長かった……ついにラストバトルです。この戦いに勝利すれば念願のハーレムルートへの道が開けます。やはり最後は幼馴染系ヤンデレヒロインですね(錯乱)
第十七話
様々な策を講じることによって、ヤンデレヒロインに対してエロエロビームを送り続ける一夏! はたして、その思いは彼女に届くのか! BETAニキ「そろそろまz……あ、間違えました」
白い世界の中で、楯無さんの姿を見つける。
「楯無さん、こっちは準備出来ました」
これで後は、向こうの世界に行くだけだ。
「……一夏君、もしかして、それが?」
白いガントレットに、赤い紐と金銀の鈴が組合わせられている。
「ええ、意外と簡単に進みましたよ。楯無さんの方はどうですか?」
「元の世界に戻る方法は、見つけたわ」
「それなら……」
楯無さんは、一拍置いて言葉を選ぶ。
「その前に一つ聞いておきたい事があるの」
戻る前に、か。
「BETAがいる世界線、つまり今から貴方が行く世界での観測者は篠ノ乃束、恐らくそう考えられる」
「……そうでしょうね」
あの世界において、偶然であれ、織斑一夏を求めるとすれば彼女しかいないだろう。
「つまり、彼女を殺してしまえば、あなたの存在は消えてしまう。一夏君は敵も助けなければいけないってこと」
その可能性は既に別の世界で知っていた。断定こそしてはいなかったが、そうしなければいけないということは感じていた。
「むしろ、都合がいいですよ」
「あら、最初から助けるつもりだった?」
「いえ、逆です」
そこで初めて楯無さんは驚く。
「箒は俺が殺す、それであの世界の問題を解決します」
「……どういう心境の変化?」
心境の変化、といえばそうだろう。むしろ、幾つもの世界を見て来て何も変わらないという方がおかしいと思うが。
「言ってしまえば、俺も箒も、違う世界の住人なんですよ、事情はそれなりに違うけど。それに苦しんで、箒はあの姿を選んだ」
「……だからって」
「他の世界でもね、あいつは他人と違うことに苦しんでいましたよ。才能を持っている事、生まれが特殊だという事、BETAとして生まれるなんて最たる例じゃないですか」
それについては、楯無さんも言っていた通りだ。俺がなんと言おうと、箒自身が人間としての意識を持ったとしても、人間と同じ様に生きることは出来ない。むしろ、人間だった部分だけ、苦しみが増える。
「だからね、そこから逃げ出す為に、あんな形をとったんです。心は人間だけど、BETAの力を持ってる。そんな自分をどうして欲しいかなんて、聞くまでもないでしょう?」
「君に殺して欲しいから、彼女はああなったって言うの?」
「それが全て、って言う訳にはいかないでしょうけどね。多かれ少なかれ、そういう考えはあったと思いますよ」
そして多分、束さんも。
「きっとあいつも俺と同じ様な形で知識や情報を得ていると思うんです。ならきっと、死んだ後に行く場所は一緒ですよ」
例え意識が無くても、心が無くても、人間じゃなくても、救いはあるんじゃないか、と。
「……君は本当にそれで良いんだね?」
「色々と世界を見てきたんですけど、やっぱり俺は幸せだったんですよね。ラウラとかセシリアとか鈴音とかシャルルとか、良い人に囲まれて、一緒にいるだけでほっとするし、その時間がずっと続けばいいのに、って何度思ったか分からなかった」
「それなのに、どうして戻ってきたの?」
戻って来なければ、そのまま広大な意識の海に沈んでしまえば、そのままでいられたのに。
「なんなんでしょうね、放っておけなかったんですよ。それだけです。馬鹿なんですよ、結局のところ」
「なにそれ、あはは」
腹を抱えて笑われる。
「それなら、私も本当の事話そうかな」
「本当の事?」
「戻れるのは、一夏君、あなただけなんだ」
「どうして……?」
「元の世界に戻る為には、この境界から向こうの世界に戻るまでを観測する必要があるの。それに関しては私が向こうの世界の住人だから問題ないんだけれど、一夏君は違うから」
楯無さんの表情は柔らかい。まるで戻れない事に後悔を抱いていないようだ。
「もしかして……戻りたくないんですか?」
「……そうだね」
重たい荷物を下ろした様な、重たい沈黙。
「向こうの世界にはもう、簪がいないもの」
向こうの世界では、BETAに捕食されて、彼女は既に死んでいる。
「此処にいれば、いつでも簪に会う事が出来るの。それに、貴方を送り出すって言う大義名分もあるしね……と言っても、きっと貴方と言う観測者がいなくなれば、私の意識が拡散して、自我なんて無くなってしまうんでしょうけど」
