新作はカクヨムオンリーなので気になるかたはカクヨムで「牛頭三九」と調べてもらえれば出ると思います。R18作品?になるはずですが、今のところ警告はでていない...
-光輝の家
あれから何日が経ったのだろうか。ドア越しから俺を心配してくれる姉の声が聞こえる。それに適当に答える。今日までの間に姉やさよちゃんが何か声をかけていた気もするが、何を答えたのかそもそも応答したのかも定かではない。
俺のこの数日間の記憶は朦朧としていて、はっきりと覚えているのは本多とあの動画を見ていた。本多は何か俺に話しかけていたが、何を話していたかは思い出せない。
アルコールが体内に回り紅潮する頬、隣の黒髪マッシュの男から綴られる甘言、その男の甘言に絆され、身体も心も傾いていく少女のすがた....
「.....う"っ..」
喉の奥から痛みを伴いながら酸っぱいものが込み上げてくる。思い出す度に吐いていたためか、もはや胃酸が上がってくる感覚のみが喉や舌を苦しめるに留まる。ゴミ箱にはモザイク柄の吐瀉物が酸っぱい生ゴミのような臭いを放っている。
...
『気分が悪くなった...俺帰るわ。』
そういって俺は研究室を抜け出した。その時、廊下で知恵伊豆と彼女が歩いているところにすれ違う。
『どうした?光輝。顔色悪いぞお前』
『大丈夫?』
知恵伊豆と地味女が心配してくれる。
心配そうに俺を見つめる目の前の地味女が知恵伊豆に隠れて他の男と寝ていると思うと、グロテスクに見えた。
知恵伊豆の顔を見るのもとても辛かった。俺は目も合わせず、
『少し体調が悪くて..今日は休むよ』
と立ち去ったのが俺の記憶の最後だ。
...
俺は暗い部屋のなかで数日ぶりにスマホを開く。久しぶりに電子的な光を見て目をつぶってしまう。
ロック画面には夥しいほどのラインの通知が連なっていた。そのなかの一つに目がとまる。
「飲みにいかない?」
ガチャッ
「あ、弟くん....大丈夫?...お姉ちゃん....そのね」
「姉さん、迷惑かけてごめん。もう大丈夫だから」
「そ、そう...ならよかった...」
「ちょっと、友達と飲みに行ってくるよ」
「大学のお友達...?」
「うん。田中に誘われたから行ってくるよ」
-新宿 ゴールデン街
デン坊こと田中は俺が大学に来ないことを心配して毎日ラインをくれていたようだ。あんなにケバ女と別れたことをバカにしていた俺なんかを心配してくれるなんてデン坊は本当に良い奴だ。
焼き鳥の煙が歌舞伎町の外気を汚染させているんじゃないかというくらい白い煙を外にはく居酒屋で俺とデン坊はそれぞれ独り身同士で酒を汲みあう。
俺はデン坊に彼女としばらく連絡がつかなかったこと、本多から知恵伊豆の彼女が他の男と関係を持っていることを聞かされたこと、そして自分の彼女も他の男に取られたことを話した。
デン坊は俺をからかうことなく真剣に話を聞いてくれた。俺はこれまでデン坊にしてきたことを後悔した。
「光輝は彼女が束縛してくるのが辛いって言ってたけど、やっぱり彼女のこと大事にしてたんだ」
「告白されたのも主導権を握っていたのも由佳だった。だから俺は付き合わされてると思ってた。だけど、由佳が男に口説かれて懐柔されてるのを見て、気持ち悪くなって...今さらになって俺はなんで由佳を大事にしなかったんだろうって...ほんっと勝手だけどさ、由佳が好きだった.....!」
「光輝は彼女の言うことをちゃんと聞いてたじゃないか。」
「S○Xしてるときに他の女のこと考えてたんだぜ?!彼氏として本当にダメな彼氏だったんだよ!俺なんかがずっと一途に彼女を大事にしてたデン坊のこと、笑う資格なんてねぇよ。笑ってくれよこの無様な俺をさ!」
光輝は酒も入って感極まっていた。しかし、デン坊はじっと光輝を見て「笑わないよ」と諭すように呟く
「光輝は少し疲れてるんだよ。今日は飲もう」
「本当にごめんデン坊」
「別に気にしてないよ。彼女が言ってた通り俺はつまらない男だったんだよ」
「そんなことねぇよ!デン坊は最高の男だよ!」
俺とデン坊はこの小さな酒場で男の友情を育んだ。
-新宿東口周辺
すっかり辺りも暗くなり、ネオンがチカチカと眩しくなる。酩酊しているせいか光が切子細工のように幾何学的に見える。
すっかり酔ってしまった俺はデン坊に担がれなんとか歩けている状態だ。
「デン坊は本当にさ最高の友達だよ」
「もう10回は聞いたよ。光輝、明日は大学行けそう?」
「おう、行けたら行く」
「無理しなくていいよ別に」
デン坊に介抱されながら駅へと向かうと途中3人くらいの男たちとすれ違う。
俺は一瞬だったが、一人の男に見覚えを覚えた。何やら楽しげに話していた。
「この前さ、大学の新歓コンパで可愛い新入生がいてさ」
「あれだろ慶應のだろ」「お前青山なのにな」
「うるせーよ、それでさその子に話しかけたら前のデートで彼氏と喧嘩したっていうから滅茶苦茶アタックしたらホイホイホテル着いてきちゃったさ」
「はいはいはいはい笑」「ズッコンバッコンしたの?」
「ズッコンバッコンして、彼氏がやってないことも色々させたわ笑」
「お前エロいって笑」「彼氏可哀想じゃん笑で、その女どうしたの?」
「なんか面倒くさそうだからヤリ捨てだよヤリ捨て」
「俺に紹介しろや」「やだよ、お前は家で⚫︎⚫︎ってろ」
バレンシアガのパーカーを着た黒髪マッシュの男....
