対魔忍になりたかったのにどうして鬼殺なんだ!?   作:Meat Toilet

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感想欄に変態が湧いてて私はニッコリです。
マトモな人もいましたが、順当なところでしょう。

変態には人の心を理解できませんが、人もまた変態の心を理解できないものです。




第36話

 長兄の横槍が入って花魁姿は中断して、見事に衣服を整えた私はお館様と対面した。

 

 先ず第一声は私の決まりきった挨拶から始まった。

 極めて普通の挨拶だ。面白みの欠片もないので割愛して、続いてお館様の言葉が始まる。

 

「私の前だけじゃなく、他の皆の前でもきちんと服装を整えて来なさい。分かったね?」

 

 初手説教。優しく諭され、地味にダメージがデカい。

 まあ、ここは全面的に私が悪い。というか、いくら対魔忍がエロいとはいえエロい格好して色気を垂れ流したからって耐性が無さ過ぎじゃなかろうか。やはり、少年誌はエロに対して脆弱だな。ToLOVEるまでが限界なのがよくわかる。

 そもそも、私がエロい格好したのは明らかに殺気立った連中への牽制である。寂しい童貞諸君たちへのズリネタ提供だ。きっと甘露寺蜜璃の全くエロくない隊服のおかげで不足しがちなオカズはこれで補充出来ただろう。どこぞのツボ好きなら「鬼殺隊はあと十年は戦える」とか言いそうである。

 まあ、実のところ鬼憎しの連中にドエロい格好して向かったらどんな反応するか試したかったのが大きい。たぶん、未経験だったらダメだった。女にされたから煩悩を刺激したのだろう。

 

「分かりました、お館様。今後は気をつけましょう。しかし、こういう事をしてくるかもしれない鬼がいるので少しは慣れておく必要があるのでは?」

「そこは子供たちを信じるしかない。きっと出来ると信じている。そうだね、皆?」

『勿論です!』

 

 柱一同の声が重なる。そして、追加でネチッとした男が発言する。

 

「第一、あれは貴様がスケベで常軌を逸した格好をしてきたから驚いただけだ。そもそも、鬼舞辻無惨と戦うならまだしも鬼になるとは柱の風上にも置けなくて頭痛がしてくる。どう責任を取るつもりだ?」

 

 ここで「チ✕コも性根も小さい奴だな」とでも言えば、恐らく蛇柱くんの男としてのプライドはスダズタになる。蜜璃の下手なフォローが更に追い打ちして二度と勃ち直る事は無いだろう。可哀想に。ちなみに昔、私は「早すぎない? あまりにも早過ぎるし、萎えるのも早くて驚きなんだけど。マジ引くわー」なんて言ったのだが、当時の長兄の男としてのプライドは粉々になったらしい。嫁三人衆の涙ぐましい努力により、長兄は嫁三人衆に依存する形で勃ち直っている。ちなみにこれはあくまでも主観なので、実際のところ長兄の日輪刀は普通である。

 

「ふぅ。冗談はそのもやしみたいな体だけにしておけよ、このムッツリ柱。言っておくけど、女というのは自分に向けられる視線がどんなものか敏感なんだ。男のチラ見は女からしてみればガン見だからな。バレバレなんだよ。お前も! そこの炎柱も! 思いっきり見てて欲情してたのバレバレなんだよ!」

「こらこら、傷口を抉っちゃ駄目だよ」

「ぐふぅ」

「よもやよもや! 柱として不甲斐ない! 穴があったら入りたい!」

 

 

 蛇柱轟沈。とばっちりで炎柱は顔を炎のように赤くして堂々と腕を組んで沈黙した。二人共、正座だけはやめなかった。蜜璃が下手くそな慰めをして死体蹴りしていた。

 ここで悲鳴嶼さんの名前を出したかったけど、言ったら殺すという無言の圧力があったので言わなかった。この人の場合、盲目故に視覚以外に頼って戦うばっかりに色気のダメージがデカかったのだ。

 とりあえず、男連中はこれで良しとしよう。風柱が残っているが、ここでダイナマイトを投入する。

 スキャンアイのおかげで色々なものが見えるのだが、ここでカナエがお腹にとんでもない爆弾を抱えていることに気づいたのだ。

 しのぶが修羅となり、風柱が粛清されかねない爆弾だ。

 

