その男が場に現れると会場が一瞬で静まり返った。薄桃色の髪をしたこの青年こそ、今回のレイシフトの目的。この微小特異点での珍騒動の発端となった人物。
マスターが会いたいと願っていたインド神話の大英雄。カルナがようやく紅閻魔たちの前に姿を現した。
「シトナイ、素晴らしい戦いだった。だが残念だったな」
勝者ではなく敗者に声をかけるところが、彼が施しの英霊と謳われる特徴なのだろうか。
シトナイはカルナを見上げると、立ち上がって瞼を閉じ、思いっきり息を吸った。
「あーーーーーーーーーーーー! 悔しいいいいいいいいいいいい!」
周囲を無差別に切り裂くような大声だった。紅閻魔も思わず耳を塞いでしまった。
「……ふぅ、スッキリした」
言葉通り吹っ切れた顔をすると、紅閻魔に手を差し出した。
「おめでとう、紅閻魔さん」
「……はい……ありがとうでち」
紅閻魔はその手を取った。そしてシトナイはカルナを指さす。
「カルナさん、声をかけてくれたことは嬉しいわ。けれど、あなたは先に紅閻魔さんに声をかけるべきだわ」
「む、そうだな」
シトナイはそれだけ言うと、シロウと立ち上がったヘラクレスを連れて紅閻魔たちから離れていった。
その背中に声をかけようとしたが、視線に気づいた。ネロの物だった。もう一つ視線があることに気づいて振り返ると、メイヴだった。2人の目が語っていた。「勝者が敗者にかける言葉はない」と。人の上に立ってきた彼女たちだからこそ分かるのだろう。
紅閻魔は口を閉ざすと、少しためらってから胸を張った。
「では紅閻魔よ。順序が逆になってしまったが……優勝、見事だった。貴様を称えよう」
なにか上から目線のような感じだが、これがカルナなりの参事なのだろう。
「大会の約定どおりだ。貴様には今年の……」
「カルナ様。その前に一つよろちいでちょうか?」
悪いとは思ったが、彼の口上を止めさせてもらった。今は優先してやるべきことがあるのだ。
「なんだ?」
「はい、ご主人が……」
サンタも大事かもしれないが、尋ねなくてはならない。紅閻魔の隣にマスターが立った。
「カルナ、なんでこんなサンタ大会なんて開いたの?」
これが今回の目的なのだから。
カルナはマスターたちの意図を理解したようで、さらりと答えてくれた。
「ああ、これはカーマの提案だ」
「ちちゅ!?」
予想外の名前だった。カーマはスタート地点で荷車を渡すだけの係だったはずだ。そんな彼女がこの大会の提案者だという。紅閻魔の頭の中で様々な情報がぐちゃぐちゃになった。
「ま、待ってくだちゃい! じゃあ、今回のこの大会は……」
「そうですよ。私の企みです」
サーヴァントたちが集まっているこの場に、新しい声が聞こえてきた。紫色のサンタ服を着て、肩に白い袋を担いだカーマだった。その笑みは大会参加当初に見せた物とは異なり、悪党という言葉がぴったりと当てはまる様だった。
「カーマ様、どういうことでち? 玉藻が言っていたでち。カルナ様には……」
「貧者の見識。騙されたり、誑かされないスキルですよね。そうですよ、だから無効化したのです」
カーマは左手に金色の杯を召喚して見せた。聖杯だ。これまで何度も見てきた聖杯がそこにある。
「カルナさんを騙すために聖杯の力を使いました。そして大会の細かいルールを作って提案しました。カルナさんも皆さんも、私の思った通りに動いてくれました。おかげさまで、BSPがこんなに溜まりました」
カーマが聖杯を掲げると、そこに黒い粒子のような物が集まり始めた。いや渦だ。雷鳴を帯びた黒い渦がカーマの頭上に現れた。
「BSPって確か……」
「サンタポイント、SPの真逆の存在。サンタさんが皆さんを不幸にしてしまったマイナスポイントです」
マシュの呟きにジャンヌリリィが答えた。
「これほど大きくなるまで腫瘍に気づかなかったとは……看護師として失格です」
