武装探偵の悪魔召喚   作:凧の糸

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メガテン色強めになり過ぎないように話は進めていきますが、女神転生的要素がガッツリ出ることもあります。





脱出

 

 

 

 

 

「#@aPk€6$!!」

 メシア教徒の狂信者が次々に襲いくる。ヘマをして品川の聖堂に囚われたが、やけに少ない監視体制であった為にこれ幸いと逃走したのだった。

 

 

 

「うし、破壊できた……」

 手錠を馬鹿力で破壊して、マグネタイトにより強化した筋力で牢屋を歪ませた。

 

 

「さて、確か……五番目の牢屋だったか」

 牢屋は4階にしか無いのでここは多分4階である。ここには来たことが無かったが少なくとも二度と来たいとは思わなかった。

 

 

 

「複雑だが……こっちだったかな」

 品川の大聖堂の勝手はよく知っていた。俺のアームターミナルや武器が置いてある場所も大まかな予想はしていても、手当たり次第に探すしか無かった。

 

 

 

「オラっ!!セイッ!!!」

 可能な限り、隠密行動を図っているがどうしても有象無象の悪魔たちと戦闘に発展してしまう。

 

 

 

 

 そこら辺にいたアークエンジェルからかっぱらったセラミックブレードを用いて応戦するも、簡単に突破できる訳では無い。そして追い討ちをかけるように頭痛のタネは芽吹いている。悪魔を倒しても幾らかのメシアン達が魔法ーーザンやブフでの攻撃を仕掛けたり、自爆特攻を行ったりするからだ。

 

 

 

 

 回避が出来ずに食らった結果、服はボロボロ、皮膚は火傷や凍傷の痕が目立つ。疲労も重なってブレードを握る握力もゆっくりと少しずつ下がっていく。

 

 

「……妙だな、人間が少なすぎる」

 牢屋からかなり簡単に逃げ出せた事、人間との遭遇率が異常に低い事、悪魔が自由に闊歩している事。不気味な予感がするも、アームターミナルと武器を見つけられない以上、ここから出られない。

 

 

 

 セラミックブレードがへし折れたので小休憩と武器探しを兼ねて上級テンプルナイトの部屋に忍び込んだ。途中で拾ったリストに、俺を襲撃して奴らに似た顔の奴らがいたのでその中でも一番位が高い奴の所に忍び込んだ方が良さそうだと思って動いた。

 

 

 

「何だ、これ?」

 やけに荒れている部屋は散らかり放題で歩きづらい。あの真面目で通っているテンプルナイトにしては珍しいというよりはありえない事だった。しかし、今はそれを気にしている余裕すらない。ひたすらに山を漁り続ける。

 

 

 

 

 

「!」

 レーションの食いかけでもいいから探していると、傷だらけのアームターミナルがあった。

 

 

 

「良かった、プロテクトを掛けておいて……」

 起動された後は無い。かなり頑丈なプロテクトを知り合いに頼んで掛けてもらっていたからだろうか。盗難対策などで行ったが、思わぬ功を奏したようだった。

 

 

 腕に装着する。やっぱりこれだ。自分の一部だからないと不安になる。メシア教徒の拠点で過去に強奪した、神の炎を放つメギドファイアと呼ばれる強力な銃を持ち、クラウ・ソラスという剣を履いて、出ようとしたが、奇妙な書類が目に付いた。

 

 

 

 

「『大洪水』?」

 たった三文字の簡潔なタイトルに引き寄せられ、床から拾って読み始める。所々は破れていても、くっ付けて読んだ。

 

 

 

 

「神を、降臨させる為の建造物……それが"カテドラル"」

 最近、東京湾上に何かの建造物が建っていること自体は知っていた。しかし、それが神を呼ぶ為に作られているというのには驚く。自分の仲魔にも彼の四文字によって貶められた者がいたからだ。ただでさえ巨大で、この終末世界の覇権を握らんとしている彼らに神が降臨すればまずパワーバランスが崩壊してしまう。

 

 

 それよりも絶句する内容は、『東京の浄化』。選ばれた民のみをカテドラルに残してそれ以外は東京ごと水没させる計画らしい。信じがたいが、悪魔たちの凄まじい力でもってすればあり得ないとは言い切れないのだ。

 

 

「マズイ……どおりで人が居ないのか……」

 東京の街を水没させるのならこの、品川大聖堂も巻き込まれるという事だ。急がなければ、巻き添えを食らってしまう。

 

 

 

 

バイオメトリクス承認……ユーザー、キタハラシュウイチの確認完了 パスワードを入力して下さい

 電源を入れると、パスワードを解除しなければならない。

 

 

「1992ッ」

 ピピピ!と電子音が鳴ると『COMP起動』と馴染みのディスプレイに流れた。

 

 

 

「よし、急ごう」

 部屋から飛び出すと、向こうから見たこと無いくらいの大量の悪魔が押し寄せてきた。

 

 

「グオオォ!! クワセロ!!!」

 オルタロスやガキ、様々な悪魔が互いを喰らい合いながらも新鮮なマグネタイトを持つ人間(オレ)へ目標を変える。

 

