Monster Maker ResurrectionRPG FAN SS- Monster Makers' Conflict-   作:Tale=Reaper

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あちこちで同時に重要な事態が動きます


第3章第4話:疑念と疑心

 私はリュミール、封鎖された都市キルギルの中で

人探しをする吟遊詩人だ

 ドミニクとベステラと合流した私は、マリオンを探した

ミッドガルダの依頼であることは、合流した二人に話してある

それと、私の希望も・・・

 最愛の子供と別れさせられたことが彼女が堕ちた原因なら

その息子に再会できれば、彼女は持ち直すかもしれない

 改心はできなくても、マリオンの頼みを無碍にすることはないだろう

少なくとも今の光と闇の戦いの情勢を少しでも有利にできる

ミッドガルダがボイコットするだけで、闇の勢力の痛手は

だいぶ大きいはずだ

「絶対に、マリオンとお母さんを会わせてあげるからね!!」

 ドミニクは顔から出るもの全部出しながらニコトエさんに迫った

「え、ええ、お願いします」

 ニコトエさんが助けて欲しそうにこっちを見るけど、どうしようもない

ドミニクはこういう性格なのだ

 ついでに言うと、彼女は孤児であり『お師匠様』に育てられた過去を持つ

だから、息子から引き離され神々から追われたミッドガルダと

母から引き離されたマリオンに自分を重ねてしまっても致し方ないとは思う

「とりあえず、情報取集を始めましょう

まずは酒場で聞き込みをやるわよ」

 

 最初に入った酒場で私は盛大に転んで床に顔面を打ち付けた

「だ、大丈夫かいお嬢ちゃん?」

 気のよさそうなドワーフの戦士が心配してくれた

「は、はい、ダイジョブでふ・・・」

 私は鼻をハンカチで抑えつつ立ち上がった

目の前には、酒場の吟遊詩人の席で詩を謳うマリオンがいる

「いたね、マリオンさん」

「お取込み中のようだから、終わった後で話しかけましょう」

 幸い路銀はある、というか定期的にニコトエさんがミッドガルダから貰っている

だから、お金に困ることはない

 私たちはマリオンの詩が終わるまで料理や飲み物を注文して待つことにした

彼と話をする際には、彼の分も用意したほうがいいだろう

 

 後で聞いた話だけど

報告を受けたミッドガルダは、恐ろしいくらい上機嫌だったらしい

 

*

*

*

あたしはアルボア、闇の勢力に雇われる女闘士だ

「そなたたちが、私を守ってくれるのか?」

「はい、我らは闇に属するからこそ

光の法には縛られぬゆえ・・・」

 今は、キルギルの王城の謁見の間にいる

モンタズナ様を先頭に、あたしたちは王に傅いていた

・・・正直、あたしはヒヤヒヤしている

ここで先代の王と重臣を報復で虐殺したのはホエイだ

 アイツと あたしらの関係は知られるわけにはいかないだろう

そのあたりは分かってくれているのか、ノーブルは今はいない

「陛下が下した判断、先が見えぬケフルやゾラリアは承知しないでしょう

無知蒙昧の輩には賢人の策は理解出来ぬものです」

「う、うむ、その通りであるな、して、どうすればいい?」

 モンタズナ様がここまであっさりと王に受け入れられているのは

事前に『占い師』が予言してくれていたからだ

『陛下の助けになる魔術師が、間もなく訪れる、重く用いるべし』とか

 この部屋に来る途中ですれ違ったけど、フードからはみ出ている真っ赤な髪と

イフィーヌたちがこっそり示した敬礼で、誰なのか分かった

 彼女らがそこまでの敬意を示す相手は、一人しかいない

 ホエイが平謝りに謝ってくれたおかげか

前にあたしがイフィーヌ相手にしでかしたマウント行為を咎められることもなく

彼女は去っていった

「立つがいい、友よ

そなたにその姿勢は似合わぬ、余の傍に来て支えるがいい」

「御意にございます」

 このわずかな時間で、モンタズナ様は王の心を掌握してしまった

あたしには到底、マネできない芸当だ

「あの王様、バカなんじゃないの?」

「しっ、聞こえたら水の泡だぞメナンドーサ!」

 言うまでもなく、王に対する闇の三姉妹の評価は散々だ

あたしも同意見だよ、まったく・・・

 同時に、このキルギルはとっくの昔に闇の軍団の手に落ちていたのだと悟った

それに、闇の軍団と協調している悪魔たちの手にも

「王よ、まずはケフルへの備えをするべきです」

 モンタズナ様は言われたとおりに立ち上がり、王の傍へ近づいて言った

あたしたちも、王の合図で出てきた使用人たちが用意した椅子に今は座っている

「ケフル?

