Monster Maker ResurrectionRPG FAN SS- Monster Makers' Conflict- 作:Tale=Reaper
仕事などでまた色々とバタバタしていましたが、ようやく再開しようとした矢先
背中を痛めました(;;)
根性で再開します、過去に出したSSも順次見直して修正して行く予定
本当に、痛かったです・・・;;
私はリュミール、つい昨日までお城の召使のお部屋に寝泊まりしていた吟遊詩人だ
今は、部屋の内装はマリオンの部屋と大差ないほど豪華になっている
今朝方に起きた事件で、ドミニクがキルギルに入り込んでいたモンスターを倒したらしいのだけど
彼女が私の仲間だと分かったら、途端に扱いが変わった
それより、『恐ろしく重い怪物』『倒したら爆発した』という情報が、
私の心の中で引っかかっていた
「・・・まさかね」
闇の軍団が作った魔物だろうと私は勝手に結論付けた
こんなファンタジーの世界にまで、私を手にかけ転生させた元凶である『未確認生命体』が
来ているはずはないだろう
いや、なんかそれっぽいやつがいた気がするけど
アレはたぶん悪魔、腕を伸ばす能力も魔法的な何かだろう、うん!
私は今はマリオンと一緒にキルギルの王城に軟禁されている
城から出られないだけで、食事も散歩も自由にできるけど
今は「城から出られない」のが、とてつもない問題だ
手紙でのやり取りはマリオンの助言で可能になったものの
できれば、直接話し合って事態を打開したい
こうしている間にも、闇の軍団は策略を練って計画を実行しているだろう
そちらはキルギルにいるネームドの冒険者たちに任せっきりでいいかもしれないけど
何もできない自分がもどかしい
そんなことを考えていた時だった、見かけない人間が廊下の向こうから歩いてくる
侍女たちの様子からして侵入者ではなさそうだけど、精悍な顔つきに
服の上からでも分かる、がっしりした体躯
その後ろから付いてくるのは、かつて対峙したアルボアのような赤毛の娘だ
・・・私は彼女を知っている、吟遊詩人という商売上でのお得意様で親しい友人だ
彼女も私を見て気づいた後、「し~」と、右手人差し指を立てて呟いた
「知り合いか、メアーリ」
「ううん、人違いだったみたいやで、後でな」
私は、二人の会話で誰なのかを察して青ざめた
凄腕の殺し屋ゴラン、『暗殺』という行為に関しては追随を許さないネームド
それが、このキルギルの王城にいる、自らが娘同然に育てた『ブラッディ・メアリ』と共に
目的は火を見るより明らかだ
マリオンは今、王のところで詩を披露している
早く彼と話し合わなければ、ゴランが行動を起こす前に
マリオンが詩を終えて謁見の間から出てきたところに声をかけようとした時だった
「も、申し上げます!」
慌てた様子の兵士がマリオンと入れ違いに駆け込んできたのだ
「市街地にて、民衆が決起しました!」
キルギル王が絶句して立ち尽くす様子が、
開きっぱなしの謁見の間の扉の前の廊下から見ることができた
「決起だって!?」
マリオンが珍しく慌てた声で言うけど、私としてはいつか起きるだろう出来事だと思ってはいた
まさか、私が元居た世界で昔あったみたいな市民革命には、ならないと思うけど・・・
「このキルギルには、ネームドがたくさん閉じ込められているんだ
彼ら彼女らまで、それに加わったりなんかしたら・・・!」
続いたマリオンの言葉で、私は事の重大さを理解した
冒険者は聖人君子じゃない、荒事慣れした旅人だ
冒険者は正義のヒーローではない、時として盗賊になることもあるし闇の軍団に雇われるやつもいる
そしてネームドともなれば、どの勢力も欲する実力者だ
さらに言うと、キルギル王のやり方は自由を愛する冒険者の敵意を買うには十分すぎた
城の兵士よりも強い冒険者が一斉に牙を剥いたら、ひとたまりもない
それに、自己保身で閉鎖したキルギル王を助ける王も都市も無いだろう
