霧幻旅【秘封倶楽部】 作:萩崎紅葉
──貴方みたいな考えの学者の所為で、夢と現を同じ物として見るようになったからよ。
夢をただの脳が見せる虚像として、現実の一生理現象に組み込んだからよ。
主観の外に信じられる客観がある。絶対的な真実がある。
主観が真実だって?
貴方の言っている事は矛盾している。その学説は間違っている。
その証拠に貴方は主観を認めないで夢にしちゃっているじゃない。
夢と現実は違う。
だから夢を現実に変えようと努力出来る。
だから子供達は笑う事が出来たの。────
三つ編みの女は、赤毛の学者に向かってそう言った。
大学の研究室は、夕日の光で輝いていた。
「そうね。だからこそ確かめなければならないのかもしれない。夢の正体を暴いて学会に復讐するのよ。」
「それが、貴方の夢?」
「ええ。この世界では、夢と現の定義は鮮明過ぎる。でも夢現の境界は誰にもわからないわ。魂は夢、肉体は現の結晶だとも思える。夢の正体を暴くのが、この研究の目的なの。」
「夢も、現実も、この科学世紀では区別されてしまっている。私はそれが信じられない──。さぁ、今日は遅いし、もう帰りなさい。」
赤髪の学者はそう言うと、研究室を出ていった。
「――夢か現か、吉夢か、それとも悪夢なのか。確かに、夢現の境界は誰にも分からないわね。」
沈む夕日を見つめ、少女はそう言った。
夜が明ける。幻の朝靄の中で夜が明ける。
私は幻想の世界で子供達と一緒に遊んでいたわ。
子供達はみんな楽しそうだった。みんな笑っていた。
――こんなに笑っている子供を最後に見たのは一体いつだろう。聴いた事もない不思議な唄、不思議な踊り。どうやら今日は祭らしい。
私も、いつかはこんな子供達の笑顔がある国に住みたいと思ったわ。
でも、それは叶わないみたい。
──A moon rabbit and a lunar exploration vehicle―
Is it an illusion or reality a pleasant dream or a nightmare?──
夢違科学世紀〜Changeability of Strange Dreamより引用
夢違科学世紀編 『完』
どうも。作者のいろはにです。なんと夢違科学世紀編を2日で終わらせてしまうというね...。
まぁ1月は全然更新してなかったので。
今回のテーマは夢と現、そして真実。
バリバリ哲学でしたね。
私はこういう事を考えるのは好きですが、それを文章にするのはとても苦手です。
夢と現は別の物。だけれど紙一重。私にはそう思えます。
いつか夢と現が融合したら。どんな世界になるのでしょう。
2021/01/30 12:50