対魔忍になりたかったのにどうして鬼殺なんだ!?   作:Meat Toilet

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遅れて申し訳ない。


第23話

 早朝。私と義勇は互いに顔を見合わせた。

 敷かれた布団は一枚で、互いに寝間着で布団の上で正座して向き合っている。

 

「……責任は取る」

「いや、それはあまりにも性急だ」

 

 先ずこれまでの経緯を語ろう。

 蝶屋敷で機能回復訓練を行った。三人の幼女たちに胸を大きくする秘訣を聞かれたから、豊胸マッサージを伝授してあげようとしたらカナエが食いついた。美人で更に胸まで大きくしたいのだと。確かに胸は大きいに越したことはないだろう。そして、晒を巻いて揺れ防止するのはしくじり先生だと思う。というか、もう17歳なので胸の成長は正直に言って絶望的だろう。

 晒は胸を潰してしまうので、胸の形が崩れるかもしれないのだ。それはいついかなる時も対魔忍の名に恥じないよう心掛けている私としては、到底受け入れ難い事だ。なので決して晒は巻かない。カナエやしのぶちゃんは晒を巻いて胸が動かないようにしているらしい。

 理由は言わずもがな。戦っている最中に胸が揺れて邪魔だからだ。しのぶちゃんはともかく、カナエに揺れる程の胸があるのか疑問を投げかけたいが、笑顔が消えるので言わない。決して洗濯板とかまな板とか断崖絶壁ではない、とフォローしたら真顔で木刀を振り回してきたのでたまたま通りかかった村田をガードベントして防ぎきった。

 

「何か俺に恨みでもあるの?」

「近くにいたお前が悪い」

「理不尽だ」

 

 村田は死んだ。

 蝶屋敷の患者となった彼には申し訳ないので、お手製の洋菓子をプレゼントしておいた。

 蝶屋敷の面々にもプレゼントしておいたので、これで怒りが沈静化してくれたら良いなと思う。

 その後は義勇の邸で真菰ちゃんを甘やかし指導して着々とNTRを進行させつつ、義勇をイジって弄んでから甘やかしたまでは良いだろう。

 その日は「泊まって」と真菰ちゃんにお願いされたので泊まることとなり、一緒に鮭大根というのを作ることになった。

 

 ブリ大根とは違うのか、なんて呟いたら義勇が物凄い顔になったので見なかったことにして真菰ちゃんとご飯を作り始める。

 好きな食べ物の話をしたのだが、真菰ちゃんは鱗滝さんと同じくたらの芽が好きだと言う。オノレ鱗滝ぃー! 

 で、私が好きなのはハンバーグである。中でも牛肉を挽いたハンバーグが好みだが、とりあえず肉料理が好きだ。何故なら、そりゃあ、オークや汚っさんの肉便器になる女だから、肉が好きなのは当然だろう。

 ちなみに義勇が好きなのは鮭大根だと言う。明らかに食べるスピードが異常だし、まあ納得できる。嫌がらせにブリ大根を作ってあげよう。口の周りを米粒だらけにして食べるペナルティだ。

 その後は真菰ちゃんと一緒にお風呂に入って堪能した後に一緒に眠った。

 そして、朝になった。

 

 目が覚めたら、真菰ちゃんが義勇になっていた。

 

 私は昨夜、真菰ちゃんと抱き枕にしあって眠った。寝言で「お姉ちゃんスキ」などとすり寄って甘えてくるので、鼻から稀血を出してしまいそうだったのを覚えている。そこから先はうろ覚えだ。気づいたら、真菰ちゃんが義勇になっていて抱きしめて眠っていた。

 義勇が先に起きて抜け出そうとしていたらしいが、藻掻けば藻掻くほど浴衣がはだけてしまっていた。直したくても直せずにいたら、私が起きてしまった。その時の私の格好は前が全開の対魔忍の濡れ場シーンのエロい格好だ。辛うじて下はパンツ履いてたので隠せていたが、上は何も身につけてないので日の出を拝ませてしまった。

 寝て起きたら野郎をほぼ裸で抱きしめていた。対魔忍にはなかったシチュエーションだけにどうしたらいいのだろう。早急に浴衣の乱れを無くして、謝って責任云々の話をする義勇を宥めていた。

 

 いや、待て。大事なことを確認し忘れてるだろう! 

 

 すぐに布団を調べる。ふむ、血痕が無いか。つまり、ナニもしてないか。ふぅ。

 

「何の確認している?」

「眠っている最中にナニかされてないかの確認だ」

「誰がするか!」

「それは女としての自信が粉々になるからな。逆の言葉を言ったら平手打ちだが、難しいところだな。とりあえず、紳士的な対応を心掛けているようで安心。それで、これはどういう状況か解りそう?」

「ここは俺の部屋で、秋山が隣で寝ていた」

「なるほど。寝惚けていたんだろう。何もしてないしされてないから安心しろ。ここは全面的に私に非がある」

 

 さしずめ聖水を錬成しに行った帰りに、間違って義勇の部屋に入り込み、義勇を抱きしめて眠っていたということだろう。夜中に聖水を錬成するなんて子供の頃以来だけど、そういえば真菰ちゃんと一緒に行ってた気もするが、寝惚けていたので記憶にない。

