痣は謎の対魔忍仕様で顔に出てくることはありません。
全集中の呼吸って心臓がバックンバックンするんだね。
それぞれ独自の音を奏でながら空気を吸い込み、全身特に脚に集中して力を注ぎ込む。喘ぎ声なら得意だけど、それとこれは違うらしい。
雷の呼吸は「シィイイイ」と呼吸音が鳴り、左足を引いて腰を落としてクラウチングスタートみたいな独特の姿勢をとる。
雷の呼吸 壱の型 霹靂一閃
踏み込み、神速で向かった先には師範がいる。
すれ違い様に一閃。しかし、私の刀は刹那の攻防において師範の刀とぶつかり合って力が粉砕された。
ならば、と次の型へ移る。
弐の型 稲魂
瞬きをする間に行われた5度の斬撃は、師範も同様の型を打ち出して相殺した。
続いて『参の型 聚文成雷』、『肆の型 遠雷』、『伍の型 熱界雷』、『陸の型 電轟雷轟』と次々と放っていっては師範も同様の型を繰り出して相殺していく。
全く勝ち筋が見えてこない。師範はこちらの型を見てから後出しで相殺してくるだけだが、全く攻撃が当たる未来が見えない。
呼吸の精度を上げればいいのだろうか、全集中の呼吸・常中を身に着けたとはいえ、全く当たる気配がない。やっぱり、空遁使えないのは痛い。
「凜子ぉー! 加減するなと言っておるじゃろうがぁー!!」
師範から怒りの説教が飛んできた。
相手が人間で真剣での立ち会いだから、無意識に加減しているらしい。
仕事の感覚で人を殺すことに躊躇いはないのだけど、訓練で殺す気でやるのは無理だった。矛盾してるかもしれないけどね。それでよく生き残れたなと思うが、なまじ人より身体能力とか高かったのが大きいだろう。最近では師範の体が骨まで透けて見えるようになってしまい、ちょっと驚いてる。動きは見えるのだが、どうしても躊躇が出て無意識に加減してしまうようだ。おまけに師範は私が出そうとする型を見てからの後出しだから、私が動きを予測できたところで意味ないし。
「そんなことでは鬼を殺すことはできぬぞ!」
「そこは仕事だと割り切れば問題ない、師範」
「大ありじゃあ! 儂を倒せずして柱になれるとは思うでないぞ!」
「知らん。柱に興味ない」
「ワシの後継がそんな体たらくでやっていけると思っとるのかぁ!」
いちいち汚い高音で吠える爺だ。
ここまで煩いと、東方不敗を想起させる。
「だぁから、お前は未熟なのじゃあ!!」
「師範、近所迷惑です」
「お前は静か過ぎるんじゃあ!!」
派手好きな長兄でも、そこまで煩くなかったぞ。そういえば、くノ一連れて失踪した長兄は生きているだろうか。会っても次兄を殺しかけた私は合わせる顔がない。どうせ祭りの神と自称しているし、どっかで神輿でも担いでるだろうと思いたいけど、鬼殺隊にいるから鉢合わせる機会はありそうで困る。意外と弱味な部分が多いぞ。これをネタに迫られたら拒めないな! くっ殺!
