【対魔忍RPG】――若き疾風――秋山達郎 作:unko☆star
―――東京湾の海上10km地点に存在する人工島【東京キングダム】。
かつて日本政府主導で第二の都心となるべく造成されたものの、企業の誘致に失敗し、住民の移住計画も頓挫。
かわりに犯罪者や密入国者、魔界の住人たちが流入し、今では世界有数のスラム街と化した。
中心部はカジノや風俗店が並ぶ繁華街だが、港湾部に近づくほど治安は悪くなり、中華連合をはじめとする他国勢力の出先機関が勢力争いを繰り広げる無法地帯となっている。
当然、湾岸地区に居を構えるのは闇の勢力の関係者と、ワケあって流れ着き廃墟やありあわせの資材でこしらえた「家」で身を寄せ合って暮らす貧民たちばかりで、まともな人間ならば興味本位であっても足を踏み入れようとは思わない。
ましてや女子供は一人で出歩こうものなら命の保証はできないとされている。
にも関わらずこの日、明け方に湾岸地区から中心街に向かう道を一人で駆ける少女の姿があった。
彼女は貧民窟の住人で、無論その行動が自殺行為であることは知っていたが、病で床に臥せていた母の容体が急変したため、中心街に住む医者を呼びに行かなければならなかったのだ。
なるべく安全なルートを通り、泥酔したオークと鉢合わせしそうになったときは物陰に潜んでやり過ごし、着実に歩を進めていく。
――が、それでも不運というものは転がっているもので、医者の家まであと少しというところで路地裏から伸びてきた手に腕を掴まれてしまった。
「あっ…」
という間もなく暗がりに引きずり込まれ、なにやら布のようなもので口を塞がれてしまう。
少女は2、3回手足をばたつかせたものの、すぐに気を失ってしまった。
「好きだねお前も…。昨日あれだけヤりまくったってのによ」
「いいじゃねーか兄弟。別腹ってやつさ…。ありがたくいただくとしようぜ…クク…」
「俺はいらん」
そう言って男はタバコを取り出し、蛸のような手つきで少女の服を脱がしにかかる“兄弟”を呆れ顔で一瞥した。
「さっさと済ませろよ。戻りが遅くなってセンセイの機嫌を損ねたらかなわん」
「そいつあ保証できねえな…なにせ昨日のお楽しみのおかげで流石の俺も感度が鈍ってるもんでなブヘヘへ」
勝手にしろ、と男は背を向け、懐から取り出したライターを擦った。
瞬間、背後からの突風で火が吹き消されてしまう。
「チッ…」
もう一度ライターを擦ろうとした男だったが、ふと、うなじのあたりに生暖かい感触を感じた。
左手で触れると、なにやらぬるりとした液体が付いている。
(なんだ…?油…?)
不審に思いながら左手を顔の前に下ろすと、指先が赤く染まっていた。
「なにっ」
とっさに振り向いた男の目に飛び込んで来たのは、うつ伏せに倒れた首のない相方の胴体――そして、そこから流れ出すおびただしい血の海だった。
瞬間、何者かが男の膝の裏を蹴飛ばし、崩れ落ちそうになったところで襟を掴んで、ぐい、と引き寄せた。
「おのれらには、もはやこれしかないようだな」
そう、男の顔を覗き込むようにして言い放ったのは、小柄な白髪の老人だった。
上下ともに袴姿で、帯には刀を差している。
「あっ…お前…!」
言い終わらぬうちに老人は男を突き飛ばし、よろめいた瞬間を見計らって刀を抜きはらった。
一瞬のうちに首すじの急所を切り裂かれた男はそのまま仰向けに転倒し、声を出すこともできず絶命した。
――――――
――――
――
「達郎くん、その娘は…」
「息はある。ほっときゃそのうち目が覚めるだろ」
達郎と呼ばれた青年が少女の脈を取り、ぶっきらぼうに答えた。
「ちょうどすぐそばに医者が住んでいる。連れてってやろう」
「おい爺さん、何度も言うがオレはヒーローごっこしに来てるわけじゃねーんだぞ。さっさとずらからねえと…」
「ならワシが1人で連れて行くから、達郎くんは先に帰っていてくれ。なに、それほど時間はかからんよ」
そう言うが早いか、老人は少女をおぶってスタスタと歩いて行ってしまった。
残された青年は大きく舌を鳴らし、足元に転がっている死体から衣服を引きはがしはじめた。
無法地帯の東京キングダムでは身元不明の死体などそう珍しいものではなく、故に死体から個人を特定できるものを除去してしまえば騒ぎにすらならないことが大半となっている。
(まったく、なんでこんなことになっちまったんだか…)
青年は手のひらから小さな真空の刃を発生させると、老人が斃した男の首めがけて忌々しげに投げつけた。
男の頭部は音もなく胴体から切断され、宙を舞ったのち青年が広げた黒いビニール袋になかにすとんと落ちた。
青年の名は『
五車学園に通う対魔忍である――。
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