Monster Maker ResurrectionRPG FAN SS- Monster Makers' Conflict-   作:Tale=Reaper

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みんなでキルギルに集合


第3章第2話:キルギル封鎖前

 私はリュミール、詩人マリオンを追う吟遊詩人だ

ミッドガルダとの約束を守るために彼を追っているというのが

アレなんだけど・・・

 ミッドガルダの出自を私は知っている

もしかしたらマリオンと再会できたら改心してくれるかもしれない

そうでなくても、マリオンなら彼女を説得できるだろう

そんなことを考えて彼の足跡を辿るうちに、

私はキルギルに辿り着いていた

「ちょっと待ってて」

 私は宿に入ると、お目付け役のハーピー使い

ニコトエさんへ一応了承を得てから、とあるギルドに向かった

さすがにキルギルの中にハーピーを入れることはできないので

今は彼女一人だ

でも、呼べばすぐ来るだろう

 その上、彼女の旦那はあのガマグチヨタカの息子ときた

傷一つつけようものならどんな仕返しが待っているか

考えるだけでも恐ろしい

*

*

*

 一人になってニコトエは今までを回想していた

リュミールが自分をまいて逃げるなど考えていない

そのつもりなら、これまでいくつも機会はあった

わざと隙を作ったりもした

けれども彼女は逃げず、どころか真面目にマリオンを探していた

彼女の支配の及ばない、ミッドガルダ直属のハーピーもそれを見ている

すでにミッドガルダへ彼女の仕事ぶりは伝わっているだろう

ミッドガルダは冷酷だが、お気に入りには話は別だ

 彼女がリュミールを気に入っている間は

害を与えるどころか、むしろ守ってくれるだろう

 自分はどうなのか、という心配をニコトエはしていない

ミッドガルダへの協定の使者として夫とともに出向いた時から

あの魔女の協力者になるつもりでいた

 彼女と夫は少なくともミッドガルダと敵対する気はない

向こうにその気があるとしたら、それは『侵略者』との敵対を意味する

 それに、『リィードの女に手を出す』のが何を意味するか知らぬほど

愚かじゃないだろうという確信もあった

 ミッドガルダといえどそれをすれば、浮遊城と運命を共にするだけだ

相手が誰であろうと夫は必ず報復を果たすと、彼女は確信していた

 血のつながりはない(なんなら種族すら別)とはいえ

子は親に似るものだから

*

*

*

 私、リュミールはキルギルのシーフギルドを探し当てた

シーフギルドは大体どこの町にもある

キルギルのような大きな町に無いはずがない

 そして、今のシーフギルドを牛耳っている元締めはシャットさんだ

彼はお金を浅く広く吸い上げるためというより

各地の情報をいち早く手にするために、あちこちに支部を作っていた

彼は情報に関しては恐ろしく敏感でどん欲だ

吟遊詩人の私ですら舌を巻くほどに

 だから、シーフギルドに行けば彼に連絡できるだろうと考えた

私の特徴と彼の名前、それだけで私を知らないシーフであっても

元締めが探している娘だと分かっ・・・

「あなたは!」

 甘かった

シャットさんのド心配ぶりは、どうやら私の想像以上だったらしい

ギルドの近くで私を見たシャーズのシーフが

いきなり声をかけてきた

 その後、有無を言わさず建物の中に連れ込まれて

上等な客室に入れられた

その後、風呂に入れられて医師の診断まで受けさせられた

「リュミールさん、すごい歓待ですわね?」

 連れがいることと宿に荷物が置いてあることを言ったら

即座に連れと荷物が届けられた

 豪勢な夕食をご馳走になりながら、今頃シャットさんへ

私が無事だという連絡が行っているころだろうなと思った

それにしても、あれから数日程度しか経過していないはずなのに

遠い北の地から離れたキルギルのギルドにまで

私の手配書が出回っていたとは

 シャットさんの情報網は本当にすごい

もしかしたら、吟遊詩人のネットワークと互角以上かもしれない

*

*

*

「リュミールが無事って、本当かい!?」

 ここは船の上、シャットの大型船である

ブルガンディへの帰路に就いていたのだが、その進路は

情報伝達役の魔術師からの知らせで急遽変わった

「は、はい、キルギルからの連絡です・・・!」

肩を掴んで魔術師をガクガク揺すっていたシャットは

我に返った

自分がすべきことは、動揺することじゃない

「エルセアに向かうよ!

