Fate/Grand Order 夢幻深層現界 ナイトメア 作:如月 刹那
なるべく早く投稿できましたね。あと今回は文字数が多いです。良いところで区切ろうと思った結果こうなりました。
では、今回もどうぞごゆっくりとお楽しみください。
出会うことに物語があるのではない。
出会ったから物語が生まれるのだ。
それは、神様や運命に決められるものでは決してないだろうけど。
それでも敢えて、こう言わせてもらおう。
この物語は
———その日、■■は運命に出会う。
特異点へとレイシフトした立香は、いつかのように空中に投げ出されることもなく、特に何の不都合もない状態で五体満足で地面に降り立つ。
———周りに誰もいないことを除けばだが。
レイシフトに同行した3人のサーヴァントの姿はない。
立香が1人放り出された場所は、入り組んだ道が多数あるのが見てとれる。さながら迷路のようだ。そんな状況に冷や汗が頬をつたう。
カルデアとの通信を取ろうとするも、ノイズが走るだけで音声も映像も届かない。これまで何度もあったことだが、その際には誰かが側にいた。しかし、立香を守る者はここにはいない。
頭を冷やして心を落ち着かせる。まずは優先事項を確認することが大切だ。
敵と対峙することは絶対に避けた方がいい。魔術礼装は起動できるものの、敵に効果の高いものはガンドくらいだ。補助魔術はサーヴァントにしか使えない。
次にサーヴァントとの合流。こちらに来てることが前提にはなるが、もし来ていないならば、野良サーヴァントとの契約も視野に入れないといけない。
(あとはここの探索!現状を把握しないといけない!)
カルデアとの通信復帰は後回しだろう。通信は条件下によっては、如何なる場合でも繋がらないことがある。それなら先程挙げた2つを優先した方がいい。レイシフト先は日本だったことを考えても、ここはどうあがいても違う場所だ。雰囲気が遊園地のようなファンタジーさがあるのに、それとは対照的に薄気味悪い空気も漂っている感覚がする。
思考をまとめた立香は、現況を確認するために探索へと乗り出した———。
「広すぎでしょここ」
立香は絶賛迷子中だった。迷路———最早迷宮と言っても差し支えない。アステリオスの宝具のように出れないと言うことは考えないでいたい。今のところ敵に出くわしはしないが、単純に幸運なだけなのか考えものだ。
至る所に道があり、壁に無数にある模様が余計に不気味さを増大させる。
「いっそのこと大声でも出してみようかな……。いや、危険すぎる」
敵と出会ってないと言っても、本当にただの幸運の可能性もある。令呪を使うという手もあるが、ここで使ってしまえば今後の行動時に選択肢が狭まってしまう。
立香が頭を回転させて唸っていると、耳に何かの音が届く。本当に些細な音ではあったが、確かに聞こえた。
(今のは……?)
音は鳴り続けており、それを頼りに立香は道を進んでいく。そうすると段々と音量は増していき、その音が何の音かを察知する。
(っ!これは誰かが戦闘している!)
