霧幻旅【秘封倶楽部】   作:萩崎紅葉

10 / 19


──貴方みたいな考えの学者の所為で、夢と現を同じ物として見るようになったからよ。

 

 

夢をただの脳が見せる虚像として、現実の一生理現象に組み込んだからよ。

 

 

主観の外に信じられる客観がある。絶対的な真実がある。

 

 

主観が真実だって? 

 

 

貴方の言っている事は矛盾している。その学説は間違っている。

 

 

その証拠に貴方は主観を認めないで夢にしちゃっているじゃない。

 

 

夢と現実は違う。

だから夢を現実に変えようと努力出来る。

 

 

だから子供達は笑う事が出来たの。────

 

 

 

 

三つ編みの女は、赤毛の学者に向かってそう言った。

 

大学の研究室は、夕日の光で輝いていた。

 

「そうね。だからこそ確かめなければならないのかもしれない。夢の正体を暴いて学会に復讐するのよ。」

 

「それが、貴方の夢?」

 

「ええ。この世界では、夢と現の定義は鮮明過ぎる。でも夢現の境界は誰にもわからないわ。魂は夢、肉体は現の結晶だとも思える。夢の正体を暴くのが、この研究の目的なの。」

 

「夢も、現実も、この科学世紀では区別されてしまっている。私はそれが信じられない──。さぁ、今日は遅いし、もう帰りなさい。」

 

 

赤髪の学者はそう言うと、研究室を出ていった。

 

 

「――夢か現か、吉夢か、それとも悪夢なのか。確かに、夢現の境界は誰にも分からないわね。」

 

 

沈む夕日を見つめ、少女はそう言った。

 

 

 

 

夜が明ける。幻の朝靄の中で夜が明ける。

私は幻想の世界で子供達と一緒に遊んでいたわ。

子供達はみんな楽しそうだった。みんな笑っていた。

――こんなに笑っている子供を最後に見たのは一体いつだろう。聴いた事もない不思議な唄、不思議な踊り。どうやら今日は祭らしい。

 

私も、いつかはこんな子供達の笑顔がある国に住みたいと思ったわ。

 

でも、それは叶わないみたい。

 

 

 

 

──A moon rabbit and a lunar exploration vehicle―

Is it an illusion or reality a pleasant dream or a nightmare?──

 

 

 

夢違科学世紀〜Changeability of Strange Dreamより引用

 

 

 

 

 

 

夢違科学世紀編 『完』

 

 

 

どうも。作者のいろはにです。なんと夢違科学世紀編を2日で終わらせてしまうというね...。

 

まぁ1月は全然更新してなかったので。

 

今回のテーマは夢と現、そして真実。

バリバリ哲学でしたね。

 

私はこういう事を考えるのは好きですが、それを文章にするのはとても苦手です。

 

夢と現は別の物。だけれど紙一重。私にはそう思えます。

 

いつか夢と現が融合したら。どんな世界になるのでしょう。

 

 

2021/01/30 12:50

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。