エンティティ様といく!   作:あれなん

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【第1部完:25】さんじだよ!全員集合

少女の家の周辺には田んぼや畑が広がり、時折耕運機や電動車いすが車道と歩道さえわけられていない道路を爆走する。地域に唯一ある信号機も21時にはその職務を放棄し赤点滅になるほどド田舎だ。家から中学校までは電車どころかバスもないため雨にも負けず風にも負けず、自転車で片道1時間程漕ぐしかない。

少女は数多あるジャガイモの品種の中でどれがどんな食べ方をすれば一番おいしいのかは知っているが、ファッションというものにはとんと疎かった。家の畑で土いじりする時のためのサンバイザーは持っているが、雑誌に載っているようなかわいいベレー帽は持っていない。髪を切るのも美容室ではなく、青赤白のサインポールが現役でくるくると店先で忙しなく働いている近所の床屋だ。父親に連れられ昔から通っているせいか注文せずとも気が付けばおかっぱになっている。前髪は自分でするからと言い張り死守したはいいが、セルフカットに失敗し、On the 眉になったのは記憶に新しい。

 

背も小学校高学年で成長を止めた。クラスでも背の順に並べば一番前で、背が高い友達には肘置きにされ、カラオケでは1人だけ小学生にカウントされることもあった。

バービー人形のようなナイスバディ、せめてリカちゃん人形のように伸び伸びとした手足を夢見ていた少女には衝撃だった。母親にこんな体形になりたかったと、昔から家にあるフランス人形を指差し不満を溢すと、鳴子温泉郷の土産物屋で購入したこけしを目の前に置かれ、DNAが違うから諦めろと諭された。確かに母親も祖母も叔母も身長が低い。脈々と受け継がれてきた血に敗北を喫した。

 

そんなことがあっても全くおしゃれに興味がないというわけではない。友達と都内に服を買いに行くときには、その前の週に地元の服屋で一張羅を買う。地元は多少ほつれている服でもどこにでも行けるが、さすがに人が多いところでは恥ずかしかった。

 

2017年12月24日。

 

高校受験がもう目の前だがその日はちょっと息抜きをと、友達と都内でクリスマスパーティーと評して原宿のフレンチトーストが有名な店に行くはずだった。しかし直前の金曜日になって友達に、彼氏ができたから日曜日はキャンセル、と無慈悲に告げられてしまう。予定が流れたのは残念だが、めでたいことは確かなので全力で祝っておいた。しかし口はフレンチトーストの口になっている。これはいくしかない。しまむらで新しい服も買ってしまったし丁度いい。

 

スマホの地図アプリと格闘しやっとの思いで辿り着くと目が点になった。2階にある店にも関わらず行列は店の外の道路にまで達しているのだ。その前日、テレビでその店のフレンチトーストが取り上げられたらしい。色々な場所で少女も行列に並んでいるが、ほとんどはテイクアウトの店で、イートインとなると何時間かかるか定かではない。別の機会にしようと決めるのに時間は掛からなかった。

 

観光がてら明治神宮を参拝し、休憩と称して近くに合ったスターバックスに入った。

 

「黄色のフラペチーノの普通サイズで、クリームつけてください」

 

店員の光り輝くアルカイックスマイルに緊張した少女にはそう注文するだけで精一杯だった。まだクリームを追加できたので大成功といえた。色々なところで食べ物を買っているが、都会の接客には未だ慣れない。

一番奥の窓側の席を陣取り、スマホの小さい画面を見ていると脚がクリームが山のように盛られているパンケーキの画像を指した。エンティティ様はこれが食べたいらしい。しかしフレンチトーストも捨てがたく、ああでもないこうでもないと言っていると、脚が窓の外を指す。特に何もないが、しきりに急かすため外に出た。摂取カロリー消費のため、とぼとぼ歩いていくと、豆粒ほどの小ささだが遠くのほうで何かが見えた。

 

 

 

地獄はそれぞれの頭の中にある。

この前読んだ小説のその言葉を思い出していた。きっと自分が地獄を思い描くならきっとこの光景だ。真っ先に現場に赴いた補助監督はそう思わずにはいられなかった。

 

下半身しかない者。頭蓋を押し潰された女性は誰かの手を強く握りしめているがその手の持ち主は肘から上がない。サンタの格好をした男の胸にはぽっかりと穴が開き、その赤色の衣装を更に濃く染める。避難誘導に当たっている者が壁に凭れ座りこむ人の強く肩を揺すると、人形のようにバランスを崩し、剥き出しの頸椎と胸椎を日の光に晒した。呪霊が作りだした酸の前ではたっぷりと背中に蓄えた脂肪すら太刀打ちできなかったようだ。

 

