いた。
「
「今回の"破壊"は一筋縄ではいかない。俺たち"だけ"では確実に負ける。そこで海東に行って貰ったと言う訳だ」
士は大樹が今何をしているのかをアオイに言った。
「ただ、アイツは"無償"では働かない。アイツは泥棒だ、それぞれの世界の"お宝"を手に入れることに執着している」
「この前この世界に来た時には、この世界で作られた『輝鬼眼魂』と言った物をくすねていたな」
士は大樹の性格を言うと
「そう言えば、雷鬼さんが
「十中八九海東の仕業だな…」
士は呆れ返っていた。
「もしかしたら今回も…」
「恐らく、"何か"を盗むかもな…」
それから数日後、鬼屋敷の前に『オーロラカーテン』が出現し、そこから大樹と一組の男女が現れた。
「到着したよ、二人とも」
「この世界に士がいるのか❓」
大樹に質問をしたのは、士の旅仲間の一人である『仮面ライダークウガ』こと『
「この世界では士君はどんな"役職"になっているのでしょうか❓」
更に大樹に質問をしたのは、ユウスケと同じ士の旅仲間の一人である『仮面ライダーキバーラ』こと『
「そんな一度に質問しないでくれたまえ。まずユウスケ君の質問から答えよう。確かに士はこの世界にいる、と言うか彼が僕にこんな小間使いをさせたからね」
「次に"夏メロン"の質問だけど、士はこの世界では役職を"持っていない"よ」
大樹は二人の質問に丁寧に応対した。若干皮肉を混ぜながら。
「私は"夏メロン"でも"夏みかん"でもありません❗"夏海"です❗」
夏海は大樹に言われた"夏メロン"と言う渾名が気に食わないようで、毎回こう言ったやり取りをしていた。
「そんなに怒るとシワが増えるよ❓さぁ行こう。目の前の屋敷で士が待ってるから」
大樹は夏海の頭を撫でながら言った後、先導するように歩き始めた。夏海は手の親指を立てると
「"笑いのツボ"❗」
大樹の首筋に親指を突き刺した。すると
「❗❓アハハッハハハッハハハハハッ(笑)」
大樹は急に"笑い出した"。先程夏海が突き刺した箇所は『笑いのツボ』と呼ばれる箇所であり、そこを突かれるとしばらくの間笑い続けてしまう恐ろしいツボである。(笑い続ける時間はツボを押した加減で変わります)因みにツボの箇所は人によって位置が違うため、正確に押せるのは夏海"だけ"である。
「ユウスケ君、早く士君の所へ行きましょう」
夏海は未だ笑い続けている大樹を放ったらかして鬼屋敷…では無く蝶屋敷へ向かう。
「夏海ちゃん、そっちは違うと思うよ❓」
ユウスケに指摘された夏海は立ち止まり、ユウスケの"笑いのツボ"を押して笑わせ、今度こそ鬼屋敷へと入っていった。
その後、笑いのツボの効果が切れ、笑い疲れて過呼吸気味になっていた二人を子供たちと一緒に散歩していたしのぶが見つけ、鬼屋敷へと案内された。
「士君❗」
鬼屋敷に入った夏海は中庭でアオイと一緒に洗濯物を干していた士を見つけると、士に抱きついた。
「夏海…、久しぶりだな」
「士君私たちを置いて一体何処に行っていたんですか❗❓心配したんですよ❗❓それと、そこにいる女は誰ですか❗❓まさか、愛人ですか❗❓」
夏海は士に抱きついたまま士を責めていた。
「落ち着け夏海。彼女は竈門アオイと言って、この屋敷の主人の妻の"一人"だ。俺がお前以外の女を侍らせる訳無いだろ❓」
実はこの二人、結婚を前提に恋仲となっており、ゴールイン間近と囁かれていた。
「先程紹介に預かりました竈門アオイと申します。以後よろしくお願いします」
アオイは夏海に自己紹介をすると
「士君の『婚約者』である光夏海です。よろしくお願いします」
夏海は"婚約者"の所を強く主張しながら自己紹介をした。
「夏海、海東はどうした❓さっき笑い声が"二つ"聞こえてきたが…、まさか」
「私の他にはユウスケ君が来ましたが、二人は今道端で笑い転げていると思いますよ❓」
夏海の答えに士は頭を抱えた。
「まぁ夏海にとって癪に触ることでも言っちまったんだろうが、あんまりツボを押すなよ❓」
「大丈夫ですよ。あと少ししたら効果が消えるように手加減しときましたから」
夏海は悪びれる様子も無くしれっと言った。
「あの~…」
そんな様子を物陰から見ていたしのぶが顔を出す。
「しのぶ様お帰りなさい。子供たちの面倒を押し付けてしまい、申し訳ありません」
「大丈夫ですよアオイ。今日は急患もいなくて暇だったので、いい気分転換になりました」
しのぶとアオイのやり取りに夏海は呆けていた。
「申し遅れました。私はこの屋敷の主人、竈門炭治郎の妻の一人で、隣の『胡蝶病院』の医師の一人、竈門しのぶと言います」
