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「金が欲しい。さもなくば、眠りながらの自然死!」
太宰治『斜陽』より
「正義もお金次第だということはみんなもよくしってることです。」
ルーシー(スヌーピー)より
家を買うとき、人は何を考えるだろう。
地盤沈下しない土地、空き巣が来ないような治安、子供がいるならその学区の偏差値かもしれない。しかしその前には「
この場合、金は人の欲望を制限する装置となる。
そもそも現代社会で人間が恐れるものはなんだろうか。
火事や洪水?いや違う。勿論人間誰しもがそれに直面すれば恐れ、死にたくないと思う。しかし、この現代ではリスクマネジメントやらなんやらで危険度は数値で目視できるようになり、そんな危険地帯に人が住むことは少ない。決して天災はなくなることはないが、それに対する人々の恐怖も信仰も薄らいでいる。
この世で圧倒的に信仰を得ているものは神だろうか。宗教も多様化しており、カトリック、プロテスタント、神道に仏教など人によって信じるものは様々だ。最近では神を信じず、科学を信じるものもいる。
その宗教に違いが有れど、必ずYesの答えが返ってくる問いがある。
「お金いります?」
金欠で今日の食事にも困っているような人なら飛びつくだろうし、金に困っていなくとも老後のための貯金額を増やすためにもらっておこうかと考える人もいる。宗教家はNoと表面上は言うだろうが、霞を食って生きているわけではないし、建物の維持費やら地味に金は掛かる。あの金メッキで覆われた仏像だってタダで作られたものではないのだ。
標準的なサラリーマンでも、毎月会社から振り込まれる数字に一喜一憂し、ボーナス額や基本給の賃上げの恩恵を受けるとととりあえずお礼を述べている。
金の起源は物々交換であるという通説がある。
米や塩で交換をしていたものが、いつしか紙と銅やアルミやらに変わっていった。紙と銅自体には価値はない。しかし、各国政府の信用と法律でお墨付きを得て集団心理で価値が生まれている。
それも時代と場所によって変わり、今では数字の羅列になった。
しかし昔から人々が口にする言葉は変わらない。
「あー、お金欲しい!」
虎杖は自分の中にいる呪霊がここ最近不機嫌なことに気が付いていた。生得領域では八つ当たりとばかりに粉々にされるし、散々だ。
今日も呪霊はご機嫌斜めなようでだんだんと虎杖は面倒になってきた。任務があるわけではない今日のような日は教室で3人と寂しい人数で授業を受ける。
「おっはよー!みんな元気ー?」
いつものように五条が教室に入ってきた。
「おい呪術師、俺の指の近くにある箱を移動させろ!五月蠅くてたまらん」
虎杖の頬に現れた口が五条に怒鳴った。
「宿儺の指の隣?…あぁ、保管庫のことか。横って何か置いてたっけ?」
「小童が詰まらんだのおもしろくないだの喚いておって、俺の所まで響いてくる!」
「へー指の近くで騒ぐと、響くなんてことあるんだ。でも保管室に子どもなんて…あっ」
五条は思い出したかのようにだんだんと声を窄めた。
五条はスマホを操作し、誰かに電話を掛けた。
「お
お金ちゃんという妙な名前に生徒全員が首を傾げた。
すぐに確認しに誰かが走ったようで返答があった。
「えーやっぱりいない?どこいったんだろ?傑か七海のところかもしれないから念のために確認しておいて」
「ざんねーーん!ここでーーす!」
教室にいっぱいに幼女の高い声が響いた。
虎杖たちが急いで後ろを振り返ると、豪奢で真っ赤な着物を纏ったおかっぱの幼女が仁王立ちになって立っている。
その気配すら感じなかった3人は警戒態勢に入った。
「もうお金ちゃん、急にいなくなるとみんな心配するんだけど」
「おきたのにだれもおらぬからそとにでただけだ!それにしてもななみもげとうもおらんとはつまらんではないか!」
幼女が発する言葉は些か古風だ。
「おい小童、お前のせいでおちおち寝れなかったではないか!」
宿儺が文句を言った。先ほど五条にいっていた子どもは目の前の幼女のことらしかった。
「われをこわっぱよばわりとはいいどきょうではないか」
眉を寄せ、幼女は腕組みをする。
「もーおふたりさんそこまでにしてくんない?」
止めたのは五条だった。
「お金ちゃん、その3人は新しく入った1年生だよ。仲良くしてね」
軽いノリで五条は3人を紹介した。
「おぉ、ことしのしんにゅうせいは3にんか!われはかねのかみである!あがめたてまつれ!きがるにおかねちゃんとよぶことをゆるそう!」
「この子はお金の神様兼呪霊ってところかな。宿儺よりずっと年上だよ。さっきまで保管庫で休んでたんだけど、目が覚めたみたいだね」
「お金の神様?そんなのいんの?」
虎杖が漏らした言葉に烈火のごとく幼女は怒った。