辛うじて生きている者もいた。裂かれた腹から零れた腸を元に戻そうと必死に押し込んでいる者、アスファルトに散乱した誰かの脳の一部を両手でかき集めている者。どの者も正常な判断を失っている。補助監督たちが救護のために駆け回り、息がある者を優先して運ぶ。その間も、路肩に駐車している何台もの自動車の盗難対策機能が作動し、大音量のクラクションがビルの間を反復し、夏の盛りの蝉のように響いている。

新宿は混沌と化していた。

 

 

五条たちが新宿に到着したときには、補助監督によって帳は降ろされ、中の避難誘導は完了していた。ひっそりと流れるクリスマスソングが耳に付く。

呪霊はまだ祓われていない。それにも関わらず補助監督たちが生存者の避難誘導ができたということに違和感を覚え、夏油は近くにいた補助監督に状況を訊く。突然現れた呪霊たちは、10分程で一般人を蹂躙し尽くすと姿を消したらしい。しかし、夏油たちには感覚的にまだ呪霊たちがそこにいることはわかった。

ゲリラ戦でも仕掛けようとしているのか?上級とはいえそこまでの知能があるだろうか?上空から使役呪霊に乗った夏油は罠を疑うが、五条はどうにかなるでしょと言い放つ。

 

五条が攻撃をし、夏油を含む上級術師が五条の取り残しを狩る。大規模な任務ではこの作戦を採ることが多く、今回もそれは変わらなかった。

ここで呪霊たちは不審な動きを見せる。五条の姿を捉えると向かってくるどころか逃げに転ずるのだ。また、どこから湧いてきたのか2級、3級の低級呪霊が上級を追う五条を阻む。五条は自身の術式でまとめて消し飛ばそうと考えたが、周囲にはビルが立ち並び、1つのビルを破壊してしまうとドミノ倒しのように他のビルまで倒壊するだろう。ビルに一般人がまだ残っている可能性も捨てきれない。飛び掛かってきた低級呪霊を蹴り倒し、腹立ち紛れに頭を踏みつぶした。

 

呪術師は集団戦に向かない。呪霊が徒党を組むことがないことも一因だが、個の能力だけを重視し、追及し続けてきた呪術界の弊害ともいえた。だからこそ同じ班の者であっても固まって行動することは少なく、今回も班に割り当てられた範囲中で単独行動を取る者は多くいた。そのことを逆手に取られたとわかったのは術師が数人肉片になった後だった。

 

特級と1級呪霊が1人の術師に襲い掛かっているのを見つけ夏油がカバーに入る。夏油の使役呪霊と1級呪霊が戦っているとその声は聞こえてきた。

 

「わー!すごーい!」

 

この場に不釣り合いな明るい声だ。その少女は交戦している術師と呪霊の丁度真ん中に現れた。呪術師たちは驚き、少女に逃げろというが少女の耳には届いていない。

 

「エンティティ様、見て!ご飯がいっぱいいる!」

 

少女が発した言葉に聞き覚えがあるものは身構える。

 

「バイキングだー!」

 

少女は興奮から頬を色づけながら何者かへ呼びかけた。少女の影が不自然に大きく広がり、それらは静かに浮上してきた。その数、26。それぞれが特級相当の威圧感を醸し出している。

それらに散々な目に遭わされた者は足元に吐瀉物を撒き散らし、そうでなくとも顔を青くする。腕に覚えがない物は足を竦ませ、その者たちの異様さにどの者も言葉を失っていた。

 

 

 

 

 

少女の祖母の家では鶏を〆ていたし、近所の猟師が猪を仕留めてくることもあった。とある県の市場では豚の顔が並べられていたのを見、他の場所ではイナゴの佃煮やハチノコ、ユムシの刺身も見てきた。アメフラシもイソギンチャクも日本のどこかのおうちではおいしく食べられているのだ。

更に世界は広く、カタツムリや蟻の卵も食べるという。熊の手然り、食用蛙然り。近年は都会で昆虫食やミドリムシも流行っているらしい。そう思うと人だってグロイものは結構食べている。

 

所変われば品変わる。少女としてはエンティティ様がご飯としてそれを食べるというならば仕方がないという考え方だった。草食動物と肉食動物のような細やかな違いだ。幼い頃からエンティティ様のご飯タイムに付き合っていたのだ。いくら地面がグロいものの血で染まろうとも、台所で魚を捌いたときに流し台やまな板が魚の血で染まるのと同じレベルのことだ。

エンティティ様による鉄壁の守りにより、自分で転んで膝小僧を擦りむくことはあっても、髪の1本傷つけられたことすらない。そのため並みの術師では死を覚悟する光景も、少女にとってはエンティティ様のためのバイキング会場でしかなかった。

 