「これはどうもご丁寧に。士君の婚約者の光夏海と言います」
しのぶと夏海は互いに挨拶をした。
「竈門、夏海たちを紹介したいのだが…」
「申し訳無いのですが、主人の炭治郎君は今魔化魍の討伐に出掛けておりますので。それと私のことは"しのぶ"と呼んで下さい」
士が紹介したいと言ったが、しのぶは今炭治郎は不在であることを伝えた。
「そう言えばそうだったな」
士は炭治郎が今"仕事"に行っていることをすっかり忘れていた。
「士君、先程から彼女たちは"妻の一人"って言ってますけど❓」
「しのぶとアオイはこの屋敷の主人である竈門炭治郎の妻だ。彼女たちの他にも後二人、つまり四人の女と結婚しているって訳だ」
「よ、四人もですか❗❓」
「因みに私たちの知り合いには、三人の妻を持っている人もいますよ」
しのぶの言葉に夏海は開いた口が塞がらなかった。
「そう言えばしのぶ、さっき何か言いたげだったみたいだが❓」
「あっ、そうでした。散歩から帰って来た時に、道端で息を荒くしている海東さんと見知らぬ人を見つけたのですが」
しのぶの言葉に士は心当たりが合った。
「そいつは俺の知り合いだ。今何処にいる❓」
「えっ❓屋敷の居間にお通しして落ち着かせていますけど…❓」
士の質問にしのぶは答えると
「その居間に案内して欲しい。とりあえず今いる者だけでも顔合わせを済ませたい」
そう言うと、しのぶはアオイにカナヲとかなたをユウスケたちがいる居間に連れてくるように言い、士と夏海を案内した。
…
……
………
「皆に紹介したい、海東は知っているだろうから省略するとして、まずは俺の旅仲間の小野寺ユウスケ」
「よろしくお願いします」ペコッ
「次に普段俺たちが世話になっている『光写真館』の看板娘、光夏海」
「士君、『婚約者』が抜けてますよ❗あっ、皆さんよろしくお願いします」ペコッ
士の紹介でユウスケと夏海は頭を下げる。
「私は炭治郎君の妻の一人、竈門しのぶです。隣から順にアオイ、カナヲ、かなたになります」
しのぶの紹介でアオイたちは頭を下げる。
「海東、集まったのは二人だけか❓」
「いや、皆快く引き受けてくれたよ。けど、今来れるのがこの二人だけってことだよ。後の皆は準備が整い次第鳴滝さんが連れてくるって」
士の質問に大樹が答える。すると
「あの、『鳴滝』って人は信用できるのですか❓以前鬼舞辻がその方の名前を口にしていましたが」
しのぶが挙手をして質問をした。
「その点は大丈夫だよ。そいつを手助けした奴とは"似てるけど違う"から」
大樹がしのぶの質問に答えると、しのぶたちは首を傾げた。
「『並行世界』と言う概念がある。この世界とは似て非なる世界のことだ。例えば、しのぶは最終決戦で命を落としたり、アオイは違う人と結婚したりとかな」
士の例え話に皆が納得したように頷いた。
「それと同じように士に協力的な鳴滝さんがいれば、未だに憎んでいる鳴滝さんがいるってこと。因みに前回や今回の騒動を引き起こしたのも士を憎む鳴滝さんの仕業ってわけ」
大樹が付け加えるように説明をする。
「海東、今の所どれ位のライダーが集まった❓」
「一応アギトからジオウまでの世界を巡ったから、十八だね」
士は大樹に協力してくれるライダーの数を聞くと、驚くことに巡った世界のライダー"全て"が協力を申し出ていたのだ。
「因みに他のライダーたちは今鳴滝さんが聞きに行ってるよ。けど、望み薄かもね」
「何故だ❓」
「だって、そこまでのキャパシティを作者が持ってる訳無いじゃない」
「メタ発言をするな❗」
士と大樹の漫才染みたことを見ていたしのぶたちは笑い出した。
「随分と仲が良いんですね」
「海東とは腐れ縁みたいな間柄だしな」
「一時期は敵対していた時も合ったけど、今じゃすっかり仲直りさ」
大樹は士と肩を組む。士は満更でも無い様子で受け入れていた。
「ある時は士君が皆の敵になったりもしましたもんね…」
「そんな時も在ったな…」
士と夏海はその時のことをしみじみと思い出していた。
「士、僕はご飯にしたい。久しぶりに君の料理を食べたくなったよ」
「相変わらずがめついな。分かった、皆の分も作ろう」
「お手伝いします」
「すまない」
士とアオイは揃って居間を後にした。
「夏海ちゃん、ここでアピールしとかないと彼女に士を盗られちゃうよ❓」
「………」スッ
ユウスケは夏海に小声で言うと、夏海は無言で親指を立てた。
「分かった、分かったから無言で親指を立てるのは勘弁してくれ」
二人のやり取りに皆が笑った。