向こうの馬車も手配して、早い奴だ!」

矢継ぎ早に部下たちへ指示を出す

ひとしきり仕事を終え、シャットは一息ついた

 大事な妹分を、ハーピー相手とは言え、むざむざ目の前で攫われたのは

自分の落ち度だ

彼はずっと悔やんでいた、しかし折れてはいなかった

必ず助け出すと決意し、最悪ミッドガルダの城に殴り込みをかける覚悟もしていた

一旦、本拠地であるブルガンディに戻り必要な戦力を集めようとした矢先に

リュミール保護の知らせが入ったのだ

「あ、そうだ、忘れるところだった!」

シャットは休憩しようと船の私室のドアノブに手をかけたところで

ドミニクたちのことを思い出していた

 一足先に彼女たちは船で出ている

彼女たちにも教えなければならない

もし忘れたら、とんでもない制裁を受けるハメになる・・・

*

*

*

 あたしはアルボア、キルギルで活動を開始したばかりの

闇の軍団に雇われている女闘士だ

「久しぶりだねアルボア、元気だったか?」

ディオシェリル直属の騎士団『闇の三姉妹』長女イフィーヌ

以前に、あたしを倒して悪魔の王の生け贄にしてくれた女と

そこで再会した

どうやら今回は別々の派閥同士の共同作業らしい

その前に一発ぶん殴ってやろうかと思ったけど

後ろから二人続いたから、やめた

『闇の三姉妹』は完全に復活したようだ

あの頃はイフィーヌはまだ完全じゃなかった

だから、あたしでもマウントを取れた

けど今は・・・・・

あたしに勝ち目はない

人数でも向こうが上だ

「(ホエイ、来れるならすぐ来てくれ、こっそりと)」

 あいつに届いていることを確信しつつ、

あたしはそっと心の中で念じた

・・・特に返答はない、今こっちに向かってきてくれているだろう

無理なら無理とはっきり言ってくれる奴だし

 仕事柄なのか、察して勝手に隠密行動になってくれるのは助かる

「イフィーヌ姉さん、こいつが魔王に食われて汚されたっていう

姉さんにつっかかった無謀な女かい?」

 端正な顔立ちに切れ長の鋭い目の女が毒舌交じりにイフィーヌへ問いかける

彼女が次女のメナンドーサだろう

消去法だ、あたしはイフィーヌを知っているし

ドローネは、”すぐ分かる”から・・・・・・

たぶん『闇の三姉妹』で真っ先に名前が挙がる程度には有名じゃないかな?

イフィーヌには悪いけど、インパクトは彼女には負ける

理由は、まぁ『見れば分かる』だろう、うん

「よしなメナンドーサ、戦いに来たんじゃないんだ」

 イフィーヌに窘められ、渋々という感じで次女は引き下がった

ドローネは、後ろのほうでハラハラしつつ成り行きを見守っている

 あたし個人としては、あの「赤毛の魔女」にはあまりいい印象はない

あたしを含む赤毛の女が、アイツの風評のせいで

どれだけの迫害に晒されたことか・・・

「ところで、グラナールならそこにいるけど、どうする?」

 頭の中で浮かんだ暗い感情を振り払って

あたしは後ろであたしの陰に隠れてイフィーヌの視界から隠れていたヤツを

イフィーヌに差し出した

 生贄にされたことは、だいぶ記憶が薄くなっているけど恨みだけは忘れない

「・・・いいよ、殺す価値もない男だ」

イフィーヌはそう言って怯えて縮こまるグラナールを見下しつつ報復を断った

「アルボア、あんたと一緒にいるっていう悪魔はどうしたんだい?