高速移動を得意とする者は縦横無尽に駆けまわり、陰に潜んでいる呪霊を引き摺り出す。広範囲の攻撃が得意な者は辺り構わず放電し嗤い声を響かせた。呪霊の叫び声をチェーンソーの駆動音と鐘の音がかき消す。斧や瓶などの飛び道具が宙を飛び交った。4人組は次々に獲物を見つけては、嬲って遊んでいる。逃げようとする呪霊は設置された罠に掛かり、ハンマーや刀の餌食となった。腹を空かせている者たちは好きに食い散らかし、その爪で呪霊の腹を抉り全身で呪霊の血を受け止める。時折時限式の逆トラバサミが作動する音や咆哮が一面に響いた。

 

アスファルトが吸い込みきれなかった呪霊の血が側溝に流れる。

既に一般人の肉片で詰まっていた排水溝は溢れ、人間から流れた赤い血と呪霊の何色ともいえない血が混ざりあい、濁った水溜まりができた。ほんの数分前まで呪霊の中に行儀よく納まっていた臓物や肉片が百貨店の磨かれたショーウィンドウにへばり付き色づける。電飾を纏う街路樹に呪霊の一部がオーナメントのごとくぶらさがり、さながらクリスマスツリーのようだ。足の踏み場を見つけることさえ難しい状況に凄惨な現場をいくつも見てきた呪術師たちも絶句した。

 

呪霊の悲鳴や叫び声が至る所で聞こえている状況にも関わらず、少女は防護柵に腰掛けスマホを弄っていた。

 

「ねぇ、君、あの時の子でしょ?」

 

「おじさんだれ?」

 

声を掛けられ振り返るが、少女には目を覆い隠すように包帯を巻く知り合いに思い当たりはなかった。

 

「とりあえず自己紹介しようか。僕は五条悟、君は?」

 

「…あー、エンティティ様と愉快な仲間たち」

 

「違う違う、君の名前だよ。名前を教えたくないならあだ名でもいいよ」

 

「えーっと、じゃあ、…シモ・ヘイヘ」

 

「せめて言語圏と性別ぐらい合わせなよ」

 

「似てる名前だと気が付かないかもしれないから」

 

「……まあ、名前はまた別の機会でいいや。それはそうと、呪霊が暴れて一般人を襲ってたのは君の仕業?」

 

「違うよ、さっき来たところ」

 

会話を交えている五条と少女から少し距離を取り少女の一挙手一投足を他の呪術師が警戒し見つめる。

 

「――今まで何百人も人を殺しまくってるのにそんなこと信じてもらえると思ってる?」

 

「?、死んでないけど」

 

「は?」

 

「皆にはゲームに参加してもらってるだけ」

 

「……どういうこと?」

 

「脱出ゲームみたいなものでね、脱出できればゴールってやつ」

 

「――っ!オマエふざけんなよ、オレは殺されかけたんだぞ」

青い顔の伏黒が言葉を少女に投げつけ、再び視線が少女に集まった。

 

「ゲーム中に殺されても大丈夫。エンティティ様の造った世界の中だから何度でも生き返るし」

 

「僕が前に訊いたとき「わからない」っていってたじゃん…」

 

「そうだっけ?私も詳しく教えてもらったのは最近だからなぁ」

 

「あー、僕たち君ともっとおしゃべりしたいんだ。ちょっと一緒に高専に来てくれる?」

 

このままでは埒が明かないと判断した五条はひとまず高専に移動することに決めた。

 

「んー、いいよ」

 

まだ15時をちょっとすぎたところだ。家に帰るにはまだ早い。丁度キラーたちも大方狩り尽くし、少女の影の中に戻ってきた。

 

「――大変です!!高専が何者かに襲撃を受けているようです!」

 

少女たちの会話に割り入ったのは帳の外で待機していた補助監督の1人だった。その叫びにも似た報告に騒然となる。高専には念の為に数名残してきたとはいえ、普段よりも人の数は少ない。しかもいるのは3級以下の術師とパーティーの準備を任せてきた学生がほとんどだ。

 

先に高専に飛ぼうとする五条に少女が訊ねる。

 

「そのコウセン?って言うところに私も行くんだよね?」

 

「そうだけどその話はちょっとタンマ!」

 

「エンティティ様が、皆をコウセンまで連れて行ってあげてもいいよって言ってる」

 

「――何が目的?」

 

「私たちに攻撃しないって約束してくれることが条件」

 

「わかった。今日僕は君たちに攻撃しない。互いに平和協定を結ぼうよ」

 

”今日僕は”と”互いに”という言葉を五条は付け加えた。裏を返せば、五条以外の者は少女に攻撃が可能で、日を跨げばこの縛りは無効になる。少女たちはその縛りを特に気に留めていない様子だ。

 

「じゃあ、コウセンに行きたい人は手を挙げて」

 

術師の半数が手を挙げた。もちろん夏油もその1人だ。半信半疑ではあるが背に腹はかえられない。念の為五条は自身の術式で飛ぶらしく、もし夏油たちに何かあれば五条が対応するだろう。夏油が手を挙げると足元の感覚がなくなり身体が沈む。肌のすぐ上を生温い風が通り抜けていくような何とも言えない感覚に肌が粟立つ。突然目の前が眩しくなり手を(かざ)す。