「お館様。私は人間だった頃から色々と透き通って見えるようになっていたのですが、本当に色々と見えてしまうので意外なものが見えてしまうことがあるんです」

「それは初耳だね。ただの変態じゃなかったんだね」

 

 サラッとお館様の口がとんでもない毒を吐いた気がしたが、気のせいに違いない。

 とりあえず、ダイナマイトを点火させよう。

 

「それでですね、どうやらカナエが妊娠しているようなんです」

『えぇっ?』

 

 これには柱の皆さん驚愕し、お館様が静かにとジェスチャーする。

 静寂に包まれる……なんてことは無く、しのぶが抜刀して私に詰め寄る。で、殿中だが……そんな思考は存在していないらしい。

 私に詰め寄ったしのぶは、それはとてつもなく笑顔だった。まるでアニメで見たような綺麗な笑顔だ。これでブチ切れしてるんだぜ。清水出そう。

 

「相手は誰か知ってますよね、凜子さん? 毒で苦しんで死にたくなかったら、速やかに答えてくださいますよね?」

「し、しのぶー? もしかしたら、嘘の可能性もあるかもよー?」

「その可能性は有り得ないわ、姉さん。だって、姉さんの月のものの周期は把握済みで最近来てないのは知ってたわ。嫌な予感がすると思ったら案の定よ! 嫁入り前の姉さんに覚悟は出来てんでしょうねっ?」

 

 しのぶが鬼の形相で柱(男のみ)を一瞥する。

 カナエが苦し紛れに不死川を守ろうとして、彼を前に出させまいとコソコソするが、それは不死川本人が潔く手を挙げたことで徒労に終わる。

 

「貴方でしたか、不死川さん。自分が傷だらけになるならまだしも、姉さんにも傷をつけてくるとは見下げ果てた根性ですね。覚悟は出来てますか?」

「一思いに殺ってくれェ。覚悟はできてらァ」

「しのぶ、せめて素手にしてあげて。それでやったら、実弥が死ぬわ」

「そうだぞ、しのぶ。ちなみにお館様の前だということをお忘れなく」

 

 そこでようやく、しのぶはお館様がニコニコ笑顔でいることに青ざめて刀を納めて綺麗な土下座をする。

 本当に申し訳なさそうに謝るしのぶにお館様は慈悲深く、そしてとてつもなく残酷だ。

 

「しのぶ、実弥とカナエのことに関しては私も知っていたから同罪だ。ここは私の顔に免じて、二人の仲を認めてあげてほしい」

「お館様がそう仰られるのであれば……」

 

 せめて一発くらい殴らせておけば拳もすんなり下ろせれるのだが、ここは一応お館様の住居なので本人は修羅場は回避したいらしい。

 そんな思惑であろうお館様に便乗したのか、お花畑が咲いた。

 

「とてもお似合いの二人ですね! 今日はお赤飯炊いてもらわなきゃね! 凜子さん!」

「ウン、ソウダネ」

 

 蜜璃が自分が食いたいがために赤飯を炊いてほしいそうだ。自分が食べたい物を想像して頼んでくるのはいいけど、しのぶが般若になっている。早く一発くらい不死川を殴らせておいた方がいいんじゃね? 

 まあ、いいか。話し合いが終わった後でも、ゆっくり何とかしてみよう。どうせ不死川が墓場に直行するのは確定してるので、それが本当の意味で墓場に入るかはしのぶ次第だろう。

 なにはともあれ、ここからが真面目な話。

 

「それで、お館様。私に話とは?」

「うん。鬼殺隊に戻ってきてほしいんだ」

「それは大丈夫なんですか? もしかしたら、鬼狩りにかこつけて人を食べてるかもしれないのに?」

「君が鬼になってから人を食べてないことは把握してるよ。ある意味で食べたとは言えるけど、それは別の意味だからここでは言わないでおこうか」

 

 どうやらヤッたのがバレバレで、私の回復手段も知っているらしい。そういえば、蜜璃に話した記憶があったな。出所はあの捌倍娘か! 

