エンティティ様といく!   作:あれなん

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〖12〗土潤溽暑

 

「――――不届き者め」

 

 

少女は激怒した。必ず、かの邪智暴虐のこの男を除かなければならぬと決意した。少女には男女の駆け引きはわからぬ。少女は村の一般人である。全国各地の名物を食べたり、観光をして遊んで暮して来た。けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。

 

 

その数時間前、少女は鳥取県一の大飛瀑と名高い雨滝(あめだき)を見ていた。

 

「…これぞマイナスイオン!」

 

断崖絶壁から落ちる水は絹糸のように眩く、岩に当たると砕け散る。そうして目に見えないほどの珠となり陽の光を跳ね返す。滝に近づくほど珠の粒は大きくなるが、不思議と気持ちは晴れやかで服が濡れるのも気にせず滝の傍まで近づいた。大量の水が滝壺に叩きつけられた時の轟々という音と振動はビリリと足先から指先まで伝播していく。しっとりと水気を含んだ空気は遠くの木々にも降り注ぎ、葉を揺らすことなく触れると忽ち温度を奪ってどこかに消える。アスファルトの上で陽炎が揺らめくほどの暑さに、少女たちは涼を求めて鳥取に来ていた。

 

雨滝は落差40m幅4mを誇る。水は清く、昭和60年には鳥取県から「因伯の名水」に指定された。周囲にはこの水を使った豆腐店もあり連日盛況だ。修験道の行場として使われていたらしく、その名残として今でも不動明王像が祀られている。雨滝のある雨滝渓谷には他にも大小48の滝が存在し足場が悪い所もあるが、時間と体力があるなら見て回っても楽しいかもしれない。雨滝の前には少しスペースがあり、川遊びや弁当を広げて昼食を取ったりと皆思い思いに楽しんでいる。水音に耳を傾けながら休憩するのもオツだろうと少女も腰を下ろし、ごそごそと買ってきた物をリュックから取り出す。

 

取り出した包み紙には大きくおたふくの顔が描かれていた。ふろしきまんじゅうという名の商品で少し平たい茶色のおまんじゅうだ。地元の人にはおたふくまんじゅうとも呼ばれているらしい。賞味期限は2日と短いが売店を訪れる者が皆、それを手に取っておりそんなに人気なのかと少女も手に取った。

まんじゅうは掌に載るほど大きさで表面は艶々としてる。大きくかぶりつく。皮はふかふかもっちりとした蒸しパンのようで、使われている黒糖がふんわりと香る。中のこしあんはまろやかな甘味ですっと口の中で解けていく。今食べているもので終わりにしようと考えていても思わず手が伸びてしまう。エンティティ様と競うように食べた。素朴だが上品さがあるその味にどこかほっとした。

 

実はもう1つ売店で購入した御菓子がある。マイフライという菓子パンだ。見た目は四角く茶色い。フライと付くように油で揚げられているが、ただの揚げパンではない。パンとパンの間にこしあんがサンドされている。これこそまさにカロリーの暴力。罪の味といっても過言ではないがうまいものはうまい。我慢して後悔するより、食べてマップを何周か走るほうがいいというのが少女の持論だった。見た目だけでもずっしりとお腹に溜まることは想定できた。ふろしきまんじゅうをさっき食べたところだ。今マイフライを食べるのは少々無謀かもしれない。そう思い、マイフライをリュックに仕舞い直した。

 

 

 

 

テレビやラジオ、新聞が普及し、一定の情報が全国各地に時間を置かずに届くようになってから呪術界は少し変化した。

”口裂け女”と言えば誰でも想像するものは似通っている。一説ではルーツは古く、1754年の美濃国といわれており、その時にはよくある妖怪伝説の1つでしかなかった。しかし1979年に新聞や週刊誌で取り上げられると爆発的に流行し、その結果、集団下校や警察が出動する事態にまで発展する。マスクに長い髪、両耳近くまで半円を描くように存在する口。その口が紡ぐ言葉は想像がつくだろう。全国の人々が集団ヒステリーを起こし、”それ”に怯えたため、それは形を成し呪霊となった。