デン坊が声を掛けた時にはすでに光輝はデン坊の肩にはいなかった。
千鳥足になりながら男たちの方へと向かった。
「由佳を.....どうした!」
「どうしたってお前がどうしたんだよ?」
「もしかしてヤリ捨て女の彼氏?」
「あー、こんな彼氏なら取られて当然だよな」
男たちの不快な笑い声がノイズとなって耳に響く。
デン坊が恐る恐る俺たちのところに来て「すみません。こいつ酔ってて」と謝る。それでも、俺は止まらなかった。
「由佳をどうしたって聞いてるんだよ!」
「光輝!帰ろう!」
「知らねーよ。他の男に抱かれてんじゃねーの?」
「慶應だもんな。ヤリまくりでしょそりゃ」
俺は言い返そうとすると、腹部から酸っぱいものが込み上げてきた。
やっている俺には制御などできず、口から吐き出たものはアスファルトを汚す。それだけではなく、黒髪マッシュの男の一張羅も巻き込んでいた。
「てめぇ....何してんだよ、クソがぁ」
鼻を潰されたと思いきや、気がつけば鼻血が出ていた。そのあと前歯に痛みが走りやっと自分は殴られたんだと気がついた。倒れ込んだ隙をついて膝蹴りされ眉間から熱いものが流れているのがわかる。視覚はほぼ奪われ、四方から蹴られていた。
きっとデン坊も怖くなって逃げたんだろうな。
由佳は寝取られて、その男からボコボコにされてもうここで死んでもいいくらいに惨めな気持ちだった。
これが彼女を大事にしなかった天罰なのだろうか。
腹を蹴り上げられて、ゲロポンプになっている時女の声がした。
「お前らその辺にしとけよ」
「あ?誰だよ」
「一対三で恥ずかしく無いのか?」
「女は引っ込んでろよ」
「おい、あの人新宿で有名なレナさんだろ」
「え?まじかよ...チッ行くぞ」
男たちは俺から離れてどこかへと行ってしまった。
「光輝、ごめん。助け呼んでたら遅くなって」
「だ、誰か知りませんが...ありがとうござ...」
目も腫れてほとんど見えてなかったが、俺は最後の力を振り絞り言った。
「73点の女....?」
「お前しばかれたいか?」
-歌舞伎町某クラブ
「「はい、レナさんは1億点の女です」」
「よろしい」
いつの間にか歌舞伎町の高級クラブのVIPルームに何故か連れてこられていた。
73点の女...もといレナさんは新宿では有名な喧嘩自慢のツレらしい。レンタル彼女は昼間の暇つぶしでたまにやっているらしい。
レナさんは俺の肩をベシッと叩く
「それにしてもお前、見かけによらず男前じゃん。彼女のために戦うなんてさ、アイツの若い時思い出すな...ほら、遠慮せず飲め」
俺はもう胃酸で喉も胃もボロボロだったが、断ったら何されるか怖かったので無理やり飲む。
「まさか、レンタル彼女で出会ってたなんてな」
「はい。でも、その日レナさんの都合合わなくて理香ちゃんが来てくれたんですけどね」
俺がクリスマスの時の話をすると、レナさんは「ん?」と怪訝な表情を浮かべた。
「誰だ理香って。キャストはみんな友達だけどそいつはしらねぇな。ってか、お前か!渋谷で私を待ちぼうけさせた不届ものは!」
「待ちぼうけ?!だって理香ちゃんに急に余計がつかなくなったって聞きましたけど!?」
「まぁ今日のところは許してやるよ。でも、大久保理香なんて子は知らないな。」
「この子見たことないですか?」
俺はラインを見せようとした。すると、理香ちゃんからの通知が50件ほど溜まっていた?
そのほとんどは返事がなく心配しているようだった。また、誰かから大学にも行っていないことを聞いたのかそれについても心配してくれていたようだった。
そして、最後のメッセージ
「また今度デート行こうね❤️」
-数日後、池袋駅
「久しぶり光輝くん」
「理香ちゃん、理香ちゃんに聞きたいことがある」
「うん。私も話したいことがあるの」
こうして、クリスマス以来のデートが始まろうとしていた。
閲覧ありがとうございました。
遂に理香ルートです。あまり長くやるつもりないですが、ヤンデレだらけのクリスマスが実質理香がヒロインなので許してください(攻撃型の由佳に愛着持ってしまって贔屓しすぎたけど