霧幻旅【秘封倶楽部】 作:萩崎紅葉
幻想機械 ~ Phantom Factory
幽玄の槭樹 ~ Eternal Dream
結局、メリーは満足したのか話すだけ話して帰ってしまった。残された2人はメリーが置いていった幾つかの品を見つつ、頭の中で整理していた。
「メリーは夢だと言っていたけれど、本当にそうなのかな...。」
「そうね、例え昨今の相対性精神学の常識がそうだと言っても、それはあくまでも精神の中での話。夢の中の物体が現実に現れたりしたらエントロピーはどうなってしまうの。」
「しかも質量保存の法則が成り立たない。」
メリーが見たのは夢では無く現実。それはこの品々が語っていた。
「メリーはきっと気が付かないうちに、実際に結界の向こうに飛んでいる。それを夢だと思いこんでいる。こうすれば辻褄が合うわ。メリーの家の近くに結界があると考えるのが妥当ね。」
「いや、それはちょっと違う。メリーの近くに境界があるならとっくに彼女が気づいているだろうしね。多分、結界が消えたり現れたりしているんだよ。」
「まさかメリーの能力が結界を視る能力から操る能力に、なんて。」
「とにかく...メリーは今すごく危険な状況に置かれている。別の世界で夢では無いと気づいてしまえばこっちに戻れなくなるかもしれない。」
神隠しにあうかもしれないし、妖怪に襲われてしまうかもしれない。メリーの想いが色んな世界に揺らいでいた。
蓮子の考えたカウンセリング方法は2つあった。
1つ目はこれらの品を捨てて完全に夢、幻だった思いこませる方法。
そうすれば二度と現実には夢の世界にいけなくなるだろう。夢と現は別物なのだ。
2つ目は夢ではなく、実際に別の世界にいる事を強く意識させて夢から眼を覚まさせる方法。
そうすれば、夢の世界で訳も判らないうちに死んだりしない。ただ――この世界に帰れなくなる可能性もある。
「メリーにはどっちが良い? 私にとってはどちらが一般解?」
「そんなの──決まってるだろう?」
「もう、いつも蓮子は呼び出しておいて時間に遅れるんだから」
次の日、3人は同じカフェに集まっていた。
「メリー、たったの3分15秒の遅刻じゃない。惜しいわね。」
「蓮子ったら、1回ならまだしも、毎回だなんて駄目だよ。」
夏楓は笑いながら言った。
3人がここに集まったのは他でもない。メリーの夢の件だ。
「惜しいって何? というか、今日は何の用かしら?」
「勿論サークル活動だよ。せっかくサークルメンバー全員揃ったんだから。」
「3人しか居ないけどね、ってまた何か『入り口』らしき所を見つけたの?」
2人が出した結論は一つしかなかった。メリーが言っていた夢の世界。、美しき自然とほんのちょっぴりのミステリアス。人里離れた山奥の神社、楽しそうにはしゃぐ子供達、深い緑、白く輝く湖、紅いお屋敷、木漏れ日の下でのティータイム、迷わせるほどの広さの竹林、天然の筍、人を狂わす満月、人の顔を持った人ではない生き物、そして禍々しい火の鳥。
──メリーだけが見ているなんてずるい!
「勿論、別の世界の入り口だったら見つけられるよ。ほらこんなに手掛かりだってあるんだからな。」
「手掛かりって、これは私の夢の世界の品じゃないの、蓮子。」
「だから、メリーの夢の世界を探しにいくのよ。ねぇ、何で日本の子供達が楽しくなさそうに見えるのか、メリーに判るかしら?」
こないだ、予知夢を見ました。家族で日曜日にアップルパイを作る夢だったのですが、ほんとうに日曜日にアップルパイを作りました。
いやーこんなことあるんだなーと思いましたね。