Monster Maker ResurrectionRPG FAN SS- Monster Makers' Conflict-   作:Tale=Reaper

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第3章第1話:混乱のキルギル

 私はリュミール、天空城で謡う吟遊詩人だ

「そなた、ユリン神に似た吟遊詩人を知っているかえ?」

「もしかして、マリオンのことですか?」

 城に着いて早速ミッドガルダと謁見したので

彼女が知りたい情報を教えてあげた

ミッドガルダの伝説を知っていたので彼女の境遇も知っている

かつて神に拾われ神と恋をし

そして神になろうとしたため捨てられ狂った蛇女

 ・・・などと、言おうものなら消し炭にされかねないので

低姿勢で、あくまで情報に詳しい吟遊詩人という演技をした

 それに、愛する人に裏切られて

子供とまで引き離された彼女の過去に

私自身、少し同情していたのもある

「そうか、あの子はマリオンという名か」

ミッドガルダはそう言って頷く

 この後どうするか、私は考えた

用事がこれだけだとすると、私はもう用済みだろう

ミッドガルダが飽きた『玩具』を城から放り捨てることは有名だった

・・・さすがに、この高さは死ねる

「探して連れてきましょうか?」

 私に向かって右手をかざそうとした彼女に私は言った

何をしようとしたのか知らないけど、地上転送の保証はない

上空に放り出される前に、私は先んじて言った

「そなた、知っておるのか?」

 私は黙って頷いた

これも嘘じゃない、マリオンは吟遊詩人の間で有名なネームドだ

どこにいるのかも、情報を探ればすぐ分かるだろう

「よかろう、地上へ戻り我が子マリオンを連れて来い!」

 ミッドガルダは私に命じた

「かしこまりました」

 私は素直に応じた

「良い子だ、ハーゲンよりも役に立つ」

 去り際に彼女のつぶやきが聞こえた

 私はハーピーに連れられて地上へと降下している

さて、ここまでは計画通り

とは言ってもあの場で組み立てた即席の計画だ

まぁ、うまく行き過ぎてミッドガルダから謎の信頼を得てしまったけど

 あとの問題は・・・

「ほんと~に、マリオン様を知っているんでしょうね?

わちき、知らんよ?」

「同じ吟遊詩人なんだから知らないほうがおかしいわ」

 ハーピーが4体にそのマスターが一人、くっついてきていることだ

彼女たちは監視役だ、もちろん私の

ハーピーは冒険者にとって危険なモンスターだ

強靭な足は人間など簡単に引き裂けるし

彼女たちの翼は牛すらも簡単に持ち上げて飛べる

上空に持って行った後で離せば、それだけで簡単に私は死ぬだろう

しかも、これは通常のハーピーの話

 明らかに戦闘種の、ガッシリした上に

上半身を装甲で守っているハーピーが4体のうち二体いる

「嘘かどうかは、リィードのお父様に尋ねれば分かることでしょう」

 どこかの貴族令嬢っぽい赤いドレスに身を包んだハーピーの主人は言った

彼女は未知数だ

一見すると人間と変わらない

でも、ハーピーを従えているのだから油断もできない

それに・・・『リィード』という名前は、どこかで聞いた記憶がある

「ああ、『ガマグチヨタカ』中佐ね、あのお方のスタンドは確かに

本当かウソか見抜く能力だったわ!」

「おいペイピ、あのお方は今は准将だ!

