そんなこともありながらも俺たちはようやく隠岐の国から鬼をだいたい殲滅することに成功したが生き残りはおらず隠岐の国は今は鬼もいない人もいない場所に変わってしまった。でもこれで良かったかもしれないと感じながら俺は調査を始めた。
一葉は疲れたと言ってまた海辺に遊びに行った。本当にあの人の行動には困る者だなと思いながら調査をしていると一葉がものすごい慌ててこちらに向かってきたのだ。こんな時は何か興味深いものが見つかったときかまたは本当に命の危険が感じた時の二つだがさてどちらかなと思って待っていると
「主様、海辺に信じられない物を見つけたのじゃ、余が言うより見たほうが早いのじゃ」
なんだなんだ、一葉が信じられない物って何だろうな。でも一葉は神々の領域に入り込んでいるから普通の人よりは知識はあると思うのにとその場所に向かって歩いてみるとそこにはとても巨大な足跡が海辺に残っていたのであった。
これは間違いない、恐竜の足跡だ。それも俺が式神にしているバリオニクスとかステゴサウルスよりも大きな恐竜だ。なぜこの隠岐の国にあるのだと思いながら俺たちは足跡を追って移動を始めた。
そして歩いていくうちに巨大な生物の寝ているだろう呼吸が聞こえて俺は一葉に少し離れた場所に待機してもらって恐る恐る、その場に向かってみるとそこには全長十メートル以上はあるだろう恐竜を発見した。
やばい、こんなのがこんなところにいるなんてもし見間違いでなければあれはアクロカントサウルス、白亜紀前期に生息していた巨大な肉食恐竜。ついでにどれぐらいやばいと言うとだいたいギガノトサウルスとかティラノサウルス並みにやばい恐竜と言える。
今の俺で討伐できるかわからないぐらいのやつがいる、ここは起きる前に逃げるのが得策だ。調査とかしている場合ではない、鬼とかも平気で恐竜たちは食うからな。逃げるのが勝ちはまさにこの状況のことを言う。
さて、一葉を抱いてそのまま飛んで逃げますかと思っていたら後ろから何か起きたような行動が聞こえてきたので後ろをふり返ると見事に起き上がったアクロカントサウルスがそこにはいました。
俺は少しだけ見つめ合ったらすぐに走り出して遠くに待機していた、一葉に聞こえるように大声を出して伝えた。
「一葉ーーー逃げろーーーー、やばいやつが起きたぞーーー」
一葉も最初は興味を持っていこうとしたが迫ってくる足音の大きさに本能的にやばいと感じて素直に逃げ始めた。
俺はやばいやばい、急いで逃げないと食い殺される。そう思っていたらまだ生き残っていた鬼が一斉にアクロカントサウルスに数体で襲い掛かったがすぐに返り討ちに合いすべて食い殺された。
でもそのおかげで時間は出来たと思い急いで一葉に合流して逃げないとと思っていたら鬼を数体食べただけでは満足していないのかこちらに再び襲い始めてきた。
やばいと思った次の瞬間、崖の上から一葉の声が聞こえてきたのであった。
「余が知るところの刀剣よ、余が知らぬところの秋水よ、存在しながら実在はせぬ、幻の如き宝剣よ、今、その存在を晴天の元に降臨せよ・・・三千世界」
無数の武器がアクロカントサウルスに降り注いだ。それは神から見てもすごい一撃であり下級神ならば対処は出来ないだろう威力。少なからず前に知性を持った鬼ならば倒せるぐらいの威力はある。一葉はあれからも強くなるために修行をしてきたのだろうと見ただけでも理解した。
しかし、肝心のアクロカントサウルスは傷こそは出来ているが致命傷までには至っていなかったのである。あんな攻撃を受けてまだ致命傷ではないのかと俺は驚きを隠せないでいた。むしろ降り注いだ武器を口にくわえて逆に一葉に向けて投げ飛ばした。
その速さに一葉は避けはしたがそのまま崖から落ちてきたので俺は急いで一葉を受け止めたが背後が崖で追い詰められてしまった。ここで俺はしょうがないと思い式神の二体を召喚した。