その他にも学校の7不思議ではトイレの花子さん、動く二宮金次郎像に音楽室に響くピアノの音色。7不思議はどこも似たり寄ったりだ。二宮金次郎もまさか死後、自身が子供たちの恐怖の対象になるとは思いもしなかっただろう。

 

各地に残されている妖怪伝説には土地の特性を汲んだものが多く、海が近ければ恐怖の対象は海から来、山が近ければ山から”それ”はやってきた。それらは親から子に、子から孫にと脈々と受け継がれ、何十年何百年と語られているものもある。

少子高齢化の影響を受け、過疎化が進み市町村の統合や交通の便によって廃村となった場所は多い。文献に残されているならラッキーで、ほとんどが口承のため資料などは無いに等しく、知ってそうな人を見つけても高齢で一筋縄ではいかない。それを一から調べていくことは大変だが、有難いことに高専には先達たちが地道に残してきた資料が数多く残されている。ここ数年、所蔵資料のデジタル化が推進されたこともあり、埃まみれになりながら資料を探す手間も減った。

 

高専の職員には情報の取扱を専門にする者たちがいる。インターネットやSNSが普及してから一気に大所帯となった部署だ。その部署は大きく2つに分けられており、職員の間では”情報収集部隊”と”火消し部隊”と呼ばれている。

 

情報収集部隊は昔の資料の保存や解析をしたり、各地から寄せられる依頼とその地の情報を取りまとめるほか、SNSやネットでの噂話などを収集・管理をしている。

一方、火消し部隊は非術師に撮られてしまった写真や動画、目撃情報を削除して回ったり、どこかの誰かが帳も降ろさず屋敷を消し飛ばしてしまった際にはガス爆発が発生したと世間の目を誤魔化すことに奔走している。

 

特に火消し部隊は多忙で、職員寮の自室に戻る暇すらない。少数精鋭とは聞こえがいいが、ただ身体を壊さず生き残れる者が少ないだけだ。椅子に座ったまま仮眠を取る者もいれば寝袋と枕を持ち込んで床で眠る猛者もいる。情報収集部隊の女性陣から「剣道部の部室みたいな臭いがするので入るのはちょっと…」と申し訳なさそうに言われ、慌てて寮の風呂に全員で突撃したのは確か半年ほど前のことだ。それ以降、水道で頭を洗ったりウェットティッシュで身体をこまめに拭いたりと”一応”以前よりずっと身だしなみには気を使っている。

総務部の職員が火消し部隊の部屋を覗き、その死屍累々とした光景に眉を顰めた。床に林のごとく乱立するエナジードリンクの空缶を倒さないよう慎重に歩みを進める。

 

「あのー、すみません、この階の給湯室とトイレの石鹸の減りが異様に早くって…情報収集部隊の人に聞いたところ先にここに話を聞きに行けって言われたんですけど」

 

火消し部隊のまとめ役である男のデスクでは男がbangと描かれた500ml缶を呷っている。

 

「えー、あー…すまん、俺らが頭洗ってるから」

 

「…えっ、レモン石鹸で洗ってるんですか!?」

 

「俺だけじゃなくてこの部屋にいる大半がそうだな。職員寮に帰る時間を惜しんでここで寝起きしてる奴もいる…経費で落ちるならシャンプーを買ってほしいんだが……できればトニックも…」

 

髪のボリュームがなくなってきたことを気にしているのかできるなら髪の栄養剤(トニック)も欲しいと男は小声で頼んできた。

 

「……とりあえず、総務部にここの給湯室とトイレは牛乳石鹸に変更するように伝えておきますので…」

 

せめてもの情けなのかレモン石鹸から牛乳石鹸に変えてくれるらしく、そのことに部屋中から歓声が上がる。

 

沸く室内に隣の部屋の情報収集部隊の者が顔を覗かせ告げた。

 

「すみませーん、夜蛾学長から至急依頼が来てます。この資料の名前のものに関しての情報を全て消去するようにとのことです。あと火消し部隊の人員補充依頼の稟議、却下で戻ってきてますよ」

 

沸いていた部屋が一気に消沈した。

 

 

 

 

 

 

 

