対魔忍になりたかったのにどうして鬼殺なんだ!?   作:Meat Toilet

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女を食えば強くなれるって迷信だと思うのは作者だけだろうか。
柔らかそうなのは解る。女性は男性に比べて筋肉がつきにくいから。
正直、童磨の考えは共感できない。女は食うものではなく、凌辱するのが相場だと作者は信じているからだ。






第26話

 新たな上弦の鬼現る! 

 

 上弦の弐が鬼舞辻無惨の支配から逃れ空き枠が生まれ、そこに猗窩座が上弦の弐に繰り上がって参に我ら対魔忍のY豚ちゃんが収まっていた。

 というのが、私の見解で本当かどうかは実際に戦って判断してほしいところ。まあ、一発でも当たれば感電死は確実なのでオススメしないがな。

 とりあえず、上弦の弐が寝返りを敢行しようとしたのは秘密で喋れるのはそこまで。私と童磨との関係は喋ることはしないし、詮索かけてきてもシラを切った。

 ぶっちゃけ、童磨の寝返りを許容しても良かった気がする。お館様は鬼舞辻無惨に対する嫌がらせから殺すまでだったら、何でもかんでも利用する鬼畜なのできちんと話せば童磨の寝返りを許してくれそうな気がしなくもない。だからといって、他の柱は許容しないだろうし食人衝動が消えた訳でも抗っている訳でもなく、前提として大勢の人間を食ってきた前科持ちなので擁護するだけの材料がない。鬼舞辻無惨の情報や純粋な戦力というには、鬼殺隊の感情論を突破できないので殺すしかなかった。というか、頭鬼殺隊の感情論丸出しに理性的で論理的な説得は骨折り損が多い。私、鬼になった禰豆子と珠世様と愈史郎なら全力擁護するけど、それ以外はどんな事情があっても擁護するつもりはない。

 そこまで考えつつ、私は屋根の上をコッソリ誰にも気づかれないように歩いていた。

 下で笑顔を浮かべながら歩くカナエがいた。しのぶちゃんに見合う羽織を頼んでいたから、そのついでに買い物しようとぶらついてる最中である。

 

『女の柱、食われてなきゃいいわね』

 

 私以外の女の柱となると、カナエしかいないのだから女を食い始めた猗窩座が狙うのは彼女しかいない。

 

『猗窩座殿は女の子だけは絶対に食べないんだぁー』

 

 童磨はそんな感じのことを喋っていたのを思い出す。

 女性は子供を産むから、食べれば強くなれる気がする。なんて迷信をバカみたいに信じていた童磨はもうお亡くなりだが、まさか猗窩座も信じてしまったのだろうか。

 原因は私。人体改造までされたのに全く傷1つつけられずおちょくられて手も足も出なかったのだから、勝つためにと自分のポリシーやらプライドやらを全て捨て去ったのだろう。

 

 女を食えば強くなれる。

 

 迷信だと思う。女は犯すものだろう。孕ませるものだろう。なんで✕✕✕じゃなくて拳や蹴りを刺してるんだよ。これが少年誌の呪いか。

 カナエを尾行しているのは、猗窩座がやってきたら頃合いを見計らって介入するためだ。どれくらい強くなったかカナエが死なない程度に痛めつけられた程度にされてからとなる。最低な行いをするから、後で怒られるのは確実だ。

 

 アニメでも既に死んでる感じだったから見殺しにしてもよくね? 

 

 なんてクソ過ぎるドライ思考は取っ払う。

 一応、なんだかんだで仲良くしてきたのだから死なれるのは悲しいものがある。姉にベッタリなしのぶちゃんが大変なことになりそうだから、死なれてほしくない。まあ、猗窩座が強すぎて一撃で致命傷を喰らったら、どうにもならんけどな。

 ちなみにカナエが猗窩座に狙われてるかもしれない、というのは喋っていない。喋ろうとして合理的な作戦を思いついたまではいいものの、会議に向かう途中でうっかり見てしまった。

 私は見てしまった。

 

 カナエが不死川と逢い引きしている現場だ! 

 

 既にしっぽり懇ろな関係でヤることヤッてる感じの爛れた関係だというのを理解したため、私はカナエが猗窩座に狙われてることを言えなかった。きっと不死川が面倒くさいことになるからだ。それだけクソみたいな作戦を考えていたので、何とも言えないので黙って私は一人でカナエを尾行していた。

 夜も近づいてきた。そろそろかなと思った矢先。

 

「お姉ちゃん、カナエさんを尾行して何するの?」

 

 真菰ちゃんに話しかけられた。

 キャラ性を捨て去る悲鳴を上げかけたが、何とか飲み込んで私はキョトンとする真菰ちゃんに笑顔で誤魔化す。

 

「特に何もしない。真菰ちゃんは任務か?」

「うん。お姉ちゃんとの協同任務だって言われたよ。私は何をすればいい? あと、手紙を預かってきたよ」

 

 私はそんな誰かに救援を頼むような任務を出していない。お館様が出したのかもしれない。先見の明があり、鋭い勘をお持ちのようで私のやろうとしていることを見透かしたのかもしれない。

 

『情報共有はしっかりするように。カナエを死なせたら駄目だよ』

 

 手紙にはそう記されており、お館様にはバレバレで不死川を寄越してこないのは良心の顕れなのかもしれない。誰が来ても私のやろうとしていることは、万人には感情的に受け入れ難い行いであることは確実なので上手くやるので誰も来ないでほしかった。

 いわゆる足枷なのかも。

 