まあ、なるように頑張るしかないかな。
打ち込み稽古が終わり、縁側に腰掛けて汗を拭く。基礎体温が高くて代謝が良いものだから汗がドバドバ出てきて地味にキツい。長兄風に言うなら、派手にキツい。意味わからん。
来る日も来る日も修練に勤しむが、それでも無意識に躊躇しているらしくて師範の汚い高音で叫ばれる日が繰り返された。
そんなある日のこと。
「凜子、10日後に藤襲山で最終選別が行われる。儂が教えられることは全て教えた。後はお前が自分の力で何とかするんじゃ。良いか、決して躊躇うでないぞ? 必ず帰ってこい」
師範は私が鬼に対しても手加減するかもしれないと心配しているらしい。なるほど、その心配は解るぞ。でも、私の場合は敵に捕まってからが腕の見せ所なので、捕まる前に片付けたら終わりじゃないかと思う。現時点では寝取られにならないから対魔忍の初級者状態だけどね。
翌日。私は師範の家を出て藤襲山へ向かう。気分は遠足だろう。
前世の常であれば、対魔忍RPGやってたりOVAを見ていたものだが、携帯電話も無いこの時代には娯楽も無くて黙々と歩くしかなかった。いかに前世が恵まれていたか解る。
暇潰しに道行く夫婦を眺めていると、不意にあるものが見え始めた。
子供を身籠っているのが見えるのは良いとして、他はその夫婦の仲の睦まじさが解るのだ。
仲の睦まじさなんて見れば解るかもしれないが、私が言いたいのは夫婦の夜の運動会の事だ。夜伽の回数とでも言えるのか。
とりあえず、エロいことをしてる回数が何となく解るのだ。こんな特技、鬼滅世界で全く必要ない特技だろう。
若い夫婦はまだくっついたばかりで少ないのが普通だが、熟年の老夫婦にもなれば毎晩しっぽりムフフの仕込み合戦が繰り広げられてその数は3桁を超える。夫婦生活において重要なのは家族になることもだけど、やはり夜の生活がお互いの心を繋ぐ最も有効な手段だと思う。仕込まなくても、しっぽりするのは大切だと思う。一人が一人を愛する、というのはとても素晴らしいことだと思う。Lilith作品が好きな性癖歪んだ私が言うのもアレだけど。しかし、まだ私はアブノーマルな世界に足を踏み入れたばかりの初心者だ。素人モノだ!
愛し合うのは一対一であるべきなのだが、男の悲しい性なのか一人の女に仕込んだら次へ目移りしてしまうのだ。長兄が「俺は派手に3人以上は嫁が欲しいな!」とクズ発言をしていたくらいだし、男は皆ふうま弾正なのかもしれない。
などと下らないことを考えつつ、藤襲山へ辿り着いた私は白髪の人妻から説明を受けた。
人妻ってなんだかエロそうに聞こえるのは私だけだろうか。未亡人って聞くだけで、そこはかとなくエロさが際立つし、なんていうか誰かの女になった女って一見すると防御が固そうに見えるのだが、そこはかとなく淫靡で無防備な面があってエロさが際立っているような気がする。それに付随して若妻と新妻ってワードもエロさが光る。
そして、思うのが人妻と若妻と新妻って寝取られが似合うよね。バックからハ────
「他の方は行かれましたよ?」
人妻に言われ、気づけば私だけになってて皆奥地へ入り込んでいた。
いけない、どうしても寝取られフィルターがかかってしまう。目の前の明らかに偉そうな立場にいる人でエロい妄想をしてしまうなんて、なんて最低な女だ。そういう女の人がデカブツにヨガるのが好きなんだけどね、グヘヘ。
ダッシュで森の奥地へ踏み入り、とりあえず薪を集めて野宿の準備を始める。七日間も森の中を動き回ったところでそこかしこにいるDQNと出くわして対魔忍されるだけなので変に動き回るより、一つの場所にとどまって向かってくるアホの頸をちょん切っていよう。山の標高が高くて寒いし、木の枝を燃やして暖まっていよう。おっと、枝で指切っちゃったよ。
それが悲劇の始まりだった。
「女だ。それも極上の美味そうな匂いがするぜ」
「どけ、俺が先だ」
「俺が先に見つけたんだ。俺が食う」
「いいや、俺だ」
『いいや、俺だ』
わらわらと一人の対魔忍を快楽堕ちさせるために群がるオークの群れの如く、多くの性別が男の鬼が私の前に現れて取り囲んでいた。なんで集まった。特別なことはしてないぞ。
というか藤襲山を敵陣と仮定するなら、私は敵陣へ馬鹿正直に突っ込んだ挙句に呑気に自己位置を曝け出して休んでいる馬鹿者になる。くっ、ここで抵抗むなしく敵に捕まってあんなことやこんなことをされてあられもない声を出して対魔忍されるのだろう。くっ殺!
しかし、待ってほしい。ここは全年齢対象の少年ジャンプの世界だ。18禁補正があるとは限らない。期待した展開にならずに殺されて終わるかもしれない。そんなのあんまりだ!