フリーの呪術師は単独で任務に当たる者が多い。自身の術式を知られたくない、術式の都合上他者がいては邪魔になってしまう、あるいは他者とコミュニケーションを取るぐらいなら1人で行動したいなど理由は様々だが、任務を複数人で受けてしまうと自身の報酬が少なくなることを嫌がっている者も多い。その傾向は呪霊の発生数が減少してから更に強まった。

 

しかし高専はそれとは異なる方針を取っている。呪霊の発生が活発になっていない今現在、生徒の安全を第一に考え、最低でもツーマンセルで任務を受けるようにという指示が出された。そのためいくら上級術師になったとしても学生のうちは単独任務に当たることはそうない。それは特級呪術師である乙骨も同様だった。

乙骨は昨年のクリスマスイブに高専を襲撃した呪詛師や呪霊と戦い、その結果里香の解呪に成功している。元々呪霊の女王と言われていた里香ありきで特級呪術師の位を得ていたため、里香の解呪後4級呪術師からの再スタートとなった。しかし才能が花開き、恐るべきスピードで特級呪術師まで駆け上がった。

その日の任務は中級呪霊を祓うというもので、祓った後は鳥取砂丘に観光に行こうか、三朝温泉なんてどうだろうオフシーズンだから空いてるかも、と今回共に任務を受けている吉野と任務地を告げられた際に話し合っていた。

 

「そういえば、この前貸すって言ってたDVD貸せなくなった。ごめん」

 

乙骨と吉野は仲がいい。両者ともに五条の悪戯や無茶ぶりの餌食になることが多く、気質も合っていた。吉野の影響で乙骨も映画にハマり、今ではおすすめのDVDや本の貸し借りをしている。以前から仲はいい方だったが去年のクリスマスイブには呪霊や呪詛師相手に共闘し、更には鳥刺し事件で病院に運ばれた際には同室になり、のた打ち回りながらも励まし合い、結束を固くした。

 

「えっ、なにかあったの?」

 

羽田空港から鳥取砂丘コナン空港に飛んでいる飛行機の中で吉野から突然言われ、乙骨は驚く。因みに、鳥取には2つ空港がある。愛称は鳥取砂丘コナン空港と米子鬼太郎空港だがほとんどの者が鳥取空港と米子空港と呼んでいる。

 

「五条先生が僕の部屋のDVDをごっそり持っていったみたいで、今貸せるものが何にもないんだ…無事に返してくれると思う?」

 

「たぶん無理」

 

「だよね…」

 

五条が無断で持っていったDVDの中には限定盤も多い。五条と付き合いの長い美々子たちに訊いたところ、取り返すより五条家に請求書を回した方が早いと言われ困り果てていた。しかし金が戻ってきても、限定盤が再び手に入るかどうかはわからない。どうか無事であれと願うしかなかった。

 

任務として2人が派遣された場所はとある洋館だった。長年所有していた者が亡くなったが新たに相続した者は遠方に住んでおり手入れもできず、税金もかかるため館を手放した。しかし、購入希望者は現れず、草木は生い茂り鬱蒼とした雰囲気を醸し出し始める。その雰囲気から不穏な噂や根も葉もない作り話が出回り、気づいた頃には”窓”が館の中に呪霊が巣食っているのを発見するまでになった。

 

門から建物までは遠く、剪定もされていない木々が枝を伸ばし陽の光を遮る。ルネッサンス様式の外観には蔦が這い、どこか重い空気が停滞していた。2人は目で合図をし、入口の扉を開いた。

 

呪霊の気配は2階にあった。2階に進むにつれて空気はコールタールのようにどろりとした粘度を持つ。呪霊の気配が突然膨れ上がる。そのようなことが有り得るのかと乙骨は疑問を抱き警戒するがそれは一瞬のことで風船が破裂するようにぱちりと消えた。その代わりに先程のものとは別の禍々しい気配が残っている。

 

覚悟を決め、扉を開く。そこには見たことがある少女がいた。少女は屈み、床に落ちた棒のようなものを拾っている。少女は自身の影に棒を落とし、それは沈むように呑まれていく。残っていた禍々しい気配も同時に霧散して行った。

 

「……前、会った子だよね」

 