駆け足で音の発生源まで急ぐ。道を何本か曲がったりすると、大きな広場の様なところに行きあたる。そこで、1人の人影が、多数の武器を持ったピエロの様な人形のエネミーを相手取っていた。
飛び出しそうになる衝動を抑える。人影が味方とは限らない為、すぐに加勢するわけにはいかない。立香は遠目でその動き続ける人影を判別する。
少なくとも、全体を白い衣服を纏っていることから自分が連れてきたサーヴァントではない。恐らく野良サーヴァントの可能性が高いだろう。
全体がコートやスカートも全て白いのもさながら、所々に目が閉じたような模様が特徴的だ。他にも赤いリボンで装飾されている。格好や背丈から判別するに恐らく少女のサーヴァント、カルデアやこれまでの旅で見たことない人物であることは確かだ。
「…く、鬱陶…わね」
微かに声が聞こえてきた。内容から少女はピエロを相手に悪態をついている。数も多いうえ、戦闘方法も肉弾戦を基本としているみたいで苦戦をしているようだ。そんな少女の背後でピエロの一体が奇襲しようとする。少女は前方に気を取られて、後ろに気付いていない。
———立香の身体はいつの間にかに飛び出していた。
魔術礼装の起動の準備をする。声が届く範囲にまで近寄り大声で警告を促した。
「後ろだ!」
「!?」
少女は驚いた顏をしたものの、すぐに後ろに回し蹴りを繰り出して、背後のピエロを吹き飛ばす。しかし、さっきまで前方にいたピエロが、ここぞとばかりに隙を突こうとする。
「礼装起動!『予測回避』!」
魔術礼装である極地用カルデア制服に搭載されている魔術を、少女に発動する。少女はピエロの攻撃がどこに来るか分かるかのように、自然的な動作で攻撃を回避する。
「大丈夫?」
「アンタはいったい……」
「とりあえず話は後で!今はここを切り抜けよう!」
「確かにそうね、アンタは戦えるの?」
「無理!サポートならできる!」
立香の即応に少女はガクッと崩れ落ち、ズレた帽子を整えながら、呆れた表情で立香の方を見つめる。
「即答ね……。分かったわ、絶対にアタシの側を離れないでよ」
少女は、再びピエロの方へと急接近して拳をぶつける。そのまま裏拳へと派生させ、別のピエロを攻撃する。たった一撃をぶつけるだけで次々とピエロは消滅していく。見た目に反して筋力が高いのかもしれない。
ピエロからの剣や鈍器の猛攻もしゃがんだり飛んだりで避け続けながら、拳や蹴りでの攻防で敵を捌き続ける。さっきみたいな奇襲でもされない限りは、少女に攻撃が直撃することはそうそうないだろう。
「これなら大丈夫そうね」
「すごい……」
「これぐらいは問題ないわ!……まあ、さっきは油断したけど」
「ここがどこかは分からないけど、何か打開策はある?」
敵を蹴散らし続けてはいるが、これが問題の解決にはならない。ピエロはどこからか無限に湧き続けている。ならばこの謎の空間から脱出できれば根本的な解決となる。
「ここは
夢魔———それで真っ先に立香の脳内に思いついたのがマーリンだった。マーリンは半分が人、半分が夢魔の混血だ。確かに夢に干渉してくるし、マーリンには自分の庭とも言える場所が存在する。
つまりはその光景こそが夢———否、
結局はダヴィンチやホームズなどの頭脳組がいないと解決しない。立香は一旦、夢に関する思考を放棄して、ここからの脱出への考えを張り巡らす。
「その夢魔がどこにいるかは分かる?」
「分かったら苦労しないわ。さっきからここでずっと戦ってるのも、相手の消耗待ちなんだけど……効果が薄い感覚がする」
少女の回答から現状維持は得策ではない。どうにかして、この状況を打開するしか方法がないわけだ。
「通路の方に行ってタイマンにするとかは?」
「こいつら通路からもたくさん出てくるのよ。だからここに誘導したってわけ」
ピエロが通路から出てくるということは、そちらの方に行けば挟み撃ちされてしまう。余計に不利な状況になるため、この手段は使えない。逆に広い場所で戦っている、今の状態が最も効果的なのだろう。
頭を悩ませるほど、解決策が出てこない。ゴッホやシトナイがいれば宝具の固有結界でここを塗り替えるってこともできるかもしれない。しかし無いものねだりをしても仕方ない。
「っ!危ないっ!」
少女が立香を引き寄せて立ち位置を入れ替える。次の瞬間、ピエロの持っているハンマーが少女を捉える。腕でガードをするものの骨が軋む痛々しい音が聞こえてくる。考え事に思考を割いていた立香を庇ったのだ。
「っつ!こん…のぉ!!」
攻撃してきたピエロに蹴りを繰り出して消滅させる。よくよく少女の身体を見れば、至る所に傷が存在するのが見てとれる。受ける攻撃を最小限に抑えてるだけで、全くダメージが無いわけでは無いのだ。
「ごめん!俺のせいで……!」
「気にしないで。アンタのことは私がちゃんと守ってあげるわよ」
少女は立香に心配をかけないように無理矢理笑顔を浮かべる。少女は自分を庇い続けていることで行動が制限されている。こんな時に少しも戦えない自分が歯痒い。
(それでも自分にできることをするしかない!)