 

「ニンゲン!ニンゲン!!」

 一斉にグルリ、と首や視線がこちらを向いた。ギラギラとした獣で、狩人の視線は熱く、飢餓は肉への欲求を掻き立てているだろう。よだれがぼとぼとと落ち、リノリウムの床を溶かしている。

 

 

 

「最悪だ、運の香もうちょっと使うべきだったな……」

 自身にスクカジャを連続で何度も掛け、悪魔との追いかけっこがスタートした。

 

 

 

 

 

 

 

 

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「サマナー、くたばるか?俺はまだまだ余力に満ちているぞ?」

 俺はピンチに陥っていた。予想より強い上に、疲労でダメージの回復が追いつかない。攻撃を喰らい、ダメージで動きが鈍り、再び攻撃を喰らう。悪循環の一歩手前まで来かけている。

 

 

 一番強い仲魔のフラウロスもそろそろ限界に近い。何百体も敵を捌くとなればソロモン七十二柱が一柱、序列六十四番の地獄の大公爵も額に汗が浮かんでいた。

 

 

 

「ようやく大きな窓が見えた。フラウロス、合図でアレを破壊したら一気に跳ぶ」

 

 

「嫌だね、マスター」

 了解は取れた。俺もCOMPで召喚の準備をする。召喚スタンバイを待機状態に置いた。

 

 

 

「3、2、1、行け!」

 

 

「アギラオ!!」

 

 

 轟々と燃え盛る炎がフラウロスから放たれ、ガラスを一瞬にて融解させる。俺はフラウロスをCOMPへ戻して、高く跳躍する。

 

 

「うおらっっっ!!!」

 助走をつけ、魔法の力でブーストを受け、空中へと身を投げ出した。

 

 

「ガルーダァァ!!!!」

 COMPに指を走らせ、喉を枯らしつくす程の怒声を上げる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 どさり、と柔らかい感触。

 

 

「ウルサイゾ、シュウイチ」

 

 

「間に合った……早速だが、アレ。天を衝く塔が見えるか?」

 

「アア、アレカ」

 

「あそこまで、急いでくれ。もうじき東京の大部分が沈むらしい」

 

「マズイナ、イソゴウ」

 勢いよく羽ばたくと、スピードはますます加速していく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あと少しで着かんとする。そんな時だった。

 

 

 

 ピカッ!!ゴロゴロゴロッ!!!!

 

 

 ビリリリと激しく体が痺れる感触。ガルーダは真っ黒で美しい翼も燃えている。俺の呼吸はヒューヒューと喘息のような有様で、全身を針で刺され、爪を剥がされる以上の激痛が襲いかかる。

 

 

 

 肉体のアラートが脳で喧しく鳴っている。激痛は思考を奪い、ろくにモノも考えられそうに無い。あるのは苦痛の感情のみだった。左腕は炭化したのかポロポロと黒い物が崩れていく。今、指だった物は全て海中に沈んだ。

 

 

 

 

 

「シ、ュイチ……」

 身体の端がマグネタイトとして還り始めている。ぐらん、と大きく揺れて俺とガルーダは真っ逆さまに、海に落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

__________________________________________

 

 

 

 

 

「はっ!ハァハァハァ……」

 身を貫かれるような痛みと頭の奥のツンとする痛みはここを現実と認識させる。

 

 

 

「ベッドで、寝てるのか?」

 硬い病院系のベッドだが、彼はその事を知る由も無い。そもそも病院なんてものはあの世界にないからだ。

 

 

 

 ベッドの感触をトントンと叩き、自分の状況について整理しようとしたが、その前にガラリと引き戸が開かれて、白衣の医師が現れた。

 

 

「あ、アンタは?」

 動揺で声がうわずってしまう。やって来た彼女は態度については大して気にしてないらしい、そのまま話し始めた。

 

 

 

「君の担当医さ。ボロボロで道路に転がってたが、覚えてるか?」

 

「……いや、何が何だか。混乱してます」

 

「ま、それもそうだろうね。あとで話もあるからゆっくり休んでるといいよ」

 言いたいことを全て言うと、彼女は出て行った。

 

 

 

 

「???」

 頭に疑問符が三つ。取り敢えず、ここの大まかなことが書いてあるパンフレットが傍らに置いてあるので、手に取って読んでみた。

 

 

「武偵、病院?」

 情報を得ようとした筈が、余計にこんがらがらせる結果に終わってしまう。

 

 

「ーー!」

 窓の外からは暖かい日差し。

 

 

 

「……寝よ」

 身体がまだ満足に動きそうに無い。少なくとも、ここで悪魔に襲われることはないだろうし、どうにもならないのでゆっくりと目を閉じた。

 

 

 

 すぐに彼には睡眠が齎された。深い、深い睡眠。微睡むこともなく、泥のようにベッドへ沈んでいく。

 

 

 

 彼は束の間の平和を享受した。

 

 

 

 

 

 

 






パスワードの1992は真・女神転生が発売された年。
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