対魔忍になりたかったのにどうして鬼殺なんだ!? 作:Meat Toilet
今更だけど、和巳さんと里子さんが夜道を歩いてたのって逢引していたのは確実で婚前交渉していたからだと勝手に推測します。
というのも、頭対魔忍が作中で明言しますが当時はアオカンが基本で人目を忍んでコッソリとヤるのが一般的だったのです。
つまり、性行為して里子さんの中に和巳さんの✕✕✕汁が残ったまま帰宅している際に彼女が食われたと仮定すると、なんと沼鬼さんは間接精飲したことになります。
皆も人を食べる時は気をつけよう。
性行為といえば、本来であれば男女が愛を確かめ、子供を作るために行われるものだ。
私が思いつくのは、オークや触手、汚らわしいオッサン達に無理やり犯されて調教されて孕まされる愛だの何だのといった尊いものとは違い、ひたすら快楽を貪るだけの卑しく穢れた行為だった。
何故、人は恋愛するのだろう。
私は生まれてこの方、恋愛というものをした事がない。恋愛系のマンガや小説を読んで恋愛を学んでみるものの、大抵のその手の恋愛系マンガの同人誌というのは『寝取られ』が存在する。あとは不特定多数の人間にマワされる業の深いネタだ。本来であれば忌避されるが、何故かそうしたものは需要があった
一対一での甘酸っぱい恋愛を求めていながら、寝取られだの輪姦だのといった万人受けしないものを人は追い求めている。かくいう私もその一人だった。
私にとってこの世のエロというのは対魔忍から全てが始まった。
対魔忍というのは、触手やオークに体中の穴を無理やり犯されるものだった。そこに愛も恋もなく、肉欲のみでひたすら女の穴を✕✕✕で突いて✕✕を注いで孕ませるものだ。
とどのつまり、私は恋人同士でやるような性行為は初めてだった。というか、対魔忍なのにこういう事して良いの?
「や、やっちゃったぁ〜……」
本来なら鬼狩りに消費しなければならない時間を丸ごと消費して日付を跨ぎ、太陽が上ってからも致して繋がったまま気絶したと思われる。それから目が覚め、繋がったままだったので刺激しないようにゆっくりと引き抜いてから、アレコレを思い出してゴロゴロと転がりそうになる衝動を抑えて叫びそうになる口を両手で塞いで声量を押さえ込んだのが現状。ちなみに既に日は沈みかけていた。
感想はスゴかった、激しかったとしか言えない。数多のエロい場面(凌辱系)をエロゲーで予習してきたとはいえ、いざ自分が体験してアナウンサーの食レポ並みの感想を言えると思っていたら、実際は語彙力の全く無い感想しか言えなかった。
まあ、自分からヤろうと誘い、実際に押し倒されて本番に臨もうとしてヘタれて前言撤回するも勢いで致してしまった。くっ殺! 私は対魔忍だぞ!
今更かもしれないが、大正時代における性行為は人目を忍んで声を抑えて外で下半身のみ露出して静かにするのが基本である。立ちバックスタイルがスタンダードで、服を脱いで全裸で正常位なんて遊女ですらしない。日本人に着衣フェチが多いのは、そうした名残があるからかもしれない。
当時はダブルベッドでラブラブセックスが憧れだった。ちなみに日本にダブルベッドが普及したきっかけは、大正5年にオープンした大阪の飛田遊郭が各部屋にダブルベッドを標準装備とした豪華設備をウリとして導入したことから始まり、そこを利用して遊女とイチャラブした富豪の口コミによるものだった。今はまだ大正に入って間もないのでダブルベッドはおろか回転ベッドなんて絶対に普及していない。
それどころか正常位が「正常位」と呼ばれるようになったのは、1960年くらいの頃だったので今はまだ正常位は正常ではなかった。100年も前となると、性文化が違うのが今更ながらに納得した。
義勇が必死にケモノにならないように我慢していた理由が分かる。現代人の感覚でしたものだから、かなり自分を抑えたのだろう。淫乱で花魁とかの遊女よりもエロいのに恥じらいを持って処女でいるとか……何者かな。対魔忍だよ!