サンタ2人のうろたえを見て気を良くしたのか、カーマは堰を切ったように笑い出した。
「フフフフフ、幸せになる人が増えれば増えるほど、それをみて不幸になる人も増えます。サンタ決闘なんてもってのほか。ただの迷惑です。気分が良かったですよ。皆さんが私の定めたルールに従って、この町に不幸をばら撒いてくれる様を見ていたのは」
渦巻くBSPを見上げる紅閻魔に、カーマは尋ねた。
「そこの優勝した雀さん、このBSPが何に役立つが分かりますか?」
「ちちゅ……魔力に変換するのでちね?」
「流石、よく分かっていますね」
BSPとは人が不幸になった値、人の感情。そして感情とはエネルギーだ。聖杯の力を使って、それを魔力へと変換して自分の物にする。それがカーマの目的だ。
紅閻魔はこの法則をよく知っている。閻魔亭の神棚もこのシステムだ。お客様が満足してくれた気持ちが魔力となって奉納されるのだ。
「この魔力を使って、私はさらなる力を得ます。魔力の質を考慮するとアヴェンジャーあたりと相性が良いのですが、私は愛する神。そうですね、本来のアーチャーの霊基になるのも良いでしょうね」
これは喜ばしい事ではない。カーマはカルデアのサーヴァントではあるが、マスターたちに何度か牙を向けたことがある危険人物だ。大きな力を持てば何をしでかすか分からない。現に今回もカルデアのサーヴァントたちを利用して、このようなことをしでかしているのだから。
ただ一つ疑問点が出てくる。
「なんでこんな回りくどい事をしたのでち?」
魔力が欲しいのなら、力が欲しいのなら、聖杯にただそう願えばいいだけの話だ。
「聖杯に願って叶えても、そんなの意味ないじゃないですか。私は愛の神、全ての人間を愛する神です。必要なんですよ、サンタになるというプロセスが」
「ちちゅ?」
「あ~、そういう感じか」
マスターが代わって説明した。
「サンタは全ての人にプレゼントをあげる……言い換えれば全ての人を愛する存在。カーマはそれになりたかったんだね」
「逆に尋ねますけれど、私以上に相応しい者がいますか? あ、エロースの名は出してはダメですよ?」
カーマは竜巻にまで成長したBSPの群れを見上げた。
「クリスマスで幸せになった人も、不幸になってしまった人も……たかがクリスマスごときで一喜一憂する愚かな人間たちを愛してあげます。本当ならSPもいただきたいところですが、BSPがこれだけ集まればとりあえずは充分でしょう」
そしてカルナに勝ち誇ってみせた。
「アハハハハハ、気づかなかったでしょう!?」
満面の……大きく花開いた悪の笑みだった。
「いや、別に」
涼しい返答だった。カーマの笑い声が止まった。
「……え?」
「思った以上にくだらない企みだった」
騙されたはずのカルナはフードの中でいつも通りの表情を保っていた。反する様にカーマに焦りの色が浮かびだした。
「な、なな何ですって!? わ、私、聖杯を使って……」
手に持った聖杯を見て取り乱す彼女に、カルナは無情な一言を告げた。
「スキル以前に、お前を信頼するわけがないだろう」
カーマの目が丸く開かれた。口がみっともなく震えだす。
「え、だ……だって……」
「ねえ、カーマ」
マスターがモリアーティを指さした。
「殺人現場に教授が居て、『犯人じゃない』って言ったら、信じる?」
「なんで私を例に出すの!?」
モリアーティに構うことなく、カーマは即答した。
「そんなの、信じるわけないじゃない!」
「そういうことだよ」
「……あ」
カーマが凄く納得したという顔をした。ちなみに、モリアーティは「アラフィフは脆いんだから大事にして……」とメソメソと泣き、フランとバベッジに励まされていた。
「つまり、君の計画は最初から破綻していたんだよ」
カーマが恐る恐ると周囲を見渡した。
「何か企んでるなとは思っていたわ」