「『浄化回復』、『幻想強化』!」
少女に治癒の魔術と強化の魔術を施す。これで、現在使っている礼装の魔術を全て使用した。暫くは発動することができない。
「身体の痛みが引いた……?それに力が湧いてくる。アンタのそれは何なの?どう考えても普通の人間とは思えないわよ」
「これは魔術だよ」
「マジュツ……?とにかく普通の人間じゃないのよね?」
『幻想強化』で身体能力が向上した少女がピエロを一掃する。湧き続けてはいるものの、礼装の効果で少しの余裕が出てきたようだ。
「俺自身はどこにでもいる一般人だよ。この魔術礼装……服のおかげなんだ」
実際、立香には魔術の才能がこれっぽちもない。前にロード・エルメロイII世が『マスターの魔力量は自分以下』と称していた。未だに簡単な魔術すら使えない。
「ふーん、なんの因果でここに来ちゃったのかしら」
「ゆっくり話せる時間があるなら説明するんだけど……」
「その余裕はないわ…っね!」
攻撃をいなし続けるが、ピエロの怒涛の攻撃は止むことはない。魔術で強化したといえど、いつまでも現状を耐え続けることは無理だろう。
「はぁ……はぁ……」
少女の疲労も随分と溜まってきている。このままでは2人ともピエロの餌食となってしまう。
(ここは令呪を使うしか……!)
立香が令呪を使おうとした、その時、ピエロの後方で風が巻き起こる。そこから、全身が黒いモヤに包まれた敵が現れる。薄らと見える風貌は、一つ目で手足が細長く、帽子を被った小人のようだ。それとは別に取り巻きとして、ピエロとは別個体の敵が2体増える。
「ドウカナ?僕ちんノ迷宮ハ?」
その小人はどうやら喋ることができるみたいではあるが、言葉の節々が奇妙に揺れる抑揚がある。立香はシャドウサーヴァントと近しい存在だと判断した。
「こうやって弱るのを待っていたってところかしら?随分と悪趣味ね」
「キミに言ワレたくナイネェ。マイゴの門番サン」
「アタシのことを知ってるなら話が早いわ。夢の果てまでぶっ飛ばしてあげる!」
少女は小人に距離を詰めようとする。しかし、それに小人がストップをかけた。
「イイノかい?後ロをミテごらん?」
「!?」
少女が振り返ると、そこには立香がピエロに拘束されて、首元に剣が突きつけられていた。少しでも動けばすぐさまに首が引き裂かれるだろう。
「ク…ソ……!離せ……!」
「ソウ言ワレテ離スやつがイルとオモウカイ?少シ大人しくシトキナヨ」
その言葉と共にピエロが立香の腹に拳を撃ちつける。骨が折れるほどではないが、かなりの痛みが貫いた。
「がはっ……!」
「ちょっと!ソイツは関係ないわ!やめなさいよ!」
「フーン?タスケテもらって情デもワイタノカイ?イヤ……キッケッケ!コレは傑作だよ!マサカこんなコトにナッテルなんてね!」
小人は少女の方を観察した後、耳に響くような高笑いをあげて転げまわる。
「何がおかしいの!?」
「どうせココデ終わるんだ。知る必要ハないよ」
小人が指示を出すと多数のピエロが少女を取り囲み、滅多打ちにする。明らかに甚振って楽しんでいる。
「ぐぅっ……!」
「やめろ!」
その言葉に小人はハァとため息を吐く。小人が指を鳴らして合図を出し、ピエロが少女を地面に押さえつけて拘束する。その後に剣を持ったピエロの一体を立香の方に向かわせる。
「キミもシツコイナァ。ほら、腕の一本デモ落とそうか」
「ダメ……!アタシならどうしてもいいからソイツには手を出さないで!」
少女の言葉を無視して、ピエロは立香の腕に向かって剣を振り下ろそうとする。小人はそれを悦に浸り、歪んだ笑いを浮かべながら眺めていた。
———しかし、その剣が当たることはなかった。