キルギル王は自業自得で孤立無援になった上、とんでもない敵を作ってしまったのだった
*
*
*
数刻後のどこかの部屋の中
「そうかそうか、友達がいることくらいで、そう恥ずかしがるな」
先までの固い雰囲気はどこへやら、ゴランは柔和な表情で笑った
「恥ずかしがってなんて、あらへんで!」
そう叫ぶメアリの顔は彼女の頭髪のように赤くなっていた
*
*
*
あたしはアルボア、闇の軍団に雇われている女闘士だ
「よくやった、我が使徒アルボアよ」
”雲隠れ名人”ロベールを連れ帰った あたしは
モンタズナ様から褒められた
ロベールは、かつては あたしやドミニクと同じように
”拳聖”ペリエール様の弟子だった
けれど、こいつはプリーストの教えでは世直しはできないと見切りをつけて
ペリエール様の元から去って、ゾラリアで怪盗紛いのことをしていた
幾度か捕まって断頭台に送られたものの、その度に民衆や貴族たちの前で脱出した
あたしの頭でも分かる
こいつは脱出劇を演じるために、わざと捕まっていたんだと
そういう内容の話をロベールに連れて行かれた路地裏の酒場で
ロベールの仲間たちから散々聞かされた
ロベールは今までの名声を材料に、脛に傷ある連中のリーダー格に収まっていたんだ
あたしに声をかけたのも、単に あたしを仲間に入れたいだけじゃない
ロベールは、あたしがモンタズナ様に雇われていることを知っていた
だから、あたしを通じて自分たちが『闇の軍団』に正式に入れるようにしたのだ
さすがに、あたし一人の決定で同行できる問題じゃないから、
ロベールをモンタズナ様に会わせることにした
もっとも、今は悪魔使いのグラナールがアレコレ工作したおかげで
悪魔が相当数、出入りしている派閥なわけだけど
ロベールが普段付き合いのある『闇の騎士』たちはモンドール様の派閥だけど、
モンタズナ様も闇の軍団の重鎮であることに変わりはない
そういうわけで今に至るわけだけど、モンタズナ様はあっさりとロベールたちの軍団入りを許可した
「よろしいのですか、モンタズナ様?」
様子をモンタズナ様の後ろから伺っていたグラナールが、案の定割って入ってくる
「この者はモンドール派と親しい男ですぞ?」
「問題あるまい、今度の作戦は闇の軍団の全体が加わる作戦だ
派閥争いなど、些事よ」
今回ばかりは、あたしもグラナールの憂慮には賛成だ
『闇の軍団』の派閥争いは、殺し合いの戦闘になることも結構ある
あたしも昔はその争いに参加したことがあった
今のところの闇の軍団の行動は、こうだ
・モンドール:オーク王グレードンを復活させ、オークの軍団をメルキアに進軍中
・ディオシェリル:占い師としてキルギル王を誑かし、王家内部に浸透中
・モンタズナ:キルギルの民衆の王家・貴族への不満を高める
各リーダーがそれぞれ各方面で自分の特技を生かして作戦を実行中だと分かる
あたしが所属しているモンタズナ派は、グラナールが中心になって不満を持つ人間を煽り
その闘争心に火をつけて回っている
こういうことはグラナールの得意分野だ、あいつは人の心を話術で巧みに誘導する
さらに、悪魔を使って異変を起こして人々の不安をより掻き立てることもできる
そこへ、作戦内容の打ち合わせが終わったその日のうちに、あたしがロベールを連れ帰った
彼は、すでにちょっとした規模のグループのリーダーだ
しかも、誰も彼も王家や貴族に不満を持っている
リーダーのロベールも例外じゃない
つまり、モンタズナ派の仕事はロベールを抱き込んだことで相当進んだ
「キルギル王家を、オレたちで潰してやろうぜ!」
ロベールは連れ込んだ仲間たちと元々この場にいたモンタズナ様の配下の戦士たちに宣言した
「おおおー!」
連中はそれに歓声で応える
・・・いいのかな?
ロベールに乗っ取られるほど甘い組織じゃないと思うけど、この状況は組織の長としてどうなんだろう?