「うむ、貴様から漂う陰謀の色、我らとて気づいていた」
「まあ、私達は同郷ですし……」
「そういうのって、匂いで分かるのよね」
シトナイもガヴェインもアルジュナもメイヴも、皆がうんうんと頷いていた。
玉藻の前も同様だった。
「これほど分かりやすい黒幕もそうそうありませんわよね、センセ」
「ちちゅ!? そ、そうでちね……」
どうやら気づいていなかったのは紅閻魔だけらしい。
「カーマよ。俺がこの計画に乗ったのは、お前の企みを表沙汰にするためだ。どうせ大したものではないだろうが、マスターにも認知してもらた方が良いと思ったからな。それと単に、今年のサンタを選ぶ方法を思いつかなかったからだ」
「それ、後者の理由がほとんどじゃない?」
「……6……いや7割くらいは後者だ」
マスターの問いにカルナは少し迷って答えた。
この白けた空気の中、カーマだけが1人身もだえしていた。最初から眼中になかったと言われたのだ。屈辱なんて生温い言葉では片づけられないだろう。
「ば、馬鹿にして……分かりました。私を甘く見たことを後悔させてあげます!」
カーマが聖杯を捧げると、BSPがとぐろを巻くように収束していった。
「見なさい、これが私の真の力です!」
聖杯が輝くと、BSPはおどろおどろしい魔力へと変換され、カーマに吸収されていった。彼女の体がドクリと一度脈打つと、黒い光が彼女を包んだ。
『霊基グラフパターン変化! カーマの霊基が書き換えられていってるよ』
ダヴィンチが語り掛ける空中ディスプレイの周囲からは、キーボードやパネルを叩く音が聞こえてくる。ムニエルたちスタッフが観測に対応してくれているのだ。
そしてカーマの黒い光が晴れる。服装こそは紫色のサンタ服で変わっていない。だが体が大きく変化していた。普段の子供の姿から、大人のものへと変わっていた。サンタと自称する割に、少々露出が多くなっている。
そしてその左手には弓が握られていた。彼女が宝具で使用するものだ。宝具を使う時にしか展開できなかったはずだが、どうやら常時展開が可能になったらしい。
『霊基パターンの変更を確認。今の彼女はアーチャー……』
「そうですよ。私と言ったら弓でしょう? アヴェンジャーよりもこちらの方が、やはりしっくりときますね」
カーマはインド神話の愛欲の神。弓矢で射抜いた相手の恋情を引き起こすとされる存在だ。そしてBSPを大量に取り込んだ影響なのか、魔力が爆発的に増加していた。
紅閻魔はマスターが身構えるのを見た。数々の視線を潜り抜けてきた彼が臨戦態勢に入った。それは「カーマが警戒に値する存在となった」という証だった。
「さあ、カルナさん。私を今年のサンタだと認めてください。認めない? なら私がすることは分かりますよね? っていうか暴れちゃっていいですか? 今、かなりイライラしているんですよね~」
ここに集った数々の英霊達。それ全てを相手にするというのだろうか。いや、違う。
確かに強力な英雄たちが集っているものの、肝心のマスターがその力を活かしきれない。残念ながら、マスターの魔力は三流魔術師以下、一般人レベルだ。全員に魔力を供給しようものなら、あっという間に枯渇して、全員が動けなくなる。
いや、先ほどのヘラクレスとの戦いで、もう使い切ってしまっている可能性の方が高い。
この状況下で、聖杯とBSPという大量の魔力を手に入れたカーマと戦う。どう勝てと言うのだろう。
聡明なカルナもそれを理解しているはずだ。だがここで頷くわけがないのも彼だった。
「断る。これは優勝者である紅閻魔のものだ。貴様にくれてやるのは俺の拳だ」
カルナが皆をかき分けるように進み出ると、マスターの側に立った。
「マスター、俺一人分の魔力消費なら行けるか?」
「……令呪を使えば……」