突如として立香を拘束していたピエロと、剣を振り下ろそうとしたピエロの腕が凍りついて身動きが封じられる。それと同時に真上から青黒い炎の魔力弾が降り注ぎ、囲んでいたピエロ全てを焼き尽くす。
一気に変化した戦況に小人は狼狽する。
「エ?ナニ?ナニが起こったんダイ?」
「これは……?」
少女も何が起きたのかを把握できていない。だが、立香には誰が自分たちを助けてくれたのかを一瞬で理解し、拘束を抜け出して即座に指示をだす。
「エドモンは女の子を拘束してるピエロを処理した後に周りのピエロの相手!シトナイとゴッホは小人エネミーを逃さないように頼む!」
「相変わらず無茶をしているな、マスター」
エドモンが立香の近くに現れ、少女を拘束しているピエロを魔力弾で吹き飛ばす。少女は即座に立ち上がりエドモンを警戒する。それに立香は言葉で返す。
「待って待って、味方!とりあえず、あの夢魔を倒そう!」
「……分かったわ。助けてくれてありがと」
「礼には及ばん。マスターの命令で助けただけだ」
エドモンは高速移動で次々とエネミーの方へと詰め寄り、対処を開始していく。立香と少女は小人の夢魔の方に向き直る。
「トニオ!リゴレット!」
取り巻きのエネミーの名前らしきものを小人が叫ぶ。2体のエネミーがこちらに突撃しようとしてきたが、こちらも同じように空中から飛んできた矢で氷漬けにされていく。
「あら?これでお仕舞いかしら?」
ふわりと目の前にシトナイとゴッホが着地してきて、シトナイが見下すように煽る。それに小人は慌てて手元に石板を出現させて、操作しようとするが———。
「エヘヘ、ダメですよぉ」
ゴッホの背後に出現した名状し難きクラゲの触手が瞬時に石板を奪い取る。打つ手をなくしたと思われる小人は逃げ出そうとするが、少女が回り込んだ。
「通行止めよ。今度こそ
「……ドウヤラそうみたいダネ。アトはせいぜい見物させてモラウヨ」
「潔いわね。まだ何か残ってるの?」
「ソッチノガ面白ソウだからね。アトは旦那に任せるとスルヨ」
旦那———その言葉が気になったが、今は理解することはできないだろう。
全てを言い終わると小人は座り込んだ。少女は虚空から取り出した鍵を地面に突き刺す。幻想的な巨大な門が出現し、扉を開くと共に小人を吸い込んでいく。小人の身体が崩れ去って消えると、扉は完全に閉じる。
「ふぅ、これで終わりね」
景色がブレはじめ、空間が軋み始める。数秒も経てば見知らぬ公園に立香たちは立っていた。
「見たことない場所だけど……日本だよね」
公園には子供が元気に遊んでいる。街並みの雰囲気も立香がカルデアに来る前とよく似ており、懐かしい気持ちが込み上がってくる。
「とりあえずあそこで話をしましょう。お互いのこともまだよく知らないしね」
少女が公園によくある机とそれに囲まれる椅子を指差して促す。立香はそれに頷いて、各々が椅子に座って会話を始める。
「認識阻害の魔術は掛けといたわ。姿も声も他の人からは認識されないわよ」
「ありがとう、イリヤ」
立香からのお礼に、ムフーとドヤ顔を見せるシトナイ。それに苦笑しつつ目の前の少女と話を進める。
「まず、助けてくれてありがとう。君がいなかったらやられていた。俺の名前は藤丸立香、よろしく」
「こっちこそお礼を言わせてもらうわ。ずっと、あの状況だったから正直どうしようもなかったのよ。アタシは夢魔のメリー・ナイトメア、『
少女———メリーも夢魔だったことに立香は驚いた。サーヴァントだと思い込んでいた為、その発想は出てこなかった。
「随分と驚いてるわね?そうよ、アタシもリツカ達を襲った化け物と変わらないのよ」
メリーは自虐的にそう呟く。確かに立香は驚いているが、そう言ったことは思っていない。それを察したエドモンが横からフォローを入れる。
