霧幻旅【秘封倶楽部】 作:萩崎紅葉
0.
2052/9/20
卯酉の道、心の旅
-東海道の地下は日本で最も日本的だった。
──ヒロシゲは二人を乗せて東へ走る。音もなく、揺れもなく、ただひらすらに東に走る。
四人まで乗れるボックス型の席には空きも多く見られ二人で乗ってたとしても相席を求められる事は無かった。
朝の反対方向は芋洗いの様に通勤の人でごった返すが、東京行きは空いている。二人にとっては好都合だった。
車窓から春の陽気が入ってくる。最新型のこの新幹線は全車両、半パノラマビューが一つの売りである。半パノラマビューとは上下を除いた全てが窓、つまり新幹線の壁は殆ど窓で、まるで大きなガラスの試験管が線路の上を走っている様な物だ。
進行方向と反対に座っている金髪の少女の左手には、見渡す限りの美しい青の海岸、右手には建物一つ無い美しい平原と松林が広がっていた。
出発から25分ほど経っただろうか、遠くに雲の傘を被った富士の山が見えた。
まるで仙人でも住んでいそうな厳かな姿をしている。
富士山復興会の努力により、近年になって漸く世界遺産に認定された富士だが、ヒロシゲから見えているこの富士の方が何倍も荘厳に見える。
というのも、ヒロシゲのパノラマビューから見ると、高層ビルも送電線も高架線も何一つ見つけられないのも一つの理由だろう。
富士どころか、左手に見える海岸だって、世界遺産に一ダースほど認定されてもまだ足りないくらい美しい。東海道はこんなにも美しいのだ。
だが、この卯酉(ぼうゆう)新幹線『ヒロシゲ』から見えている極めて日本的な美しい情景も、金髪の少女、メリーにとっては退屈な映像刺激でしかなかった。──
まもなく、3番線に11:07分発、「ヒロシゲ36号」卯東京行きが到着致します。危険ですので、黄色い点字ブロックの内側までお下がりください。
──お待たせ致しました。3番線に停車中の11:07分発、「ヒロシゲ36号」卯東京行き、発車致します。
どうも。いろはにです。
卯酉東海道編スタートです。とはいえ、2月中旬に学年末試験が控えているので更新は遅くなります。
ほんとに、やばいんです。もう2ヶ月もすれば受験生だから...。志望校がぁ...偏差値がぁ...塾忙しすぎてホントにやばいんです。
どうでもいいんですが、久しぶりにエヴァンゲリオンを見ました。3週連続なんて金曜ロードショーはやっぱり神ですね。でもアスカが喰われるシーンは何回見てもドン引きします。相変わらずレイが尊い。
早く上映されて欲しい...。