【完結】ストレイジの整備班ですがウルトラマンになって絶望の未来を変えます 作:アイナll
『お前ら…今までよく着いてきたな。色々な無理を言ってきたが最後の無理を言うぞ。俺の事は気にするな!生き残れぇ!』
「バコさーん!!」
俺達ストレイジの整備班が一番初めに作った人類を守る為のロボ セブンガーは同じく俺達が作ったウルトロイドゼロが素体となったデストルドスに単身突撃をする。本来の操縦者はハルキだが彼はもういない。代わりにバコさんこと整備班 班長イナバコジローが操縦している。
ただし、セブンガーとデストルドスの戦闘力は天と地なんて言い表わせない程開いている。例え身を賭した単身特攻したとしても一矢報いる事はできない。ただし時間稼ぎ程度はできる。バコさんはその命を賭けて俺達が逃げる時間を作ってくれたんだ。
デストルドスの胸部から放たれるD4の輝きはセブンガーをいとも簡単に飲み込んでしまう。
「バコさん…お前ら、命を賭けて逃げるぞ!」
「「おぉ!」」
既に廃墟となっている街を怪獣に見つからない様に瓦礫を壁にしながら歩いていく。
デストルドスは攻撃する対象を失ったからか周囲に電撃を放ち、破壊行為をしながら何処へ行くでもなく破壊行為をしている。
散々暴れ回った後、一度D4レイを街に放って何処かへ飛んでいった。
それを確認した俺たちは今となっては古巣と呼ばれている元ストレイジ本部へ集合する。
「どうだ?何かあったか?」
集まった仲間達でデスドルドスに対抗できる物を探すべく古巣を漁る。
「おい!昔作った“赤い彗星1号”が廃棄場に残ってたぞ!」
赤い彗星とはストレイジの警備員とパイロット様に強化した赤色のアサルトライフル。セブンガーが登場した事で対怪獣には力不足とされ、対人には強すぎて防衛の域を外れると没になった銃の試作品だ。
「お!“ペダミニウム粒子砲”じゃねぇか!まだ残ってたんだな!」
ペダ“ミニ”ウム粒子砲とは特空機3号ことキングジョー ストレイジカスタムに搭載するペダニウム粒子砲の試作品。ロケットランチャーの後部に太いパイプでエネルギー源と繋いだだけの簡単な作り。ある程度の威力があったんで少し改良して実装したんだっけっか。
どれもアイツにとっては豆鉄砲みたいな物なのだろうが何もないよりマシだ。それにヘビクラ隊長の様に人間に化けた宇宙人が何処にいるか分からない。自衛目的でも良いだろう。
それにしても基地に居ると色々な事を思い出す。今思い出すと異次元壊滅兵器D4ことD4レイを作ったあの時から全てが狂いだしたのかもしれない。
バラバという超獣からD4レイを作り、ストレイジが解散し、俺は幼い娘と嫁を養う為に第一特殊空挺機甲群に移動し、バコさんから教わったノウハウを生かして上層部に言われるがままウルトロイドゼロを作り上げ、ヨウコ隊員がパイロットになったかと思えば、勝手に操縦し世界中の怪獣を襲って怪物 デストルドスに変身。
ウルトラマンZやツンツン宇宙人が抵抗するも敗れてしまう。元ストレイジが再び集まりハルキがウルトラマンZだった事、ヘビクラ隊長が宇宙人だった事も初めはかなり驚いた。それを踏まえた上で総力戦をするもあと一歩で敗れてしまう。
デストルドスが現れて3日が経過した。その間に世界中の主要都市、軍施設、政府機関はD4レイにより徹底的に破壊されて世界中の人々はデストルドスの陰や声に怯えながら今を過ごしている。中には羽を広げた鳥や強い風が吹いただけでパニックになったり泣き叫ぶ人もいるくらいだ。
俺達が作った対怪獣ロボットはいつしか防衛から殲滅目的へと変わってしまった。