「マスターが驚いているのはそこではないだろう。恐らく夢魔だと想像つかずサーヴァントだと思っていた———違うか?」
「合ってるよ。だから俺はメリーのことを化け物だなんて思ってないよ」
「別に気にしてないわ。……そもそも、そのサーヴァントって何?さっきから理解が追いついてないのよね」
「まずはお互いに話の擦り合わせをした方がよろしいかと……」
ゴッホの言う通り、お互いに理解が出来てない言葉が諸々とあるはずだ。まずはそこを説明するべきだろう。
「じゃあ俺たちのことだけど———」
「人理焼却に人理修復……それに人理漂白ねぇ。
立香のサーヴァント3人の自己紹介、魔術やサーヴァントの説明をした後に自分たちが来た理由を話した。メリーの頭からプスプスと煙が吹いている。確かに何も知らない人からすると理解し難い話だ。むしろ、立香ですら全部を理論づけて話せと言われても無理である。
メリーの聞いた話を整理すると———
夢魔とは人の零れ落ちた夢や想いから生まれた存在。全ての夢魔は
夢魔が
メリーは現界と幻界の境界線———全ての夢魔の幻界に繋がる『界境の門』の番人であること。メリーの庭でもあり、『
「と、こんなところかな?」
「ええ、大体そんなところね」
「メリーのことはてっきりサーヴァントだと思ったんだけど」
「夢魔ってのは頑丈なのよ。聞いたところだとサーヴァントとあまり変わりな——「何を言っている、貴様はサーヴァントだ」——え?」
メリーの声を遮り、エドモンが横槍を入れる。メリーはサーヴァントであるとエドモンは断言した。そのことに随分と驚いている様子だ。
「俺独自の判断ではあるが、霊基反応からして恐らくキャスタークラスだ。自分がサーヴァントだと自覚してない辺り記録の混濁が起きているな。まだ話していないことがあるだろう?」
「アタシがサーヴァント……」
「心当たりはある?」
「……さっき話したこと以外の記憶がないの。『夢喰い』ってのを誰が付けてくれたのとか、門番をやってる時に会ったはずの夢魔のこととか。それに何かやらないといけない気がする、そんな焦燥感があるの」
つまり生前の記憶がないと言うことだ。例えばカルデアには擬似サーヴァント擬きである人物達が一部いるが、勿論記憶は所持している。セイバーの式に言わせてみれば『泡沫の夢』なのだろう。
他にもゴッホのように無理矢理、継ぎ接ぎされたサーヴァントもいる。そう言った場合は霊基に影響が出てしまい、記憶にも障害が出る。メリーはその類には見えないが。
何にしても、立香が出した答えは一つだった。
「なら俺達も力になるよ」
「結構よ、同情なんていらない。アンタ達はセーハイってのを探さないといけないんでしょ?元々1人でどうとでもできることよ、アタシの方は」
立香はそう申し出るが、メリーは却下し、そのまま立ち上がって去ろうとする。しかし、立香は立ち上がった時にメリーの顔が見えてしまった。
(泣いて———いや、今のどこかで……)
立香の頭に謎のノイズが走るように頭痛がする。だが、今は気にしている場合ではない。立香も立ち上がり、再びメリーに声をかける。
「同情じゃない。メリーのことは放っては置けないし、何よりメリーの力になりたいと思ったんだ」
エドモンはそんな立香に失笑を溢す。最近は異聞帯の———世界を切り捨てる戦いばかりでガムシャラに戦う事が次第に減っていった。廃棄孔から眺めるエドモンはそれをよく理解していた。少なくともキリシュタリアとの戦いでは人理修復の頃の心持ちに近かったが。
元来、立香はそういう性格なのだ。溢れ落ちそうになる誰かを見捨ててはおけない。最高ではなく最善を尽くす。普遍的であり、お人好しな彼だからこそ数多の英雄はこの男に惹かれるのだろう。