そう思ってモンタズナ様を見たら、当人は満足そうに笑みを浮かべていた
「アルボア、お前も戦力として参加するがいい
グラナールにセシリア、お前たちもだ」
自分は無関係だろうと思ってお茶を啜っていたグラナールは
むせながら目の前のテーブルの上と自分の胸と床に口の中身をぶちまけた
「各々が目の前に出てきた各々の標的を殺すということで、異存はありませんね?」
「獲物がかち合ったときは、その時に改めてルールを決めればいい」
「あ~、楽しみですわ~、人間たちの恐怖を早く味わいたい」
ホエイたちは、離れた場所で悪魔同士で何やら会話していた
会話内容も、かなり物騒だ
グラナールは、ちゃんとこいつらを制御できるのかが、あたしの心配の一つだ
・・・訂正、ホエイは少なくとも あたしが制御できるから、あたしがどうにかしよう
*
*
*
キルギルでは、ある事件が起きていた
路地裏に市民の死体が転がっているのが発見されたのだ
目撃者はいたが、犯人は捕まっていない
なぜなら・・・
「オレは見たんだ、でかい二足歩行のノミが人間を襲っているのを!!」
と、いう目撃者の聴取が行われている最中
「ぎゃあああああああああああ!!」
とんでもない悲鳴とともに、硬いもの同士がぶつかった音が響いた
その後、大きな爆発がキルギルの上空で発生
役人たちが現場周辺を調べたところ、バラバラになった巨大な何かの死骸が見つかった
「びっくりしましたよ、あんなでっかいノミなんて冒険してても見たことないんですから!」
そのモンスターを退治した人物はすぐに見つかった
彼女はドミニク、旅のモンクだ
仲間がお城に呼ばれてしまったので、宿屋で他のメンバーと待機していたところ
窓を壊して入ってきた巨大なノミを発見、仲間の女の子にソレが襲い掛かろうとしたので
悲鳴を上げながら咄嗟に上空目掛けて蹴飛ばしたという
曰く、城壁の向こうまで飛んでいくことを狙って蹴ったらしい
しかし役人たちを恐怖させたのは、ここからだった
『死骸をできるだけ集めたが、重すぎて運べない』という報告が上がり
荷車が出されることになった
しかし、それでも運ぶことはできず、結局は馬車を用意してようやく運搬できた
それも戦場へ物資や武具を送り届けるための馬車である
コレを、あの娘は蹴飛ばして空高く打ち上げたのだ
「あの娘には、絶対に手を出すな」「怒らせるな」
キルギルの兵士たちの間にモンクの娘のウワサは、瞬く間に広まっていった
・
・
・
「キルギル王が飼育しているモンスターは人を食う」
「王はモンスターごと住民を閉じ込めている」
事件と並行する形で、どこからかウワサが出てきて広まる
その真偽は定かではないが、不安を募らせる住人や
閉じ込められて外に出ることもできずにいた冒険者たちの心のダムの決壊を早めるのに
十分だった
「キルギル王は闇の勢力と結託し、オレたちを生贄にする気だ!」
とある男が木箱の上に立ち、そう叫んだ
「そうだ!その通りだ!」「あの王は怪しいと思っていたぞ!」
兵士たちは事件の後始末に追われて、その集会に構うどころではない
それに、ただでさえ閉じ込められた人々はピリピリしているのだ
最終的に鎮圧されるだろうが、兵士たちにも確実に犠牲は出るし
最初に引きずり倒されて袋叩きにされる『きっかけの生贄』になりたがる兵はいない
だから、彼らは敢えてこれを無視した
わざわざガス抜きの邪魔をして吹き飛ばされるなど、ごめんだった
「王はグレードンと結託しているんじゃないか?」
その集会がガス抜きどころでないことに、誰も気づかないまま
「ここにネームドたちを含む戦力を閉じ込めておけば、
オークどもはヒューマンの国を荒らし放題ってわけだ」
集会の熱量と人数が、どんどん膨れていくことに気づいた時は
「ふざけるなよ
オレは故郷を守るためにリザレクションの旅に出たのに、こんなところで・・・」
手遅れだった
「闇に堕ちた王を倒せ!
キルギルをヒューマンの手に取り戻せ!!」
かくて、『キルギル動乱』は幕を開けた
・
・
・
「モノムは、失敗したか」
赤いフードを被ったシャーズは、暗い部屋の中で呟いた
荒れ果てた廃墟の一室、調度品だけが新しく整えられている
そして部屋には他に数名の人影があった
「ビリア、ヅギパゴセザ・・・」
その中の一人が言いながら進み出た
「ギギザソグ、バギンググシギビンザ」
進み出た男は歓喜の雄叫びを上げながら、異形の姿へ変貌した
(つづく)
<解説>
赤いフードを被ったシャーズ:だいぶ久しぶりに登場
闇の軍団とは関係ない第三勢力ですが、最悪のタイミングで『儀式』を開始しました
モノム:ベ・モノム・バ、ノミ種怪人
ではまた