性別反転が好きなマイノリティだっていいじゃない。   作:菊池 徳野

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とりあえず1期完結になります。


思いの丈を伝えるものは

たたかい は おわった ▼

 

 

やはり なのフェイ は いい ▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うそうそ。嘘です。まだ戦ってますし、何より私そんなにBLとか百合とか好きじゃないです。嫌いでもないけど。

 

 

私は今、激戦区真っ只中にいます。

激戦区といえ、機械兵の雑兵達に囲まれているだけなので、すごく大変という訳では無い。たまに足を踏み外しそうになるのが怖いが、一度落ちかけてからは常に少しだけ浮かぶようにすることで対処している。

 

一体一体は何とか私でも相手できる程度の動きだが、如何せん数が多く中々殲滅までには至らないというのが現状である。たまに降ってくる瓦礫にも気をつけねばならないのも殲滅速度を落としている一因であり、私の力量ではどうしようもない。

とはいえ先程なのはとフェイトの2人が私では対処の無理そうなデカブツと多少の雑魚を落としてくれたので死を覚悟する必要はなさそうなのが救いである。クロノもいるし。

 

「敵、なんか増えてない?」

「嫌なこと言うんじゃない。いつかは倒せる。」

 

動体視力の問題か、敵に翻弄されて割と息が切れている私と違いクロノは余裕を感じさせつつ数の多さに辟易としている感じ。この辺りに経験や実力差を感じる。やはり管理局の執政官というのはエリートなのだなぁ。

 

目の前でウゴウゴしてる機械兵をデバイスで殴り飛ばし、魔力球をぶつけ、時に蹴っ飛ばして対処することかれこれ…何分だろうか?

なのは達がプレシアの所に辿り着くには十分な時間が経過したように思うのだが、特段何かこちらに連絡やアクションは来ていない。連絡が来ずともこの船の崩落が始まれば勝手に分かると思うので、私たちはまだ暫く機械的に敵を倒し死なない様にする作業を繰り返していればいいだろう。

 

「クロノ。なんか、変な感じがする。」

 

そうして作業をしていると、急に嫌な予感が脳裏を掠めた。敵の動きが鈍ったような音が遠くなるようなよく分からない感覚が首の後ろをチリと灼いたのだ。

後で思えば次元震の兆候を本能で覚えており、それに敏感に反応していたのだと分かったが、この時はセブンセンシズにでも目覚めたのかとアホなことを考えていた。

 

兎に角敵からできる限り距離をとるように飛び上がりつつ、出口の方に移動する。私の中のセンサーがヤバいと言ってきかず、できるだけ遠くに逃げたいと身体が勝手に動いていた。

 

「次元震の影響…いや、魔力が抜けていってるな。」

 

勘を信じて敵に背を向けて全力で逃走を始めた私と違い、クロノは機械兵達の様子を見ていたらしい。

見目好し、才好し、頭良し。流石に元主人公のスペックは舌を巻くものがある。

 

「魔力切れ?ジュエルシードを使うのに魔力を持ってったのかな。」

 

などとしらばっくれて敵前逃亡していた事実を誤魔化すように適当な事を言ってクロノに近づいてみるが、クロノからの返事はない。まぁ、ジュエルシードがあれば魔力なんて無限のようなものだしそんな事有り得ないと思っているんでしょう。

 

しかし、暫くしてもクロノからの返事がない。周りが停止している機械兵しか居ないとはいえ物思いにふけるには無用心じゃないですかねぇ。仕方ないので私が適当に警戒するフリだけでもしておく。また動き出すこともありえるしね。まぁ、その可能性は無に等しいけれど。

 

先程崩落が始まると言ったが、その更に前触れがこの一時的な静寂だろう。可能性としてプレシアがどこかに移動して機械兵とのパスが切れたか、原作通り彼女が死んだ(行方不明になった)か。

 

そのどちらにしても私がやることは変わらないし、クロノの口から私に言えることが無いのも変わらないだろう。

前者は此方の敗北、後者はフェイトが向かっている現状を考えると言葉にはしづらい。なにより子供に話すには言葉選びが難しすぎるので、クロノが静かなのも仕方ない。

 

「クロノ!揺れが大きくなってる!逃げなきゃ!」

 

目の前に崩れてきた瓦礫の大きさにビビりながら、言葉に詰まって固まっているクロノに更に近づいて声をかける。

ジュエルシードを奪還して、プレシアを拘束してアリシアを地に帰し、全てを平和に終わらせる。それがクロノが考えた最善の未来だったのかもしれない。だが、それはもはやどうしようもない。

 

クロノなら割り切りそうなものだが、やはりフェイトやプレシアの真実を知って日が浅いと思い悩む部分もあるのだろうか。意外と感情的だしなぁ。

 

「分かってる。私は…いや、なのは達を待ってアースラに帰投しよう。」

 

「え、あ、うん。」

 

「行きは少し時間が掛かったが、帰りはただ飛ぶだけだ。おそらくそう時間を掛けずに彼らもやってくる筈だ。」

 

だから安心しろ。なんて言われながら謎にエスコートされ避難誘導を受ける。…なんだこの状況?

