対魔忍になりたかったのにどうして鬼殺なんだ!?   作:Meat Toilet

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主人公は性癖を拗らせ、性欲を優先するあまりマトモな恋愛経験はありません。

エロは得意だが、恋愛はクソザコナメクジで恋バナは苦手です!


第16話

 由々しき事態だと思う。

 義勇と会話が無くて少々イライラしている。

 義勇を中心としてみた場合、女性との接触が多いような気がするのだ。出会いの機会が多いと言われたらそれまでなんだろうけど、誰に懸想してるのかお姉さんとして気になるところだ。既にショタ属性は無くなっていても、弟属性が存在している今の状態は甘やかしたくてたまらんのだ。だというのに、当の本人は私を見るなり逃げてしまう。野性的な直感が働いているのかもしれない。ふむ、逃げられてしまうと追いたくなるのが習性なんだがな。

 嫌われてると思えば良いのだろうか。試しに何もしなかったら、不満げに見ていたので構われたいのか構われたくないのかハッキリしてほしいところだ。

 ここはやはり、本心を聞くしかない。

 

「という訳だ、村田。何か妙案を出せ」

「無茶振りじゃないか!」

 

 使えない同期だ。人選ミスかもしれない。

 誤解しない、なおかつ妙案が思いつきそうで他の人間に話さない口の堅い人間をチョイスして偶々任務を共にした結果だ。

 カナエとしのぶちゃんは面白がり、恋愛事に誤解するのでアウトだ。長兄は話にならないし、嫁三人衆は既婚者なので除外。童磨は童貞なので無理で、前田プロデューサーは破廉恥なのでアウト。

 残りは前に任務を共にした不死川で割とマトモに答えてくれそうだが、ここは先ず同期の村田の顔を立てるということで控えに回している。

 鼻血を出して倒れたヤツだという不安があるかもしれないけど、本人曰く「耐性がつきました」とのこと。

 

「いかにして煙に巻いてくる冨岡を捕まえて話し合いの場に引きずり込めるか。村田なら妙案が思いつくと思ったんだが、駄目だったか?」

 

 上目遣いで訊いてみると、村田は顔を赤くしてそっぽを向いて頭を掻いた。

 

「うっ、その顔は反則だろ。ぐぬぬ、冨岡が羨ましい」

 

 一体、何を羨ましがるんだろうか。こっちはコミュニケーションを図ろうとして無視されて悲しいんだけど。

 

「何を羨ましがる必要があるんだ? ただ同時期に入った隊士として仲良くしようとしたら無視されてるのだから、なんでそうなってるか理由くらいは知っておいて損はないだろう?」

「冨岡に気があるんじゃなかったのか?」

「気がある? 何を言ってるんだ?」

「え?」

「え?」

『………………』

 

 村田よ、何でもかんでも恋愛事に捉えようとするのはダメだろう。

 

「冨岡がその……す、好きで話しかけてるんじゃ?」

「そんなワケあるか。出たよ、童貞特有の勝手な妄想。冗談は髪の毛だけにしておけ、村田よ」

「仕方ないだろ! 皆噂してたんだから! それと、俺の髪の毛に文句があるのか!」

「そこらの女よりサラサラして艶やかだから嫉妬で禿げ散らかしてやりたい」

「や、やめろォーッ」

 

 無論、冗談だ。

 そもそも、恋愛というのは身も蓋もない言い方をすれば『私はこの男性の子供を孕みたい』ということだろう。常日頃、触手責めされている妄想をしている私は触手に恋する一途な女の子だ。はあ、なんでこの世界に触手は葛飾北斎様の手掛けた春画のみなのだろうか。絵心が無いけど、文才はあったので官能小説を手掛けることしかできなかった。

 忙しい合間を縫って書き上げた小説を出版社に持ち込んで出させてもらったら、私と志を同じくする同志に巡り合った。やはり、くノ一は触手やリョナ、人体改造に汚ッサンが似合うのが世界の共通なんだろう。私は世界の真理を垣間見た気がした。

 

「とにかく、私は冨岡に避けられて困っている。心当たりがないので何とか事情を知るために話し合いの席を設けたい。村田、妙案を出せ」

「そんないきなり言われても……」

 

 頬を掻いて考え込む村田に申し訳ない気持ちになる。

 

「鬼が出たな」

 

 本日の鬼さんが出現したからだ。

 

「俺の名は媚煙! ウェへへへ、とんでもねー美人がいるな。女は快楽に蕩けてる姿を見せてる時が最高のオカズだ」

 

 …………わかる。

 村田の手前、何も言えないけど私はこの鬼の言うことに共感できた。

 快楽に蕩ける姿ということは、アヘ顔を晒してる姿ということだ。これには、アヘ顔に一家言ある私としてはこの鬼の言うことに共感性がある。きっと村田がここにいなければ、楽しい話が出来ただろう。

 

「秋山さん、俺がやるから下がってて!」

 

 村田が前に出て男らしさを見せつける。まあ、私が交ざると私は普段の半分以下に加減しないと上手く連携とれないから仕方ないだろう。2穴なら最近出来るようになったんだけどな。

 その男らしさを見込んで私は傍観に……なに? 

