霧幻旅【秘封倶楽部】 作:萩崎紅葉
過去の花~The fairy of lower~
魔法少女十字軍
会議は終わり、3人は帰路についていた。
「私、彼岸花って気持ち悪いから嫌い。」
「僕は好きだけどなぁ。なんか幻想的じゃない?」
「夏楓の感性は本当によく分からないわ...。」
メリーが彼岸花を見つけた。温暖化の進んだ現代では、彼岸花は11月に咲くものとされていた。
「蓮台野で1番彼岸花が多く咲いているお墓が冥界への入り口よ。」
「..........。」
何故か蓮子が言った。
メリーと夏楓は、蓮子が言うのなら間違いないと信じ込んでしまい、目的地が決まってしまった。
「彼岸花って、毒があるらしいね。」
「そういえば、私聞いたことがあるわ。三途の川付近では、彼岸花の毒は死人を思いとどまらせる効果があるって。」
「私は彼岸花が足に絡まるって聞いたけど...。」
「そうだっけ?」
夏楓が言うと、2人が反応した。
夏楓は彼岸花が嫌いではなかった。どちらかと言うと、『好き』に分類されるだろう。
死人(魂)を思いとどまらせる効果があるなんて、冥界に咲く彼岸花はいったいどんなものなのだろう。いつもの事だが、夏楓は知りたい、という好奇心でいっぱいだった。
「じゃあ、また明日。」
「明日ね!」
「じゃあね。」
3人は十字路で分かれた。
1人左に曲がった夏楓は、三途の川について考えていた。
(彼岸花も気になるけれど、三途の川はいったいどういう仕組みなんだろう?泳ぐこと以前に浮くことすらできないって聞いたけど...。沈んだらどうなるんだろう。)
現代の技術でも、さすがに三途の川の謎までは解明することは出来なかった。それ以前に、生身の人間は三途の川まで辿り着く事ができないのである。
「とりあえず、明日が楽しみだ。」
明日といえど、あと6時間程度で来てしまうのだが。
そして、蓮台野結界探索決行日。
3人はわざわざ人気のない夜に出発した。
初めは元気だったものの、蓮台野が墓場だった事を思い出しメリーは静かになった。
「あっ、あれじゃない?」
夏楓が指さしたのは、あの彼岸花に囲まれたお墓だった。
「じゃあメリー、夏楓。2時30分ぴったりになったら合図を出すから、そしたら墓石を4分の1回転させてね。」
「わかったわ。」
「了解。」
メリーと夏楓は合図が出るまで墓をいじったり卒塔婆を抜いたりしていた。
「29分52秒、」
「29分56秒、」
「30分ジャスト!!」
蓮子がそう言った瞬間、メリーと夏楓は墓を4分の1回転させた。
その刹那、
「なにこれ...。」
「なっ...。」
秋なのにも関わらず、3人の目の前には1面桜の世界が広がったのである。
現代日本は温暖化が進んでいる、とは作者の勝手な妄想です。