対魔忍になりたかったのにどうして鬼殺なんだ!?   作:Meat Toilet

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昼頃、アクション対魔忍からの通知で『相対魔忍理論』というパワーワードがあり、作者はまだまだ対魔忍初心者だと思い知らされました。


第18話

「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 広大な敷地で真菰ちゃんの可愛らしい悲鳴が響き渡る。

 足腰と基礎体力を鍛えるため、なおかつ反射神経を鍛えるための鬼ごっこは、捕まったら命を狩られるデスゲームと化していた。

 

「さあ、もっと早く動かないとさっきの岩みたいになっちゃうよー?」

「絶対にいやぁァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 真菰ちゃんは逃げ延びた。全力で。

 素早さはいい線を行ってるものの、私よりは遅いので容易に回り込める。

 それでも、逃げ延びれたのは私が捕まえる気が無かったのもあるけど、何より岩砕きの効果が大きかった。手で触ったら岩が砕かれたので、捕まったら命が砕かれると思ったら全力で逃走するしかあるまい。百の修練より1つの実戦と言うし、命が狩られると思えば普段の倍は力を発揮できたのだろう。

 アニメで見た感じ、狭霧山の修行は殺人トラップが設置されていたので私のやっていることは同じだと思うんだが……むしろまだ可愛らしい部類に入るだろう。

 後ろから追い掛け、回り込んでを繰り返してひたすら追い回す。近づく度に泣き喚いて必死に振り切ろうとする姿に笑いを堪えるのに必死だった。

 十分間の鬼ごっこを3度繰り返し、限界を超えて全力で逃走していた真菰ちゃんは縁側で横になって私の膝を枕に屍になっていた。

 胸が邪魔で真菰ちゃんの顔が見えないのが残念だが、呼吸しているのでたぶん生きてると思う。レ○プ目なのは気にしてはいけない。

 頻りに木に手を当てて首を傾げる義勇が目に入ったのだが、恐らく岩を砕いた技をやりたいのかもしれない。あっ、こっちに来た。

 

「さっきのはどうやった?」

「ええと、腰を回転させて衝撃を背骨や胴体、肩へ伝導させて掌から撃ち出した。体の腸腰筋ってのと正中線が衝突した力を使ったんだけど……って、理論立てて説明しても解らないだろうから、簡単に言えば薬丸自顕流って剣術の奥義を改良した技だ。やってみる?」

「やめておく」

「あら、残念」

 

 まあ、私も理論を知ってて何となく修行の合間に練習してたら出来るようになったので教えれるかと聞かれたら分からないとしか言えない。桃の木へし折って怒られたなー。

 過去の事はさておき。

 

「色々と噂とか音柱がああだこうだ言って誤解しているだろうから言わせてもらうけど、私はまだ誰ともヤッてないし結婚してないからな。あと音柱は私の義理の兄だ」

「恥じらいを持て。少しは胡蝶を見習うべきだ」

「女性的な魅力に溢れてるからね。じゃあ、私は女の子らしくない?」

「そんなことはない」

「即答だねぇー」

 

 真菰ちゃんの頭を撫でながら、私はある事が気になった。

 真菰ちゃんはスカートだ。まだ下着を履くなんて普通ではないので、もしかしたらノーパンの可能性がある。私は自作した薄手の下着を常に履いてるけど、果たして真菰ちゃんは履いてるのだろうか。訓練中に履いてるか否を確認するべきだった。今は確認できる状況にないから心苦しいけど、私は後で真菰ちゃん用に下着を自作してプレゼントしておこう。でも、せめてパンツとブラジャー着けてるのか知りたい。ちょっとくらい触ってもいいよね? 

 

「秋山は」

 

 ドギクッ! 

 

「な、なんだ?」

「どうしてそんなに強いんだ?」

 

 対魔忍だから、なんて理由が思いついたがこれは答えにならないだろう。

 

「目的があって守りたいものがあるからだ。義勇は無いのか?」

「俺には……何も無い。自分で勝てないから、足手まといになるからと言い訳して見捨てて逃げた挙げ句に錆兎を死なせてしまった俺に守れるものは何もない」

 

 やっべ、思っきし私のせいじゃん。経緯は違えど、ただでさえ低かった自己評価がマイナスへ直行してるよ。

 これ、もしかしたら真菰ちゃんが十二鬼月を討伐しようものなら柱から退く可能性が高いぞ。特に困ることはないか。

 ここに炭治郎くんがいたら、何か良いことを言いそうなものだが、ここにいるのは対魔忍しかいない。

 一人で考え込むのは勝手だが、無茶な戦い方をされても迷惑なので厳しいことしか言えないけど、私は対魔忍モードから説教モードへ切り替える。

 

「じゃあ、鬼殺隊辞めれば?」

「……なに?」

「守れるものが無いってことは守りたいものが無いということなんだろう。なら、戦うな。刀を振るうな。心が弱いお前に刀を振るう資格はない」

「……そうかもしれない。だから、俺は──―」

「真菰ちゃんに功績を立てさせて柱にして、自分は平の隊士に戻ると? 甘ったれるな。自分で決めた道なら、そう決めた理由があったんだろう。なら、それを思い出して最後までやり通せ」

 

 でも、どうしても駄目だったらお姉さんに泣きついてもいいんだよ? 甘やかすのと触手に責められるのは得意だからね。

 言いたいことは言ったので後は義勇次第だが、答えを待ってたら真菰ちゃんが目を覚ました。

 