 

あれか?子供(私)を不安にさせないようにしようという思考が先走った感じか?実は結構クロノもパニクってる?

 

あのー、手を繋がなくても大丈夫ですよ?私一人で飛べますし。

え?さっき落ちかけてたの見てた?…恥ずかしいから離してくれぇ!

 

何とかして繋いだ手を離してもらうための説得も虚しく、なのは達が帰ってくる直前まで謎の羞恥プレイは続いたことをここに明記しておく。

 

フェイトが心乱れてる時に何イチャイチャやってんだ私ィ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ要。」

「…なぁに?」

「どうしてなのは達の所に行かないの?」

 

そう言われて目を向ければ、なのはとフェイトが海をバックに話している姿が目に入る。透き通るほどの海の青さと友情を確かめる2人、という純粋な光景に目がくらむのはもはや波に反射する太陽の眩しさだけが理由ではないだろう。

なのはファンとしては垂涎物であるし、幼馴染としてもグッとくるものがある。しかしそれでも理性を手放すほどではない。

 

あの後、ジュエルシード事件改めPT事件に幕が降りたと聞かされてからフェイトとはあまり言葉を交わしていない。

 

「アルフだって行ってないしユーノもそうじゃない。」

「そういう話じゃなくてさ。」

「気を使ってくれなくてもフェイトなら喜ぶと思うけど。」

「フェイト…私見るとビクつくんだよ。」

 

一度お別れの前に二言三言話そうかと声をかけたのだが、若干話しづらそうにするのでそうそうに諦めただけであるが少し盛ってユーノ達に言い聞かせる。名シーンを汚したくないという一面もあるが、元大人としてあの空間に割って入るには私は心が汚れすぎているので遠慮したい。

 

「怖がらせるのは本意じゃないからさ。」

「あー、その、じゃあ仕方ねぇよ。」

「潔いいねアルフ。」

 

多少適当な理由であっても流してくれる辺り、この2人との会話はとても楽でいい。2人とも気を使ってくれるタイプなのであまり深くは追及してこないから、こちらの主張を立ててくれる。バチバチにやり合っていた時はいざ知らず、平時のアルフは割と温和で優しいらしい。

 

「それにあの二人だけで話す時間は必要だと思うよ。なのははフェイトの事ずっと気にしてたし、フェイトも初めて出来た対等な友達でしょう?拳よりも言葉を交わした方がいいに決まってる。」

「要…。」

「案外いい事言うな、お前。」

 

驚いたようなアルフの言葉をスルーして食い入るように2人の姿を見る。照れ隠しなのでフリだけど。

 

とはいえ拳よりも言葉を、というのは私の本心だ。原作では盛り上がりや魔法要素を盛り込む為にこの頃のなのはとフェイトに日常シーンを設けるのは難しかった。それはストーリー上の問題であったとはいえ、現実でも話す機会が少ないというのは可哀想だ。

ねぇ?クロノ執務官?

 

「だからこうやってアースラからの監視に留めているだろう?」

「時間延長で精一杯だったんだよね。」

「何故か突然アースラの点検作業が必要になったんだから停泊時間の延長は必要だ。」

 

そう。実は今、私達はアースラ艦内にてなのはとフェイトの様子を伺っているのだ。

絶妙に向こうから見えない場所を探すのが大変だったので、なのは達が会話する時間を作ってもらう直談判のついでにクロノに頼んでアースラのブリッジのモニターを使わせてもらえるように交渉したのだ。

 

そのおかげで人目を気にすることなく適当に座りながら2人の様子を声を拾わない範囲で捉え、鑑賞会と洒落こんでいるのだ。

他の船員は謎のトラブルを対処しにブリッジから離れているので、今居るのは私達とエイミィくらいのものである。リンディさんは何も言わず席を外してくれた。

 

「次会えるのがいつになるか分からないからね。1年って聞いてるけど、それでも待ってる時間を乗り越えるのに約束や思い出は大事だよ。」

「それは要の実体験?」

「どうかなぁ。私はいつでもご機嫌だから待つこと自体は苦にならないかな。」

 

全て終わって悩み事がないからか、割とみんなズケズケと人に聞いてくる。ユーノはもう少し遠慮しいだと思ってたけど?

