Monster Maker ResurrectionRPG FAN SS- Monster Makers' Conflict-   作:Tale=Reaper

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すいません、少しバタバタしていて遅れました
この章のメインイベントの導入、開始します


第3章第6話:動乱の小火

第2部第3章第6話:動乱の小火

 

 私はリュミール、旅の吟遊詩人だ

キルギル王城の廊下を今、歩いている

 吟遊詩人マリオンの名前だけで、あっさりと王へのお目通りが叶った

彼のネームドとしての知名度と実力がうかがえる

 さすがに武闘派僧侶のドミニクと子供のベステラは中に入ることは許されなかった

 ハーピーのリーダーをやってるニコトエさんは

「城にいる魔術師にハーピーたちとの会話を聞かれる恐れがある」と言って辞退した

 確かに、ハーピーはその素行から人間に好かれているとは言い難いモンスターだ

ましてミッドガルダの手下ともなれば、なおさらだろう

その悪行は伝説にいくつも書き記されているし

 そういうわけで、私と一緒にいるのはマリオンだけだ

「よく来てくれた、マリオン」

 王は、私を空気扱いしてマリオンにだけ声をかけた

私は殴りかかりたい衝動を抑えつつ、マリオンに倣い跪く姿勢を維持する

「まずは一曲、聞かせてくれ

私のこの不安を、取り払う詩を・・・」

 王のその声は憔悴しきっていた

マリオンは一礼して、素晴らしい詩を謡う

 それは、英雄の活躍の物語だ

おそらく、ディアーネさんの前世の

(『聖なるオノをぶん回すお姫様』って、あの人しかいないだろう)

「ありがとう、部屋は用意してある

そこの女の分もな

いつまでも逗留しててくれ」

 歌を聞き終わった王は、私たちにそう告げた

心なしか、先ほどより幾分か憔悴は和らいでいる

 でも、その言葉で私は悟った

王は私たちを城から出す気などないということを

「お待ちください、王よ

今の情勢をお伝えいたします」

 マリオンは機転を利かせて、謡うように情勢を王に告げた

どうやら、思った以上に危機的な状況らしい

 

・キルギル封鎖のタイミングでオーク王グレードンが侵攻をしてきた

・キルギルからの補給が途絶え、ケフルは滅亡の危機

・ケフルは状況打開のためケフルを放棄してキルギルに攻め込む案を採用し準備段階である

 

 まとめると、こんな感じだ

本当にシャレにならない

「分かった、後で臣と将を集め会議を開こう」

 キルギル王は他人事のようにそう言った

どうやら、彼の関心は別のところにあるようだ

 闇の軍団の魔術師が背後にいる可能性を、私は察する

それも、心の掌握に長けたネームドだろう

「私はこっちの部屋にいますね」

 用意された部屋は二つ

豪華な部屋をマリオンに勧められたけど、私は隣の召使用っぽいほうにした

 同じ部屋じゃなくてよかった

マリオンと相部屋とか豪華な部屋を譲られるとか、ミッドガルダの怒りを確実に買ってしまう

もしくは彼女を『母』と呼ぶ羽目になってしまうだろう

 それだけは避けたい、彼女を母と慕うハーゲンと

その相棒のヴィラフレックとも知り合っている手前、なおのこと

「これから、どうしようかな?」

 私はいざという時のために体力を温存することにした

ついでに、情報を頭の中で整理して今後を予想する

 これから起きる内容で考えられるのは、ケフル軍によるキルギルの掌握だろう

オークと戦うためにも、戦力の温存はしたいはずだからヒューマン同士での戦闘は避けるはずだ

 だとしたら、必要最小限の犠牲、王を暗殺しその混乱を突いて内に入る策を選ぶだろう

歯向かうキルギル王の派閥は切り捨て、ケフルの王が代理を名乗り出て、おしまい

 いささか乱暴だけど、グレードンが復活しヒューマンへ牙を剥いている今は非常時だ

気にしている余裕はないだろう

 ゾラリアの応援は望めない、あそこの貴族たちは相変わらず自分本位の政争に明け暮れている

ヒューマン全体の危機であるはずのグレードンの復活すらも利用しようとしている

 ケフルやキルギルが陥落したとしても、ゾラリアにまで手が届かなければ痛くも痒くもないだろう

火薬の発明、鉄砲の開発があるまではシャ-ズやエルフらの連合と

その前はドラゴンライダーたちと組んで、やっと撃退できたはずの脅威なのに

 皮肉なことに、対抗手段はどれもヒューマンの側から切り捨てる形で失われ今はもうない

もしかしたら今のグレードンの復活は、奢り切ったヒューマンへの歴史からの警告なのかもしれない

「・・・待って」

 私はバッグの中から地図を出して確認した、ケフルとつながっている道を

「・・・これは、使えないかしら?」

 地図を見なくてもこれまでの話ですぐに気づけることだった

どうして今まで気づかなかったんだろう?