「つまり……ここで死にたい、っていうんですか」
「そうよ。私も様々な世界線を漂ってきたけど、どうにも簪が不幸になるのは向こうの世界だけみたいね。最後まで見てきた訳じゃないけど、あの子、普通に生きれば器量よしだから、なんだかんだいって楽しそうにしてたんだから……」
ここで俺が何か言えるとも、思えないけど。
「向こうの世界の簪さんは……不幸だと?」
「失言だったわね。それは私の主観でしかなかったわ、それに、一緒にいた時間は確かに楽しそうだったし……でも、向こうの世界にはいないわ。そこに戻るのはもう、耐えられない」
愛する人を失ったこの人に、かける言葉が見つからない。
「それにね、なんていうか……貴方の為に死ぬのも、悪くないかなって、思うのよ。ただ死ぬんじゃなくて、誰かの為にっていうのは、身勝手かもしれないけど気分は悪くないしね。それに、来た時の一夏君ならともかく、今の一夏君なら、結構いい男だし」
フフフ、と笑う。どこか自嘲気味ではあったけど、その表情には疲労が見えた。
「本当なら、IS計画とか、基地の事どうするんだ、って言わなきゃいけないんでしょうけど」
「……無責任だとは、思ってるわ」
楯無さんは目を伏せる。無理もない、本当に大切にしてたものを失って、更に他の世界でそれを見つけてきたのだ。今更、そこに戻りたいと思えという方が無理だし、仮に戻ったとしても辛い思いをするだろう。
「いいんじゃないですか? そりゃあ、ここで力強く立ち上がったら格好は良いと思いますけど。言ってしまえば俺も似たようなものですし」
ずっとあの世界に留まるべきではない。それは、束さんがISを発表した事と同じだ。オーバーテククノロジーは決して良い事だけではない。むしろ、ISの所為で犠牲になった人たちも数え切れないほど見てきた。既存の研究をしていて職や尊厳を失った人、争いの為に命を散らした人、無関係な争いに巻き込まれた人、そうやって生まれた負の連鎖だってあった。勿論、ISがあったおかげで良い事もあるし、なかったらその負の連鎖がなかったかといえば、結果としては無くならないのだろう。
「俺達みたいなのがいると、ややこしいことになるでしょうしね」
良い方向に導こうとする事は大切だが、逸脱した存在だと面倒事も少なくない。
「すぐに戻ってきますよ、俺も。出来れば箒も連れて、ね」
「変わったね、一夏君は」
「そうですかね。自分じゃ、あんまりわからないんですけど」
楯無さんは首を横に振る。やさしい表情で手を差し伸べる。
「大きくなって、強くなって……少し狡くなったね」
「結局、出来ない事は出来ないままですからね」
ISのことだって、全部他人に丸投げしようとしているのだ。
「私は良いと思うよ。さ、お姉さんは待っててあげるから、迷子の仔猫ちゃんを助けに行ってあげて」
「どっちかっていうと、おまわりさんに追っかけられる人なんですが……まぁいいや、行ってきます!」
周囲を囲むBETAの数は変わらず、こちらの状況は最悪。直撃こそないものの、エネルギー残量は減るばかり、戦意もほとんどないだろう。
「……撤退するぞ」
「へぇ、ラウラ隊長には何か策があるってわけ?」
「現状、あの化け物と対峙するなら、BETAの山に突撃した方がましというだけだ。策があればとっくに実行している」
「……出来るんですの?」
答えない。各々にその答えは持っているだろうが、何もしないよりはましだと思い、ラウラがレールガンを来た道に向ける。
「敵に背を向けるなんて……余裕だねぇ?」
背後から、空裂の斬撃が飛来する。衝撃によってまともレールガンを撃つ事も出来ず、意識が途切れる。
「ラウラっ!?」
シャルルが追いつき、抱えるがラウラの意識が回復する様子はない。
「なにすんの、よっ!」
鈴音が長刀を振るうが、エネルギーシールドに防がれる。
「それは、ボクの台詞かなぁ」
右手を甲龍に向けると、AICで甲龍の動きが止まる。身動きが取れなくなると同時に、徐々に鈴音の首が絞め付けられていく。
「あ……がぅ」
「鈴音さんっ!」
ブルーティアーズの体当たりで、AICの束縛が解ける。
「……ありがと、恩に着るわ」
「迂闊に近寄っても、駄目みたいですわね」
スターライトを構えようとした瞬間、篠ノ乃束が目の前に現れる。
「イグニッションブースト!?」
盾殺しと呼ばれるパイルバンカーを装備した左腕が、ブルーティアーズを捉える。貫通こそしなかったが、その衝撃でセシリアが吐血する。