すぐ傍にいるなら出してくれないかな?」

 いきなり飛び出たイフィーヌのこの発言に、不思議はない

彼女も派閥が違うとはいえ『闇の軍団』の一員なんだ

それも、派閥トップの直属の・・・

「今、呼んだところだよ」

考えを中断して一応、それだけは伝えておいた

 闇の軍団は異世界からの侵略者の『悪魔』の取り扱いに躍起になっている

グラナールみたいに生贄を捧げ力を借りに走る者

もしくは侵略者とみなし危険視する者・・・

 イフィーヌは後者だろう

あたしが生贄になった後でデーモンロードを打ち倒す手助けをしたらしいし

ウルフレンドで活動中の悪魔の情報も

ディオシェリルから聴いていてもおかしくないだろう

・・・・・そこまで考えて、気づいた

イフィーヌがホエイに何する気なのかと

 まず説得は不可能だ、あいつの魔王への忠誠心は恐ろしく強い

改心もしないだろうし、今いる勢力を裏切ったところでメリットもない

物語でよくある『人間の恋人のために魔王を裏切る魔物』とか

アレに当てはめるのは無謀が過ぎる

「じゃあ、呼べばすぐ来る距離にソイツはいたわけだね」

 どういう意味で言ったのか、だいたい察しはつく

「あたしが、アレをあんたたちにけしかけると思ったの?

ディオシェリル様と揉めるのをアレがすごく嫌がっているのに?」

 思い出したけど、アイツ確かディオシェリルに詫びたとか言っていた

まぁ、イフィーヌにちょっかい出した あたしの尻ぬぐいなんだけど

「どうやら、あんたはアイツを完全に制御できるわけじゃないみたいだな」

 イフィーヌは、あたしがアレを使役していると思っていたらしい

とんだ誤解だ

「そりゃそうだ、あたしはグラナールと違って

悪魔どもの制御方法なんて、これっぽっちも知らねーんだからね」

あたしがあっさり肯定したんで、イフィーヌは驚きの表情を浮かべた

見たかったんだ、その顔♪

 ホエイには感謝しとかないとな

逆恨みかもだけど、まず一つ意趣返しできた

「じゃあさ、なんで一緒にいるんだ?

アイツ、あんたを食う気じゃないのかい?」

「アイツが一方的にあたしに惚れてるだけだよ!」

 ・・・ムキになりすぎた

そう気づいた時にはイフィーヌは妹たちとヒソヒソし始める

「おいおいおい、あの魔王といい

悪魔どもの女の趣味はオークと並ぶレベルなのかな?」 

「ちょ、メナンドーサ姉さん、失礼よ

本当のこと言っちゃ・・・」

「ドローネ、お前が一番ひどいことを言ってるよ」

 どうせ、あたしの容姿はそんなもんだよ・・・

「ただいま到着しました」

「おい、頼むから空気読んで入ってこい」

 当たり前のように『壁』をすり抜けて入ってきたバカへ

あたしはツッコミを入れる

いや、呼んだのは あたしだったか

あと問題はもう一つ

 別にもう一人、明らかに『同類』な奴が一緒に来ていた

「来てくれたか」

 それまで沈黙していたモンタズナ様が口を開いた

「もちろん、時間通りに

我々にとって『契約』は絶対ですから・・・」

 新手の悪魔が口を開いてしゃべった 

流暢な共通語を話す悪魔という時点で、そいつの実力が知れた

なんとかナイトメアとは違う、知能も実力も高位の悪魔だろう

 それに、ホエイは明らかにそいつに気を遣い

護衛している素振りを見せている

何が起きても即座に対応できる位置に常にいる

 つまり、この新手の悪魔はコイツの上役の可能性が高い

つまり、ホエイよりも上の実力者が今回絡んできたわけだ

「ではこれより、キルギルを我ら『闇の軍団』の手中に入れるための

重要な会議を始める

見ての通り、今回はディオシェリル派と

そして悪魔たちとの共同作戦になるぞ」

 会議は始まった

会議に先立って新手の悪魔が恭しく礼をする

「自己紹介をしましょう

私はヴァンパイア・ノーブルと呼ばれる者

以後、お見知りおきを・・・」

・・・とんだ大物が関わってきたものだ

同時に、あたしはこの作戦が相当ヤバイことを察した

 

(つづく)




<解説>


解説1:ドローネは、”すぐ分かる”
 間違える人は多分いないと思います
というか、三姉妹の中で知名度ダントツかと
結構特徴的な髪形のせいなのか、三姉妹から離れて闇の軍団に入って
単独で活躍していることもあったりしますね
なお、小説版マジックマスターでは子持ちになっていたり・・・

あの髪型ってどうやってああなっているんでしょうね?


解説2:ヴァンパイア・ノーブル
 ついに本格的に動きます、悪魔側の重鎮
グラナールが召喚した悪魔ではありません
一応、今回の契約依頼相手はモンタズナ様

ではまた

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