蝸牛に迷った少女   作:夜はねこ

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蝸牛に迷った少女

 俺ーーーー虎杖悠仁はその日、背中に自分の体よりも大きいであろうリュックを背負っている少女を高専内で見た。重そうなリュックを背負ってゆっくり歩くその姿はまるで蝸牛だった。

 こんな山の中の学校に非呪術師の子供が入るわけもない。呪霊という気はしない。『窓』の人の子供だろうか?荷物を持ってあげたほうがいいだろうか?そう思った悠仁はとりあえず少女に声をかけてみることにした。

 

「大丈夫か?」

 

 後ろからは分からなかったが、長いツインテールが特徴的な少女だ。

 

「話しかけないでください。あなたのことが嫌いです」

「なんで⁉︎」

「冗談です。」

「お…おお?えーと、その荷物持とうか?」

 

 

 困惑。されど目的は忘れない。

 

「…いいえ、大丈夫です。親切なお兄さん。しかし、お兄さんの親切心を仇で返すわけにもいきませんね。お名前を教えていただけませんか?」

「え?虎杖悠仁だけど。」

「虎杖さんってバカなんですね。」

「罵倒された⁉︎」

 

 

 先程から少女が辛辣すぎる。

 

「ふむ。ところで虎杖さんは面白いものを持っていますね」

「えっ?」

「ほう、お前「迷い牛」か。」

「勝手に出てくんな‼︎って、え?まよ…何?」

「そういうあなたは両面宿儺さんですね?となると虎杖さんは器ということですか…なるほどなるほど。お噂はかねがね。」

「…どうも?」

 

 宿儺の言っていることはいまいち理解できないが、少女が俺のことを知っているということはやはり高専の関係者の子供なのだろうか。

 

「面白いものをみせてくれた虎杖さんに、私の名前をお教えしましょう。」

 

 少女は微笑む。気づかなかったが八重歯が生えていた。

 

「私の名前は、八九寺真宵です。虎杖さん、これからは知らない人に名前を名乗っちゃいけませんよ。」

 

 

 それは無理だ。どうしたって人と知り合うには名前を名乗らなきゃいけない。だがそういう意味ではない気がして、どういう意味なのか尋ねようかと思った。

 

「え?」

 

 しかし、またばきをした次の瞬間、少女の姿ーーーー八九寺真宵は姿を消していた。夢だったのか?まるで狐にでも化かされたような気分だ。

 俺は幽霊でも見たのだろうか?その日のことを伏黒に話すと、「お前バカか⁉︎」とすごい剣幕で怒られた。

 

「名前をホイホイ名乗るんじゃねえ!名前は縛りの一つだ。八九寺が式神だったからよかったものを、もし呪霊だったら…」

「式神?誰が?」

「気づいてなかったのか。八九寺真宵は五条先生の式神だ。」

「式神⁉︎あの女の子が!?」

「何、女の子の式神なんて使役してるの?ロリコンかよ。」

 

 隣で聞いてた釘崎が言う。

 

「・・・・。」

「えっ、否定しねえの?」

「八九寺は五条先生の式神だが、基本高専内を歩き回ってる。」

「あ、もしかしてあの子?」

 

 

 釘崎が背中に巨大なリュックを担いだ少女を指差している。

 そんな少女に近づく影が一人。

 

「まーーーーーよーーーーいーーーーー!」

「キャーーーーーーーーーーーーーーッ!」

 

 それは幼い少女のスカートを出会い頭にめくる28歳教師、五条悟だった。

 

 

「伏黒、警察って何番だっけ。」

「番号忘れるほど動揺する気持ちはわかるが落ちつけ。普通の人間には式神である八九寺は見えねえ。」

「あいつ、小学生か何かなの?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

じゅじゅさんぽ

 

「あれ、悠仁?やっほー。」

「やっほー、五条先生。真宵ちゃん。」

「こんにちは、なななみさん」

「七海です。」

 

 八九寺真宵は七海健人の名前を呼ぶ時は毎回のように噛む。

 

「“な”が一個多いよ、真宵」

「失礼、かみました。」

「わざとデショ?」

「かみまみた」

「わざとじゃない!?」

「はにかみました。エへ!」

「可愛すぎる!」

 

 きゃっきゃうふふ。八九寺真宵と五条が和気藹々と話す中、悠仁は七海に話しかける。

 

「ねえ、ナナミン。真宵ちゃんと五条先生っていつもあんなんなの?」

「残念ながら。」

 

 二人は遠い目で八九寺真宵と五条悟を見ていた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

八九寺真宵

 

 長いツインテールが特徴的で、八重歯が可愛い背中に自分の体よりも大きいであろうリュックを背負っている少女。

 「迷い牛」。人を迷わせる類の怪異。家に帰りたくない人間にのみその姿を確認することができる。それ以外の人間には姿および声、匂いすら感じることがない。両親が離婚したため離れて暮らすことになった母親に会いに行く途中、車側の信号無視による交通事故で死亡し怪異となった。自力では目的地にたどり着けないという怪異の特性上、事故以来ずっとさまよい続けていたが、母の日に「六眼」を持った五条悟と出会い、彼の協力によって目的地に辿り着いたことで地縛霊から浮遊霊となり、紆余曲折あり最終的には五条悟の式神になった。

 普段は高専内を動き回っており、高専内では帰りたくない人や五条悟以外にも見えるようになっている。

 言葉遣いは丁寧だが慇懃無礼。慣用句の単語をよく言い間違える。七海の名前を呼ぶ時は毎回のように噛む。

 毎度のように五条からの出会い頭のセクハラを受け、喧嘩になる。初めこそじゃれ合いの様なものだったが、内容がエスカレートしている。だが、彼女自身これを楽しんでいる節があり、何もしないと逆に話もせずに離れていってしまう

 

五条悟

 ロリコンの容疑をかけられた幼い少女のスカートを出会い頭にめくる28歳教師。彼ならやりそう。多分心が小学生。

 

虎杖悠仁

 警察呼ばなきゃ…。何番だっけ?

 動揺しすぎて番号を忘れた。

 

伏黒恵

 彼が五条悟と出会った時には八九寺真宵はすでにいた。五条悟の第一印象は幼女にセクハラするロリコン野郎である。

 

釘崎野薔薇

 ロリコンかよ、キモッ。この度、徐々に下がっていた五条への好感度が完全にマイナスになった。ちなみにスカートの件はまだ許してない。

 

七海健人

 八九寺真宵に必ず名前を噛まれる人。しかしやりとりをするのは五条悟。物理的に噛まれるのも五条悟。つまり噛まれるときだけ無下限呪術を解いている五条悟。初めてそれを見た七海の心情は計り知れない。胃を痛めないようにね。

 

 

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