 

夏油の耳に聞き覚えがある音が届いた。高専のアラートだ。五条と喧嘩して、未登録の使役呪霊を出す度にこの音が高専中に鳴り響き、夜蛾に叱られた。その音が今鳴っている。瞬きを繰り返し視界を取り戻すと周囲を確認した。夏油たちは高専の門の前に立っていることに気が付いた。手を挙げていた全員が無事に着いている。そのことに一息つく暇もなく爆発音が耳を(つんざ)き、夏油は使役呪霊を出しその方向に駆けた。

 

夏油たちが鍛えている学生たちは一級呪霊を相手に奮闘していた。乙骨は特級呪霊である里香を従え交戦している。その近くには怪我を負った学生が数名意識を失っていたが重傷ではない。

そこから少し離れたところでは吉野、恵、真希の3人が互いの弱みを補い、確実にダメージを与えていた。しかしこちらは分が悪いようで、全員がどこかしらに怪我を負っている。呪霊に吹き飛ばされた真希を受け止め、恵に預けると夏油は呪霊の前に立ちはだかった。

 

「――私の生徒に何してくれるんだ」

 

 

 

 

 

少女は暇だった。

コウセンに移動したはいいが、皆蜘蛛の子を散らしたようにどこかに行ってしまった。門には「東京都立呪術高等専門学校」と書かれており、コウセンというのは高等専門学校の略だったのかとようやく気が付く。お寺のような建物を見学してもよかったが、敷地が広大なため迷子になることは避けたかった。またここで待っているように一緒に移動してきた人に言われたため、エンティティ様とパンケーキvsフレンチトーストの論争を再び繰り広げていると、地響きにも似た振動を肌で感じる。

土砂崩れか何かの前兆かとどこかに避難したほうがいいかと少女が右往左往していると五条が飄々と少女を迎えに来た。

 

少女が通された会議室は人で埋まっていた。俗にいうお誕生日席に座らされた少女は次々に飛んでくる質問に答える。

 

「話し戻して悪いけど、そのゲームに参加してる人、返してもらうことはできる?」

 

「んー、エンティティ様できる?」

 

影から今度は恐る恐る出てきた脚は少女に向かって何かを相談するかのような動きをし、少女はそれをふんふんと聞いている。

 

「ちょうど困ってたから返すって。皆ちょっと端に寄った方がいいよ」

 

その声と同時に少女の影から何人もの人が吐き出される。どの者も行方不明になったときと服装が変わらない。人によっては泥やら血に塗れているが生きている。始めは職員たちも歓喜の声をあげていた。出てきた者のなかには指名手配の呪詛師やら、禪院家、加茂家の行方不明者がいたからだ。しかし順々に吐き出される人の山をみて困惑する。高専が把握していた数を軽く超えているのだ。高専の職員に吐き出された人々の対応を任せ、少女たちは別の部屋に移動することにした。その話し合いには少女と夜蛾、五条、夏油、なぜか伏黒も加わった。

 

「そのエンティティ様?と君でなにか契約結んだ?」

 

五条の眼には少女と影にいる何か(・・)を結ぶ線が見えていた。それは簡単に切ることはできないほどしっかりとしたものだった。

 

「契約かぁ…お願いならしたけど」

 

「お願い?」

 

「一人っ子で、近所に同じ年代の子もいなかったから、一緒におやつ食べてくれるひとが欲しいって昔、神社でお願いした」

 

「…そんなのであんなの来るわけないでしょ。具体的には?」

 

「一生のお願いだからって言ったはず」

 

「自らの一生を代償にした契約か…」

 

「そのお願いしてすぐ現れたのがエンティティ様でね。エンティティ様も丁度その時手伝ってくれる人を探してたみたい。時々いるグロいのがご飯だっていうから、毎日それを訪ねて三千里してた」

 

「毎日…1年で365体の呪霊を祓っていたのか」

 

「違う、1日2回、朝晩。あとは休みの日はほとんど半日使ってるからその倍はいると思う」

 

「……ひとまず呪霊の件は置いておいて、なんで人間を捕まえてゲームに参加させてんの?必要なくない?」

 

「エンティティ様曰く、養殖ものより天然ものの方が味は良いけど、日によって取れ高に差があるから、コンスタントに獲れる養殖も疎かにしないほうがいいらしい」

 

「急に鮮魚の話するのやめてくれる?」

 

五条は気が抜けたのか椅子の背に凭れかかった。

 

「その言い方だとゲームに参加した人たちから負の感情を集めているってことかな。……ちょっと待って、術師は非術師と違って負の感情を呪力として溜めているから出さないはずだけど、その場合はどうしてるの?」

 

夏油の素朴な質問に影から伸びる脚が指揮棒のように滑らかに動く。

 