乙骨が構えを解き、刀をしまって少女に話しかける。因みに夜蛾学長から学生に対し、少女との交戦は避けるよう通達が出されていた。どちらかというと”発見次第即座に退避”というものではなく”できたら仲よくしておけよ”といったニュアンスを含んでおり、先日少女に遭遇したという真希からは食べ物で釣れば何とかなるというよくわからないアドバイスも受けていた。

乙骨としては数年前に少女に出会ったことによって良くも悪くも人生は変化した。静岡で五条たちに回収され、あれほど絶望していた他人とのつながりを持つことができ、遂には里香の解呪にも成功した。あの時の瓦礫の山と里香が放ったビームの輝きは今でもしっかりと記憶に残っている。

 

「…?」

 

一方少女は怪訝な顔をしており、不審者を見るような顔をしていた。

 

「えーっと、…確か、里香ちゃんと一緒にドレスがどうとかって話してた、と思ったんだけど…」

 

「……あー、……あの時の男の子か。あれ?リカちゃんは?」

 

周囲を見回す少女に乙骨は申し訳なさそうに言う。

 

「……もういないんだ。そもそも僕のせいだったんだけど…」

 

「――――不届き者め」

 

少女は先日偶然助けた女性の話をまだ引き摺っていた。浮気したとは乙骨は一言も言っていないがここ数日そのことで悶々としていた少女には”僕のせい”という一言で十分だった。そんな酷い奴がこの世に存在するのかと女性の話を半信半疑で聴いていたが、まさか知り合いにそんな奴がいたとは、と乙骨を睨み付ける。余談だが、少女の好きなテレビ番組は暴れん坊将軍だ。

 

「えっ」

 

「リカちゃんという婚約者がいながら、浮気とはいい度胸だ……」

 

地獄の底から這い上がってきたような声だ。突然怒りを見せた少女に乙骨に続けて挨拶しようとしていた吉野は呆気にとられた。

 

「いやいやいやいやちょっと待って!」

「浮気者許すまじ……」

 

少女の影から現れた者は2人に飛び掛かる。日頃血も涙もない体術教師に鍛えられているおかげで、あわやというところではあったが避けることができた。恐る恐る振り返った2人の目にはぽっかりと大きく口を開けた壁が映る。

 

「…あの、えっと、たぶん誤解が!……嘘……」

 

そう言って向き直った乙骨の視界に少女の姿は映らなかった。周囲を見渡せど煙のように消えている。割れた破片を踏みしめる音と、憤激の雄叫びだけが2人の背後から聴こえた。

 

「…一旦退こう」

 

吉野の言葉に弾かれるように乙骨も駆け出す。

 

「どうするべき!?僕浮気なんてしてない!」

 

「一発焼き土下座とか…」

 

「焼くの!?保管庫に鉄板あったけど持ってきてないよ!?」

 

任務においては冷静沈着と評される乙骨でも無実の罪を背負うという不測の事態にはさすがに慌てるらしい。吉野にどうするべきか問うも、ほとんど役に立たない回答を得た。

 

「二手に分かれよう。僕が引き付けておくから誤解を早く解いてきて」

 

その間にも背後からは何かが2人を追ってきている。足音は重く、距離を取ったにも関わらずしっかりと2人の足跡を辿る。乙骨を見送り、吉野はその場で足を止めた。

少しでも乙骨と距離を取るべく、わざとそれの視界に映り引き付ける。恐竜に似たなにかは無事吉野の方についてきた。待ち構え物陰に身を潜めると、自身の式神を出す。

 

「――――澱月!」

 

吉野を探すそれにクラゲのような形の式神を対峙させる。先手必勝とばかりに自身の呪力から生み出した毒を式神に持たせ攻撃をしかけた。触手の先は鋭く、それに深々と突き刺さる。しかし効いている様子はなく、むしろ怒りに満ちた叫び声が上がった。毒が効いていないことに驚きながらも、触手で動きを封じようと試みる。それはもがきながら頭部を花のように開かせた。花弁のように見えるそれにはびっしりと歯が生え揃っている。その光景を目の当たりにした吉野はどこか感動していた。

 