 義勇が冷静に分析できるのは、常日頃鬼と闘って死線を潜り抜けてきたから出来てることなんだろうと……これ違うな。必死に平静を装っているだけだ。しかも、バレるか否かのギリギリの超自然体で前屈みになって正座することで太ももで挟み込むことでナニを隠している。見事な凪だな、これ。

 正直に「お前のせいで勃起したから責任をとれ」なんて言われたら従うかもしれないけど、必死に嵐が過ぎ去るのを耐え忍ぶ姿には気の毒に感じてしまう。ここはもう互いに悪い夢を見たということで手打ちにするしかあるまい。なんか頑張って隠そうとしているのが気の毒すぎて気づいてない振りするのが難しいのだ。そうだ、こういう時こそ対魔忍として行動するのだ。私は対魔忍なのだから、ここは対魔忍としてふさわしい行動を……触手かオークか汚っさんに犯されるところくらいしか思いつかん。いや、他に何かあるハズだ。チン〇に犯される以外であるハズだ! うーん、とりあえず媚薬打っとく? 

 いやいや、他にあるだろう? 何か……何かあるハズだ! そう、ナニか……ナニか……ナニがおっきしたらナニをしてたっけ? 対魔忍として正しいナニの対処法はナニに犯されることだけど、必死に隠してる相手のナニに自分から食うのは対魔忍じゃないだろう。じゃあ、相手から食わせにどうやって誘導すればいい? ナニをどうしたらナニになってナニナニナニナニナニナニ……(以下同文)

 

 閑話休題。

 

 ここはシンプルにいこう。 

 

「あー……ええと……うん。朝ご飯作るからゆっくり処理しておいて」

 

 あ、言葉のチョイス間違えたな。今にも穴があったら入り込んでしまいそうな顔になった義勇には申し訳ないけど、あまりにも居たたまれないので部屋を出て真菰ちゃんの部屋へ戻って急いで着替えて台所へ向かった。

 

「あっ、お姉ちゃん起きたんだ」

 

 真菰ちゃんにお姉ちゃん呼びされると堪らんなく嬉しい。なんだかんだとカナエもしのぶちゃんも抱きしめると、稀血だけに稀に大人しくなるので抱きしめてあげたくなるのだけど、朝餉の支度中なので自重する。

 

「真菰ちゃん、私も手伝う」

「大丈夫だよ。お姉ちゃんは大丈夫だと思うけど休んでて」

 

 何か含みのある言い方だな。まさか真菰ちゃんが仕組んだ訳でもあるまいし、何を勘ぐっているのやら。

 結局、訳もわからず真菰ちゃんに用意してもらうことになった。程なくして義勇がやってきたのだが、露骨に顔を赤くして逸してきたので嫌でも意識してしまう。

 

「ふふふ」

 

 何故笑う? 

 真菰ちゃんが恐ろしく感じた。

 

 

 

 

 

 そんな朝のハプニングがあったものの、何はともあれ今日も元気に鬼狩りと見せかけて万世極楽教の寺院へお邪魔する。

 血の提供をするためだが、これに勘違いした信者が「教祖様の愛人」などと噂しているし、取り次いでもらった際に「教祖様、愛人様をお連れしました」なんて言うものだから、眼前の童貞磨きの頸を落としたくなったのは言うまでもない。

 ともあれ、約束は約束である。

 猗窩座を殺すまでという期限付きの取引をするため、寺院へ足を踏み入れる。

 

 死体があった。

 

「おやまぁ」

 

 信者だった。それも行く先々でゴロゴロ転がっている。

 童磨が殺ったのかと思ったが、すぐに可能性は無いと思い至る。

 先ずリスクが大きい。せっかく鬼殺隊に目をつけられずに人間を食える餌場を荒らす必要を感じないし、何よりコレは人を『食ってる』というより『殺してる』という表現が正しい。

 その次は殺し方。銃で撃ち抜かれた痕があり、童磨の得物が銃であるなら、私を撃ち殺してると思う。

 鬼殺隊でも銃を扱う人間はいるから、もしかしたらと思うが、そもそも鬼殺隊にいる人間が人殺しすると思えないので必然的に信者を殺したのは、どこぞの殺人鬼か軍か鬼に絞られる。

 

 誰が殺ったのか。

 

 童磨が殺ったのか、はたまた第三者か。

 そう考えながら、教祖がいるであろう私室へ向かった。

 

「童磨はここか?」

 

 濃密な気配がする。

 刀に手をかけつつ、扉を開けた。

 

「なんだ?」

 

 童磨がいた。それも全身撃たれて穴だらけだが、にこやかな笑顔を浮かべていた。

 下手人は二人。二鬼だ。

 特に片方はレオタードで肌にピッタリと張り付くようなデザインのスーツをまとい、小麦色の肌を惜しげもなく晒す幼い女の子だ。

 ツーサイドアップに結った黒い長髪の勝ち気な目のロリ鬼だ。

 

「鬼殺隊? もう来たのね。相手に取って不足ないわ」

 

 私は柄にもなくガッツポーズしてしまった。

 

「ついに私の時代がキタァー!!」

 

 ゆきかぜちゃんの登場に大興奮である。

 





次回、ギャグセクハラ回。

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