【対魔忍RPG】――若き疾風――秋山達郎 作:unko☆star
日が沈み、東京キングダムの中心街と港湾部が光と闇に二分される時間になってもまだ、教会内でのバカ騒ぎは続いていた。
センセイと呼ばれていた女は講壇に腰かけてそれを眺め、自らもラムの瓶をラッパ飲みで次々に空にしていく。
「俺たちタチ悪いよなあ、根っからのワルのくせにセンセイのおかげでメンタルもフィジカルも鍛えまくってるし」
「女好きだし…」
「男もいけるしな」
「そりゃテメーだけだ!」
ギャハハハ…と下卑た笑いが響くなか、一人の男がふらりと立ち上がった。
どうやら外に出て用を足すつもりらしい。
よろよろと歩き、入り口の扉に体を預けるようにしてもたれかかり、ゆっくりと開く。
ふわり。
外気が火照った顔をかすめ、その心地よさに思わず目を細める。
それっきり、男が目を開くことはなかった。
「はっ?」
喧騒がぴたりと止んだ。
その場にいた全員が、音もなく教会内に表れた老人と、首すじを切り裂かれて絶命した仲間の姿を目撃した。
「なっ、なんだぁてめえは…」
入り口に一番近い場所にいたごろつきが立ち上がって銃を抜いたが、老人の刀がその手首を切断し、銃を握ったままの手が血をまき散らしながら宙を舞った。
「ぎゃああああああああああ!!!」
もんどりうって倒れた男にとどめを刺した老人の背中めがけて2人の男が飛び掛かったが、なぜか見えない壁にぶつかりでもしたかのように弾き飛ばされてしまう。
「気いつけい!もう一人おるぞ!」
“センセイ”が声を張り上げ、側にあったキャンドル台を掴んで入り口の扉めがけて投げつけた。
キャンドル台は矢のような速度で扉をつき破ったが、すんでのところで達郎が教会内に転がり込んできた。
「疾風斬!」
達郎はすぐさま風の刃を生成し、センセイに向けて次々に発射した。
あえてデタラメな狙いで乱射し、シャンデリアやステンドグラスを破壊してガラスの雨を降らせ、場を混乱させる。
しかしそんな中でもセンセイは自分に直撃する刃だけを的確に躱し、あっという間に距離を詰めてくる。
「ヒーヒー言わせたるわっ!」
センセイが右拳を叩きつけ、達郎がそれをすんでのところで躱すと、立っていた場所に大きなクレーターができた。
すばやく距離を取り、風の刃を次々に発射する。
(確かにコイツは1人じゃ無理だ…。早いとこ他を片付けねえと…)
達郎の攻撃は一見センセイを狙っているように見えて、実際は他の男たちをターゲットにしている。
センセイが躱したもの、狙いを外したように見せかけたものも背後の男たちに当たるよう、的確に位置を変えながら攻撃を続ける。
老人も多勢を相手に苦戦してはいるものの、達郎の援護で相手が傷ついた隙を突き、1人、また1人と数を減らしていく。
「ちょこまかと逃げよってこのチンカスが!足腰だけでなくチンチンも立たんようにしたんどコラアッ!」
達郎が接近戦をする気が無いと悟ったセンセイは、周囲のものを手当たり次第に投げつけて応戦しはじめた。
死んだ部下が落とした武器や破壊された長椅子の破片、果てには落下したシャンデリアなど、かなりの重量があるものでも平然と片手で放り投げてくる。
「くっ…」
起用に回避し続ける達郎だったが、センセイの規格外の力によって教会はめちゃくちゃに破壊され、投擲されたものが辺りに散乱していくため徐々に逃げ場がなくなっていった。
ちらりと老人のほうを見やると、生き残っている敵はあと2人になったものの、その両方から拳銃の乱射攻撃を受けており、瓦礫を盾にして回避に徹するしかない状況になっていた。
「おらーっ、かかってこいやジジイ──っ!」
「チーズみたいに穴だらけにしたらあっ!!」
達郎は抜刀し、センセイめがけて一直線に突進した。
「アホがっ!そんなもんへし折ったる!」」
達郎が下段から斬り上げた刀を先生の拳が叩き落とすかに見えた瞬間、達郎は足元に上昇気流を発生させ、ひらりとセンセイを飛び越えた。
「なにっ」
そのまま拳銃男の片方に飛び掛かり、落下の勢いを利用して肩口に刃を深々とめり込ませる。
「ぎゃあっ」
相棒の悲鳴に反応したもう1人はすぐさま達郎に銃口を向けたが、待ち構えたかのように瓦礫の影から飛び出した老人が一瞬で間合いを詰め、その首をはね飛ばす。
頭部を失った胴体がぐらりとよろめき、達郎を狙ったはずの銃は空に向けて虚しく発砲音を響かせた。
「おのれがあああああああ!!」
センセイがまだ破壊されていない長椅子を両手でぶん回しながら突進してくる。
達郎は跳躍してこれをかわし、センセイの正中線めがけて斬りつける。
「ぐっ!」
センセイはすんでのところで体を反らせてかわしたが、刀の切っ先が胸のさらしを切り裂き、中から乳房とともになにやらボールペンのようなものが飛び出して床に散らばった。
(あれだ!)
それを見た達郎はとっさにそのうちの1本をキャッチし、先ほどと同じように上昇気流を作り出してセンセイから距離を取った。
よく見るとそれはペンではなく黄色の注射器――糖尿病の治療で使われるインスリン注入器のようなもので、表面には魔界の言語らしき文字があしらわれている。
(見つけた……これが、“
センセイも落とした注射器を拾おうとしたものの、老人の攻撃に遭い手が出せないでいた。
カウンターで隙を晒した先ほどとは違い、老人の振るう刃を紙一重で躱しながら間合いを詰め、必殺の拳を打ち込むタイミングを探る。
老人も敵の攻撃範囲ギリギリの間合いを保ちながらなんとか戦っていたが、すでに大勢の敵を斬ったことによる消耗で息が上がり、太刀筋も弱くなっているように見える。
このまま続ければ確実にセンセイの拳が老人を捉えるだろう。
(この薬を持ち帰るのがオレの目的…。)
達郎の脳裏に一瞬、冷徹な選択肢が浮かび上がったが、対魔忍としての本能がそれを打ち消す。
(死にかけの爺さん見捨てて逃げるなんざ対魔忍じゃねえ。コイツを倒して、そこら辺に散らばってる予備を回収してきゃ文句ねえだろ!)
達郎は意を決して、手に握った注射器を首筋に突き立てた。
最近のプレイ・ボーイ読んでると猿先生本当になにも考えないで漫画描いてるんだって思うんだよね
まさにライブ漫画家なんだ
ネットのインタビューで「タフは描くのめっちゃ楽」とか言ってるし
まあシナリオは滅茶苦茶だけど昔みたいな関節技の応酬が増えてきたのは良いと思うんだ
早いとこウンスタVSキー坊が見たいですね…生(レア)でね