まぁ、本当に待つこと自体は苦ではない。ただご機嫌なのはこの世界に来れたからなので、ある意味平常運転なだけなのだがそれを説明するのはちと難しい。

 

「なのはも居るし?」

「うーん。どっちかって言うとなのは君は待たせる側の人間だからなぁ。」

 

捨てられないならそれでいいかな、という言葉は閉まっておく。別に捨てられるならそれでもいいけれど、その時は愉悦のためにも手酷く捨てられてやりたいものである。

 

それこそ捨てた物の価値を理解した時に手の届かない存在になっていたら…きっとなのは君はいい顔をしてくれるだろう。

元より誰かの特別になることや特別な何かに執着する彼のことだから、捨てられる側の気持ちも手に入らない恐怖も二重に感じてくれるに違いない。

…まぁ、そんな彼に限ってそんな事は起きないだろうという確信めいた考えもある。私の幼馴染は人の痛みを理解出来るいい子なのだ。残念なことにね。

 

その後もなのは達に気付かれないからとなのは達の様子に目を配りつつもやいのやいのとそんなことを話していた。

 

時たまなのは達の様子に色々とツッコミを入れたりして楽しんでいたのだが、2人が抱き合った時にユーノが顔を染めていたのが若干気がかりだった事をここに書き留めておく。

 

「ねぇアルフ。これ良かったら貰ってくれない?」

「紐か?」

「ミサンガ。これに願い事をして、腕に巻いて生活してる間に切れたら願いが叶うんだってさ。」

 

なのは達も落ち着いてきて、話もひと段落した所で今日の一番の目的とも言えるミサンガをアルフに押し付ける。ちなみに私の手作りである。

子供が手で作れて思い出になりそうなものを考えたらこんなものしか思いつかず、思いついた時には自分の底の浅さに苦笑いが浮かんだ。

 

というか女神様を差し置いてこんな紐に願いを込めるというのは如何なものか。改めて考えると私は着けない方がいいかもしれない。

でもなのは達とお揃いにと作ってきた以上、発案者の私がしないわけにもいかない…。まぁ、願いごとせずに身に着けておけばいいか。所詮ヒモだし。

 

とはいえ金銭面で苦しい現在の私には実にありがたい光明だったので、作り方を教えてくれたクラスメイトである隣の席の陽子ちゃんにはいつかお礼をしようと思う。

 

「もう一本はフェイトの?」

「そ。なのはにも後で渡すからみんなでお揃い。直接フェイトに渡すと怖がられた時気まずいので、アルフから渡してくれるととても助かる。」

 

実際は直接推しに物を貢ぐのはなんか夜の店っぽく感じて私が嫌だったのでアルフに一任しているだけである。

だからそんなしょぼくれた顔しないでくれ。イケメンのしょんぼり顔のパワーに負けそうだ。

 

「…ごめんな。要も管理局に協力してただけなのに、俺達が勝手に苦手意識持って。」

「要は良い子だよ、アルフ。」

「照れ臭いこと素面で言われると反応に困るんだけど。」

 

純粋なアルフに対する罪悪感と天然なユーノの発言に対する照れを半々にブレンドした感情の矛先が分からず取り敢えず誤魔化す。クロノは意地の悪そうな顔でこちらを見ているが何か助け舟を出してくれる気配はない。

こうなると一人で対処する他ないのでなのは達の様子を確認して、クロノをけしかける事にする。

さっきは言葉を交わす時間を設けた方がいいって言ってたって?知らんな!(天上天下唯我独尊)

 

「あ、ほらクロノ、出番みたいだぞ。」

「ん?あぁ、確かにちゃんと話せたみたいだな。みんなで行くか。」

 

そう言ってクロノを誘導して移動用のポータルでクロノに先導してもらう。いやぁとても見応えのあるシーンだった。

 

向かう途中にユーノにもミサンガを手渡したのだが、なんかめちゃくちゃ嬉しそうだったので悩んだ甲斐があったと思えた。そういやあんまり友達らしい友達居ないんだったねユーノ。

なお、その後地球にいる間フェレットの姿でいることを忘れていたらしく、暫く着けられないと嘆いていたのを見て失礼ながらめちゃくちゃ笑った。

 

こんな緩い日々が続くのも悪くない。

 

いや、ダメだわ。来月から闇の書事件始まるやん!?




読了お疲れ様でございでした。

これにて彩々木 要を主役とした無印なのはのお話は終了になります。最後しり切れとんぼになってしまい私の力不足を嘆く次第でございます。

描写の拙さや話の中抜きなど私の技術不足のせいで原作を知らない人にはとても不親切な、知っている人にはより不親切な作品となりましたが楽しんでいただけましたでしょうか。
ただ私の書きたかった事は書けたので勝手ながら満足しております。

この後はおまけを数回挟んで本編という事になりますが、一切書き溜めておらずおまけは構想だけ、本編は白紙という酷い有様でありますので、少々お時間をいただいて本編を開始したいと考えております。
その間は出来上がったらおまけのお話を投稿し、要の話し方がおかしくなっているところなどを訂正して回りたいと思っております。

ではまた。

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