 そんなことを考えながら、私はこの情報を活かす策を考えた

*

*

*

「お姉ちゃんたち、大丈夫かな?」

 リュミールと切り離されたドミニクは、ベステラからそう切り出された

「いざとなったら、私が城に殴り込んででもリュミールたちを助けるよ!」

 ドミニクはベステラの頭をなでながら笑顔で言った

自分を拾い育ててくれた師匠は、ディアーネ王女を助けるため犠牲になった

 師匠から話に聞いていた姉弟子は、闇に走っていたため自分の手にかけた

それでもドミニクは前を向いて進むことを心に決めていた

 いつの日か転生したお師匠様に出会ったときに、褒められるように

「今のキルギル王は恐ろしいほどの臆病者と聞きます

マリオン様に万が一、傷一つでも与えたらどういうことになるか

それを身を以て知るほどの度胸は無いでしょう」

 ニコトエは告げた

それは魔女ミッドガルダを本気で怒らせることを意味する

 闇の軍団ですら、どうしようもない神代の時代からの伝説の魔女

彼女に睨まれれば、泣きつく先は神以外にないだろう

「悩んでても仕方ないよ、情報を集めよう」

 ドミニクは、こういう時にリュミールなら何をするかを考えながら口にした

「そうだねドミニクお姉ちゃん

リュミールお姉ちゃんも、きっとそうしてるよ」

「う、うん・・・」

 ベステラに内心を見透かされたような気がして、ドミニクは一瞬ドキッとした

*

*

*

 あたしはアルボア、闇の軍団に雇われている女闘士だ

 ディオシェリル様のところの会合が予定の時間まで一旦お開きになった

三姉妹もディオシェリル様もどっかに行っちまったので、

あたしも食事に出かけたところでホエイに出くわした

(タイミング的に、姿を隠してずっと待機していた可能性もあるけど

怖いから考えるのは途中でやめた)

 今の外は真っ暗、真夜中っぽいけど朝まで開いている料亭くらいあるだろう

「どこかで食事にしましょうか?」

「普通の食事にしてくれよ」

 こいつには持っている弁当が保存食ばかりだった前科と

変なものばかり食おうとする前科があるからクギを刺しておく

「あと酒はなし、いつ何が起きてもいいようにしておけ」

「はい」

 ちょっと上から言い過ぎたかなと思ったけど素直に応じてくれた

『侵略者(トリカゴ)』の将軍なだけあって、話の内容は納得してくれてるんだろう

司令官なのに切り込み隊長も兼ねてる奴は、こいつくらいだろうけど

「動くな・・・」

 暗がりから出てきた男が刃物を突き付けた、ホエイに

「お前もだ、こいつの・・・・・!?」

 男は、あたしにかける言葉の途中でホエイから飛びのいた

その刃から血が滴り落ちている

「っやろぉ!!」

 あたしは構わず大剣を両方とも抜いた

「は、はなせ!!」

 男の言葉に違和感を感じて、あたしはまじまじと見る

男の右手をホエイの右手が抑えていた

ただし、手首から先だ

「キシャアアア!!」

 人間にはあり得ない咆哮を、ついさっきまで話していた相手が放つ

残った左手には刃物が貫通した傷跡、それがみるみる塞がっていく

 同時にツメを伸ばして貫き手の形で相手に向けた

「待て、戦いに来たわけじゃなさそうだよ」

 あたしは完全に戦闘モードに入ったホエイに言った

「そ、そうだ、悪かった、傷つけるつもりはないんだ

そいつが、オレのナイフにいきなり左手をぶっ刺しやがって・・・

そもそもオレらはそういう仲じゃないだろ、アルボア?」

「とりあえず刃物をしまえ”雲隠れ”ロベール

あんたがいるのは、こいつの間合いだ」

 敢えて名前を出したのはホエイにも知り合いだと分からせるためだ

「あ、ああ・・・大丈夫だ、オレは敵じゃないぞ

さっきのは、その、挨拶みたいなものなんだ、許してくれ、な?」

 ロベールは短剣を鞘に納めて両掌をホエイに見せた

「あたしの、兄弟弟子なんだ」

 どうするべきか困ったのか、あたしに視線を向けてきたホエイへ

あたしはそう告げた

視線をあたしに向けつつ、当人は左腕をロベールに向けたままだ

視界も多分ロベールを内側に入れている

『弓矢みたいに発射する気だな、こいつは・・・』

 構え方から、あたしは推測した

ロベールがおかしな真似をしたら、こいつは躊躇しないだろう

「それで、あたしに何の用事なの?」

 ホエイを抱き寄せ腕で抱きしめながら、あたしは聞いた

・・・腕の中でホエイが大人しくなったのが分かる

ロベールの右手に掴み掛っていた右手も、浮遊して持ち主の右手に戻った

 安心した表情を浮かべてロベールは口を開いた

「あんた、闇の軍団に入ったんだってな?

それで、そのモンスターも従えてるわけか」

「いや、こいつはノーブルんとこに身を寄せてる侵略者の残党」

 かなり省略してるけど、嘘は言っていない

「おいおい、闇の軍団はヴァンパイアとも手を組んだのか?」

「そんなところだね」

「キュフフフフフ♪」

 首のあたり撫でてやったらホエイが変な鳴き声を出してきた

いやもう本当にどうしたんだよ?

 さっきとはまるで別人だ

「で、さっきの質問に答える気はないの?

あたしたちこれからメシ食うところなんだけど」

 それを聞いて、ロベールは言った

「なら、いいところを紹介してやるぜ

キルギル王相手の大博打だ、闇の軍団の協力が欲しい」

 あたしはロベールの言葉に、なんとなくキナ臭さを感じた

が、うまくいけばモンタズナ様からたっぷり褒美を貰える可能性もある

「じゃあ、案内してくれよ」

 あたしの中の天秤は危険よりも多額の報酬のほうへ傾いた

ずっと以前からこの生活を抜けて、ゆったりした暮らしがしたいと思っていた

うまくいけば、今度こそそれが可能になるだろう

 

 

 

(つづく)




<解説>
「この生活を抜けたい」:
 公式でアルボアさんの『目的』になっています
もう一つの目的の「任務遂行」が5なのに対して、
こちらは10です
 強めです

ではまた
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