【完結】ストレイジの整備班ですがウルトラマンになって絶望の未来を変えます   作:アイナll

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後編です。


後編

「おい!…おい!」

 

「う゛、ここは…?」

 

 目が覚めるとストレイジの作戦部にいた。ふとメカを見るとウィンダムとキングジョー ストレイジカスタムの2機が並んでいる。周りは様々な作業をしている。

 俺はこの光景に見覚えがある。そう、ストレイジの面々が集まって基地を奪還。これからデストルドスとの最終決戦に挑もうとしている。

 

「すまん、ちょっと外すわ。必ず戻ってくるから待っててくれ」

 

「…おう」

 

 俺は急いで誰もいない部屋へ向かった。

 トイレへ入って自分のポケットを探す。すると胸の内ポケットから銀色の短刀のような物が出てきた。

 その短刀を握った瞬間に持ち手の甲に妙なマークが浮かび上がり謎の映像が頭に浮かぶ。

 青年が手にしたそれを駆使して怪獣やメダルにあったウルトラマンに変身して黒い巨人と戦っていた。

 俺にこのアイテムの使い方が分かったと同時に変身できるのが1回限りで2分も無いという厳しい事実も理解出来た。

 

「すまない、遅れた」

 

「何やってんだ!ついさっき隊長達が出撃したんだぞ!」

 

「…そうか。分かった」

 

「おい、どこ行くんだよ」

 

「トイレだよ」

 

 俺は走って外へ出る。

 無線で連絡が入った。バコさんがセブンガーに乗って現着したそうだ。

 俺の記憶のまま進むのであればヨウコ隊員の奪還に成功は出来たが再び現れたウルトラマンはデストルドスにあと一歩で敗れてしまった。

 俺が介入できるとしたらそこだけだ。その時にZと協力してデストルドスを攻撃するしか未来を変える事は出来ない。

 

「絶対にあのタイミングを逃してはいけない!」

 

 空の上がるキングジョーとデストルドスを見た。あそこでヨウコ隊員を奪還するのだ。

 

「この隙に俺は、コイツでウルトラマンになるしかねぇ」

 

 胸ポケットから再び短刀を取り出してブレードの根本を押そうとする。

 

「くそっ、なんで開かないんだ!」

 

 トイレで見た景色を思い出してみる。あの青年は確かにブレードの根本を押していた。すると両方のブレードが開き人形が出現する。人形の足に先端を合わせて変身していたはずだ。なのに、どうして。

 

「もう地上に降りてきた…」

 

 気がつくとパイロットを失ったデストルドスの正面に生首の短刀を持ったウルトラマンZが立っていた。

 衝突する交戦の衝撃波に後方へ飛ばされてしまう。

 

「どうして…どうしてだ!手順は合ってるはずだ!」

 

 デストルドスがD4レイを撃つがウルトラマンの持つ短刀を発射口へ差し込み爆発させる形で相殺した。だがウルトラマンは爆風で後方へ押され背後のビルにもたれかかっていた。

 

「何でだ…このままじゃ…未来が…また同じ運命を辿ってしまう…」

 

 デストルドスは再び胸にエネルギーを貯める。この一撃でウルトラマンは敗れてしまう。

 

「お願いだウルトラマン…このままじゃ未来が…」

 

 未だにブレードは開かない。

 

「このままじゃまた絶望の未来を辿ってしまう。俺を過去へ連れてくれたのは未来を変えるためじゃないのか?ウルトラマンが負ける瞬間を二度も見せるだけなのか?」

 

 膝をつき体の力が抜ける。ブレードが開かなくては変身できない。

 

「俺じゃウルトラマンになれないのか?」

 

 本当は俺じゃなくて隊長に渡すべきだったのか?俺はどこで間違えた?ハルキに渡しておくべきだったのか?そもそもウルトラマンに人類を救ってくれると願った事がダメだったのか?

 

「未来は…変わらないのか…?」

 

 もう…ダメなのか…?

 

 

『諦めるな』

 

 

 どこからか声がした。聞いた事のない声。だが、どこかで聞いた事があるような

 

 

『諦めない限り、未来を掴める』

 

 

 その声の主は俺の側に立ち、手を差し出してくれる。人なのは分かるが顔が見えない。

 

 

『例え届かなくてもその手を伸ばし続けるんだ』

 

 

「伸ばし続ける…」

 

 

 差し出された手を取り立ち上がる。

 

 

『そして、未来を掴むんだ』

 

 

「…あぁ。分かったよ。…待たせたな。行くぜ!ギンガ!!」

 

 

 誰かが俺の背中を押し出してくれた。俺はそのまま走りだし、ブレードを開いた。

 

 

《ウルトライブ!ウルトラマンギンガ!》

 

 

