Fate/Grand Order 夢幻深層現界 ナイトメア 作:如月 刹那
はじめましての方ははじめまして。お久しぶりの方は何やってんだこいつと見ておられるでしょう。新規小説を書かせていただきました。
長話もあれなのでそう言ったことは後書きに回させて頂きます。
では、どうぞごゆっくりとお楽しみください。
あと文字数とペースを危惧した結果、今回であらすじまでいきません(小声)。
いつから彼方の夢を追いかけ続けているだろう。
確かに自分には叶えたい
何度も夢を見出して、何度もその果てを視た。
今となっては自分にも本当の願いは分からない。
———本当にそうか?ただ目を逸らしているだけなのかもしれない。自分の願いは
どちらにせよ、やることは変わらない。いや———逆に変えてみよう。
これが絶望の悪夢となるか、それとも希望の路となるか。
今、新たな夢の門が開かれた———。
「……また、変な夢をみたなぁ」
彷徨海、ノウム・カルデアの自室にて藤丸立香は溜息をつきながら、ベッドから上体を起こす。夢の内容自体はよく覚えていないが、ここまで夢関連で問題ごとが起きるのも自分くらいだろう。
夢自体は不気味なものではないと認識しているが、最近、同じような夢をよく見る。医療班やネモ・ナースに相談したものの特にバイタルに異常はないとのことだった。
「フォウフォーウ!」
そんな物思いに耽っている立香の耳にフォウの鳴き声が届く。どうやら自室の外からのようだ。時計を確認すると、朝食には丁度いい時間を指し示している。
「よし!頭を切り替えて、今日も一日張り切っていかないと!」
キリシュタリアとの戦いを終え、次の異聞帯攻略もいつ来るかは分からない。キャスター・リンボが何かを仕掛けて来る可能性もある。
立香は食堂へ向かうべく、自室のドアを開いた。そこにはフォウと立香の後輩であるマシュ・キリエライトが立っていた。
「あ、おはようございます、先輩!」
「フフォーウ!」
「おはよう、マシュ、フォウくん」
マシュとフォウに挨拶を交わす。マシュの要件は恐らく立香が思っている事と同じだろう。普段はフォウくんが先回りして来たりするのだが、どうやら今日はタイミングは同じだったようだ。
「一緒に朝食を食べようと思って起こしに来たのですが、グッドタイミングでしたね」
「確かに丁度良かったね。フォウくんは俺を起こしに来なかったんだね」
「……フォーウ」
普段とは違う唸り声をフォウくんがあげる。こんな声を出すのはマーリン関連のはずだが、今日はまだあのグランドろくでなしとは夢の中でも出会っていない。
「あら?先を越されちゃったわね」
マシュの後方、廊下の奥から声がかけられる。そこにはこちらに向かってくる、白熊を連れた少女がいた。サーヴァント、アルターエゴ・シトナイ。その内に三柱の神霊を宿すハイ・サーヴァントであり、北欧の異聞帯で出会った擬似サーヴァントでもある。
最も彼女自身にその記憶もなく、契約したのももっと後のことだが、異聞帯の記録には目を通しているみたいだ。
「おはよう、シトナ——」
「あら、マスター?言ったこと忘れちゃったの?」
冷気を放つようなジト目でシトナイが睨んでくる。顔を膨れっ面にして不満を露わにしてきた。
「ごめんごめん。おはよう、イリヤ」
「おはようございます、イリヤさん」
「ん、よろしい。2人ともおはよう」
シトナイは2人に笑顔を向けて、挨拶を返す。シトナイは親しい人には、依代であるイリヤスフィール・フォン・アインツベルンの略称であるイリヤの呼び名で呼ばれることを好む。別のイリヤがいる時や戦闘中などは弁えるが、こちらの方が呼ばれ慣れてるらしい。
「ほら、ゴッホも挨拶しなさい」
「た、タイミングを見失ってました……。マスター様、マシュ様、おはようございます!」
シトナイの背後から、虚数の申し子、フォーリナーのヴァン・ゴッホがのそのそと現れる。彼女はノーチラスの試運転の際の虚数空間の異変で出会い、全てが解決した後に夢の中から(なし崩し的に)引き上げられた。
シトナイとゴッホとは珍しい組み合わせだが、聞いた話だとハイ・サーヴァントのような状態であるゴッホを、フォーリナー組と一緒にシトナイが面倒を見てくれているだとか。
「おはよう、ゴッホちゃん」
「おはようございます、ゴッホさん」
「エヘヘ……朝の挨拶は良いものですね。嬉しさのあまりに向日葵が咲いちゃいそうです」
そんな言葉に立香とマシュは笑顔を向ける。出自が出自故にゴッホがカルデアに馴染めるか心配だったが、どうやらその必要はなかったようだ。
「さて、朝の挨拶も済んだことだし食堂に向かいましょう。今日の料理当番はアーチャーらしいわ」
「エミヤの料理かぁ。朝だし和食かな?」
そんな会話をしながら食堂を足を進めようとする。しかし、突如として立香が軽い目眩に襲われた。それと同時に誰かの声も頭に響く。
—————アタシの手を
「っ……!」
壁に手をかけ少し立ち止まるが、すぐにそれは収まっていった。特に身体にも異常はない。ただ、先程の声には———。