「もう、飽きたから……いいよね?」
スターライトによく似た、恐らくBT兵器であろうライフルを、ラウラを抱えているシャルルに向け、放つ。
「……嘘、だよね」
射線上に入った鈴音が、エネルギー切れのアラートとともに落下していく。残っているのは、闘えるのは自分一人だが、そんな事をする気力など、ない。
「一夏……助けて」
空間に亀裂が入り、鮮烈な赤い爪が罅を押し広げる。
「あはっ♪ ようやく来たんだ」
ギチギチと、少しずつ開いていくそこから現れたのは、白と赤のツートンカラーで、白式の面影は見られるものの、明らかに違う機体だった。
「……一夏?」
一夏によく似てはいるが、少し髪が伸びた様に見えるし、どこか大人びて見える。
「シャル、それに皆も……無事じゃないみたいだな。遅くなって、悪い」
「本当に……一夏さん、ですの?」
落ちた鈴音を支えるセシリアも、半信半疑のようだ。
「おかえり、いっち~♪ 世界旅行は楽しかった?」
「ああ、色んなものを見てきたよ。楽しいことばっかりじゃ、なかったけどな」
雪片弐型を顕現させる。
「これでやっと、お前と闘える」
力強い起動音、他のISを別次元の完成度を誇るそれは、篠ノ乃箒のモノと同格に見える。
「そうだね、始めようか!」
手にしたスターライトと16基によるビットのレーザー、その全てが複雑な軌道を描いて、一夏のISに向かう。
「一夏っ!」
箒が放ったレーザーは、雪片弐型が全て叩き落とす。
「これならどうかな!」
AICが一夏のISを捉える。
「……へへっ」
「何がおかしいの、一夏?」
動きを止められたというよりも、自分から動こうとしていない様子である。
「AICはな、こうやって使うんだよ!」
力技で拘束を振りほどき、雪片弐型を腰だめに構える。
「居合術、壱の型……
高速で振るわれた太刀の斬撃は空間を通り越して篠ノ乃箒の機体に直接伝わる。
「っかは!? 面白い使い方をするね!?」
「おうよ! ラウラと一緒に編み出した必殺技だぜ!」
AICとPICは本質的に同じ技術であり、物体を制止させる能力ではない。エネルギーの方向性を操作する能力である。
――任意の空間と空間を繋げる事によって、相互作用を起こさせる事が出来る。見た目は派手だが、コストパフォーマンスは最悪だぞ?――
ラウラの言葉を思い返す。意表を突くには良いが、それ以上のダメージがあるという訳ではないのだ。
「そして、不細工と言われた『VTシステム・改!』」
一夏の左目が金色に光る。
「……また物好きな事を!」
空裂が振るわれ、エネルギー波が一夏を襲う。それを紙一重で避け、スターライトを構える。
「さっきのおかえし……だっ!」
「たかだか、曲がる光学兵器で……!?」
――ビームを曲げるのではなく、直撃させるイメージを再現するんですのよ――
思考パターンと相手の機体性能、それらを総合的に判断し過去のデータを再現する。それにより熟練度の低い武器を扱うことと、敵機の攻撃に対する反応速度を上昇させる思考補佐システム、これがVTシステムの発展形である。
「まだまだ、
出現したレールガンが篠ノ乃箒を襲うが、間一髪で避ける。そのまま、接近する為に加速するが、思うように近づけない。
「文字通り、逃げ腰だな!」
雨月を構え、レーザーを放とうとするが、その一瞬で一夏は反転する。
「そうでもないさ!」
篠ノ乃箒は擦れ違い様に一太刀浴びる事になる。ほぼ無力化することは出来たものの、攻撃を受けた事に変わりはない。
「そんな程度でっ!」
迷いを振り払うように空裂を振るうが、エネルギー波は避けられ、雨月を構える度に近づかれる。
「……やり、辛いっ!」
背中の展開装甲を変形させ、穿千を起動させる。
――これはヒット&アウェイじゃなくて、相手を迷わせる技術なんだよ。『このままだと不味い』そう考えた相手の思考に一手を打つの――
絢爛舞踏の能力を最大に発揮し、地下全体を揺るがす様な一撃が放たれる。
「『ガーデン・カーテン』、防御力だけなら、穿千より上だな」
実体シールドとエネルギーシールドの重ね合わせによって、防ぎきる。
――『切り札』を切った後の手札を一番信じられないのは本人なんだよ――
――砲身も砲弾も見えないけど、感知できないわけじゃないのよね。ただ、相手も人間だから――
「龍咆改
一夏が両腕を前に構えると不可視の衝撃砲が形作られ、篠ノ乃箒の機体に直撃する。
「シールドも抜けない攻撃なんて!」