「夢魔よ、マスターはこういうやつだ。そして、この申し出は我らにも利はある。記憶はなかろうと、この世界の幻界とやらに精通する貴様がいれば事は大いにこちらに傾くだろう」
それに立香は同意する。そしてメリーに手を差し出した。
「だから、俺達に力を貸して欲しい」
メリーは帽子を俯かせて目元を隠しながら、こちらに振り向く。
「リツカも本当に変わってるわね……。分かった!アタシが力を貸してあげるわ!だからリツカ達も手伝って!これはケーヤクよ!」
「もちろん!それに、サーヴァントとの間に結ぶ縁も契約って呼ぶんだ。カルデアに帰るまでは仮契約だけど、よろしく頼む」
メリーは満面の笑みを浮かべて、立香の手を握り返し握手する。
———ここに夢の縁は確かに結ばれた。夢と希望、運命が交わる時、物語は新たな幕を開けるだろう。
期間限定イベント「
愛と希望、夢と運命———異なる世界が重なりし時、新たな物語は幕を開ける。現界と幻界の悪夢と絶望を打ち払うことができるか———その真実を
本イベントではメインクエストを進行すると、イベント限定サーヴァントが期間限定で加入します。
メインクエストをエピローグまでクリアして、イベント限定サーヴァントを正式加入させましょう!
NEW!
★4
クラス:キャスター
真名:メリー・ナイトメア
「夢魔のメリー・ナイトメア!夢喰いメリーよ!サーヴァントだとかセーハイとかはよく分かんないけど、仮ケーヤクってことでアンタのことはアタシが守ってあげるわ!」
〜期間限定加入サーヴァントについて〜
期間限定サーヴァントは「
イベントで特定のクエストをクリアすることで正式加入となります。
ここまでの閲覧ありがとうございます!今回は文字数が多くなってしまいましたね。長くなってしまい申し訳ありません。
実は今回の試みとはしてはこれまでの小説と違い、元の話を絡めていきながら、比較的オリジナルの話に纏めたいと思っています。なので夢喰いメリー原作ほど長くはならないと思っています。
一応ある程度の話は組み立ててありますが、一番明確に決まっているのは終着点ですね。その間の話は色々と変わったりする可能性はあります。
解説は……なんかありますかね?強いて言うべきことと言えば、カルデア(Fate)視点で進んでいるので、夢喰いメリーの用語に関しての解説を入れたことくらいですかね。多分漫画を読んだ限り、解釈などは合ってると思います。他に説明不足な点がないといいのですが。
では、少し小説とは関係ない話題に。
BOXどうでした?私は全然回れませんでした!年末年始はやること多いですし、積みゲーがやばいので消化とかもして行きたいんですよね。ゴッホちゃんをレベル100には出来ましたけど、スキルレベルとかはどうしようもないですね。
メリー完結記念時にきららファンタジアも始めて見たんですけど、クリオネとかレガレクスとか実装されて声がついてほしいですよね。特にクリオネ。
最近(?)のイベントではサマーキャンプがお気に入りです。エミヤ周りがきのこ監修だったとか話で、かなりエミヤがイキイキしてて見てて面白かったですね。HF公開と同時ぐらいだったはずので、見た後にエミヤとイリヤの掛け合いは別世界の存在といえど尊いものでした。
さて、お話もここまでにしときまして。この先もまたスローペースで進めてくと思いますので、ごゆっくりとお待ちいただけると幸いです。
では、ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
誤字脱字などがあれば報告して頂けると幸いです!質問も随時受け付けているので、何かあればお気軽にどうぞ!