「先輩?」
マシュが心配そうにこちらの顔を伺って来る。立香は体制を戻して、大丈夫の意を示して食堂へと向かおうとする。しかし、その前方から人影が現れる。
「無理はしない方がいいぞ、マスター」
「……エドモン」
最近の夢のことについても、自分が把握してない何かを知っているのかもしれない。
「お前は最近、同じ夢を何度も見ている。そうだな?」
「エドモンは何か知っているの?」
「俺とて詳しくは知らん。ただ、お前に夢から干渉しようとしているものを
どうやら事前に巌窟王は手を打っておいてくれたようだ。確かに助かってはいるが、立香には気がかりなことがある。
「でも、あの声は……」
「ほう、声か……
エドモンと立香が情報の交換を続けていると、カルデアのアナウンスから警報が鳴り響いた後、いつもの聞き覚えのある声がカルデア全体に届く。どうやら何かしらの異常自体が起きたようだ。
「ハイハーイ!とりあえず立香君とマシュさんは管制室に大至急来てくださーい!そこにいるサーヴァントも把握しているので、同行お願いします!」
「どうやらここにいる全員のようだな。行くとするか」
「朝食食べ損なった……」
立香は目に見えるほど落胆した。エミヤのご飯は美味しい。これを食べれないのは非常に残念だが、呼び出されたのならば仕方ない。
「ゴッホの触手食べますか?少しヌメヌメしますけど……」
「遠慮しとくよ……」
いつの間にかに第3再臨の白いドレス状の姿になったゴッホが、頬を赤らめながら触手を目の前に差し出してきていた。気遣いは嬉しいけど、海魔と似た分類であると思われるそれを、今ここで生のままはいくら何でも無理だろう、と思いながら駆け足で管制室に向かう立香達であった。
管制室に立香一同が到着する。そこには
レオナルド・ダ・ヴィンチ
シャーロック・ホームズ
シオン・エルトナム・ソカリス
ゴルドルフ・ムジーク所長
と、いつもの主要メンバーの殆どが集まり、話し合いをしている。ダヴィンチが一同に気づくと会話を中断させ、状況説明をするべく向き直った。
「やあ、急がせて悪かったね。立香君、マシュ」
ダヴィンチが近づいてきて立香とマシュに水を手渡す。2人はそれを飲み干して、改めて何が起きたのかを立香が問う。
「何があったの?」
「微小特異点の発生だよ。……微小とはいえかなり厄介なことになってるけどね」
ダヴィンチが眉を顰め瞼を閉じて頭を悩ませる。その様子からただならぬ気配を感じる。
「基本的に微小特異点は放っておいても、白紙化した世界を戻した後に大きな影響は残らないんです。この特異点も現時点で観測できる限りではそこまで脅威ではありません。しかし、トリスメギストスが予測するには、放置した場合は本来の特異点程ではないですが、多大なる影響があると演算されました」
「その予測が外れたりとかは……?」
「ナイナイ!実際、トリスメギストスの予測は前の時も的中したじゃないですか!」
立香の願望にシオンは軽く返す。前の時というのは、以前、ノーチラスの試運転時にもトリスメギストスが使用された。その時の演算結果は正に最良とも言えるものであり、今回もその例には漏れないと言うことだろう。
「元より放置するつもりはなかったけど、そんなに危ない特異点なんだね」
オリュンポスから帰って来た際に、どこかのアトラスの才女が1ヶ月は破滅の予兆は無いと言っていたはず。
つまり破滅と言わないにしろ、不味いことが起こってしまう可能性があるわけだ。
「さっきも言ったけど、特異点自体はそこまで脅威と言えるほどの観測はされてない。ただ、かなり現実と意識の境界が曖昧になってるのは確かだね」
現実と境界。そう言われると難しい言葉に聞こえるが、立香がここのところ頭を悩ましている案件と結論づけるのに時間はかからなかった。
「現実と意識……つまり夢?」
「そうとも言えるね。その上、その特異点の世界にブレが生じている。境界が曖昧になった結果だと予想はしているけれど、確かなことは分からない」
ダヴィンチは一息置いて、話を続ける。
「だから、立香君の側にいたサーヴァント達には同行してきてもらったのさ」
立香に同行してきたサーヴァントはエドモン、シトナイ、ゴッホの3人とマシュだ。共通点と言うほどの共通点はあまりないように見える。
立香が疑問を顔に浮かべていると、シオンが察したようにその疑問に答えを出す。
「トリスメギストスの予測では『夢や意識に干渉できるサーヴァント』が最も有効的だと出ました。その中でも巌窟王さんは必須級と」
シオンの言葉にエドモンは待っていたと言わんばかりに高笑いを上げ、恩讐の炎を昂らせる。
「クハハハハ!だろうな!この時を待ちかねたぞ!」
「あら、伯爵?1人で納得してないで、説明してもらってもいいかしら?」
「フン、こうなることはマスターが夢から干渉されたことで分かっていた。お前と画家が同時のタイミングで来たのも、偶然か必然か悩みどころではあるがな」