「わぁー、まん丸お山が2つだぁー」

「真菰ちゃん、ようやく起きたか。鍛錬の感想を教えて」

「うん、2度とやりたくない」

「そうか。もっと優しくした方がいいか」

 

 タイヤ引きでもやらせようかな。タイヤ無いから、木を束ねるしかないけど。あとは示現流のキチガイ鍛錬かハートマン軍曹のレンジャー訓練くらいかな。鬼ごっこは割とマイルドな鍛錬だと思ったんだけどなー。

 

「とりあえず、お疲れさま。逃げ切れたご褒美にレモンの蜂蜜漬けはいかが?」

 

 どこから出したかは内緒だが、重箱みたいな小さくて硬い箱に詰められたレモンの蜂蜜漬けを真菰ちゃんのお腹の上に乗っける。

 彼女は膝枕されたまま食べようとしたから、私はその手癖の悪さに鼻をつまむ。

 

「にゃっ!?」

「ちゃんと起き上がってから食べなさい」

「だってこの膝枕が気持ちいいんだもん」

「じゃあ、さっきの鬼ごっこの続きをしようか」

 

 一瞬で起き上がって私の隣に腰掛けた。鬼殺隊における水タイプは忍者の素質があるのかもしれない。義勇が普通の忍者で、真菰ちゃんは対魔忍枠だろう。これには相対性理論ならぬ相対魔忍理論があるかもしれない。鬼殺隊における女性隊士は全て対魔忍になるべきだと思います。

 

「義勇も食べていいんだぞ」

「いいのか?」

「冨岡さんにはあげません。これは私のだよ」

 

 すっかり食い意地張ってしまって……義勇の手を払いのけた真菰ちゃんは独り占めしてしまい、彼はそれはもうショックを受けた顔をして私に目を向ける。知らんがな。

 美味しそうに蜂蜜漬けを食してしまった真菰ちゃんは、私の膝上に頭を乗せる。命の危機を与えていた相手に甘えてくるのはどういう事なのかと思うが、深く考えることはやめた。

 

「えへへ。柔らかーい」

 

 めちゃくちゃ笑顔で甘えてこられて、果たして拒める人間はいるだろうか。いや、いない。この娘は責任を持って私が立派な対魔忍……妹に育て上げます! 

 だから、鱗滝さんには申し訳ないけど真菰ちゃんは私がNTRさせていただきます! 

 

「むっ、どうした?」

「いや、何でもない」 

 

 一瞬、羨ましそうな視線があった気がしたが気のせいだろうか。なるほど、胸に目が行ってると見せかけ、太ももに目がいってるな。これは……解ったぞ。視姦しているのだな! 

 

「反対側使うかい?」

「遠慮しておく」

「まあ、そう言わずに」

 

 頭を乗せてあげた。そして、激しく後悔した。

 

 足の血の流れ止まりそう!! 

 

 調子に乗ってやらかしてしまった。数分間ずっと膝枕させてあげてたら、足先から痺れてきた。真菰ちゃんの頭を乗せてる方は大丈夫だが、義勇を乗せた足がヤバい。例えるなら、敬愛する秋山凜子神にエロパートが無いくらいヤバい。

 お、落ち着け。落ち着くんだ私。対魔忍としてあらゆるエロい責め苦を味わうために鍛えてきた体が、こんな事で情けない悲鳴を上げるわけにはいかない。情けない悲鳴を上げるのはベッドの上と触手に絡め取られた時だけだ。

 

 うおぉぉぉぉぉおおおぉぉぉ!! 心頭滅却ゥゥゥゥゥゥゥ!! 

 

 無理だよ。

 必死に笑顔を取り繕って頭を撫でてあげてるけど、限界だ。いや、待てよ。対魔忍は凄惨な凌辱を受けて喘いできても、最終的には敵を倒している。つまり、私のこの状況は対魔忍としての真価が試されているということなんだろう。

 なるほど。感度3千倍の次は膝枕プレイか。この世界もまだまだ捨てたものじゃないようだ。次はくっ殺プレイだな! 

 

「チュンチューン」

 

 そこへイタズラな雀が飛んできて胸の上に着地した。

 相変わらずナニを言ってるか不明だが、雰囲気で何となく察する。

 

「すまない。どうやら急な任務が入ったようだ」

「行っちゃうの?」

 

 くっ、真菰ちゃんが可愛い。Y豚ちゃん並みに可愛い。

 こんなに可愛い娘が原作だと故人なんだぜ? 一体、鬼も鬼舞辻無惨もナニを考えているのだろうか。美女も美少女も触手で犯すのが基本だろうに。頭が無惨過ぎるだろう。

 

「今度はもうちょっと優しめに稽古つけてあげるから、楽しみにしててね。それと義勇は、きちんと鬼殺隊の柱として恥じない行動をすること。戦う理由が出来たら嬉しいと思うよ」

「……わかった」

 

 ああ、もう少し甘やかしたかったな。なんて間の悪いお館様なんだろう。

 あまね様を妄想で真っ白にしたいけど、でもなぁ……不知火マッマみたいに胸がお──―

 

「うぅ、寒気が……」

 

 きっと夜が近づいたから肌寒くなってきたのだろう。

 私は体を温めるためにも、走って任務地へと向かうのだった。

 

 

 

 

 




次回、セクハラ回。どこかの誰かが変態に容赦ないセクハラされます。

作者はパワハラよりセクハラが大好きです。感想、評価等してくれたら嬉しいです。それでは、また次の日に。

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