威力のない攻撃など、怯える必要もない。だがそれでも、不可視の砲身が数え切れないほど自分に向けられているなら、話は別だ。
「……っ!?」
――避けようと思うし、自ら当たりに来ることはない。
逃げ場がなくなると、防御しようとする――
鈴音の言葉を思い出す。
――実弾が必要ない武器じゃないわ、
打つ必要すらない武器なのよ――
全方位に対する防御策など、数が知れている。ましてや威力の低い武器であるならば、エネルギーシールドを強化すれば良い、そう考えたのだ。
「零落白夜!」
零落白夜の対エネルギー兵器に対するアドバンテージは圧倒的である。エネルギーシールドを打ち消し、直撃する。
「がっ……はっ!?」
篠ノ乃箒は切られた部分から、自己修復が始まる。最早人間技ではないが、それすらも予測済みだ。
「まだだっ!」
追撃の返す刃が襲う。
「舐めるなっ!」
空裂で受け止められる。エネルギーを発生させるのと同時に打ち消し合いになり、均衡状態になる。
「力比べで……負けるかっ!」
「「
お互いの機体から同時に、黄金の粒子が吐き出される。
「まさか……絢爛舞踏までも、か」
篠ノ乃箒が顔を歪める。均衡してるとはいえ、先ほど一度浴びた攻撃のショックは隠せないようだ。
――絢爛舞踏を破る方法?――
箒の言葉を思い出す。
――一度鍔迫り合いにもちこめば良い。そうすれば、
安定したエネルギーがある限り互角と勘違いするからな――
一対零の零落白夜と一対百の絢爛舞踏、真逆の能力の様に見えるが、勿論得手不得手がある。相手のエネルギーを相殺する零落白夜と常にエネルギーを回復し続ける絢爛舞踏、能力を全力で発動させた場合は幾らエネルギーを作り続けようが、結果としては零となるだけになる。
――エネルギーの総数が同じなら結果は零だ。
前回は九十九対百でお前の負けだったかもしれないが、
百対百ならお前の勝ちなんだ――
「――秘剣
――思いあがった鼻っ柱ごと、叩き斬ってやれ――
硬直状態から更に体全体の捻りで斬る、零距離の状態から打ちだす技と同時に零落白夜の出力を上げる。上げるといっても空裂と同出力なのだが、それで空裂本体へと刃が届く。
「……なっ?」
振り下ろした刃は空裂を真っ二つにへし折り、装甲の一部分を剥ぎ取る。更に返す刀で追撃を図る。現れた雨月と交差し、両刀共に粉砕された。
「来いっ、雪片!」
篠ノ乃箒は雨月を放棄し、雪片を顕現させる。
「零落白夜が! お前だけの特権だと思うな!」
――俺が箒に勝てるところなんて、ないよ。
特に剣術に関して言えば、あいつの方が数段強い――
「―――来い、
白銀の刃に、真紅の柄、黄金に輝く鍔と棚引く白銀の尾。
「……なんだ、それは?」
――けど、子供のころから幾度となく繰り返してきた
基本の型なら、絶対の自信があるだろ?――
「刺突・壱の型
何の変哲もない、一番最初に習う基本通りの突きが、篠ノ乃箒が手にした雪片を貫く。
砕かれた雪片と、胴の装甲ごと雪椿の刃が私の体を貫いていた。
「……ガハッ」
多量の吐血が、一夏のISを濡らす。まるで、雪を被った椿の花の様に。
「これは……私も、知らない、な」
「ああ、お前を……倒す為に作った刀だ」
そういうと、体から力が抜ける。
「一夏……」
「大丈夫だ、箒……お前を一人にはさせない」
一夏の観測者は、私だ。それがいなくなれば、シロガネ部隊の様に、いなくなってしまうのだろう。
「私は……お前と居たかったから」
ISを作りだした。一夏の事を考えた時にISの情報が付いてきたのだと。
「独りが……寂しいから」
BETAでもなく、人間でもない。中途半端な存在が、違う世界という異物を選んだ。
「こんな……はずじゃ」
殺すとか殺されるとか、そんな結末を望んだわけじゃない。それでも、醜い形に生まれて、人を絶望に貶めた自分を、許せなかった。
「い……ちか」
望んだものは、きっとそこにあるのに。本当に伝えたいことは、言葉にも成らず、虚しく心で反芻する。
伸ばした手は届かず、ハイブ崩落が始まった。
長々と読了ありがとうございました。
これでようやく一夏君の戦いはお終いです。勇者が魔王を倒す、やはり最後はこれに限りますね。
ぼくのかんがえたさいつよのあいえすに関しては、gdgdですが、何卒ご容赦いただければと思います。私の妄想力は5で農家で麦わら帽子をかぶっているレベルなので、ヤムチャにすら届きませんのでorz
長かった物語も、もう少しでお終いです。これまで暇つぶしに付き合っていただけた方がもしいましたら、最大の感謝を。