 私が真っ赤になり、義勇も真っ赤になって蜜璃も察したのか茹で蛸になって「二人ってそういうコトしたのね」と小さく呟いて大興奮していた。残った柱が怪訝な顔となり、代表して悲鳴嶼さんが訊ねる。

 

「お館様、それはどういう事ですか?」

「行冥、凜子の名誉のためにもここは聞かないでおいであげてほしい」

「そうですか……」

 

 ここで再び、蛇柱が厭味ったらしく突っつき始める。

 長ったらしいので要約するが、鬼なのに人を食う以外に回復手段があるとは信じられないのでどういう手段を講じたのか知りたいというものだ。回りくどい上に伝わり難い口上だが、なんか嫌われることしたかな。精々、タンパク質欲しさに鏑丸を調理しようとしたくらいだ(大問題)

 だが、私は感謝しているのだ。鏑丸は私の服の中に入ってきて擬似的な触手プレイしてくれたおかげで、その日の鬼狩りは調子良かったのだ。

 

「おいおい、派手に人を食ってないなら他の手段があるんだろう? 何も疚しいことが無いんなら、ド派手に答えやがれ」

 

 私はセクハラされていた。

 一応、この場にはお館様の子供たちがいるので教育上よろしくないので話せない。アダルト用語のオンパレードが始まるので、まだ10歳未満の子供が聞いたら人生が詰む。

 とりあえず、私の口からは出したくないので義勇に頼もうと目配せするも首をブンブン振って拒否される。では、蜜璃……は無理だってさ。

 よし、ここは最後の砦のお医者様にしよう。

 

「しのぶ、ちょっといい? 教えるから耳を寄せなさい」

「なんですか?」

 

 ヒソヒソ話ということで、しのぶが耳を寄せてきたので思わず息を吹きかけたくなるが我慢する。

 

「私の回復手段は男性の──―」

 

 以下、アダルト用語のオンパレードが始まってしのぶへの容赦ないセクハラが開始され、まだまだ十八歳になったばかりのおぼこな彼女は限界を迎えて気絶した。

 

「しのぶ!?」

 

 カナエが反応して抱き起こす。しのぶは鼻血を流して姉を見上げる。

 

「姉さん、私の口からは話せそうにないわ。止まるんじゃないわよ……」

「しのぶ──―っ!」

 

 しのぶは死んだ。死因、ムッツリだったから。

 男連中(義勇を除く)はメチャクチャ怪訝な顔で、早く言えというセクハラコールが煩い。煉獄が蜜璃に訊ねたが、答えれない彼女はテンパって思わずビンタしてしまい、煉獄が空中で錐揉み回転して床に叩きつけられて気絶した。

 てんやわんやだわ。

 ここはもう恥を偲ぶしかあるまい。

 

「お館様、話してもいいですか?」

「駄目だよ。この子たちには聞かせられない話だからね」

「ですよね。とりあえず、人を食ってないということで了承してもらえませんか? おい、不死川。稀血持ちなんだから、ちょっと垂らせ」

「ああ、そういうことかいィ」

 

 納得した不死川が自身の腕を斬って血を流す。指先でいいんだが……。

 これで食人衝動が出ることはない。アイツは稀血だから美味しそうとはならない。普通なのだ。

 鬼狩りすれば血を見ることは多いし、中には不死川と同じように稀血持ちがいたこともある。そういうのは私からしてみれば、ただの人間であれば少量の媚薬に当てられた気分で、稀血の質によってはその媚薬の量が増えるという解釈でいいだろう。

 ここで面倒なのが、稀血の中には不死川のように特殊な効果をもたらすものがある。今まで媚薬の量が増えたような気分で戦っていたので問題なかったので、今回が初めての特殊効果持ちの稀血持ちとの遭遇である。正直、どうなるか解らない。

 

 そして、この先も知ることは無かった。

 

 ここで私の意識が途切れ、戻った時には義勇の邸で事後の状態だったからだ。

 

 何かが起きたのだが、関係していたであろう人たちは一様に口を閉ざしたのだ。何故か蜜璃が顔を赤らめて「責任を取ってくれますよね?」などと口にし、蛇柱は泣いて引きこもり。音柱も泣いて嫁に慰められ、風柱は逃げるし、カナエは顔を真っ赤にして覆い隠して岩柱は「あれは痛ましい事件だった。南無」と涙を流す。

 

 何も覚えてないし、思い出せない。

 

 そんなことよりも寿除隊することになった代わりに時透無一郎という性癖ぶっ刺さりなショタが入り、私は歓喜して何が起きたか考えるのをやめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 




古来より、酔っ払いが仕出かすことはロクでもありません。

ナニが起きたかはR-18にてやります。こっちは変態の処遇と那田蜘蛛山をやろうと思います。

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