出ていったのは良いものの、目の前にいる人物が只者ではないオーラを放っているのは一目瞭然であった。喋り方然り刺青まで入っている。偏見と言われればそれまでなのだが何より一番はこちらをおぞましい形相で睨んでいることである。
「僕はイドラアルゲートと言います、どうか海軍に入れてはいただけないでしょうか?」
するとその人は口を開いた。
「いいか、海軍は一人一人が正義を背負っとるけぇどこぞの馬の骨かも分からんガキがいる場所じゃあないんじゃ!」
よく見ると彼の右手はドロドロとしたマグマに変化していた。正直怖かった、独りであるが故か尚のこと怖かったが家を出て、海軍に入ると決めた以上ここで引き下がるわけにもいかない。
「確かにそれは事実、しかし僕は親友を海賊に殺されました。だからこの海に蔓延る悪党共を、私欲のために人一人殺して平気な顔をしているゴミ共を叩き潰してやりたいのです。雑用からで構いません。僕はどんな海賊であろうと...許す気は断じてありません!」
何も海軍がかっこいいからとかそんなふざけた理由で声を掛けた訳ではない。海賊は何があろうと絶対に許さない。
「ちょっと君ご両親は?我々も仕事なんだ、邪魔しないで...」
「黙っちょれ、貴様中々に覚悟はあるようじゃのう。そうかお前も悪は根絶やしにすべきと考えちょるんか?」
「えぇ、生温い正義は、犠牲を生むだけです。情けも無用、相手は平和を脅かす言わば害虫。完全に排除しなければならないと考えています」
そう言うと彼は軽く微笑んで答えた。
「良いだろう、わしはサカズキ、海軍本部中将じゃ。アルゲートそこまでの覚悟があるなら海軍に必要な人材じゃあ、ただし無論最初は雑用からじゃ。ひとまずわしの船で本部まで行く、ついてこい」
その後サカズキ中将は俺を船に乗せ海軍本部まで連れて行ってくれた。見込みがあるからと本部へ入隊させてくれることになったのだ。何より嬉しかったのはサカズキ中将が雑用業務が終わった後稽古をつけてくれるらしいのだ。
とりあえずは今自分が持っている武器などを説明してその力を伸ばす方向で指導して貰えたら、と思っている。力を正義の為、海賊を抹殺していくために使いたい、と話すと徹底的な正義を掲げているサカズキ中将は「正義を貫くためには強さが必要だ」と言っていた。
本当にその通りだと納得したのと同時に感銘を受けた。どうやら俺は知らぬ間にサカズキ中将に尊敬の念を抱いていたようである。