それにこの場に部外者がいるんだぞ、ペラペラしゃべるな!」

「大丈夫よポピャー、わちき専門用語で言ってるからコイツに理解できやしないわ!」

 私の疑問に、おしゃべりなハーピーが答えてくれた

よりによって、アイツの子供の関係者か

まさか、ミッドガルダの城にまで戦力を送っていたなんて・・・

いやまてよ、前にこいつらは自分らは『元トリカゴ』と言っていた

つまり今は正式には属していないか、協力者程度の立場だろう

 それに気になることを言っていた

『スタンド』というのは私は知っている

というか、私が前世でいた世界にあったコミックで

主人公と敵が使っていた『特殊能力がある背後霊を出す』感じの能力だ

「”うそ発見器”は勘弁してくれない、私は嘘は言っていないから、ね?」

私は声をかけた

「『元トリカゴ』なんでしょ、ランプスタンドの改造品だか何だか知らないけど

そういう装置くらい持っていてもおかしくないって分かるわ」

ダメ押しにさらに言葉を重ねる

私が見当違いの事を言うことで、私が話の内容を全く理解していないと認識してもらうために

「ね、わちきの言う通りじゃん」

私の狙い通り、ハーピーたちは私が何も知らないと勘違いしてくれた

「お前はしばらくしゃべるな!」

 情報は武器だと商人たちは言うだろう

でも、私たち吟遊詩人はそれが身を守る盾になることも知っている

この場合は『知らないふり』をして警戒を解くのが賢明だと私は判断した

そしてそれは功を奏し、私は無事に地上に足を着けられた

 もっとも状況はあまり変わらない

墜落死の危険がなくなっただけで、監視付きであることに変わりはない

 ・・・と、思っていたけど

地上に降りて歩くうちに

いつの間にかご主人一人を残してハーピーたちは消えていた

「あの子たちは、私が呼べばすぐ来る距離にいます

逃走も抵抗も無駄と思ってくださいませ」

 言われるまでもない、ハーピーだけならまだしも

アイツの子供と揉めるなんて自殺もいいところだ

 私は改めて、ハーピーのご主人を見る

年齢は私と変わらないくらいだろう

整った顔立ちと汚れ一つないワンピースドレス

艶のある金髪に宝石のような瞳、

どう見ても貴族の血筋だ、もしくは王族の

「嘘じゃないことを証明するためにもマリオンを探すわ

私たち吟遊詩人は信用が命だから

 私はリュミール、

エリミネッタ一座に育てられた吟遊詩人よ」

「わたくしはニコトエ・・・

ニコトエ・イーリス・イセと申します

元伯爵令嬢です

夫はリィード・イセ大佐ですわ」

 お互い自己紹介をして、私の見立ては間違いじゃないことが分かった

”元”ということは、今は爵位も領地も無いのだろう

彼女の前の代が何かしらやらかして失ったとかかな?

「わたくしが爵位を失った理由が気になりますのね?

当然ですわね、情報を扱う吟遊詩人ですもの」

私の沈黙をそう受け取った(実際に間違いじゃない)彼女は

怒るでもなく笑ってそう言った

「王位にしがみつく醜い王の配下の座など

こちらから、捨てたんですわ」

彼女はそう切り出した

*

*

*

あたしはアルボア、キルギルで活動を開始したばかりの

闇の軍団に雇われている女闘士だ

「現地で探せば見つかるだろう」

モンタズナ様はそう言って王城近くの空き家に拠点を構えた

あの空飛ぶ船は、さすがに目立つから遠くで降ろし、

あたしたちは徒歩でキルギルに入った

同行しているのはハーフオークの戦士グロッコと

グラナール、セシリアだ

「准将殿から聞いている

なんでも、王位を譲る約束でご子息にゴーレム退治を依頼した挙句

それを反故にしてご子息を亡き者にしようとしたとか・・・」

 そりゃあ、あいつキレるわ

話を聞くまでは王族殺しとか何やってんだとか思ったけど、

あたしが間違っていた

 あたしら冒険者は慈善事業してるわけじゃない

自分の名声を高めるのだってヒーローを気取りたいわけじゃない

中にはそういうのもいるだろうけど、大体は食ってくためにやっている

信用が無ければ依頼は来ないし、

掲示板に貼られているような小さい仕事か厄介な仕事で食いつなぐしかない

勘違いしちゃいけねぇのは、信用ができる=良い子ちゃんってわけじゃないってことだ

舐められてもダメなのがこの業界だ

タダ働きで使えると思われちまったら信用が無いよりも酷いことになる

「そこから先は、まぁ・・・・・

刃を向けてきた兵士を昏倒させて傷ついた息子たちを逃がしたそうだ」

いや、その言い淀み方、絶対にそれで終わんなかっただろ!?

「当人も出ていこうとされた時に

背後から大臣が指名手配にすると叫んだので・・・

逃げるのをやめて重臣を皆殺しにしてから立ち去ったらしい」

 どういう思考したらそういう行動する結論になるんだよ!?

やりすぎだあのバカ!!

同時に、今の王がどういう状況なのか容易に想像できた

長く仕えていた重臣も騎士団長も騎士たちも、あいつがまとめて片付けたんだろう

 そうなると後に待つのは後釜を巡る権力闘争と相場は決まっている

・・・あいつのことだ、これも計算に入れてやらかしたんだろう

自分と子供に追手を出す余裕をなくすために

「准将殿を怒らせぬように、お前も気を付けることだ」

グラナールは、こう忠告してくれたけど

あいにく、あたしは半端なく惚れられてるからその心配はないだろう

「・・・来たか、赤い髪の魔女の使徒らよ」

「その言い方は好きじゃないね」

あまり会いたくない相手がドアをノックもしないで入って来る

「久しぶりだねアルボア、元気だったか?」

 ディオシェリル直属の騎士団『闇の三姉妹』長女イフィーヌ

以前に、あたしを倒して悪魔の王の生け贄にしてくれた女だ

 

(つづく)




<解説>

解説1:ニコトエ・イーリス・イセ
オリキャラ
リィード・イセ大佐とは親公認の恋仲
ハーピーを使役する魔術師の血筋


解説2:ペイピ、ポピャーたち
ハーピー部隊、元”タカ”配下
通称「ペンギン」部隊
 とある任務失敗で放逐されたところを
ガマグチヨタカに拾われた経緯があります
 その配属先は、士官学校を卒業したてのガマグチヨタカの娘の麾下で
理由は「卒業プレゼント」だったという話は
トリカゴ組織内でも有名、タカ将軍が面白がって言いふらしたから

ではまた
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