それから数日後にはあの少年が目を覚ましたという話を聞いたので俺はすぐに久遠の屋敷に向かっていた。そこでは何か壬月と麦穂で久遠と何か言い争っていた。俺は一体何事だろうと思い聞いてみるのだった。
「話を聞いてあの少年の様子を見に来たのだけど何か問題ごとでも起きたのか」
「もちろんです、これは非常に問題なことなので私と壬月の二人で阻止しようとしていたところです」
壬月はともかく麦穂までそこまで阻止しようとするなんて久遠は何をしたのだろうと思い聞いてみたら麦穂がこれまでのことを説明してくれたのだった。それはすでに夫がいるのに更にこの少年を夫として迎えようとしていたのである。
なるほどね、今の時代は女性が多いから男性が複数の女性と関係を持つことは少なくないけど逆はまずはあり得ない状況でありそれをされるのは男にとってはこれ以上もない屈辱とされていた。
壬月と麦穂は俺のために久遠を止めようとしたのであろうけど久遠は諦める気はなく無理やりでも勢いであった。ここで壬月から流石に今回ばかりは文句の一つでもいったほうが良いぞと言われたので俺は久遠に対して問いかけた。
「久遠、その男が気に入ったのか。それとも俺に対する屈辱を与えたいだけなのか、それだけは聞かせてほしい」
俺がそう言うと久遠は静かに目を閉じながら俺に対してその両方と言ってきたので俺はならばしょうがないかな。久遠が久しぶりに気に入った男性を見つけてきたのである。
本当に心の底からその男性と一緒に歩んでいきたいと言われたら俺はその男が悪党でなければ喜んで身を引こうと考えている。それが幼馴染の幸せにつながるのであれば俺はそれを邪魔する意味がない。
「そうか、ならば良いじゃないか。どうせ久遠と俺の間は関係が良くないということがバレているしいい効果が生れるのではないか。悔しくないと言えばうそになるけど久遠がそうしたいというならば俺は止めたりはしない」
それを聞いた麦穂、壬月更に結菜までもそれはいくら何でも許しすぎと言われたがでも本人の意思を尊重したいしそれに彼と結ばれることによって織田家には何かの加護があるのではないかとほかの勢力にいい宣伝になると思うし。
まあ、この少年が性格が悪くなければの話だがでも見た目は良さそうだしそこまで悪くないだろう。少なからず俺よりかは性格は良さそうだなと思いながら見ていた。俺はせっかくだからその少年に声をかけたのだった。
「いきなりで悪いけど自己紹介をするね、俺は荒木将希村重というよろしくな、もう言われているかもしれないけど一応、久遠の夫に当たる人物だと思っても構わない」
「俺は新田剣丞と言います、よろしくお願いします」
そうして俺と剣丞で話をしていた、ほかの世界から来たこといろんな姉さんたち、おじさんたちと一緒に暮らしていたこと。ほかにもいろいろと話した、その結果はとりあえず認めるという形に収まりそうになっていた。
明日にもほかのみんなに報告をすることになってその日は解散した、見た感じは悪そうな人ではなさそうだから久遠を任せられそうな人で良かった。後はほかの人たちが認めてくれるか。
特に和奏辺りは勝負でもしないと納得しなさそうな気がする。剣丞くんは強そうな感じがしたから大丈夫だと思うけど心配になるなと思いながらも体を休めて明日に備えるのであった。
翌朝、城についてみるとやはり昨日の件をみんなに報告するために家臣たちが集められていた。これでみんなが素直に認めてくれたら嬉しいだけどな、現実は甘くはないか。
そう思いながら評定が開かれるのを待っていた、昨日のことを知らない者たちにとって急にこんな話をされるとは夢にも思っていないだろうな。俺も・・・いや、久遠だからありえるかなと思いながら待っているとついに久遠と剣丞が入ってきて評定を行われてすぐに久遠が言葉を出してみんなに説明をするのだった。
「みんなに知らせたいことがある、この前に桶狭間山で光の中から出てきたこの少年を保護していたがこの少年と我は夫婦になることにした」
それを聞いた和奏たちはものすごく反対をしていた、特に雛はいつも以上に否定をしていた。俺はそこまで否定をしなくてもいいのではないかと雛に伝えると雛はいつもみたいにふざけている状態ではなく真面目な表情をしていた。
そして俺だけこっそりとその理由を教えてくれた、どうやら雛の見た感じでは今までで一番嫌いな人の目にそっくりで更にその人と同じ感じがするから雛はものすごく警戒をしていた。
まあ、雛の過去はある程度知っているけどだからと言ってそこまですぐに決めるのは良くないよ。意外に良い人かもしれないし俺みたいに良い人かもしれないのに腹黒いということがあるからね。
まあ、和奏がどうしたら認めるかと言われたら結局、戦いに勝ったら認めるということになった。やはりそうなるのかと思いながら外に出て試合形式に勝負することにしたのだがここで剣丞がとんでもないことを言い出したのだった。
「久遠に将希さん、悪いけどあの三人を同時に戦っても良いかな」
そう刺したのは和奏、雛、犬子の三人を同時に相手にするというものであった。俺はいやいや、いくら実力があってもそれは危ないよと思い止めようとしたら久遠は笑いながら面白いと言って許可をしたのだった。
久遠、いくら何でも止めなさい、あの子が危ないでしょうと思い止めようとしたが先に試合が始まってしまった。やばいと思い止めようとしたがそれよりも剣丞一人で三人を軽く押していたのである。
いやいや、君、かなり強いね。言葉を出し忘れるぐらいに強いね。こんな強いとは思っていなかったから嬉しい誤算だなと思いながら試合を見守り続けたら結果は剣丞の圧勝に終わった。文句の付け所がないぐらいに完ぺきな戦いであった。
次は麦穂かと思っているとまたしても剣丞がとんでもない発言をした。今度は壬月と麦穂を同時に相手をしたいというのだ。おい、剣丞くん、次は先ほどの三人と比べ物にならないぐらいに強くなっているのにそんな無茶はやめなさい。
俺は止めに入ろうとしたが久遠は楽しそうに許可をしたのだった、どうなっても知らないぞと言って俺は心配そうに試合を見守ることにした。いつでも剣丞を助けに入れるように待っていたがそれが来ることはなかった。
なぜならば剣丞はあの二人を同時に戦っても互角どころかむしろ押していたのだから俺でもここまで強い人間は久しぶりだ。そうなると今度は俺が相手になるのかな、ならば少し体を動かして待っているか。
そして結果は壬月と麦穂の二人が負けたのだった、これを見ていた者たちは
「ぼ、僕でも今のは流石に出来ないぞ」
「す、すごすぎてびっくりしたワン」
「なかなかやるわね・・・少しは見直したわ」
「見事であるぞ、剣丞。まさか、あの二人を同時に倒すとはな」
雛だけは警戒心を出しながら剣丞を見ていた。壬月と麦穂は信じられないという顔をしていた。まあ、無理もないよねと思いながら今度は俺が試合の相手になったのである。
「剣丞君・・・正直に言って今まで手加減していたでしょう。きっと女性だからそうしていたのじゃない。これからは男同士の戦い、全力で向かってこい」
剣丞もそれを聞いて今までの早さよりも更に速く攻撃を繰り出してくるのだった。さて、剣丞君、君の実力を試させてもらうよ。
蛇足ですが・・・ついでにこの作品の剣丞は綾那、恋以上に強い設定です。