エドモンはこうなることを予測していた。それは立香の中にいる巌窟王故の理屈か、エドモン自身による推理かは立香には分からないが、頼もしいことには変わりない。
「ミスター・巌窟王の報告ではミズ・シトナイは以前にミスター・リツカの意識に干渉した。ミズ・ゴッホも夢からサルベージされた存在故に今回の特異点攻略には適性があるだろう」
ホームズから解説の補足が入り、今回のメンバーの意図を理解した。つまり現時点でここに集まってるサーヴァントが適正率が高いわけだ。
「ついでに紅閻魔には既に声をかけてあるけど、どうやら別件があるようなので後からの合流になる。セイバーの両儀式とマーリンについては神出鬼没な為、どうにもならなかったよ。まあその2人もマスターの危機とあらば、すぐさま駆けつけるだろう」
紅閻魔は以前バレンタインの時に悪夢を断ち切り、立香を閻魔亭に招待できるほど、夢の中での行動ができるサーヴァントだった。今回の特異点での適性も高い。
セイバーの両儀式、マーリンは言わずもがな。あの2人ならば夢に制限されることはありえないだろう。
「アビーちゃんとかはダメなんですか……?」
アビゲイルもサマーキャンプの時に、夢を介して、接触してきた1人だ。適正があるようにも思えるが、そのゴッホの質問にダヴィンチは苦々しく解答する。
「彼女は夢に干渉となると恐らく水着霊基の方に若干引っ張られるだろう。水着霊基の彼女は、安定と言える精神状態をずっと保てるとは確信出来るほどではない為、今回は省かせてもらったよ」
「その点フォーリナーの中で一番安定してると言えるのはゴッホちゃんです。立香君のことをお願いしますね」
「ゴッホを選んでもらえるなんて恐悦至極……!マスター様をゴッホの命を賭して全力でお守りします……!」
ゴッホはシオンの言葉に心が高揚する。マスターである、立香の命を預けるのに足るサーヴァントであると言われたことでゴッホのやる気は急上昇していく。
ホームズは説明を再開させる。
「さて……先程もダヴィンチとミス・シオンが言った通り、今回の特異点は例の虚数空間とまでは言わずともかなり特殊な事例となるだろう。特異点の場所は日本。年代は平成23年、つまり2011年と本当に最近のことだ」
その言葉にマシュが驚きの声を上げる。確かに日本自体が特異点になることはあっても、現代とは程遠い時代ばかりだった。
「現代日本ですか!?セイレムの時は実際のアメリカに上書きされるようにできましたが、それ以外だと新宿や冬木が一番近いですね!」
「更に言ってしまえば、新宿や冬木の特殊な状態ではなく、表面上はほぼ平和な日本と変わらないだろう。ただ、気になることもあるが……」
その言葉に一瞬で周りは察した。ホームズがこのように話を終わらせようとするということは、いつものアレだろう。
「今はまだ語る時ではない!」
にこやかな笑顔でそう言い放つホームズ。今すぐ、ここに、ダディことモリアーティを連れて来たいぐらいにはいい笑顔だ。
呆れながらもダヴィンチがホームズの言葉に続いて立香達に説明を入れる。
「加えて日本と言っても並行世界の日本だ。世界にブレもあるため地名などは分からない。なので今回は『亜種並行特異点』と命名することに決めたよ」
夢の中から直接引き込まれて、宮本武蔵と共に英霊剣豪と戦った下総国は亜種並行世界だった。あれは異聞帯に近い物であったが、今回は正真正銘、並行世界における特異点というわけだ。
「さてさて、ゴルドルフ氏?これまで一言も発してないですけど、レイシフト前に所長としてどうぞ」
「いきなり話を振るかね、シオン君!?説明ばかりで話に入れなかったのだよ!……ゴホン!えー、アレだ。今回はかなり危険な特異点だ。あのオリュンポスの神々を退けた君たちなら大丈夫だろうが、無事に帰ってきなさい。特異点修復の暁には、私お手製のフワッフワのクロワッサンかトロットロのカルボナーラを選ぶ権利をやろう」
その言葉に自然と立香の顔に笑みが浮かぶ。ゴルドルフもすっかりとカルデアに馴染み、なんだかんだ悪態吐きながらも、いつも心配してくれる良き所長となった。
「どちらもお願いします!ゴルドルフ所長!」
「贅沢だねぇ君!?……いいだろう。エミヤ君たちとの共同で豪華な食事を用意しておくから、絶対に帰って来なさいよ」
「了解!」
「マシュは、今回付いていけないからサポートに回ってもらうよ」
「了解です!しっかりサポートしますね、先輩!」
そのマシュの言葉にグッと親指を立てて、レイシフトの準備を整える。周りのムニエル含むスタッフたちがそれぞれの持ち場に付き、セットアップを開始する。
立香はコフィンに入り込み、心を落ち着かせる。
「存在証明確保!レイシフト準備完了です!」
レイシフトの準備が整い、アナウンスが流れ始める。
アンサモンプログラム スタート。
霊子変換を開始 します。
レイシフト開始まで、あと3、2、1……
全行程
グランドオーダー 実証を 開始 します。
ここまでの閲覧ありがとうございます!改めまして、お久しぶりでございます!
