海軍として道を行く   作:紅倉

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いよいよ海軍に入隊してからの話です。
いつもより若干長めです。加えてゼファーを登場させて良いのか(時系列的に)悩みましたが好きだったので出しちゃいました。


雑用業務と地獄の訓練

海軍に入隊してから最初の仕事。とはいっても最初は雑用、まぁそこまで気を張らなくてよいだろう。

これが普通の人間の考えだろう。しかし、俺は一刻も早く海賊を取り締まりたいし、昇格もしたい。そのうえで重要なのはこういう下っ端の役であっても手を抜かないこと。

「ここの廊下掃除しておきますね」

「えぇ、ちょっとさっきそこ頼んだでしょ...ちゃんと」

「いえ終わりました」

手は抜かない、きっちり掃除してある。

「ほ、本当だ。ぴかぴか、ごめん悪かったね。よろしく頼むよ」

「もちろんです!」

雑巾を使って一気に廊下を滑る。なかなか楽しいなこれは。海軍に入れてほんとによかった。

おっと窓が汚れてる。きれいにしておこう。

こんな調子で目の付く一通りの場所をきれいにした俺は次は先輩たちの手伝いをすることにした。

さすがに中将クラスの方々には会えないのでサカズキさんには会えなかったがそれでも新兵の皆様のお手伝いができ、「非常に助かる」と皆様が言ってくださったので伍長や軍曹の方の役に立つことができた。

「アルゲート悪い、この資料そこの棚にしまっといて」

「これ向こうの支部に届けといてくれ、ありがと」

正直きついこともあったが皆さんきちんと「ありがとう」と言ってくれるのでそこまで悪い気はしなかった。

仕事の手伝いをしていく中で面白かったのは、手配書を発行するとき先輩方がそこに乗っている人物がどんな悪行をしたのか教えてくれたことだ。

「今、政府がこのニコロビンっていう少女に高い懸賞金かけて探してんだってさ」

「あ、これサカズキ中将がこの前言ってたやつですね」

「え、サカズキさんに会ったことあんの?」

「はい、サカズキ中将に土下座して入れてもらったんです」

「そりゃあ大変だったな。あの人かなり厳しいことで有名なんだ。説得できたなんてすごいな」

そんな話をしていると、たまたまやってきた軍曹の方が、

「でも俺は君がここにきてくれてほんとにうれしいよ。近頃は海賊になりたい、なんていう若者も増えてるらしいからね。期待してるよ」

と言ってくださったのだ。褒められて叫びたかったがあくまで勤務中、飛び上がるのはやめておいた。

 

ただしかし、うれしいことばかりではない。

この世に馬が合わない人間などいくらでもいるが厄介なことにそれが俺とほぼ同じタイミングで入った雑用。セルダムという少年なのだがことあるごとに陰湿な嫌がらせをしてくるのだ。

初対面の時には「頑張ろう」と言ってくれていたのに全くわからないものだ。

せっかく掃除した廊下にバケツの汚れた水ぶっかけてみたり、先輩に頼まれた資料の上にコーヒーをかけて濡らしたり。彼のせいで怒られてしまった。

しまいには「先輩に媚び売って気に入られようなんてお前クズだな。安心しろ、俺がすぐ上に立ってこき使ってやるからな」とストレートに暴言を吐いてくる。

なら彼はどう接しているんだろうと観察してみれば、

「先輩あの、ここ昇格するといくらもらえるんですか?」

「調査で手に入れた悪魔の実僕に譲ってください。僕、絶対役に立てます」

なんてずいぶんくだらない、自己中心的な話をしている。

まぁあでも困ることではない。1つ手があるからね。

 

そんなことはさておき、雑用が終われば今度はサカズキさんからの特訓。勤務時間終了18:00から始まる。海軍には道場的な施設が用意されているのでそこで行うのである。

「まず今日から2週間は基礎体力作りじゃ。そんな体では戦闘ですぐに命を落とす。道場を100周した後、腹筋300回、さらに腕立て300回。これを2週間続ける。さっそく始めろ、わしはここでよく見とくけぇの」

異論は認められない、ヤバい、と感じつつも訓練を開始したわけである。

しかし道場の周囲1周の距離は相乗以上に長く、

「今何周ですか?」

「まだ20周じゃ、休憩など挟むな!正義を背負うなら当然じゃ」

非常に険しい道のりであったが何とか100周を終え、腹筋300回もクリア、最後の腕立て300回では体がボロボロだったが、サカズキ中将がわざわざ教えてくれているんだと自分をふるい立たせようやく達成したのである。

「なかなかじゃのう。これを息切れせずできるようにならにゃいかん。明日からも気を引き締めておけ」

「はい、はぁはぁ頑張ります。ありがとうございました」

「今日は雑用として頑張ってたようじゃのう、良い報告を多く聞けた。ただし油断は禁物すぐに追い抜かれてしまうけぇ、最善を尽くさにゃならんぞ」

「肝に銘じております。一刻も早く昇格できるよう精進いたします」

「まぁとはいえそこまで焦ることもない。おまえは立派な正義を秘めている。期待しちょるけぇの」

期待しているといわれると頑張れてしまうものだ。

「はいお気持ち感謝します」

「ところで、お前のとこにセルダムとかいうガキが入ってきたようじゃが特に変化はないか?」

待ってました、その一言。

「いやそれが...」

俺は彼がどういった行動をしていたのか洗いざらいサカズキさんに話した。

 

「ほぉう。ようわかった、話しておこう。海軍には相応しくないようじゃのう」

 

 

以前呼んだ小説に、主人公の少年が嫌がらせを受けていたのにそれを周囲に隠し、最終的に爆発して泣きながら話す、なんてのがあったが俺はそんなことはしない、即刻報告するねもちろん。情けは不要だ。

「サカズキ、今度はお前が指導者になったのか?」

「ゼファー先生...」

サカズキさんが敬語?

「おれはゼファー、遊撃隊を組織してる。そいつの育て親さ」

「そんな方だったとは...初めまして、この度海軍に入隊したイドラアルゲートです」

「何しに来たんですけぇ?」

「いやたまたまだ。それよりサカズキ、強い奴を拾ったな。王の資質があるぞ、やつには。きっと大きくなることだろう。あくまで老兵の見解だがな...」

「なんのお話ですか?」

「いや、さぁあもういいでしょうゼファー先生。さっさと戻っておくんない」

「あぁじゃあな、サカズキ、そしてアルゲート。必ず昇格し、ここまで来い!」

その人はそれだけ言うと去っていったのである。

何を話していたのかよくわからないが。

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