 

「あ……っ」

 

 体が燃えるように熱い。異常な火照りを感じ、立ってるのが辛くて座り込んでしまう。

 

「秋山さん!?」

「ウェへへへへ。効いてきたようだな! 俺の血鬼術は女の感度を最大で3千倍に引き上げる効果を齎す煙を出せるんだぜ。その様子だと、呼吸するだけで快楽を感じてるハズだ、イヒヒヒヒ」

 

 感度3千倍、だと? 

 なんだその対魔忍のために存在するような血鬼術は! 全く以って素晴ら……素敵……けしからん能力だ。

 こ、これが感度3千倍か。アサギが受けた凌辱地獄の1つ。前世では夜のお供となり、転生して幾度も妄想して鬼がいて血鬼術なんて訳わからん力を持っているからと期待して半ば諦めていたが、ようやく念願が叶う日が来るとは……! 

 妄想を現実にしてくれてありがとう鬼舞辻無惨! 貴方は最高の鬼を産み出してくれた! 

 村田と鬼の掛け合いが鼓膜を震わせ、押し寄せる快感に全身を震わせる。

 こ、これが感度3千倍の世界か。正直、感じすぎて逆に辛いが、今はこの対魔忍の世界に酔いしれていたいので村田はまだ鬼を倒さないもしくは逃がしてあげてほしいなって願う。

 しかし、願い虚しく媚煙という鬼は頸を斬られてしまった。対魔忍特攻とも言える能力は、男相手には力を発揮せず本人はクソザコナメクジであっさり殺られてしまった。

 

「チクショウ! 俺は女の快楽に蕩ける姿が見たかっただけなのにィーッ!!」

 

 あっけなかった。しかし、鬼の力はしぶとく私に効果を発揮してくれていた。

 具体的にはアダルト厳禁なので言えないけど、エロゲーのアサギさん状態だとでもしておこうか。

 

「秋山さん、大丈──―」

「だめぇ……今はさわっちゃ──―」

 

 いや、マジで触ったらアダルト解禁になってしまう! 

 私が何とか絞り出した声で静止を呼びかけようとしたが、村田が私の肩に触れるのが早かった。

 結果。

 

「ふぅぅぅぅうううぅぅぅぅぅぅぅぅんっ♡♡♡」

 

 喘ぎ声を出さなかった私を褒めてほしい。

 顔を赤らめ、淫靡な色気を醸し出す私は健全な青少年には猛毒も良いところだったようで村田は鼻血を出して血の池に沈んだ。

 村田よ、耐性が出来たんじゃなかったのか。蝶屋敷に連れて行ってほしかったのに、鼻血を出して倒れるとか……耐性があるとかホラ吹きやがって。後で尻叩き3千回だ! 

 チュン一郎くんに隠もしくは他の隊士(特に女性)を呼ぶように伝える。男性を呼べば二次災害になる確率は大だろう。今のタイミングで男性が来て発情されたら、私は抵抗する間もなく犯されてしまうだろう。触手プレイなら得意なんだがな。

 感度3千倍……舐めてかかると痛い目を見るな。アサギさんはこれに耐えきって敵を倒してるのだから、対魔忍である私も耐えることが出来るだろう。しかし、快楽堕ちしたところで件の鬼が死んだ今となっては同様の能力を持つ鬼はいないだろうから、損するばかりだ。村田、なんであっさり倒すんだよ。尻叩きを3千倍に増やしてやる! 

 

「チュンチューン!」

 

 村田への恨みや憎しみの炎を燃やしてると、チュン一郎が人を呼んできてくれた……って? 

 

「ぎ……っ♡」

 

 声を出したらアカン。得意の喘ぎ声が出てしまう。

 

「大丈夫ですか?」

 

 ふわふわした女の子……アニメでは見たことがある女の子だ。確か真菰ちゃんだ。

 彼女は私に声をかけ、そのふわふわした声が鼓膜を震わせて気持ちいい。ヤバい、早く意識を飛ばさないとヤバいぞ。

 そんな中で義勇は私の様子を見て、特に表情を変えることなく村田を背負っていた。意識しろ、と言うのはおかしいので何も言えないけど、女としての立場が無いんだけどな。

 そんな事より、真菰ちゃんに何とか伝えないと……! 

 

「い、ま……ちょっ……と、か……んどが……あがって……て……あとは……たの、む……」

 

 頑張った。一言喋る毎にとてつもない絶頂の波が襲ってきて辛かったけど、何とか言い切った。

 そして、ブッ倒れた。

 

 

 

 




感度3千倍は素晴らしいと思う!

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