霧幻旅【秘封倶楽部】 作:萩崎紅葉
童祭 ~ Innocent Treasures
華胥の夢
上海紅茶館 ~ Chinese Tea
ヴォヤージュ1969
科学世紀の少年少女
1
夢違え、幻の朝靄の世界の記憶を
現し世は、崩れゆく砂の上に
空夢の、古の幽玄の世界の歴史を
白日は、沈みゆく街に
幻か、砂上の楼閣なのか
夜明け迄、この夢、胡蝶の夢
夢違え、幻の紅の屋敷の異彩を
現し世は、血の気無い石の上に
空夢の、古の美しき都のお伽を
白日は、穢れゆく街に
蓮台野を探検してから数日後、僕と蓮子はメリーに呼び出され近所のカフェに来ていた。
「そうそう、それでね。昨日はこんな夢を見たのよ。」
「って、また夢の話なの?」
「だって、今日は夢の話をする為にあなた達を読んだのよ。」
「他人の夢ほど、話されて迷惑なものはないよ...。」
ここ数日間、メリーはずっと夢の話ばかりしていた。
メリーの家系は元々霊感がある人が多い。メリーは世界中の結界が見えるので、そのような不可解な現象の影響を受けやすいのかもしれない。
「お願い、貴方達に夢の事を話してカウンセリングして貰わないと、どれが現の私なのか判らなくなってしまいそうなのよ。」
メリーがあまりにも深刻そうな顔をするので、蓮子と夏楓は断れなくなってしまった。
「アイスコーヒーと、アップルパイ1つずつ。」
このカフェの名物だと言う、アップルパイを注文した夏楓は再びメリーの方を向いた。
「夢と現は紙一重って、僕の読んだ小説にはあったよ。僕なんかで良ければ、その夢の話を──なるべく詳しく教えて欲しい。」
夏楓は興味津々だった。メリーが夢と現を判別できなくなりそうになる程の夢を、夏楓は見てみたかったのだ。
「そうね。私も少し気になる。」
紅茶を1口飲んだメリーは、少し俯きながら話し出した。
「──これが、赤いお屋敷で頂いたクッキーと、竹林で拾ってきた天然の筍よ。」
「え?夢の話じゃ無かったの?」
「夢の話よ。さっきからそう言ってるじゃないの。」
「夢の話なのに、なんでその夢の中のものが現実に出てくるんだ?」
「だから、貴方達に相談してるのよ。」
蓮子と夏楓に質問攻めにされたメリーはそう言った。
夢の中で登場した、赤いお屋敷のクッキーと竹林の筍。それが現実に存在するはずは無かった。それはもちろん、夢の話だからだ。
「私には、何が現で何が夢なのか判らなくなってきたの。いつも見る夢は、大抵妖怪に追いかけられて終わるわ。悪夢といえば悪夢だけれど...。でも夢の中の物をいつの間にか持っていたりして、もしかしたら今ここにいることも夢なのかもしれない...。」
「教えてあげるよメリー。それはもう既に筍じゃない。そこまで成長しているのならもう堅くて食べられやしないよ。」
「──でも、悪夢を吉夢に変えられるとしたら今より...。」
「メリー、天然の筍はね、美味しい時は土の下に隠れて身を守っているのよ。ちょっと、ちゃんと聞いてるの?」
全然2人の話を聞かないメリーであった。
月の兎、月面探査車
――夢か現か、吉夢か、それとも悪夢なのか。
お久しぶりです。いろはにです。