霧幻旅【秘封倶楽部】   作:萩崎紅葉

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本来、景色には誰の著作物である、という考え方は無い。さらに言うと、この映像は広重が見たであろう東海道を基にしているのだ。それでも、人間は自分の物だと主張する。乗客は皆、本物の景色ではないかと思って見ていた立体的な風景に、映像の制作者の名前が浮かんでは消え、消えては浮かんでいる。

 

風景の真ん中に「Designed by Utagawa Hiroshige」と言う文章が浮かんだのを最後に、世界は闇に閉ざされた。────

 

 

 

 

────ハイダイナミックレンジの映像も、極めて日本的な情景も、本物の空の色には敵わない。という前時代的な認識を持つ人間は、もはや居ないだろう。

 

ヴァーチャルの感覚は、リアルより人間の感覚を刺激する。夢と現は区別出来ない様に、人間と胡蝶は区別出来ない様に、ヴァーチャルとリアルは決して区別出来ない、と言うのが今の常識である。

 

言うまでもなく、ヴァーチャルが人間の本質なのだ。

 

身は華と与に落ちぬれども

心は香と将に飛ぶ

 

53分間の他愛の無い会話の続きを地上でする為に、三人は東京駅を後にした。

 

 

 

────A journey of the mind along the Boyu Line.

The Tokaido Subway is the most Japanesque subway in Japan.────

 

 

 

 

 

 

久しぶりです。いろはにです。

 

さて、未来の東京は現在とは全く違う見た目になっていることでしょう。

しかし、それは東京だけでは無く、ロンドン、ニューヨーク、パリ、上海、ベルリン...。なんなら都市だけでは収まりきらず、人間までもが変わり果ててしまうかもしれない。

"永遠"はこの世に存在しない。生物は必ず進化するしもちろん地形だって変わる。宇宙でさえ星が消えたり生まれたりしている。

しかし、それがヴァーチャルならどうでしょう?

ヴァーチャルはインターネットがある限りこの世に存在し続ける。そして、"永遠"に人の心に刻まれる。どんなに凄い人でさえも"永遠"に人の心に刻まれることはありません。語り継いでいたとしても人間はやがて忘れてしまう。

人間が不老不死の誘惑に負け餌食にされてきたのには忘れ去られることの恐怖があったからなのでしょうか。

 

幽閉サテライトさんの楽曲、「造花であろうとした者」を思い出します。外で忘れられて、幻想郷で思い出される。これが現世の美しさなのかも知れませんね。

 

 

いろはに──謎の後書きと共に──

(2021/02/19 15:54)

 

 

 

 

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