今年でFate/stay night(2006年 Deen版)15周年、Fate/Zeroアニメも10周年を迎えました。おめでとうございます!
記念に短いですが前の続きを書いてみました。
あと、月姫リメイクおめでとうございます!
「ふう, もう新年か」
「そうだな」
1月1日。午前0時0分。
衛宮邸の庭先の縁側でイリヤと士郞は空を見上げていた。
「今更だけど、何か不思議よね。 わたしがこんなに何度も新年を迎えるなんて」
「あれからもう何年もたったのか……」
あの奇蹟の日から何年が経って、小さな女の子だったイリヤは今は背が伸びて体つきももう子供のような姿はなく、すっかり美人になっていた。
その姿はまるで“あの日”自分を生かしてくれた“彼女”にそっくりだった。
「…………」
イリヤは隣に座っている士郞を見る。
「ん?どうしたのイリヤ?」
「……ううん、なんでもない」
隣にいる男もあれから背が高くなって頼もしくなった。
“彼”がもっと年を取ったらこんな感じだったかな、とイリヤは思わず思った。
「ただもし今のわたしはただ夢を見ているだけで、現実では実は死んでいっているのではないかと思っただけ」
「そんなわけないだろ。イリヤは今こうして俺と一緒にいるし、俺たちが今まで過ごした毎日は間違いない事実だ。これが夢なわけ――」
「ふふ、知っているよ。 冗談だよ、冗談」
真剣に反論する士郞の姿を見てイリヤは笑う。
「でも、本当にそう思ってしまうくらいにすごく幸せだよ。わたし」
「イリヤ……」
「あ、満足したんじゃないよ? わたしは欲張りだから。これからももっと幸せに過ごすからね」
今の幸せを手放すつもりはない、と入谷は付け加えた。
人間として、キリツグとお母様の分だけ一生懸命生きていくと決めたから。
彼女はこれからどんな事があってもそばにいる唯一の家族と共に生きて行くだろう。
「去年はいろんなことが多かったけど、今年はどんな一年になるかな?」
「さあ、毎年そうだったけどどうなるか分からないからな。 けど、だから楽しいんだろ?」
「ふふ……確かに」
毎年、この日が来るとイリヤは期待感を抱いて明日を、そしてまたその明日を待つ。
以前の自分では決して夢見なかったはずの経験を彼女は毎年感じている。
「じゃ、早く寝るか。明日の朝には藤ねえに遠坂、桜と一緒に柳洞寺に行かないといけないし」
「そうね、セラとリズが車で乗せてくれるけど、早く寝ないと朝に大変だから」
イリヤと士郞は起きて部屋に戻ろうとした。
だが、なぜかイリヤは立った後動かなかった。
「シロウ」
「ん?」
士郞は振り向いて自分を呼んだイリヤを見る。
月光を浴びて銀髪を輝かせながら笑っているイリヤの姿はとても美しかった。
美しい女は幸せそうな顔で士郞に言った。
「今年もよろしくね」
女は生きていく。
今日も、明日も、来年も、数十年後も。
今年はどんな一年になるだろう、と期待しながら大切な人たちと一緒に日常を生きていく。
これは一つの可能性であるとある世界なのか、
それとも単なる夢想に過ぎないのか、
それを知る者は今も、今後もない。
だが、どちらにしても、これだけは言える。
きっと、こんな世界があっても――
間違ってはいないだろう。