「……えっ、…食べてる……」

 

ほっとしたのも束の間、それは巻き付く触手を食べはじめる。式神の強度は一番強くしているはずなのにスルメを齧るかのようにぶちりぶちりと噛み千切られ咀嚼されていく。

 

「…あの、…お腹、大丈夫…?」

 

手加減はしなかった。少女に奈良ドリームランドでの恩があるとはいえ、ここで死ぬわけにはいかない。並の呪霊であれば初撃の毒で疾うに動けなくなってるはずだ。ところが目の前のモノは動きを鈍らせるどころか自ら進んで摂取している。吉野も初めての経験だ。恐竜は巻き付いていた最後の触手を麺を啜るように食べ終えると、唖然としている吉野に向かって飛びかかった。

 

 

 

乙骨は館の中を駆けた。何かが壊れた音が聴こえてくる度、巻き込んでしまった吉野に心の中で謝罪を繰り返す。2階の客室、グランドピアノだけが置かれている部屋、子ども部屋に寝室。元所有者の趣味なのかロココ調、バロック調など部屋によって雰囲気が異なっており、こんな状況でなければ呪霊を祓った後、吉野と楽しく見学していただろう。開けた扉を閉める時間さえ惜しみながら探し回る。

2階にはいないとわかると階段を駆け下りた。エントランスに始まり食堂にキッチン、シガールームと、乙骨は館の中を走り回り、ようやくで書斎で白バラ牛乳と描かれた紙パックにストローを刺して啜っている少女を見つける。少女は肩で息をしている乙骨の姿を捉えると眉を吊り上げ、話すことはないとばかりに立ち上がり再び姿を消そうとする。

 

「―――僕!浮気!してない!」

 

見事なスタッカートで紡がれた叫びは室内によく響いた。まだ疑いの眼差しで乙骨を見ている少女は椅子に座り直す。少しは話を聞く気になってくれたようだ。少女に辛うじて座れそうな椅子を示され腰を下ろした。英検準2級の2次面接の時のように汗でしっとりとする両手を握りしめ膝の上に置く。

 

「…ええっとね、話せば長くなるんだけど…里香ちゃんはもともと僕のせいで呪霊になってたんだ」

 

ぽつりぽつりと話す乙骨の言葉を少女は黙って聞いていた。話し終えると場が完全に沈黙する。初めはつり上がっていた少女の眉は話を進めるにつれ角度を変え。今はなだらかな曲線を描いている。いや、むしろ”ハ”の字のように垂れ下がり気味かもしれない。乙骨は自身のインナーが背に張り付いているのを感じた。映画「ゴーン・ガール」のベンアフレックが演じる主人公はこんな気分だったのかもしれない。

 

「…………ということは私の勘違いだったってこと?」

 

少女の呟きにも似た言葉はよく聞こえた。思いきり頷くのもどうかと思い、ゆっくりと慎重に首を縦に振る。

 

「…………こちらは詫びの品です……」

 

烈火のごとく怒っていた先ほどとは一変して、少女は日に当たりすぎて萎れた草花のように元気がない。更にはしずしずと自身のリュックからマイフライと描かれた菓子パンを差し出してきた。相変わらず館中に響く破壊音に気が付き、慌ててあの恐竜を止めてくれと頼む。それに少女は頷き、”もう帰るよー”と大きな声を出す。公園で友人に告げるような呑気さに乙骨は脱力した。

 

 

 

 




【補足説明】

コラボキャラクターのピッグ、カニバル、シェイプ、ナイトメア、デモゴルゴン、三角様の原作映画・ゲームは呪術世界に存在していません。(第1章18話の警備員の”ジュラシックパーク”発言もそのため)
しかし、ゴーストフェイスのみ原作映画が呪術世界に存在しています(吉野はその映画を見ていました)。

原作映画の有無の基準としてはDBD公式が出しているキラーの背景ストーリーに原作映画の設定を採用しているかいないかです。
(ゴーストフェイスについては原作映画とではなく、コスチュームメーカー「Fun World」とのコラボで実現したキラーであり、背景ストーリーも原作映画の設定と異なっているため、呪術世界に原作映画が存在しております)
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