霧幻旅【秘封倶楽部】 作:萩崎紅葉
「って事があったんだよ...」
「ふふっ。夏楓は相変わらずね。」
彼女は夏楓が所属しているオカルトサークル『秘封倶楽部』のメンバー、マエリベリー・ハーンである。
彼女...通称メリーは『相対性精神学』を専攻にしており、夏楓に勉強のアドバイスをしていた。
「そんなに笑い事じゃないよ...今回はギリギリ合格出来たけど次落ちたら僕はね、」
「分かってるわよ、長期休暇も補習に行かなきゃいけなくなる、でしょ?こないだも聞いた。」
「僕は長期休暇に補習だなんて絶対嫌だからね、秘封倶楽部の活動を楽しみにしてるんだ。」
夏楓は秘封倶楽部の活動を楽しみにしていたのだ。別に長期休暇で無ければ活動ができないという訳ではない。
秘封倶楽部では遠方での調査や活動が多い為、情報収集以外は3連休や長期休暇を使って行う事が多いのだ。
長期休暇に補習なんて入ってしまえば、夏楓はろくに活動が出来なくなってしまう。それだけは絶対に避けたかったのだった。
「そういえば、蓮子遅いね。」
「蓮子が遅いのはいつもの事よ。今日は何分遅れるのかしら。」
そう言ってメリーは笑った。
宇佐見蓮子は秘封倶楽部の会長である。
彼女は『超統一物理学』を専攻にしており、頭はいいのだが、楽しい事が好きで危険を犯す事が多いために夏楓は何時も目が離せないのであった。
今日も秘封倶楽部の会議に遅れている。何か企画を持ってくるのだろうか。
「蓮子こっち!!」
「全く...もう10分も遅れてるわよ、」
「ごめんごめん、前回よりはマシよ。」
走ってやってきたのは蓮子だった。
「今日は何をするの?」
夏楓は聞いた。
「前回の廃屋の件、どうやらただのイタズラだったみたいなの。」
『廃屋』とは、『夜に幽霊が出る』と子供達の間で流行っていたウワサの事である。秘封倶楽部は、10月後半から半月程度この廃屋について調査するつもりだったのだ。
「やっぱりただの子供の噂かぁ...」
メリーはため息をついた。
「あら、子供の方が見えるって言うじゃない。」
「もう11月だし、早く次やる事を決めないとだね、僕は御伽噺とか伝説に詳しいんだ。行ってみれば何か分かるかもしれない。」
夏楓が本の虫だからというのもあるが、彼は趣味で昔の書物などに書かれた伝説などについて調べていた為、民族伝承などに関してはとても詳しかった。
夏楓が提案すると、蓮子はこっちを見ながらニコニコと微笑んだ。夏楓とメリーは最初、なぜ微笑んでいるのか分からなかったがそれはすぐに分かった。
「実はね、私企画を持ってきたの!」
「2人とも!蓮台野から冥界を覗いてみない?」
やっと原作に入ります。
蓮台野夜行はきっとこんな感じ。