バリオニクスのバリバリとステゴサウルスのステド、それと俺で何とかするしかないと思い前に出て戦闘を始めた。俺は先陣を切ってアクロカントサウルスに向かって攻撃をして至近距離から雷桜を発動して攻撃したがダメージはあったようだが致命的ではなくすぐに尻尾で反撃してきて俺はそれを回避することができずに当たり吹き飛ばされた。
今度はバリバリが爪でアクロカントサウルスに攻撃をしてきたが噛みつき攻撃を受けて危ないところをステドが尻尾攻撃で助けたと思ったら今度はステドに対して噛みつき攻撃をしてきた。
そして俺が戻ってきて今度は背中から刀を突きさしてぐいぐいと肉を削っていると痛みでステドを離した。そして俺を振り落とそうとして暴れだした。俺は逃げるには今しかないと思いバリバリに海に入るように指令を出しステドは戻ってもらいそして一葉に対して声をあげて伝えるのだった。
「一葉ーー、バリバリに乗って海に出ろ。逃げるには今しかないー」
一葉はそれを聞くと急いでバリバリに捕まり海に出たのであった、それを見届けた俺は最後にアクロカントサウルスに今までの礼をするために直接に体内に届けるために傷口から雷桜をお見舞いしてあげた。
そして動きが鈍くなった瞬間に翼を広げてそのまま空に逃げた、アクロカントサウルスは海に出たバリバリたちと空に逃げた俺たちを追うことはしなかったので俺はひとまず安心したと思いながら一葉に合流した。
そこで待っていたのは泣いている一葉の姿であった。一葉は昔、俺が一葉たちに招待がバレる事件が起きてから迷惑をかけないように強くなると決めていたのにまたしても迷惑をかけることになって悔しくて泣いていたのである。
「すまない、主様。余は・・・余は、主様に迷惑をかけないように努力をしてきたのに何も成果をあげられずまた主様に助けてもらったことが悔しいのじゃ、余は世間では強いと言われておるが本当は一人では生きられぬ小娘なのじゃ」
今までないぐらいに泣いている一葉を見て俺は必死に慰めようとしたが返ってきたのはそんなことをしないでほしいのじゃ、主様に余がそれぐらい頑張っていたのかわかるのか。主様のためにやったのにと言われて俺にはもうどうすることもできずにただ泣いている一葉を見守りながら京の都に帰るしかなかった。
京の都に帰ることにはさすがに泣き止んでいたが今だにものすごい落ち込み具合が顔からわかるぐらいになっていた。一葉は城に帰るとすぐに部屋に入りそのまま休みたいと言って戻ってくることはなかった。
幽からは一体何が起きたのですかと聞かれたので俺は素直にすべてを話した、隠岐の国で鬼がいたこと人は見つからなかったことそして俺たちではどうすることもできなかった生物がいたことをすべて話した。
「左様でしたか、それで公方様は泣いてしまったのですか。本当に困った御仁ですな」
「でも一葉にとってみれば必死に強くなったのに全然強くなっていなくて悔しいだろう、俺が慰めようとしても嫌がられたぐらいだ。この感じは本当に嫌な傾向だな」
幽がそれはどうしてですかと聞いてきたので俺はかつて久遠と仲が悪くなる時と似ているような感じがするので俺はかなり心配していた。自分がやったことはすべてダメ、すべて認められない。その苛立ちで久遠はあんな風になってしまった。
一葉は久遠に似ているところがあるからそれを心配していると幽に伝えると公方様は大丈夫です。それに某が間違えそうになったら正しい道を示してあげますので心配はしないで構いません」
そうか、幽がそう言うのであれば大丈夫だろう。しかし、それでも気になるな最後に別れる前の一葉の目が・・・・あの時の、仲が悪くなり始めた時の久遠と同じであったことがどうしても忘れられなかった。
一葉もいつかは久遠みたいになって俺を遠ざけようとするのではないかと思うようになった。できることならばそんな風にはなってほしくはないと感じながら俺は重い足取りで久遠の様子を見てくるかと思い尾張に向けて歩き出すのであった。