『マレチー!』
一斉に向かってくる鬼たち。全員が私を殺してその肉を貪ろうとしていて、誰一人として私にあんなことやこんなことをしようと考えてない無垢な眼差しを向けているのだ。何故だ。まだ14歳であるけど、私の肉体は尊敬する感度3千倍の井河アサギど同等レベルで大して変わりないのだ。他の敬愛する対魔忍と比べてまだ胸がまだ成長途中なだけだ。なんで食うことしか考えてないんだ! クソッたれ!!
そもそも、ヤバくない!? こんなにたくさんの鬼に襲われるなんていきなりハードじゃないっ? 殺す気なのっ? せめて骨だけは残してぇー! いやぁァァァァ未通のまま死にたくないィィィィィ!!
「お前らが死ねぇぇぇ!」
全集中・雷の呼吸 弐の型 稲魂
瞬きの間に行われる五度の斬撃により、飛び掛かった五体の鬼の頸が刎ねられる。これで何体いるか知らんけど、帝国陸軍よろしく我先に襲い掛かって返り討ちにされた鬼の消滅しかけの屍を踏みつけながら飛び掛かってくる。その場でひたすら弐の型のオンパレードだね。わざわざ向かってきてくれるのだから、消耗は最小限にして動かずひたすら抜刀し続ける。これはいわば、鬼を切り刻む作業をしているのだ。がんばれ、私。夜明けはまだまだだぞ。そうだ、雷になるんだ! 雷になれ、私!
ここで力及ばず膝をついたところで、私に待っているのは対魔忍ではなく死体なのだ。何故だ。何故、この世界にエロはないのだ!
しばらくして。
「終わった」
何度目かになる弐の型、参の型、肆の型、伍の型、陸の型を行おうとして周囲に鬼どころか木も伐採されて無くなっていることに気づいた。何回斬ったか覚えてないや。5回超えたあたりから考えるのはやめた。
更地になってた。斬り倒された大木が目につくばかりで、無我夢中で自然破壊もしていることに気づいて顔が真っ青になった。おそらく産屋敷家の私有地なので、勝手に木を切り倒してしまったので後で怒られるならまだしも、弁償問題になったら体で払うしかなくなる。おのれ、産屋敷家! 私は体を許しても心は決して屈しないからな! 絶対に負けない!
とりあえず、休んでよう。弐の型の余波で燃やしてた木が消えていて泣きそうになりながら、新たに火種を作って燃やす。二度目があるかもしれないと頭に過ったが、そんな心配は杞憂だった。
ビックリするほど静かで欠伸が出そうだった。
暇で暇でちょっと周囲の散策に出てみるも特に何もなかったが、足を怪我して気を失っている男の子を発見した。赤っぽい羽織の狐のお面をつけた髪の長い男の子だ。というか、冨岡義勇だね。顔立ちが整っていると、カッコよくもあり可愛くもあるね。あどけない寝顔に鼻から愛情が溢れてくる。
私はロリもショタも何もかも美味しく戴ける雑食なので、イキのいいショタを見つけて興奮してしまった。落ち着け、私。肉体年齢はほぼ同じだから、ショタコンにならないぞ。
とりあえず、自分で応急処置しているようだが、雑さが目立つのでここはお姉さんがきちんと治してあげよう。
「それよりも」
壱の型の構えをする。鬼の気配がしたからだ。
このショタ食い共、ショタを食っていいのは艦これやアズールレーンに出てくるようなエロいお姉さんだけなんだぞ!
「──―見つけたぜ、俺のもう一匹の可愛い狐ェ」
このショタコンめ。ショタを食っていいのはエッチなお姉さんだけだ!!
主人公は霜降り肉並みの稀血なので藤襲山の飢えた野獣がいるところで指から血を流して焚き火していたので鬼が寄ってきたんだよ。そして、本来襲われることのなかった少年をも手鬼に発見させてしまうとんでもない輩です。
そういえば、手鬼ってショタコンじゃなくてジジコンだと思うの。錆兎や真菰、その他の子供たちを食ってたのは全て監禁放置プレイをした鱗滝さんへの復讐もしくは意趣返しというのが大きいと思うから、手鬼はジジコンだと思うの(錯乱)