本当に新規小説増やしすぎなのは自分でも思っていますが、私の心のDOMANがその時の性癖のものを書けって言ってたので仕方ないのです(責任転嫁)。
さて、これを書くに至った経緯と話の補足などを入れていきたいと思います。長々となるのでご了承ください。
まず夢喰いメリーなんですけども、私は夢喰いメリーを完結してから全巻集めました。その理由が、原作者様やファンの方にかなり失礼だと思うんですが、夢喰いメリーは既に完結してたと認識してたんですよね。
私が初めて見たのが確か連載最初の方をチラッとだけだったので、なぜかジョンの名前を知らなかったけれど、夢喰いメリーと言ったらこいつはすごい覚えてる、的なくらいの認識程度でした。
アニメも失敗したと聞きましたし、正直Twitterで完結とトレンドが流れて来た時、ビックリしましたね。
それで、完結したなら読んでみたいと思って、本屋で最終巻以外の全巻取り寄せて、一気見しました。
その結果、ハマりました。王道な漫画好きとしては、きらら漫画と思えないほどの熱い王道ファンタジーで心がくすぐられましたね。
夢という題材はFGOと相性の良い物なので是非とも書いてみたいと思い、現在に至ります。こちらが書くことになった経緯です。
次に物語の解説を入れていきますね。
まず、この物語はオリュンポス後の話となります。地獄界曼荼羅はクリアしていますが、曼荼羅よりは前となっていますので5.25章イベント、的なシナリオです。時期はボカシてはいますけどね。恐らくこの世界線の道満は晴明とキャッキャッウフフしてて用意が遅いのでしょう。
次にエドモンのルビ及び表記揺れです。知ってる方はいると思いますが、エドモンはオレと俺を意図的に使い分けています。『オレ』が監獄塔で出会った夢のエドモンですね。ファリア神父の如く導き、精神体でぐだーズの悪性情報を焼いてるお馴染みの夢セコムです。宣教師とかのもこれのパターンです。こちらは巌窟王と呼ばれるのを恐らくですが、好んでいます。
『俺』の方が召喚されてカルデアに実体としている方です。こちらはどちらかと言うとエドモンと呼ばれても違和感のない方かと(一応として、ストーリー上では監獄塔でしかエドモンと呼ばれてないはず)。なので私は夢の方を巌窟王、現実の方をエドモンと表記しています。
補足を入れておきますと、実体と精神体はリンクしているので記憶はあります。
次に年代のお話。これは正直目安がないので、漫画の初掲載年もしくはアニメ放送初放送年で迷いました。グリッチョマンでSw○tchがネタにされてたので、その辺りでも良かったのですが、アニメ放送年にしました。
これは夢喰いメリーの舞台にも言える問題なので、聖地などを調べてもバラバラなので断念しました。
あとはキャラのそれぞれの呼び方。違和感がないように仕上げはしましたが、どうでしょう?エドモンの他のサーヴァントの呼び方は未だに迷っていますので、アドバイスなどがあればよろしくお願いします。
説明すべきなのはこの辺りですかね?長々となってしまいましたが、ここまで読んでいただき、ありがとうございます!こちらもスローペースですが、のんびりと待っていただけると幸いです!
誤字脱字などがあれば報告して頂けると幸いです!質問も随時受け付けているので何か聞きたいことがあれば、どうぞ送ってください!