戻れるのなら戻りたい。この最悪の現実になる前へ。
「おい!いつまでウジウジしている。いつバレるか分かったもんじゃない。ズラかるぞ」
「お、おう…」
もうここへ帰ってくる事はないだろう。
「なんでだよ…」
「まさか…知っていたのか?」
「俺達がここに武器を取る為に戻ってくる事をかよ!」
「でも…よく考えれば世界で武器が残ってるの、ココくらいじゃねぇか…?」
「知ってて泳がせてたのかってかよ!」
建物から出ると夜になったのかと錯覚してしまった。
昼間に入ってはずなのに出ると暗いのだから。でもこれは日が沈んだ暗さではない。巨大なナニカが日光を遮り建物ごと覆うほどの影を作っていたのだ。
見上げるとデストルドスがいた。
まるで巣から出てくる蟻を眺めている様に立っていたソイツを一眼見ると自分が今まで何をしていたのか問い正しくなる。俺達はこんなオモチャを取りに帰る為に罠にハマったのか…。ウルトラマンも隊長も歯が立たなかったんだぞ。こんなオモチャで勝てると思ってたのか…。
「逃げるぞ…」
「逃げるって何処にだよ」
「何処に逃げてももうダメだ。アイツのことは作った俺達が良く知ってるはずだろ?」
「だがヤツはゲーム感覚だ。俺達が四方に逃げれば必ず誰か1人ずつ狙ってくる。一網打尽なんてのは絶対にしない!」
「それって誰かが囮になるって事かよ」
「囮を決めるのは俺たちじゃない。全てはヤツのさじ加減だ」
「はぁ?じゃあどうするんだよ!さっき取ったこれで抵抗するか!?」
「おいお前ら…バコさんの最後の言葉、忘れた訳じゃねぇよな…?」
圧倒的な的を前にして誰を犠牲にするか討論になる寸前に自然と口から言葉だった。俺たちの信頼できる班長、バコさんが最後に言い遺した言葉。
「「「「「絶対に生き残るぞォ!!ゴー!ストレイジ!」」」」」
その場にいる皆で手を合わせて暗い空に放つ。暗闇の向こうにある青空を掴む様に。
それから全員で別方向へ走った。振り向かず、見上げず、ただ前だけを見つめて走り抜ける。
後ろから爆発音と衝撃が伝わってくる。誰かが攻撃を受けたのだろう。だとしても止まらずに走り抜ける。
なんだか風が強くなってきた気がする。ナニカが翼を動かしている音がする。
ドンッ!!!
真横で爆発が起こった。デストルドスの標的が俺へ変わったんだろう。
走る。とにかく走る。とうに体力は尽きている。一歩一歩が限界突破だ。
「こんな所で、やられてたまるか…」
俺の真後ろで爆発が起こる。風圧で前方へ吹き飛ばされてしまう。
「まだまだ…立て…立てェ!」
ふと空を見上げると化け物がこちらを見ていた。基地から銃を撃つが効いている様子がない。
デストルドスから電撃が放たれ俺の体は再び吹き飛ぶ。
「くそっ、ここで終わりかよ…」
もう足が動かない。全身の力がだんだん抜けてゆく。
「すみませんバコさん…。俺、バコさんの指示守れませんでした…」
デストルドスは俺の死を確信してかまた何処かへ飛んでいった。
「ん?なんだ…あれ。メダル…か?」
周囲を見渡していると青色のメダルが落ちていた。たしかヨウコ隊員がウルトラマンに渡したメダルもこんな感じだったような…。
「ま、明日がない俺には関係ないか」
メダルを手に取りよく見る。顔から察するにウルトラマンZと同類と思う。
「あぁ、もしも俺がハルキみたいにこのウルトラマンになれたら少しは違った未来を掴めたかな?」
メダルを強く握り願いを込める。たとえその行為が無駄だとしても。
「お願いだウルトラマン。過去に戻ってこの絶望の未来を変えるチャンスをくれ!」
次の瞬間、メダルが強く光り輝く。俺の願いに応えたくれるかの様に。
後編へ続く