令呪、マスターがサーヴァントに下す強制命令権。そして魔力の貯蔵庫だ。マスターの最後の切り札。これを使えばサーヴァント一人が全力で戦うくらいの魔力にはなるだろう。
「よし、ならばそれを俺に!」
マスターが頷いた時だった。
「お待ちくだちゃい」
紅閻魔が二人の間に割って入った。
「カルナ様、その役目、あちきに譲ってはくだちゃいませんか?」
「……ほう?」
カルナの目は値踏みするというよりは、感心したものだった。
「先ほど、ケツアルコアトル様がおっしゃっていまちた。サンタとは時に、その力をもってクリスマスを守らなくてはなりまちぇんと」
ケツアルコアトルと目が合った。
「ならば、今がその時でち。カーマ様を止めるのは、今年のサンタを受け継ぐあちきの役目だと心得えまちた」
カルナは聞いているだけで何の反応も示さない。だがその口元は笑みを浮かべていた。
「カルナ様、どうかここであちきをサンタに任命してくだちゃい」
紅閻魔の固い瞳。それに見つめられて、カルナは後ろを振り返った。
アルトリア・オルタ、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ、アルテラ・ザ・サン〔タ〕、ケツァル・コアトル、ナイチンゲール。歴代サンタたちもカルナと同じ気持ちのようだった。
「良いだろう!」
カルナにしては珍しく叫ぶように言った。
「紅閻魔。お前を今年のサンタに任命する。そしてカーマを倒し、クリスマスを守る役目をお前に託す」
カルナが紅閻魔に向かって手をかざすと、光の玉が生まれた。サンタサーヴァントの力の源、サンタパワーだ。それが紅閻魔へと吸い込まれていく。とたんに紅閻魔は内側から込み上げてくる力を感じた。それに身を任せる。
自分の霊基が書き換えられていくのを感じる。刑部姫から借りた衣装が魔力を帯びて、自身と一体化していく。後で刑部姫に謝罪しなくてはいけないなと思う。
光が納まった時、彼女のクラスも変わっていた。
「皆様に楽しいクリスマスを届けるため、皆様に笑顔を届けるため……。そして今宵の僅かな一時を汚さんとする、邪なる者から守るために! ルーラー……紅閻魔サンタ、推参でち!」
姿は和服サンタから変わっていない。だが新しい力が自分の中に宿っていた。
「後は任せるぞ、紅閻魔……いや、紅閻魔サンタよ」
「はい、お任せくだちゃい」
そしてマスターを見た。
「御主人?」
「うん、やろう!」
今度はマスターが左手を紅閻魔に向けた。
「令呪三画、全てを使って命じる。紅閻魔サンタ、クリスマスを守れ!」
左手にあった令呪が一画ずつほどけ、魔力となって紅閻魔へと流れていった。彼女の周囲では大量の魔力が雷のように迸る。
それでもカーマには大きく及ばない。
「クスクスクス、悪あがきですか? 良いですよ。そんなマスターたちも愛してあげます。ただ、そこの雀さんには痛い目を見てもらいます」
そして弓を構えた。
「雀さん。私とあなた……どちらがサンタに相応しいか、最後のサンタ決闘をしましょう!」
2人が対峙した。皆が口を閉ざした。皆がこれからの展開を見守った。この場で戦う権利があるのは二人のみ。
余人が口を出してはいけない場面だった。
『と、盛り上がっているところ悪いんだけれど……』
ププーという電子音に続いて、ダヴィンチが顔を出した。静まり返ったこの場の空気をぶち壊す横槍だ。腹を立てたのはカーマだった。
「ちょ、ちょっと! そこのあなた、口を挟まないで貰えるかしら? 私がサンタになろうっていう最後の段階なのに……」
『そう、それそれ』
詫びる気も一切見せずに、ダヴィンチはカーマを指さした。
『君、もう詰んでるよ?』
「……はぁ?」
カーマからすれば疑問でしかないだろう。魔力量は彼女が圧倒的に多いのだ。不利なのは紅閻魔の方だ。なぜ詰んでいるなどと言われたのだろうか。
「そちらの計測器で測ってみてはどうです? 私の方が……」
