オールマイトは二人の様子を見て、小さく笑みを溢した。
そうだとも、ヒーローはひとりじゃない。仲間と連携することで一人では勝てないヴィランにも勝てるようになる。
「爆豪君、僕の個性は風を操る事。これって爆発の個性と相性が良いと思うんだ。」
僕が小声でそう言うと爆豪君ははっとして笑う。
「なる程な。そう言うって事は何か策があるんだろうな?」
「もちろん。」
僕が小声で爆豪君に耳打ちする。
「へっ、ナードにしては上出来だ。」
爆豪君はそう笑うとオールマイトに突っ込んでいく。たださっきとは違い、僕も追従するように飛び出す。
「チッ...オラァ、テメェも個性使え!
出し惜しみできる相手じゃねェだろうが!?」
「分かってはいるんだけど...」
タイミングがあるんだよって言ってたのに、爆豪君はあいも変わらずせっかちだなぁ。
それにこの個性はあまりひと目に晒せない。
オールマイトとの約束だし、何よりまだ爆豪のことを信用しきれてないから。
「ごめんね、僕の個性は少し特殊なんだ。
だから、まだ見られたくない。」
そういう意味でもタイミングは測らないとね。
「チッ、別に気にしねェから!お前の個性なんて微塵も興味ねェ!ただ少しは使えるみたいだから俺の役に立たせてやるってんだよ!」
「...」
「テメェに期待した俺が馬鹿だったぜ!」
爆豪君はそう吐き捨てるとオールマイトに特攻するが、当然のようにその攻撃は躱され、爆破範囲外に逃げられる。
ジリ貧だ。
このまま続けても、勝つどころか一撃入れるのだって、夢のまた夢だ。
「クソッ!」
忌々しげに叫ぶ爆豪君は視線をこちらに向けた。
「...テメェのわがままに付き合ってやる、いいか?さっき言ってたタイミングってやつに合わせてやる。テメェの方も見ねェから。」
驚く僕に爆豪君は吐き捨てるように叫んだ。
「勝たせやがれ!」
「...うん、勝とう!」
僕もそう返すと爆豪君の背中に両手の平を当てる。
「クソムカつくが、今の俺の力じゃあのオッサンに敵わねェ。だかま、一発くらいならテメェと俺の個性を合わせりゃあ勝機はあるかもしれねェ。」
爆豪君の言葉を聞きながら、5本、4本と秒読みをするように指を閉じていく。
「どうした?爆豪少年。諦めたのかい?」
オールマイトは不敵な笑みを浮かべ、興味深そうにこっちを見ている。
「へっ、諦めるだぁ?」
3本、2本。
「笑わせんじゃねぇ!」
1本。
「行っけぇ!爆豪君!!」
僕の拳に貯めた風を解き放つ。
同時に爆豪君は爆発する。
「俺の辞書にはなぁ、諦めなんざねぇんだよ!」
風が爆豪君を押していき、やがて爆発し爆風へと変わる。
「疾風爆撃(ブラストボンバー)!」
オールマイトは少し驚いた顔を見せるも既に横へ飛んで回避していた。
「とても速いけど、それじゃ当たらないよ。
根本的に君の軌道は読みやすいからね。というより真っ直ぐすぎ」
だが、オールマイトは最後まで言い切る事は無かった。
「爆豪君、変わるよ!」
終那の声にはっと気付くと目の前に爆豪少年が迫っていた。
「くらえぇぇぇぇ!」
「ちょっ、なんでこっちに向かって」
真っ直ぐオールマイトの横を通り過ぎると思っていた爆豪少年が不自然に曲がって、こっちへと突っ込んでくる。
だめだ、避けきれないね!
爆発はオールマイトへと向かう。
土埃を上げながら、煙が宙に舞っていく。
「はぁ...はぁ、当たった。当たったぞ、コラ!」
そう言って倒れ込む爆豪君を尻目に僕は煙の中に飛び込む。
「大丈夫、お父さん!?」
風で軽く煙を飛ばすとそこには大きな背中が見えた。
「大丈夫だよ。間一髪だったけどね。」
僕の後ろから驚いた声が響く。
「テメェは!お、オールマイト!?」