「直接吸い取るから問題ないみたい」

 

「…直接?…あと、ゲームに参加させる人をどうやって選んでいるんだい」

 

「基本的に私が決めていいってエンティティ様から言われてる。あとはキラーが気に入ったらOK。私の基準としては悪い人ならゲームに参加で、それ以外の人はスルー。悪い人なら急にいなくなっても困る人少ないし」

 

「悪い人なら消えてOKってそっちも結構ぶっ飛んでるけど大丈夫?」

 

「そう言えば、透明の帳…バリアーみたいなの張ってたよね。それもそのモノの力なのかい」

 

そう言って夏油は脚を見る。

 

「バリアーじゃなくて「囲い」に近いかも。本当はゲームで使ってるものなんだけど、グロいのとか悪い人を見つけてもそのままだとすぐに逃げられるから、そうならないように囲ってもらってる」

 

「人を解放する前、「困ってる」って言っていたよね、なにか問題でもあるのかい?」

 

「やってもらうゲームってね、他の人たちと協力する必要があるんだけどそのジュジュツシ?っていう人たちは皆、他の人たちを手伝うどころか1人でキラーに向かってくるからキラーたちからすると鬱陶しいみたい」

 

「そのキラー?が術師に殺されることってないの」

 

「それは絶対ない。そういうルールだから」

 

 

話が一段落したところで、上層部の判断を仰ぐため夜蛾たちが退室する。念の為、少女に部屋から出ないでくれと伝える。扉には鍵をかけ外には高専の職員を置き、伏黒に見張るように指示を出した。

 

上層部会議は緊急時は遠隔での参加が認められている。いつもの陰気くさい雰囲気の空間に机に載せられたスピーカーが何台も並ぶ様は、一見滑稽にも思えた。

新宿と高専への襲撃の被害状況、高専の蔵から盗まれた呪物についても報告を済ませ、本題ともいえる少女についての話に移った。行方不明者が全員発見されたこと。少女とは意思疎通が可能であることを報告するが、上層部はそれぞれの思惑と計略のために動く。

 

しきりに死刑だと叫ぶ声。何故もっと早く捕まえられなかったのかという怒号。上層部はスピーカー越しに威勢を誇示する。初潮が済んでいるならば、試しに子を何人か産ませた後に死刑にしてはどうかという意見も飛びはじめ、夏油は眉を顰めた。どう擁護しようとも最終的に死刑という判断は覆りそうにはなかった。

 

 

 

「―――私、死刑?」

 

いるはずのない少女の声が届きその場が水を打ったように沈黙する。

 

「……死刑が決まりそうなのに随分落ち着いてるね」

 

「うーん、…例えば、初めて旅行に行った場所で、急にその村の会議に参加させられて、村八分とか死刑って言われたらどうする?」

 

「めっちゃむかつく」

 

「それとおんなじ気持ち」

 

なるほどと夏油は少女と五条の会話を聞いてひとりごちた。呪術師が震えあがる上層部の決定も少女にとってはどこかの田舎の老人たちが勝手に決めたローカルルールのようにしか感じていない。

実際そうだろう、裁判官も弁護人も不在の一方的な通達だ。少女にとって「死刑」という言葉は厳格で公平な裁判官によって下されるものであり、こんな品の無い年寄りが言う「死刑」は、小学生たちがふざけて口にする「死刑」と同レベルの、一切の効力を持たない言葉としか見ていないのだ。

 

「……部屋から出ないよう言ったはずだが」

 

夜蛾が少女に言う。

 

「急にエンティティ様がすごくイライラしはじめたから、ちょっと気分転換しに建物見学したくって。一応見てもいいか聞こうと思ったんだけど…

―――原因がわかったからもういいや」

 

少女の物言いに苛立ったのかスピーカーを通して馬鹿にするのもいい加減にしろと、来れるものなら来てみろと、誰かが怒鳴った。

 

「あーあ、こんなことならフラペチーノ我慢すればよかったなぁ。買いたいものあるから途中で寄ってくれる?」

 

影に波紋ができた。それを確認した後、少女はスピーカーに向かって告げる。

 

「――じゃあ、今からそっち行くね」

 

五条と夏油はスピーカーから流れる阿鼻叫喚をBGMに茶をしばきだし、夜蛾は状況を確認のために電話を掛けまくっている。術式の条件が合えば五条は瞬間的に移動が可能だ。そのため夜蛾に早く上層部を助けに行けと急かされているが、聞く耳を持たず椅子の背にだらしなく身体を預けている。

 

「なんか今日下痢っぽいからパス」

 

「悟が吸ってたホイップクリームスプレー、賞味期限2年前だったよ」

 

「それ食べてる時に言ってくれない?」

 

「お前たち…」

 

一向に動こうとしない連中に夜蛾が怒るが効果はない。

 

「僕、あの子たちと“縛り”設けちゃったから今日は戦えないし」

 

初め、左端のスピーカーから上がっていた悲鳴や絶叫は、1つずつ横にずれていき、もう3分の1は完全に音を発さなくなった。残りのスピーカーからは術師と武器を集めろという命令や指示が漏れ聴こえている。

 

「それに上層部が言うようにあの子を死刑にしたら何が起こるかいくら最強の僕でも予測できないよ。そんなに言うなら戦ってもいいけど学長、作れる?」

 

「…何をだ」

 

「こんな時に僕がピザ作ってなんていうと思う?

