詩乃は俺から言われた言葉を聞いて石のように固まっていた。無理もない先ほどこれほど怖い能力があるのであろうと思うぐらいの力を見せた上にそれがほかにも使える奴がいると知れたらそうなるよなと思いながら見ていた。
するとすぐに詩乃がではそのような出来る者たちはどこにいるのですかと聞いてきたがそれが分からないのが一番の厄介な点だ。もし、知らないところで力を使い悪用でもしていたらと思うとせっかく天下統一できたというのにまた戦国の世に戻りかねないと言えるだろう。
いや、天下統一の直後でなくてもそうなるだろうがそれで俺が伝えたいことはまだ油断ができない状況にあるということを知っておいてほしいということである。下手にすれば明日にはまた戦いが起きるかもしれないとうちの軍だけでも知っておいてくれたらと思いで話していた。
それに頭がいい詩乃がそれを知ってくれたら対応できるかもしれないと考えていた。無論、久遠たちにも話そうかと考えたがここで話して話を大きくすればあの子たちにも聞こえるようになる。
かえって刺激を与えることになるだけである、そうなれば何をするのかは分かったものではない。だから今は詩乃と昌恒だけに伝えている。万が一俺が居ない時でも対応してくれるように。
もちろんそうなる前に止めて未然に防ぐことが一番良いけど、それは難しいと考えている。できるのであればもうこんなことで悩んだりはしないからな。
そう思いながら俺は歩いていると後ろから詩乃がその者たちを知っているのですかと質問が来たので俺は隠さずにその関係性を教えたのであった。
「・・・そうだな、隠すのは良くないことだ。詩乃・・・これから話すことはまだみんなには言うなよ。重要なことだからな。それでその関係は、親子だ。俺が親で気にしているのが子供たちである」
それを聞いて目を開いて驚いていた、俺に子供がいることにそして誰との間の子供であるかと聞いてきた。俺はまた素直に話した。
「この世界は一度鬼に支配されただろ、俺もすぐに助けられたわけではない。実は鬼に捕まっていてその時に女にさせられていた。後は言わなくても分かると思うけど話しておこう、俺と鬼の間に生まれた子供だ。つまりは神と鬼の間の子供だ」
それを聞いて詩乃はそんなことがあり得るのですかと聞いてきたが俺は事実のことだ、信用できないのも分かるが真実がそうだから嘘でも何でもないと言い真剣な表情でそう伝えると詩乃もそれが伝わり、考え始めていた。
恐らく詩乃のことだ、ある程度のことを想像をしているのだろうなと思いながら見ていた。そしてまずはその子たちの特徴に名前など聞き出して必死に考えていた。
俺も考えているけどそんな簡単な相手ではないことは理解できていた。かつて俺も悪行をしていたこともあるので余計に心配をしていた。愛情が足りないとイラつきに他者に対する憎しみ、この世に対する恨みなどが出て来ていつかは大きな事件を引き起こす。
最近で言えば剣丞君がそうだし過去までさかのぼってみれば己が一番の良い例えだ、親に愛されることなどなかったせいで多くの悪行を重ねてしまった過去がある。今ではそれをしてしまったことを後悔をしている、多くの不幸や幸せを壊してしまった。
その罪悪感は今でも悪夢みたいに出て来ては俺を恨みながら死んでいく者たち、ほかにも助けてほしいと言いながら殺していく夢なども見たりする。
その時は起きると汗が凄いことになっておりほかの人から大丈夫かと言われるがそんなことを言えるはずもなくただ大丈夫ですと言って笑顔にそうやり過ごしていた。
だからかな、どんなにひどい目に遭ってもどんなに裏切られも、好きな女性が寝取られても元々俺は悪党中の悪党だからしょうがないとそう思いですべて終わらせられた。
こんな俺と付き合うよりもきっとほかの者ならば楽しく暮らしていけると思いで何も言わずに反撃もすることはしなかった。ほかの者から見れば弱気など覇気がないと言われるが・・・それで終えることができるのであればそれで良いと考えていた。