ゾラリアではないのか?」

「貴族どもはお互いを食い合うことで忙しく、こちらに手を出すのは先のことでしょう

しかし、オークの脅威に常に晒され続けるケフルは、そうではありませぬ

すでに王の勅命により、キルギルからケフルへの補給は断たれております

 ただ与えられた餌を貪ることしか知らぬ豚どもは、餌が急に与えられなくなれば

たちまち不満を露わにし、飼い主に食らいつくものです」

 『オークの脅威に晒されている』という点を敢えて出しながらモンタズナ様は言った

「う、うむ、確かにそのとおりである

余は・・・否、代々のキルギル王はケフルに常に補給を続けてきたのも事実だ」

「恐れながら申し上げますが、その代々の王の御慈悲をケフルはそうとは思っていないかと

彼奴らめは、キルギルからの補給を当たり前のものとして受け止めております」

「なんと、不遜な!」

「まったくもって、その通りです

そしてそれは、オークの国が滅びた後の今も続けられて来ました

オークの定期的な侵略を口実に」

 ここで、モンタズナ様は黙った

沈黙が場を支配する

「・・・ケフルは、今の、弱体化したオークどもになら、独力でどうにかできるのではないか?」

 沈黙を破ったのは王だった

モンタズナ様はそれに頷く

「然り、されど彼らはキルギルに甘え続けることが当たり前になっております

己のみで十分対応が可能でありながら、キルギルに頼り続けているのです」

 ここで、モンタズナ様は言葉をいったん切る

そして続けた、王への賛辞を

「実は以前から、ケフルの甘ったれぶりは我が胸中を不快にしておりました

王が下された勅命こそ、我が意でもあり、キルギルの民の意思でございます

感服いたしました」

モンタズナ様は丁寧にお辞儀する

「しかし、ケフルはそうは思わぬでしょう

彼奴らはまず困惑し、続いて怒るでしょう

我がままを聞いてもらえなかった駄々っ子のように醜悪に」

 モンタズナ様は再び黙った

あたしたちは顔を見合わせた

つまり、モンタズナ様は近いうちケフルがキルギルへ攻めてくると言いたいらしい

「・・・なんと、理不尽な!

恩知らずにも程があろう、ケフルめ!」

 王は激怒し立ち上がった

「幸い、今のキルギルには数多くのネームドがおります

ケフルが来たら、彼らに戦ってもらいましょう

ケフルの侵略を食い止める戦いならば、光の勢力も文句は言いますまい

正義はキルギルにこそあるのです」

「うむ、その通りだ!」

 まるで長年仕えた重臣の意見を取り入れるかのように、

王はあっさりとモンタズナ様を肯定した

 

 その日のうちに、モンタズナ様はキルギルの宰相の地位を得た

あたしたちも将軍とかの相応の地位に就くことになった

 言うまでもないことだけど

魔導師たちの部隊を与えられたグラナールは晩餐会の間、上機嫌だった

「我が部族ノルズリの復興の第一歩に、乾杯!」

 そして、なんであんたがここにいるんだ長?

この人の神出鬼没は今に始まったことじゃないとはいえ

 さすがに、先代の王と家臣を手にかけたホエイはこの場にはいない

・・・あたしは、いつの間にか

傍にアイツがいることが当たり前になっていた自分に気が付いた

 ・・・いや、もっとずっと昔

アイツと出会っていたような気もする

*

*

*

 キルギル王は不安から解放されて上機嫌だった

口うるさい先代の王からの家臣よりも目の前の偉丈夫は信用できた

 何より、彼は有能な賢者だ

軍師としても優秀な人材であれば

占い師の言うことを受け入れることに口うるさく言ってくる連中も文句は言わないだろう

 時々フラッシュバックする前世の記憶が頭を痛める

その時の自分は南のほうにある蛮族の地を任された領主だった

 蛮族の反乱の最中に父である先代領主は病死した

跡を継いだ自分は、今後のため敢えて父の遺言を無視した

 奸臣を斬り妹を守った捕虜を法に則って処刑するようにその師匠に命じた

 友が取り付けた手打ちの休戦協定も破り捨てたが、さすがに怒った友にボコられ説得された

そして休戦の意思を示すべく蛮族の長へ話し合いに出向こうとした矢先

「(裏切者には、報いを受けていただきます)」

 突如、耳に届いた声が最期に聞いた音

自分の下半身と、それと自分めがけて倒れてくる館の塔が最期の光景だった

 その記憶を取り戻したのは、つい最近

図書館で調べた記録によれば、その同時期に蛮族は壊滅していたらしい

 自分を始末したのは、報復なのだろう

そういえば、彼女らの長は悪魔と結婚していた

 そいつの名前は、確か・・・・・・・・

*

*

*

「キルギルが封鎖されたとは、どういうことだ!?」

 ここはケフルの城の会議室、キルギルの封鎖の一報で混乱の極みだ

最悪なことに、『グレードンの復活』の事実は確認され

砦が次々と攻め落とされているのが現状である

「キルギル王家が闇の軍団の手に落ちたのではないか?」」

 闇の魔導師モンドールがグレードン王の側近にいることは、周知の事実だった

ならば、闇の軍団がキルギルにまで手を伸ばしていてもおかしくはない

 ケフルの王は頭を抱えた、このままではケフルどころか

メルキアはオークに蹂躙されるだろう

 ゾラリアの貴族たちは、ケフルが陥落してからでも余裕だと考えているからアテにならない

実際にそうなった時は、シャーズやエルフらとの連合軍で撃退した歴史がある

 しかし、オークの国家滅亡に調子に乗ったヒューマンの『ヒューマン第一主義』の歴史は

彼らとの協調を不可能なものにしてしまった

 王は決断を下した、最悪よりも少しマシになるだろう最悪を実行する決断を

「キルギルに偵察を送れ、状況が判明次第・・・」

 一瞬だけ、躊躇ってから彼はつづけた

「最悪の場合は、ケフルを放棄!

キルギルを攻め取り、そこをメルキアの最終防衛ラインとする!!」

 




<解説>

現キルギル王について:
 『大戦』でしくじってベングの部族の反乱を招いた領主の息子が前世です
直前まで決まりかけていた休戦を蹴ったのが決定打になり始末されました
 転生しても変わらなかった模様


モンドールがグレードン王の側近にいる:
 この御方、グレードン王がよほどお気に入りなのか
このずっと後の「RPG」の時代になっても
彼を復活させるべくアレコレやっていました



ではまた
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