「真菰ちゃん、作戦を話す」

「はい」

「カナエを食らうために上弦の鬼が出てくるから、カナエが死なない程度に善戦するのを見てから介入して助け出す。私が上弦の鬼を相手にするから、真菰ちゃんはカナエを連れて逃げなさい」

「えっ、なんで上弦の鬼が?」

「私を殺すために強くなりたい上弦の鬼が強い女を喰らえば強くなれるって思い込んで柱にまで至った女を喰らおうと狙っているの」

「カナエさんは知ってるの?」

「教えていない。私がいるってことは秘密にしなければいけない。匂わせても駄目。逃げられるから。カナエを死なない程度に善戦させるのは余計な問答をしないためだ。最低かもしれないけど、こうでもしないと上弦の鬼が私と戦おうとしないの」

「お姉ちゃんはカナエさんを死なせないんだよね?」

「好き好んで死なせたい人なんていない」

 

 立場が悪くなるだろう。

 そんな事が真っ先に出てきてしまった利己的で最低な人間だと思った。

 死なせない理由に『自分の立場』を持ち出すのは最悪かもしれない。優しくて良い人だから死んでほしくない、という理由が先にこなくて辛い。

 

「後で謝るつもりだ。機を見計らって助けるよ」

「うん、わかった」

 

 そして、夜になった。

 カナエの巡回にコソコソと気づかれないように対魔忍の二人は尾行していた。

 対魔忍あるあるで、潜入ないし尾行すると必ずバレて捕まって凄惨な凌辱地獄が始まるのだが、相手は女性で純愛の星に生まれたお姫様なので我ら凌辱の星の住人が発する気配を意図せず遮断し、全く気づくことがない。

 いつもニコニコしているから、つい怒らせたくなって貧乳をネタにして怒らせ、バブらせてみようとお母さんの真似事をやってみせ、色々な感情を引き出させてみたものの、笑顔が固定されてて地味に怖い。

 多感な思春期の頃に親を目の前で殺されたというのに、怒りをぶつける矛先があるにも関わらず「助けたい」と「仲良くしたい」と感じる心がある。

 

「真菰ちゃんは」

「なに?」

「カナエをどう思う?」

「どうって?」

「印象というやつだ。真菰ちゃんはカナエのことが人として好きか?」

「うん、好きだよ。優しくて良い人だと思う」

 

 それが一般的な印象だろう。

 美人で優しくて強くて立派な人間だろう。鬼に対しても憐れみの心を持つのは、理解や共感はしなくても尊敬する隊士は多いだろう。絵に描いたような素晴らしい女性だ。

 同時にこんな事言うと色々な人を敵に回してしまうのだが、彼女……胡蝶カナエは死なないといけない人間だと思う。しのぶちゃんが云々の前にカナエがいたら、鬼殺隊にとって害悪にしかならないだろう。鬼殺隊の根幹にあるのが『憎悪』であるのに、鬼に身内を目の前で殺されておきながら鬼に対して憎しみの念を抱かず「仲良くしたい」などと理想を語っている姿は毒されてしまいそうになる予感がする。それこそ、綺麗だった私が凌辱好きになるように。

 これもまたカリスマ性の一種かな。産屋敷家の考えとは相容れないだろう。こういう輩は早めに死んどいた方が鬼殺隊の利益になる。でも、死なせるなと釘を刺されてるので刀を握れなくする程度に重傷を与えて終わりにするのが、妥協点といったところか。

 

「お姉ちゃん、どうしたの?」

「なんでもない。そっか。真菰ちゃんもそう思ってたならよかった」

 

 危ない危ない。エロ方面の思考してないと、どうにも外道な考えに染まってしまうな。

 

 私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍私は対魔忍(以下同文)……ヨシ! 

 

 外道な思考は駄目。私は対魔忍として触手やオークに理不尽な凌辱されなければならない淫紋持ちなので、さっさとオークよ出てこい! 貴様になんぞ負けん(キリッ)

 

 そして、ついに奴が来た……! 

 

 青白い肌に顔や上半身に刺青を入れてる鍛えられた体を惜しげもなく晒した桃色の髪の男の鬼。瞳には『上弦 弐』とある。

 間違いなく、猗窩座だ。

 

「どういうことだ?」

 

 私はおかしなものを見てしまった。

 前に会った猗窩座は筋肉ムキムキの青白いオークみたいだった。逞しく、正に対魔忍を凌辱するために生まれてきたような祝福すべき対象だった。何故ナニも確認しなかったのか今でも心残りだが、あの時は酷使棒がいたのでそれどころではなかった。きっとOVAで見たようなデカブツであったと信じてる。 

 そうだというのに……! 

 

「くっ……!」

 

 世界はあまりにも残酷で理不尽で、神は人に試練ばかりを与える。

 ただの気まぐれ、さじ加減でどうとでもなってしまうが故に起きてしまう悲劇の連鎖は誰も断ち切る力を持ち合わせていない。

 

 猗窩座の姿が元に戻っていた。

 

 ゴーリキーからワンリキーへ退化するように、青白いオークから青白いゴブリンへ姿を戻した猗窩座に衝撃を受けた私は真菰ちゃんの手前、感情を表に出さなかったが内心では胸が苦しくて涙が止まらなかった。

 

 オークを出せ。

 

 触手を出せ。

 

 鬼舞辻無惨よ。私を倒したければ、そのどれかを連れてこなければ私に勝つことはできないぞ。

 

 

 




安心してください。猗窩座は強くなっています。原作より強め。

予告詐欺してしまってすみません。

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