けれどこの世界に来て多くの好きな人、そして好きな場所が出来すぎてしまった。もし俺の正体を知られたらどうなるのか怖くて今だに話せずにいた。俺は本当に臆病者で卑怯者だ。
好きな人たちに己の過去を一切教えることはせずに今の己だけを見せて良い人だと思わせている卑怯者、そして嫌われるのが怖くて話せない臆病者。
果たして俺は彼女たちに合うような男であろうか。少なくても俺はないと考えている。なのに今でも好きな人とこうして一緒にいる・・・果たしていいことなのか。
そう暗く考え事をしていると心配そうにしながら俺を呼び掛けていた詩乃が目の前に来ていた。俺は少し驚きながらもすまないと謝ってまた歩き出していた。
「そうだ、詩乃。お前には苦労させているから何かしてほしいことがあれば言っても良いぞ。でもかなり大変なことはやめてほしいけどね」
俺はそう笑顔になりながら詩乃に伝えると詩乃がならば将希殿の過去を知りたいですと言ってきたので俺はそうか、ならば落ち着いたら話そうかなと言って俺はその場で過去の話すことはしなかった。
けれども詩乃は将希は本当に良い人であり太陽のように温かい人物と思いながらも何か影のようなものも感じていた。だから詩乃はその影をいつか教えていただき、心から信用されようと思うのだった。
そうして俺たちは居城である高天神城に戻り今後の対策を考えていた。まず俺ができることはこの遠江国に巨大な結界を張って悪影響を受けないようにさせて昌恒と詩乃に洗脳など受けにくくなるお守りを差し上げた。
これで信用できる人から後ろからアゾットチャンス・・ではなくて背後から刺されることは無くなる。でもほかの人の分も作っておかないといけないなと思いながら作りながらまずは久遠と結菜がいる岐阜城に向かって歩き出していた。
国から離れる前に万が一俺との連絡が取れなくなったら詩乃が代理で大将をさせることにしていた。その証拠と言うべきだろうか、生き残っていた式神、ユタラプトルのユータを詩乃に預けた。
これで遠江は比較的に安全になったがまだほかは心配ことがあるので俺はそれを終えるまではゆっくりと出来ることはないなと思いながら俺は動きを速めていた。
そのような行動を遠くから見ている者がいたのだった、その者たちは将希を見て
「お母さんが岐阜に向かった、私はこれからお母さんのところに向かうから蒼鬼は遠江のほうに向かって」
「うん、僕たちの理想のためにお母さんの周りにいる者たちをすべて殺そうよ」
そう楽しく話しながら二人は別々に行動を開始したのだった、一方は岐阜にもう一方は遠江に向かって歩き出していた。そう、確実に鬼と神の間に生まれた子供たちは動き出そうとしていた。
二人には殺意が宿っていて鬼らしい雰囲気を出していた、将希は知らなかったのである。大切な者を奪われたときの嫉妬の大きさを子供たちから好かれていたがそれが逆に悲劇を呼ぶことになるとは夢にも思わないでいたのであった。
今、日ノ本に八岐大蛇に負けないぐらいの天災が迫りつつあった、そしてそれは誰にも気がつけずに確実に迫っていた。
そしてその天災の力を持つ蒼鬼と竹中詩乃と出会う、一週間前の出来事であった。二人の出会いがどのような形を出すのか、そして日ノ本の向かう先は希望・・・または絶望か。
それを知るのは誰もいなかった、神様である八咫烏さえ予想することができずにいたのである。けれどとある場所である者が何かの不吉を感じていた。
そこは現代社会でとあるパチンコ店で遊んでいた、雅也が己のパチンコの成果を見て一人でつぶやくのだった。
「この俺が50連以上・・・何か悪いことの前触れだろうか・・・将希は無事であろうか」
ただ心配そうにしながらパチンコを打ち続けている男がいるのだった。