Monster Maker ResurrectionRPG FAN SS- Monster Makers' Conflict- 作:Tale=Reaper
私はリュミール、吟遊詩人だ
友人のルフィールちゃんの無事を確かめるべく
私とベステラ、それにドミニクとドブロヴォイ様で
ブルガンディを出発して港町エルセアに着いた直後
私の不注意で馬車事故に遭った
そして馬車の持ち主の貴族で船乗りの
ドレイクさんから、病院のベッドの上で
衝撃的な話を切り出された
『エミリオン姉さんがエルセアから追放された』と・・・
「何が、起きたんですか?」
エミリオン姉さんがトラブルメーカーなわけはない
優しくて暖かくて、まさに「聖女」と呼ばれるにふさわしい
天使みたいな私より年上の女性だ
「『猟犬』という連中のせいだ
ゾラリアから来たらしいが、貴族のボンボンがまだマシに見える連中だ
このエルセアにゾラリアの理屈を持ち込んで押し付けようとしやがって・・・」
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ドレイクさんの話によると、エルセアでは
ゾラリアから送り込まれた自警団が暴れていたらしい
自警団が治安を乱すというのもおかしな話だけど
向こうはそれで治安を守っているつもりなのだそうだ
「噂には聞いていたが、それほどとは・・・」
それは、あまりにも酷過ぎた
エミリオン姉さんに助けられていたのに
「魔物が聖女を狙ってきている」なんて根拠のないウワサだけで
追放するなんて・・・
「ドレイク殿、魔物が来ていると言っておられたな?」
ドブロヴォイ様はドレイクさんに質問をする
「ああ、そのせいでエミリオンは追放されちまった」
「その魔物とやらは、本当にエミリオンを狙っていたのか?
以前から襲撃は、たびたび起きていたのではないのか?」
私は、ドブロヴォイ様が言いたい事を何となく察した
単なる思い込みでエミリオン姉さんを追放したのだとしたら
それは魔物たちに対抗する強力な武器を
自分から捨てたようなものだ
魔物たちが、それで大人しくなってくれるはずがない
「そうだ、その通りだ・・・・・・
だからみんな、万が一の備えを始めている」
「それは、エルセアを放棄するという事か?」
ドブロヴォイ様の質問にドレイクさんは頷いた
「放棄と言っても限られた一部区画だけで、それも一時的なものだ
魔物どもを敢えてエルセアの中に誘い込み
海からの攻撃で駆逐する
そんで、こっそり陸側に回した戦力と挟み撃ちにするのだ」
「しつも~ん!」
ここでドミニクが手を挙げた
「それって、悪い奴ら・・・『猟犬』って連中も知ってるの?」
「もちろんだ、作戦区域もあいつらの根城がある場所だ
だがあいつらを乗せる船はないし貸し出す戦力も無い
自力で逃げるか囮になるか好きな方を選んでもらうだけだ」
その決定は「罰」と言う意味合いが強いものだと私にもわかった
「ドレイク殿、魔物はエミリオンに対応できて
数が増えても問題なかった、という事でよろしいか?」
急にドブロヴォイ様は、そんな事を聞き始めた
「ああそうだ・・・それがどうしたんだ?」
「なら、気は進まぬかもしれんが『猟犬』も引き上げた方がいい
安全な区画に移ってもらうべきだろう
でないと、魔物に餌を提供し仲間を増やす手伝いになりかねん」
私はよく分からないけど、ドレイクさんは「あ」という顔になった
「ねぇ、エミリオンお姉ちゃんが戦っていた相手って
もしかしてアンデッドなの?」
ベステラの質問で、私もやっと理解が追いついた
魔物=アンデッドなら、すべて辻褄が合うのだ
あいつらはエミリオン姉さんの前に立つことはできない
エミリオン姉さんがその肌に傷一つでも負えば
彼女の体内の聖なる力で
その場で全員「浄化」されてしまうからだ
それに、最近ウワサで聞くようになった「ベイオエント」という
あまり分からない「力」は
アンデッドに強く作用するという情報がある
まだその真偽が定かではないものの
少なくともウルフレンドのあちこちで