――――方舟だよ。旧約聖書の「創世記」に登場するノアの方舟。

それも78億人が何年も暮らせるくらいドデカいやつ。肉弾戦になったときのこと考えて、僕の術式にも耐えれるような頑丈な作りにしといてね。あー、でも大洪水ならまだしも疫病とかだったらどうしよっかなー」

 

「……なぜそんなものが必要なんだ」

 

「世界を造るもの。生死を司るもの。そしてそれらを自由にできるもの。そのもののことを人は神と呼んできた。見た感じ、あの子の影にいるのは呪霊じゃなくてそっち(・・・)なんだよね。僕だけが生き残るだけでいいならいつでもできるけど、皆を守りながら戦うってなると流石の僕でも骨が折れる」

「……」

 

「幸い、聞く耳は持ってるみたいだし、そのままでもいいんじゃない?まぁ、誰かさんたちみたいに怒らせなければ、の話だけど」

 

五条は沈黙し続けているスピーカーの方にちらりと視線を遣った。

 

「しかし上層部が全員いなくなるなど大問題だ。他の者にどう説明する」

 

「別にいいんじゃない?訊かれたら痔が悪化して緊急入院したとか集団ヒステリーを起こして倒れたとか適当に言っておいたら?どうせ上層部の腰巾着どもが取り繕うでしょ」

 

五条の言葉をたっぷり時間を使い飲み込み終えた夜蛾は大きく溜め息を吐く。しかしそれが了承の意を含んだ夜蛾の回答であることは会話を聞いていた夏油にも理解できた。

 

40分ほど過ぎた頃少女は戻ってきた。手にはいくつものナイロン袋を提げている。片手に持つ梅ヶ枝餅は既に齧られており、豚まんのいい匂いが会議室に漂った。

 

「思ってたより並んでて時間掛かっちゃった」

 

そう言うとテーブルの上のスピーカーを床に下ろし袋の中身を広げ、空いていた椅子に座る。どうやら買ってきた全国各地のお菓子や名物を夜蛾たちにも分けてくれるようだ。夜蛾は固辞したが、五条と夏油は遠慮なく食べだした。公明正大な夏油が五条の悪乗りに付き合うのは珍しいが、散々上層部には鬱憤が溜まっており、祝杯なのかやけ食いなのかは不明だがお菓子を貪っている。

 

「そういや、君、まだ学生だよね。それじゃあ高専行き決定!学校は転校してね。おめでとー、就職活動しなくてもいいからラッキーじゃん」

 

牛乳パンを丸かじりしながら五条が言う。

 

「転校はいや」

 

「なんで?」

 

「友達と旅行計画してるから」

 

「呪術師ならエブリデイ旅行だよ」

 

「それに将来キャビンアテンダントになりたいしなぁ。いろんな国のおいしいもの食べたいから」

 

「呪術師も海外任務あるから海外には行けるよ」

 

「…それより、上層部の方たちを返してもらえないか」

 

夜蛾が難しいとはわかりつつも少女に聞くと五条たちからブーイングが挙がった。

 

「エンティティ様がすっごく怒ってるから無理」

 

そう口にする少女に夜蛾はいつごろ返してくれるのか訊ねる。少女の影から脚が伸び何かを少女に訴える。

 

「たとえ手順通りちゃんとゴールしたとしても向こう30年は出すつもりはないって」

 

少女の影から伸びる脚は滑らかに動く。一瞬それが動きを止めたかと思うと、影から1人吐き出された。出てきた者は蹲り咳き込んでいる。

 

「その人、中と外が違うからいらないって」

 

「中と外が違う…?」

その男は上層部の1人だ。額には一直線に切創が走っており、それを糸で押さえている。

 

「さっき出した中に、おばあちゃんいたでしょ?」

 

「――呪詛師のオガミ婆のことか」

 

「あの人、最初見た時、若い女の人だったんだけど、急におばあちゃんになってみんなびっくり仰天!その時と似てるらしい」

 

「オガミ婆は降霊術式を持ってたはずだが…」

 

「後で調べとくよ」

五条はその男を縛り上げ端に転がした。

 

「とりあえず呪術師として登録しない?そのままだと呪詛師だと思われるよ」

 

「登録とか面倒だし、そのジュソシ?でいいや」

 

少女は呪術師も呪詛師もなにかの職業名だと思っている。

 