 やっと分かった。何故今まで変身出来なかったのか。それは俺は今までウルトラマンに頼っていたんだ。そうじゃない。ウルトラマンはただ力を貸してくれているだけなんだ。

 未来を掴み取るのは、俺達自身なんだ。

 

 デストルドスが再びD4レイを放つ。だが俺は知っている。D4レイはウルトラマンの光線で相殺できる。ならギンガ(今の俺)にも同じことが出来る筈だ。

 

〈ギンガクロスシュート〉

 

 撃ち方はは知っている。クリスタルを青く光らせてL字に組んだ腕から放つ。

 D4レイを相殺しそのままクリスタルを赤く光らせて火炎弾を数発撃ち込む。

 ウルトラマンZに対して胸にあるタイマーからエネルギーをZの胸のタイマーへ送る。赤く点滅していたタイマーは青く光り弱っていた体から力強さが溢れてくる。

 アイコンタクトで共闘の意を示す。Zは理解したのか頷いてくれた。

 デストルドスが起き上がり襲いかかってきた。

 俺は腕のクリスタルから光の剣を作り出し、Zはタイプチェンジをして頭部の刃をヌンチャクの様に扱って迎え撃つ。

 デストルドスにダメージが入り弱ってきたのと同時に俺のタイマーが青から赤へ変わって点滅し始める。元々、変身時間持続は2分も無かったのだが連続して技を使った事やエネルギーを分け与えた事によって1分も経たずにタイマーが鳴ってしまった。

 デストルドスは自分の負けを感じたのかD4レイの発射準備に入る。いつもよりも貯めが長い辺りこれが最後のD4レイだろう。

 Zが光線を撃とうとするが俺が遮るように前へ立ちクリスタルを桃色に光らせる。

 

〈ギンガサンシャイン〉

 

 残ったエネルギーを全て使い最後のD4レイを破壊光線で相殺する。だけではなく、姿を維持するエネルギーも全て使って胸部を破壊する。

 自分の意思では無いにしてもD4レイを作ったのは俺達自身だ。作った者として俺にはD4レイを破壊する義務がある。

 

「ハルキ、後は任せたぞ。決めてこい!」

 

 後は後ろに控えてるZとハルキに託せれる。俺の出来る事はした。義務も果たした。

 ウルトラマンの体が光の粒となって消える。俺は何かに包まれて地上に降ろされる。

 手に持った短刀 ギンガスパークのブレードは閉じてあり眩く光ったと思えば元のメダルに戻った。そして何処かへ消えていった。

 残ったZは光線を放ちデストルドスを爆散させる。この光線でエネルギーを使い切ったのかタイマーが再び赤く点滅していた。ふらふらになりながらも飛び去ろうとするも上手く飛べず地上へ落ちて行った。俺はというと瓦礫の上で大の字になって転んでいる。体に力が入らずに動けない。

 

「よっ。トイレから帰って来ないと思ったらこんな所で寝てたのか」

 

 俺が基地で分かれた友人が側まで歩いて来てくれた。

 

「そうだな。長いトイレだったな」

 

 友人と他愛無い会話をしながら記憶の異変に気がつく。デストルドスの影に怯えて隠れるあの日々の記憶が薄れてゆく。記憶が塗り変わってゆく。それはつまり、未来を変える事に成功したんだ。

 

 「それじゃあ、行ってきます」

 

 その後、友人の肩を借りて仲間の場所へ向かうとちょうどハルキが何処かへ行こうとしていた。

 

『貴方はギンガに変身した地球人でありますか』

 

 今度は頭の中に声が聞こえる。内容的にウルトラマンZの本体(?)のようなものだろう。

 

『今回のご協力、誠にありがとうございます』

 

 目の前でハルキがウルトラマンZに変身した。そして現れた巨人に対して手を大きく振る。今までありがとう。そしてこれからも頑張れ。

 

〜〜〜

 

 俺達でデストルドスを倒して一日が過ぎた。破壊された街は今日から復興をするそうだ。セブンガーやウィンダム、キングジョーの様な対怪獣ロボットが大活躍だとか。

 

「そういえばお前、昨日の事覚えているか」

 

 復興作業の合間に休憩をしていると友人に昨日の出来事を聞かれる。

 

「それが…覚えてないんだよ。皆んなが言うように2人のウルトラマンが現れて怪物を倒したくらいしか知らないんだよ」

 

 この時には変身方法はおろか自分がウルトラマンだった事すら忘れてしまった。

 

「でも一つだけ覚えてる事がある。未来は、諦めなければ掴めるって事だ」

 

 ウルトラマンの記憶は忘れても“諦めない心”だけは忘れなかった。これから復興特化型機を作り出し、日本を自然災害や怪獣災害から守り続けるのは別のお話。




END

P.S.
ウルトラマンZは神作でしたね。
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