私がもし大正時代に生きる野郎だったとして、見た目がエロくプロポーション抜群の美人が恥じらいながらも男が望む過激なプレイを難なく受け入れるとか……野郎の願望が煮詰まったような女が経験人数ゼロの処女だなんて自己申告されても信じないな。今はもう『処女』という言葉の上に『非』がつくんだがね。半信半疑だった理由が分かる。
ところで隣で寝ている男は、果たして起きているのだろうか。
幸い眠りからは目を覚ましていないので私は部屋に立ち込める臭いを解放するため、服を着て閉め切っていた窓を開放する。
「起きてたのか?」
いきなり声をかけられてドキッとする。
「鬼には睡眠の必要は無い。必要なのは飢えを満たすことだけだ」
「……平気なのか?」
「飢餓状態は一時乗り切ったといったところだ。義勇こそ、動き過ぎて疲れとか無い?」
「いや、特にない」
即否定してきたが、顔を若干赤くしているので昨日の事を思い出してしまったのかもしれない。昨日の事を思い出して赤面するなんて、なんて女性的な反応するんだろう。
昨日の事、か。なんだかんだと前世を含めれば40年は守ってきたものが破られたことに感慨深いものがあるけど、てっきり触手かオークに散らされるものが全く違ったことに私はどうしたらいいか解らない。
鬼殺隊の服に着替えた義勇が正座して、私に声をかける。
「責任は取る」
明治以降、いつまで続いたか解らないけど……女性にとってセックスは『女性の最大の武器』である。堅苦しいとも捉えられる純潔主義によって『男性に捧げられるべきもの』というような価値観が生まれた。当然、捧げられた男性は面倒を見なくてはいけないので結婚しなければならない。子供が出来たから結婚する、ではないんだな。まあ、こっちの方が騙される可能性が低いので良いのかもしれない。子供が出来たから結婚して養っていたら、その子供は実は全く違う相手との間に産まれた子供だったなんて事態があった話がある。それをしたのは私の友人の一人で、本来の相手は夢を追いかけるバンドマンだった。それを偶然にも聞いてしまい、友人の結婚相手とは親交があったのでリークして然るべき法的手続きしたら、友人諸共バンドマンは不幸のドン底に落とされ、元凶たる私に恨みを晴らそうとしたバンドマンが電車が来た瞬間に突き落としてきた。
今思うと、善意とか正義感で動いたってロクな事にならないな。
閑話休題。
仕方ない事とはいえ、してしまったから責任を取って結婚するとか言われても『重い』と感じてしまう。そんな事をしてほしくて頼んだ訳ではないのだ。
「必要だから、してもらっただけだ。それに鬼に責任云々は必要ないだろう」
対魔忍ワールドなら、女は孕ませて責任は取らないというクズ思考だからな。敬愛する秋山凜子様はアダルトビデオの撮影現場に迷い込んだ結果、何故か売れっ子AV女優になるくらいにエロくて男を惑わす魅力に溢れているので義勇が責任を感じる必要は無い。
「しかし……」
「クドい」
尚も食い下がる義勇を一蹴する。
「責任を取るなら、きちんと人間の女性にしてやれ。わかったか?」
「…………」
無言になったが、無視したワケではないのは確かだ。きっと頭の中ではあらん限りの言葉が並べ立てられ、どうにかこうにか説得しようとしているのだろう。
しかし、これだけは言っておこう。
「また頼むことになるからその時はよろしく」
いくらなんでも、体質だから発作だからという理由付けで誰とでもヤれば本格的にマズいだろう。遊女とかその手の店の従業員でもないのにそんな事をしたら、社会的に生きていけない。いくら変態的な思考してるとはいえ、それはあくまで妄想の範囲内だ。こう見えて表面上はきちんと隠して取り繕っている。
「カァー。ソロソロイイカノ?」
なんか棺桶に両足突っ込んでそうな鎹鴉が出てきたんだけど。
ヨボヨボ鴉は義勇の下へ向かうと、死にそうな声を絞り出す。
「義勇、指令ジャ……」
「この鴉、大丈夫? 死んだりしない?」
「……問題ない」
「そうか」
まあ、長年一緒にいれば妙な愛着が湧くのは分かる。私の場合、よく自分で作った餌を雀くんに食べさせてあげてた。だが、あの雀は人の胸の谷間に入ってくる変態だった。
そんなこんなでヨボヨボ鴉の指令に聞き耳を立てる。
「鳴柱・秋山凜子ヲ連レテ……本部ヘ帰還セヨ……オ館様ガ話ヲスル……」
いよいよ以って覚悟を決めないといけない。
鬼殺隊の対応次第では、敵対して殺すしかなくなる。例えそれが長兄だろうと、義勇であろうと。私が守ると決めたのは竈門家の人たちと善逸だけだ。
「義勇、もし鬼殺隊が私を殺すと決めたなら私は貴方や他の柱を殺してでも抵抗する。鬼舞辻無惨を殺すまで……他の人食い鬼を殺すまで私は死ねないから」
「……お前はなんのために戦ってる?」
「死なせたくない人たちがいる。その人たちに何気ない平和な日常を送ってもらうために私は戦うと決めている」
対魔忍プレイしたいとかも理由の1つだけど、そんな事を口にしないのであれば今言った理由が戦う理由だ。
竈門家の人たちは返しきれない恩があるから、必ず鬼に狙われない私が知ってる平和な生活を送ってほしい。その為だったら、私は鬼にもなるし人殺しにもなる。
その時の義勇はどんな顔をしていたか分からない。何を考えているのか分からなかった。
ただ、何故そんなに悔しげなんだろうと疑問に思いつつも鬼殺隊のお館様の下へ向かうのだった。
番外編で短編集みたいな感じで作中で行われたエロを書いておこうと思います。