「呪詛師になると僕らに捕まっちゃうけどいいの?」

 

「――ホントにできる?今まで捕まったことないけど」

 

剣呑とした雰囲気になりかけ、慌てて夏油が言う。

 

「呪術師になったらいいことあるよ、交通費は掛からないし、あとは…お金稼げるよ」

 

「移動はエンティティ様にお願いしてるし、ちゃんと手に職つけたいから別にいいや。晩御飯の時間だからもう帰っていい?」

 

「……これが噂のさとり世代か」

 

夜蛾が頭を抱えた。

 

妥協案として少女から夜蛾に日報を報告することになった。アドレスを教えたためメールで送られてくるならばそこから少女の居場所を見つけることができないか夜蛾は考えていたが、切手の貼られていない手紙が高専の郵便受けに投函されていて困惑する。

 

 

 

「 12月25日晴れ

 

エンティティ様とクリスマスケーキ食べた!

サンタの砂糖菓子のおしりについた生クリームとスポンジがしっとりしてて一番おいしい気がする。

 

長崎ならあったかいかと思って連れてきてもらったけど気温がそこまで変わらなくてびっくり。

長崎ってシースケーキっていうケーキが有名らしい。苺の代わりに桃とパインが載ってて、スポンジの間はカスタードクリームが入ってる。スポンジがカステラみたいでおいしい。

角煮まんは角煮がとろとろで白い皮が角煮の肉汁をすってて最高! 

ハトシロールっていうえびのすり身を食パンにはさんで揚げたやつ食べたかったんだけど行ったらお店が休みだった。

 

エンティティ様の晩ご飯はよくわからないぼろぼろの建物のところにいった。水族館って書いてた気がする。朝ご飯は寝ぼけててどこに行ったか忘れた。草。」

 

 

「めっちゃ食ってんじゃん、ウケる」

高専内の会議で少女から届いた日報が共有されると五条は腹を抱えて笑い、夜蛾は呪霊がいた場所を調べるよう職員に指示を出した。

毎日少女から送られてくる日報の影響か、高専の呪術師の間でご当地グルメが流行ることになるとはこの時誰も予想していなかった。

 

 

 

 

 

ご飯を食べた時間はどうしてこんなに眠気を誘うのだろうか。連休明けの休みボケした思考はとろりと融解する。まだ冬と言っていい時期だが窓から優しく差し込む日の光で背中が温かく前の席に座る友人もこっくりこっくりと舟をこいでいる。

 

「……案外近いんだけどなぁ」

 

そう心の中で呟きながらノートの端に[I am Simo Häyhä.]と小さく落書きをした。

 

「おーい、早島 (はやしま )!小テスト取りに来ーい」

 

「っ!はーい」

 

教師に呼ばれ、慌てて席を立つ。少女は赤ペンで書かれた点数に慄き、プリントの右端を三角に折り曲げた。点数を見たのか影から脚が少女に合図を送ってくる。今夜は付きっきりで勉強させられることになるだろう。少女はしょっぱい顔を隠さなかった。

 

 

 

 

エンティティはその自我が芽生えたときには既にそのような存在であった。エンティティという名も人間がいつの間にかそう呼び、崇めだしたため好きなようにさせている。

神に赦しを請うたのと同じ口でエンティティに内に秘めた欲望を叶えてくれと請う。140人の子供と200頭のリャマを生贄にささげた者も、実の子の心臓を差し出してきた者もいる。エンティティはその願いを叶えた。ある者は巨万の富を、またある者は名声を望んだ。人間の欲望は際限がなく、1つ叶えるとまた別の欲望を満たそうとする。

 

人間の願いを叶えることに辟易した頃、エンティティはある世界を作った。そこはエンティティのためだけの世界だ。その世界での人間のあらゆる感情がエンティティの糧となった。

その世界を作り上げるためにエンティティはあらゆる世界から発狂した者や復讐心を抱く者などを集めた。世界が異なれば常識も文化も異なるためそれらを集めるのも一苦労だ。

エンティティはその世界で凡庸な人間を探し、望みを叶えてやるのと引き換えにその世界での指標を得た。不思議なことに指標となった人間のほとんどはエンティティが作った霧の世界を見せると命を絶った。

 

エンティティがそれを見つけたのは偶然だった。

次の世界を選んでいる時にある世界から細い糸のようなものが出ていることに気が付いた。糸の先にはなにも付けられておらず、何となく興味を抱き、その糸を辿った。

それは幼い人間から伸びている。その人間は木箱の前で手を合わせている。それが祈りの一種であることはエンティティにもわかった。人間が祈りを終え顔を上げると糸は消える。立ち去るのかと観察しているとその人間はその場に座り込み、背負っていた袋から黄色く丸い果実を取り出すと皮を剥いて食べだした。少し食べた後、人間は慌てて残りの果実を半分に割り、片方を木箱の前に置くと、もう片方をおいしそうに再び食べだした。偶然かと思ったが、その次の日もそのまた次の日も、飽きもせず何かを持ってきては半分に分け、片方を木箱の前に、もう片方を至福とばかりに食べている。子供が何をしているのかわかったのは3か月ほど経った頃だった。

