霧幻旅【秘封倶楽部】   作:萩崎紅葉

17 / 19
オリジナル。



霧幻世界編
1


「ふー、ついたついた。」

 

「なんか疲れたね。早く家に行こう。」

 

 

秘封倶楽部の3人は蓮子の彼岸参りのついでに夏楓の実家に来ていた。京都から東京までは卯酉新幹線1本で行けてしまうのだが、鎌倉までは2回乗り換えなければならない為、3人は疲れきっていた。

 

夏楓の実家は鎌倉の中でも山の方、田舎にある。駅に着いたとしてもそこからかなり歩かなければならない。

 

 

「はぁ、なんでこの時代に歩いて行かなければならないんだろ。」

 

「そうね、バスとかあったらいいのに。」

 

「人口の減少で予算が足りないんだよ。きっと。」

 

(あ、懐かしい...。)

 

 

見えてきたのは夏楓の母校だった。人口が減少してしまった為、近くの学校と合併されてしまい、今は誰も使っていない廃校となっていた。

 

 

「それにしても、人が少ないわね。」

 

「関東なんて、どこもこんなもんだよ。あ、もうそろそろで着くよ。」

 

 

見えてきたのはかなり大きい、洋風の家だった。壁はレンガでできており二階建て。黒い屋根には煙突が着いている。

すると、庭のところに立っていた女性が夏楓に話しかけた。

 

 

「おかえりなさい。待っていたわ。2人とも、こんにちは。」

 

「さぁ、3人とも行こう。」

 

「こんにちは、ありがとうございます待っててくださってたみたいで...。」

 

「あらいいのよ。みんな疲れたでしょう。ゆっくり休んでちょうだい。」

 

 

建物の中もかなり良い雰囲気の家だった。華やかさとはまた違う、シンプルだからこその美しさが感じられた。

 

 

「そういえば、夏楓の部屋ってどうなってるの?」

 

「別に、普通だよ。本だらけだけどね。」

 

 

3人は2階に上がり、1番奥の夏楓の部屋へ向かった。

 

 

「うわ、ホントに本だらけなのね。」

 

「どのジャンルもあるように見えるけど、科学の本が多いのね。」

 

「うん、姉さんが学者だったんだ。その影響。」

 

窓の葉の隙間から、白い何かが見えたような気がした。霧島家の、庭の奥の森。

メリーは目を凝らすが、よく見えない。

 

 

(なにあれ...。)

 

「どうかしたのメリー?」

 

「ううん、な、なんでもないわ。」

 

 

メリーは少し動揺しながら応えた。

 

 

「それにしても暗いわね。この木のせいで全然光入らないじゃない。」

 

「まぁ、夏は涼しいからありがたいんだけどね。冬は寒くて...。」

 

「秋は葉っぱが凄そうだわ。」

 

「ははっ!その通りだよ!」

 

 

夏楓は楽しそうに笑った。しかし、怪しい瓶を見つけたメリーはそれどころでは無かった。

 

 

(さっきからなにか変なものを感じるけど...なんなのこの家は...。)

 

 

「夏楓のお姉さんって、何の研究をしているの?」

 

「比較物理学。異世界...パラレルワールドについて京都で研究してたんだ。5年前に事故で亡くなったんだけどね。姉さんは研究熱心だったよ。」

 

「素敵な人だったんだろうね。きっと。」

 

「うん。尊敬してるよ。」

 

 

そこまで話すと、夏楓はドアを開けた。メリーはずっと下を向いて黙っていたが、夏楓がドアを開けた音で顔をあげた。

 

 

「そろそろ行こうか。母さんの紅茶が冷めちゃうしね。」

 

「うん。楽しみだなアップルパイ。って、どうしたのメリー、さっきからおかしいわよ?」

 

「ううん。なんでもないわ。」

 

 

そして、3人は1階へ降りた。

 

 

 

 

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