『カーマ、魔力は確かに戦闘を左右する大事な要素だ。けれどそれ以前に大切なのが戦略やサーヴァント同士の相性だ』
「それが何か?」
どうやら彼女はまだ分かっていないらしい。マスターがカーマに呼びかけるように尋ねた。
「カーマ、君の属性は?」
「属性? 女性に神性に……天属性……それと悪と混沌属性がありますけれど?」
「そう言うことだよ」
カーマはまたもや首を傾げた。まだ分かっていないらしい。
『マスターくん、このホログラム映像を彼女に見せてあげてくれるかい?』
「分かりました」
マスターがホログラム映像を大きくして、カーマにも見えるようにした。カーマは目を細くして、そこに書かれていた項目を読み上げた。
「え~と、紅閻魔の宝具……十王判決・葛籠の道行……悪・混沌属性への特攻……」
さーっとカーマの顔から血の気が退いた。
『さらに言うなら、今のサンタ紅閻魔のクラスはルーラー。アーチャーである君の攻撃も緩和されてしまう。BSPの性質に任せて、大人しくアヴェンジャーにしていたら、まだ勝ち目はあっただろうね』
意地悪く笑うダヴィンチを振り払い、「待った待った」とカーマは手を振った。
「ちょ、ちょっと待って! あ、あんまりじゃない!?」
紅閻魔は構うことなく前進した。霊基が変わってスキルや宝具も変わっているが「悪・混沌属性への特攻」という面は今も持ち合わせている。
「だって! 聖杯まで使ったのよ! 聖杯を手に入れて、大会のル―ルだって一生懸命に考えて、特異点や荷車なんて準備までしたのよ!」
「言い訳は結構でち」
場を静まりかえらせる、ピシャリとした声だった。
「お前さまの労力など関係ありまちぇん。大切なのは、皆さんにどれだけの迷惑をかけたかでち。今のあちきはサンタでち。サンタとしてお前さまに裁定をくだすだけでち!」
「わ……私、私……!」
「もう一度言いまち。そちらの言い分は先ほどまでよ~く、聞きまちた。弁明の権利も与えまちぇん」
紅閻魔の手に
「お前さまに罪を言いわたしまち!」
笏がカーマを捕らえた。とその瞬間、それはクラッカーに変わり、パンと弾けて赤や銀の紙がカーマを包んだ。この時、カーマは既に固有結界に覆われていた。
頭上から9つの箱が落ちてくる。綺麗に放送されたプレゼントボックスだ。それはカーマを中心にして、円のように配置された。
「有罪! クリスマスを害したその罪、断じて許せまちぇん!」
その掛け声に合わせるように、プレゼントボックスから雀が飛び出した。9羽とも、閻魔亭で働く奉公雀たちだ。足にはテープを持っており、それを空へと広げていく。9色の虹のようがクリスマスを彩っていく。
そんな様可愛らしい様とは裏腹に、彼らはかまいたちのような高速飛行でカーマの体を切り裂き、宙へと放り投げた。
目を回しながら空中で無防備になるカーマ。そんな彼女の前に、飛び上がった紅閻魔がいた。その手には笏ではなく、日本刀が握られていた。
「十王判決・葛籠の道行……クリスマス式!」
一閃。刀が煌めいた直後、紅閻魔の大太刀は鞘へと納められた。
「わ、私……」
遅れて、カーマの体に大きな刀傷が走った。
「ラスボスなのに~~~!!」
彼女の纏っていた魔力が爆発した。季節外れの花火を見上げるマスターとサーヴァントたち。その元に、今回の主役が帰ってきた。
「クリスマス裁判、これにて閉廷!」
ゆっくりと立ち上がると、紅閻魔は笑顔で迎えてくれたマスターを見上げた。
「御主人、終わりましたでち」
「おかえり、紅閻魔先生」
「はい」と今年のサンタはニッコリと笑った。
ルーラーになった紅閻魔の宝具演出を考えたのですが、思いつけませんね、なかなか。
スキルやステータスとかも考えようと思ったのですが、別にそこまで書かなくてもいいかなと……
カーマの扱い?
こういうものですよね?