 

「かみさま、あんまりわがままもいわないようにするし、けんかもしないようにするので、おねえちゃんをください」

 

エンティティが観察しだして初めて子供が願い事を口にした。子供は更に続ける。

 

「できればあんぱんまんみたいにつよくて、やさしいおねえちゃんがいいな。かみさまにあげてたみたいにおやつもはんぶんこするし、いっしょうのおねがいです」

 

エンティティは子供が祈っている間だけ現れる糸に触れた。その糸はエンティティに緩く結び付く。エンティティとしては指標となる人間を得ることができ渡りに船だった。間違っても子供が半分にして木箱の前に置いているものの味が気になっているわけではない。子供の影から姿を現してやると、子供は飛びのいた。時間を掛けて敵ではないことをわからせると子供は喜び、その日の食べ物の半分を渡してきた。エンティティはたまごボーロを初めて食べた。

 

子供を観察していて分かったことだったが、この世界は人間の感情が集まると異形となり、人間を襲うようだった。地道に人間の感情を集めているエンティティとしては僥倖だった。子供にはその異形の姿が見えるようで、子供に向かってきたそれを食べるエンティティを怖がりもせず、反対に感謝の意を伝えてきた。

気まぐれにエンティティの造った霧の世界を見せても子供の反応は変わらなかった。それどころかここなら騒音問題にならないとリコーダーの練習をする始末だ。

 

 

 

エンティティが懐古していると少女が小声で呼んでいることに気が付き、影から脚を出した。

 

「エンティティ様、…これの答えわかる?」

 

エンティティが黒板を見ると数学の小テストの時間のようだ。確かこのテストで不合格になると追加の宿題が出されるはずだ。そのせいか少女だけでなく、他の生徒も懸命に問題を解いている。いくつもの世界を見てきたエンティティには当たり前にわかる問題だが、答えを教えてしまっては少女のためにならない。脚でバツ印を作り影に引っ込んだ。引っ込む前に見た少女は悲愴な面持ちで、影の中でエンティティはひとりその表情を思い出し笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 




とりあえずここで一旦完結です。
番外編にするか第2部として書き出すかはまだ決めていないのですが、その後の状況や残りの都道府県のおいしいものなどをぼちぼちご紹介していければと思います。

映画「キャビン」の最後のフェスが大好物で、最後の20分程をリピート再生している時、DBDのキラーたちにもフェスさせてみたいなと思い立ち、現実味と時間軸をはっきりさせておいた方が良いだろうと呪術廻戦をぶち込んで書き始めた話だったりします。
投稿当初、最後はさようなら人類 or 滅びよ人類ルートを予定していたんですが、まさか生かすルートに舵を切ることになるとは…

途中、呪術のキャラばかり処すのもなぁと思い、第8話の逃がし屋、第9話の鈍亀、第16話の呪術師、第18話の警備員、第20話の大学生、第23話の会社員、第24話覚と、呪術界ならありそうな問題から実際に現実でも起こりうる話(裏テーマ:「まさかの時の友こそ真の友」、「捨てる神あれば拾う神あり」、「朱に交われば赤くなる」、「一枚の紙にも裏表」、「うまい話には裏がある」、「言わぬことは聞こえぬ」、「泳ぎ上手は川で死ぬ」)に移り、呪術のキャラが登場しない話になってしまったときには書き直そうかと最後まで悩んでいましたが案外ご好評で安心しました。

DBD×呪術だとスプラッタで胸焼けすること必須なので、少しでも中和できればとおいしかったものを出来心で紹介していたのですが、清涼剤となったようで何よりです。どうせ紹介するなら実際に食べておいしかったものをおすすめしたいなあと思った結果、楽天とAmazonが荒ぶりました。さようなら諭吉。

子どものお小遣い(基本200円、高くても500円以内)で買えるものしかご紹介できないので書いていて一種の罰ゲームか?勉強になるなぁと思っていましたが、何とかなってよかった…

因みに、サバイバー側として参加することになった者(一般人・呪術師問わず)に対してゲームの説明は一切ありません。エンティティ様にもぐもぐされた後すぐにゲーム開始です(何回かキラーに殺されたら嫌でも理解できるやろ&習うより慣れろという体育会系マインド)。パパ黒はあの時だけは幸運EXでした。

さて、ここまでお読み頂き誠にありがとうございました!
皆様の温かいコメントはすべて拝見しております。そのおかげで完結できたといっても過言ではございません。ひとまず1作品でもひと段落できたのでほっとしました。今日は祝杯でも挙げようかと思います。



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