ゾンビの襲撃騒ぎや倒されたはずのモンスターや獣の報復騒ぎが
起きているのは事実だ
それは、私のいた団「エリミネッタ」への伝達や吟遊詩人の情報網にも
頻繁にひっかかるようになっていたのだから
「よぉし!なら私たちでやっつけちゃおう!!」
ドミニクがいきなり言い出した
「え~と、嬢ちゃんはモンクか?」
「そうだよ、ドレイクおじいちゃん!」
「お、おじい・・・!?」
あ、おじいちゃん呼びされたことにショック受けてる・・・
ちなみに「モンク」と言うのは
格闘術を駆使する僧侶(プリースト)の事だ
そういえば、ドミニクの師匠はベングで僧兵をやっていたらしいけど・・・
「そいつらのリーダーをやっつければ、魔物騒ぎは収まるよ!」
その場の全員が「ん?」と、ドミニクを見る
「そ、そうか・・・確かに知能の無いアンデッドどもが
幾度も襲撃を繰り返すなど考えにくい・・・
まして、数を増やしてくるというのは『軍略』だ
つまり、奴らには知能が高いリーダーがいる・・・!」
「こいつは、盲点だったぜ・・・」
ドブロヴォイ様とドレイクさんはドミニクの話に納得していた
「ドミニクお姉ちゃん、よく気付いたね」
「うん、前にディアーネさんと旅した時に闇のプリーストって言うのと出会って
そいつが蒼龍アリクレールってのを呼び出してきたことがあったの」
「なに!?アリクレールだと!!?」
ベステラと会話していたドミニクに急にドレイクさんは反応した
「あ、ああ悪い、知ってるドラゴンなものでな・・・
で、そいつどうしたんだ?」
「やっつけたよ、みんなで」
「んな!!?」
今度は後ろに下がってイスにぶつかってひっくり返った
「え、大丈夫!?」
「あ、ああ、すまん・・・
やっつけたのか、アレを・・・・・・」
ドミニクに助け起こされながらドレイクさんは
何やらブツブツ呟いていた
「それであいつ、弱っていたのか・・・」
そんな言葉を辛うじて聞き取れた
*
*
*
エルセアの郊外、その存在すら忘れられた古びた墓地
そこで、二つの「何か」が会話をしていた
「へぇ~、エミリオンは
あそこにもう、いないんだ~」
片方は年端もいかない少女だ
茶色のウェーブがかかった長髪に
「天真爛漫」という言葉が似あう笑顔
衣服においても特段の異常は無い
しかし・・・
「なら好都合♪
新しく補充した子たちも含めて全部差し向ければ
エルセアを私のモノにできるわね♪」
その少女が異変の元凶である死霊術師だとは
誰も思わないだろう
その足元では黒いネズミが赤い目を光らせている
「-------------」
ネズミが何かを囁くと少女は笑いながら言った
「心配ないわ、その準備もしてあるもの
エミリオンがいないなら、それをそっちにぶつけるだけ
安心して任せてよ
この、闇の軍団最強のネクロマンサーの
トゥレーヌさまに、ね」
(つづく)
解説1:トゥレーヌ
この章のボスで公式ネームドキャラです
見た目こそ無邪気な少女ですが
子供独特の残酷さを有しており、
相手を傷つけることを何とも思っていません
(脚色でもなんでもなく全部「公式設定」です
初期の書籍「リザレクションRPG」を参照していますが
彼女を含め「濃い」キャラが多いです、このTCG;)
彼女自身は闇の大魔導師「モンドール」に忠誠を誓っており
今回も彼の命令で動いていますが・・・
当の「モンドール」は酷薄な彼女に愛想を尽かしており
捨てる機会をうかがっている模様;
解説2:ネズミ
ある存在の「使い魔」です
解説3:蒼龍アリクレール
この子も公式ネームドです
元々は「ヴィシュナス」のドラゴンでしたが
彼女の空白期に狂暴化
今では手軽に呼び出せる闇の勢力のネームド戦力にされています
オリジナル設定ですが
「フランシス・ドレイクの部下の一人」が「マザーマスター」になっており
そのため倒されても短期間で復活可能になっている、と言う設定
ただ、ドラゴンライダーたちの宿命である「ドラゴンとのリンク」は切れないので
ダメージをある程度は引き受ける羽目になっており
当の本人もいい加減に辟易しつつあります
ではまた